JPH05106399A - トンネル支保工の建込み装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】トンネル支保工の建込み作業を効率化するとと
もに、重機類との輻輳をなくし作業の安全・効率化を図
る。 【構成】トンネル壁面の周方向に沿って平行的に配設さ
れるアーチ状レール１５をトンネル方向に移動自在と
し、前記アーチ状レール１５に沿って移動する支保工用
横行台車５０を設け、この支保工用横行台車５０に支保
工を掴み所定位置に移動させるための支保工建込み用リ
フティングアームを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、トンネル掘削に際し、
トンネル壁面に沿って建込まれるトンネル支保工の建込
み装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在採用されているトンネル掘削工法に
は、全断面工法、側壁または底設導坑先進上部半断面工
法、上部半断面先進工法などの在来工法、ベンチカット
工法、ＮＡＴＭ工法などがあり、掘削する地山の状況、
トンネル断面の規模、延長、勾配、さらには経済性、安
全性、工期などに応じて選定されている。前記ＮＡＴＭ
工法は、基本的には地中に埋め込まれるロックボルトと
吹付けコンクリートとの併用により地山を支保する工法
であるが、その他の工法は掘削後地山支保のためにアー
チ支保工が建込まれる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】トンネル掘削作業の後
に続くアーチ支保工の建込み作業は、削孔に用いられる
ドリルジャンボ、または吹付け用重機類とは別に建込み
用の専用重機類を用いて行っているが、狭隘なトンネル
坑内で複数の重機類が輻輳することは、作業効率上また
は安全上好ましくはない。また、アーチ支保工の持ち込
み・据え付け操作を、屈曲節を有するアームの三次元的
操作により行うことは、操作に熟練を要するとともに、
時間を要し作業の効率化を図れない。さらに、重機型の
支保工建込み機は、装置的にも高価なものであるなどの
問題がある。

【０００４】そこで、本発明の主たる課題は、支保工の
建込み作業を効率化するとともに、重機類の輻輳を無く
し作業の安全を図るとともに、製作コストの廉価な支保
工建込み装置を提案するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題は、トンネル周
方向に沿って壁面と平行的に配設されるアーチ状レール
を具備し、かつトンネル方向に移動自在の基台と、前記
アーチ状レールに沿って移動する横行台車と、この横行
台車に取付けられた、支保工を掴み所定位置に移動させ
るための支保工建込み用リフティングアームとからなる
ことで解決できる。

【０００６】

【作用】本発明装置は、トンネル周方向に沿って壁面と
平行的に配設されるアーチ状レールに沿って移動する支
保工用横行台車に支保工建込み用リフティングアームを
具備する構成とするため、トンネル断面方向の移動操作
が容易になり、建込み作業も効率化する。また、アーチ
状レールはトンネル周方向に沿って配設され、トンネル
の床盤をほとんど占有しないため、他の重機類との輻輳
がなくなり、作業の安全が確保されるとともに、作業が
効率化する。

【０００７】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳説する。本
実施例においては、本発明支保工建込み機を、トンネル
掘削の補助工法として用いられるパイプルーフ工法に使
用される削孔ジャンボに併設した具体例について述べ
る。前記パイプルーフ工法は、不安定な坑口部や、土被
りが浅く上部の道路や建物の沈下を抑制する場合や、坑
内で地山の緩み、地滑りなどを予防しながら掘削する場
合に多用されている工法であり、その施工概要は、トン
ネル掘削をする前に、トンネル覆工アーチコンクリート
相当部分の外側に削孔深５〜１５ｍのボーリングを行
い、φ５０〜２００mmの鋼管を３０〜６０cmの間隔に埋
設し、この埋設した鋼管を矢板代わりとし、トンネル掘
削とともに、Ｈ鋼などのアーチ支保工で逐次支保しなが
らトンネル掘削を行うものである。なお、比較的大きい
径の鋼管を使用する場合には、補強のために鋼管内にセ
メントモルタルが充填される。

【０００８】図１は削孔ジャンボの全体図であり、図２
はその横断面図である。削孔ジャンボは、主にアーチ状
レール１０、１１、１５を備えた移動ジャンボ台１と、
前記アーチ状レール１０、１１に沿って移動しかつ削孔
機２を傾動自在に支持する削孔用横行台車３、４と、ア
ーチ状レール１５を走行する支保工建込み機５と、前記
ガイドセル２０の先端に設けられたモルタル吹付け機６
と、移動ジャンボ台１の脇に設けられたパイプ供給装置
９とを具備するものである。

【０００９】前記移動ジャンボ台１は、図２に示される
ように、トンネル方向の前後にそれぞれトンネル周方向
に沿って壁面と平行的に配設されたアーチ状レール１
０、１１を繋ぎ材１２〜１３等で連結した架構式のアー
チ型ジャンボ台であり、トンネル床面上に敷設された走
行レール１４、１４に沿ってトンネル方向に移動自在と
なっている。前記アーチ状レール１０、１１は、走行す
る削孔用横行台車３、４の安定を考慮して、好ましくは
本実施例の如く並設する二本のレールを一組のレールと
して構成するのがよい。

