JPH05100276A - コヒーレント光放射を発生させるための方法及び装置 - Google Patents

コヒーレント光放射を発生させるための方法及び装置

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JPH05100276A
JPH05100276A JP3337801A JP33780191A JPH05100276A JP H05100276 A JPH05100276 A JP H05100276A JP 3337801 A JP3337801 A JP 3337801A JP 33780191 A JP33780191 A JP 33780191A JP H05100276 A JPH05100276 A JP H05100276A
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JP3337801A
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Dean R Guyer
デイーン・ロバート・ガイヤー
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BP Corp North America Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポンプ周波数ωp 及び約1μmの波長を有する
放射20と信号周波数ωs 及び約1.4μm〜約4.6
μmの範囲の波長を有する放射22とを発生させ、上記
放射20、22を所定の方向に伝送し、配向軸24と屈
折率(配向軸24に対する結晶12の方向の関数)とを
有し化学式KNb 3 を有する化合物からなる上記結晶
12を配向し、上記放射20、22を結晶12内で相互
作用させて、約1.4μm〜約4.6μmの範囲の波長
のアイドラー周波数ωi (ωi =ωp −ωs )を有する
コヒーレント光放射30を発生させる方法及び装置。 【効果】KNb O3 を利用して、1μm近傍の光源から
1.4μm〜4.6μmの近及び中赤外線を発生するパ
ラメトリック源を提供することができ、さらに、パラメ
トリック発生の効率が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁エネルギのパラメ
トリック発生に関し、特に、KNb O3 結晶内において
波長が1μm近傍の電磁波を1.4μm〜4.6μmの
波長範囲の電磁波にパラメトリック変換する方法及び装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】3つの電磁波の相互作用過程による誘導
2次非線形性を利用した、光学結晶内における、ある周
波数から他の周波数への光の変換については、