【００１０】前記アーチ状レール１０上を走行する削孔
用横行台車３は、詳細には図３に示されるように、支持
部材３１を介してガイドセル２０を支持している。前記
支持部材３１は、一端が基台３３に対して軸支されると
ともに、他端が図５に示されるようにガイドセル２０の
フランジに対し摺動自在に係合するスライディングガイ
ド３０に対し軸支され、かつ前記支持部材３１の先端部
と基台３３とを連結する伏仰用シリンダー３２によって
伏仰自在となっている。一方、アーチ状レール１１を走
行する削孔用横行台車４についても、支持部材４１を介
してガイドセル２０を支持しており、前記支持部材４１
は、一端が基台４３に対して軸支されるとともに、他端
が図５に示されるようにガイドセル２０のフランジに対
し摺動自在に係合するスライディングガイド４０に対し
軸支され、かつ前記支持部材４１の先端部と基台４３と
を軸支する伏仰用シリンダー４２によって伏仰自在とな
っている。したがって、ガイドセル２０は、削孔用横行
台車３、４の伏仰用シリンダー３２、４２の操作によっ
て傾動自在となっている。さらに、前記ガイドセル２０
に突設されたフランジ２０ａと前記スライディングガイ
ド４０とを軸支状態で連結するガイドセルスライド用シ
リンダー４４によってガイドセル２０は、軸方向に進退
自在となっている。

【００１１】ガイドセル２０上には、ガイドセルの長手
軸に沿って、図示されないチェーンなどに移動自在なド
リルヘッド２４が搭載され、前記ドリルヘッド２４の出
力によりパイプ７に回転と圧入力とを、必要に応じて打
撃力を加えながら地盤中に挿入する。また、比較的径の
大きいパイプ（φ１００mm以上）を挿入する場合には、
前記ドリルヘッド２４をダブルロータリー式とし、挿入
されるパイプに回転を与えるとともに、パイプ内に挿入
されるインナー掘削ロッドにも回転を与えながらパイプ
を挿入するのが望ましい。挿入されるパイプの仰角は２
〜５°程度の範囲とされる。また、２１、２３は挿入さ
れるパイプをガイドするためのセントラライザーであ
り、２２はパイプを包着するクランプである。前記移動
ジャンボ台１に搭載される削孔機２は、１台であっても
よいが、パイプルーフ工法の場合には削孔数が多いた
め、好ましくは２〜３台搭載とし、削孔作業を分担する
ことにより作業を効率化することができる。

【００１２】前記ガイドセル２０の先端に設けられた吹
付け機６は、詳細には図４に示されるように、ガイドセ
ル２０に対して一端が軸支される第１および第２アーム
６１、６２の他端が第３アーム６３に軸支されることに
より平行リンク機構が構成され、さらにガイドセル２０
と前記第３アーム６３の一端とを軸支状態で連結する進
退用シリンダー６０によりガイドセル２０方向への進退
が制御される。また、前記第３アーム６３の先端に取付
けられた吹付けノズル管６５は、その中間部において軸
支され回動自在となっており、その後端部と第３アーム
６３の中間とを軸支状態で連結する揺動用シリンダー６
４により吹付け角度の制御が行われる。

【００１３】また、吹付け機６全体の進退は、前述した
ガイドセルスライド用シリンダー４４の伸縮操作により
行う。

【００１４】一方、移動ジャンボ台１の前面に取付けら
れた支保工建込み機５は、詳細には図６および図７に示
されるように、アーチ状レール１０の内側にかつ平行的
に、支保工建込み機用のアーチ状レール１５が設けら
れ、このアーチ状レール１５に沿って移動する支保工用
横行台車５０に対しリフティングアームが取付けられて
いる。前記リフティングアームは、支保工用横行台車５
０に対しシリンダー５０により傾動する基端側アーム５
１と、さらにシリンダー５３により傾動する先端側アー
ム５４とが連設され、この先端側アーム５４の先端に支
保工クランプ５６が取付けられている。支保工クランプ
５６は、前面部にフック状突片により凹条溝が形成さ
れ、この凹条溝にアーチ支保工８のフランジを嵌合し、
クランプシリンダー５７により固定するようになってい
る。なお、本実施例においては、削孔用横行台車３のア
ーチ状レール１０とは別に支保工用横行台車５０のアー
チ状レール１５を設け、それぞれに横行台車を配設した
が、支保工用横行台車５０と削孔用横行台車３とを兼用
し、アーチ状レールを一本とすることもできる。

【００１５】前記支保工建込み機５は、アーチ状レール
の半径方向の面内で屈曲自在としているため、アーチ支
保工８のトンネル断面方向の持ち込みに際しては、一旦
支保工用横行台車５０を中央位置に移動し、支保工クラ
ンプ５６を水平とした状態でアーチ支保工８をセット
し、その後所定位置に持ち込みを行う。この場合には、
前記支保工用横行台車５０の移動に伴って、建込み位置
のトンネル壁面に合ったアーチ支保工の傾斜が確保され
るため、建込みが容易となる利点がある一方、建込み部
材毎に支保工用横行台車５０を中央位置に移動しなけれ
ばならず、作業効率が悪いなどの欠点がある。したがっ
て作業性を重視する場合には、図８および図９に示され
るように、アーム基台５８を介してリフティングアーム
を取付け、このアーム基台を油圧モータ５９により回動
制御することにより、支保工クランプ５６の水平度が確
保されるため、トンネル横断方向にどの位置からでもア
ーチ支保工８の持ち込みができるようになる。なお、支
保工クランプ５６の水平を確保する機構としては、たと
えば図１０に示されるように、支保工クランプ６１部分
を油圧モータ６０により回転自在とすることでもよい。

【００１６】他方、削孔ジャンボ台１の脇には、パイプ
７をガイドセル２０に供給するためのパイプ供給装置
９、９が設けられている。パイプ供給装置９は、詳細に
は図１１および図１２に示されるように、削孔ジャンボ
台１の側方部分であって、前部および後部のアーチ状レ
ール１０、１１部分に側方に張り出したラック９０、９
０が設けられ、このラック９０、９０間に、一定間隔で
複数のローラー８１、８１…が配設されたローラーコン
ベア８０が横架されているとともに、各ラック９０部に
は、前記ローラーコンベア８０上にあるパイプ７をガイ
ドセル２０に対し供給するためのセッティングアーム８
９を具備している。

【００１７】前記セッティングアーム８９は、図１２に
示されるように、ラック９０に対し一端が軸支された基
端側アーム９２をシリンダー９１の作動により傾動自在
とし、この基端側アームの他端に軸支された先端側アー
ム９４をシリンダー９３により傾動自在とし、さらに前
記先端側アーム９４の他端に軸支状態に設けられたパイ
プチャック９６をシリンダー９５により傾動自在として
いる。前記パイプチャック９６の掴み部にはシリンダー
９７が配設され、二枚のチャック片の離間を調整自在と
し、パイプ７を挟持できるようになっている。

【００１８】ガイドセル２０へのパイプ供給に当たって
は、先ずローラーコンベア８０上にパイプ７を引き込
み、このパイプ７にインナーロッド７０を挿入セットす
る。そして、パイプ７の内部にインナーロッド７０を挿
入した状態で、前記セッティングアーム８９によりパイ
プ７を掴み、ガイドセル２０にパイプ７をセットし、ド
リルヘッド２４と連結する。その後、アート状レール１
０、１１に沿ってパイプ埋設位置まで移動し、穿孔を開
始する。パイプ埋設完了後、パイプ７をドリルヘッド２
４から切離し、ドリルヘッド２４を後退させてインナー
ロッド７０を引き抜いた後、アーチ状レール１０、１１
に沿ってセッティングアーム８９位置まで移動し、イン
ナーロッド７０をラック９０上に置くとともに、次のパ
イプ７を受け取る。なお、ドリルヘッドによるパイプ７
の埋設を行っている間に、この作業を平行的に、ローラ
ーコンベア８０上でのパイプ引き込み、およびインナー
ロッド７０の挿入等の段取り作業を行っておく。

【００１９】なお、本実施例においては、パイプルーフ
用削孔ジャンボとの組み合わせによる支保工建込み機５
について詳説したが、本発明装置はパイプルーフ工法に
は、何ら限定されず、たとえば全断面工法、側壁または
底設導坑先進上部半断面工法、上部半断面先進工法など
の在来工法、ベンチカット工法、アーチ支保工併用のＮ
ＡＴＭ工法などに対しても適用することが可能である。

【００２０】

【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明によれば、支
保工の建込み作業を効率化できるとともに、重機類の輻
輳を無くし作業の安全を図ることができる。また、製作
コストも廉価となり工費削減にも寄与し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】削孔ジャンボの全体概略図である。

【図２】削孔ジャンボの横断面図である。

【図３】ガイドセルの支持構造部分の拡大詳細図であ
る。

【図４】ガイドセル先端の吹付け機の拡大詳細図であ
る。

【図５】ガイドセルに係合するスライディングガイド部
の横断面図である。

【図６】支保工建込み機の正面図である。

【図７】支保工建込み機の側面図である。

【図８】支保工建込み機の変形例の正面図である。

【図９】支保工建込み機の変形例の側面図である。

【図１０】支保工建込み機の変形例の要部拡大図であ
る。

【図１１】パイプ供給装置の側面図である。

【図１２】セッティングアームの詳細図である。

【符号の説明】

１…移動ジャンボ台、２…削孔機、３・４…削孔用横行
台車、５…支保工建込み機、６…吹付け機、７…パイ
プ、８…アーチ支保工、９…パイプ供給装置、１０・１
１・１５…アーチ状レール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坊 直樹 横浜市港北区すみれが丘38ー22 (72)発明者 大坪 則雄 東京都八王子南陽台３−17−４

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トンネル周方向に沿って壁面と平行的に配
   設されるアーチ状レールを具備し、かつトンネル方向に
   移動自在の基台と、前記アーチ状レールに沿って移動す
   る横行台車と、この横行台車に取付けられた、支保工を
   掴み所定位置に移動させるための支保工建込み用リフテ
   ィングアームとからなることを特徴とするトンネル支保
   工の建込み装置。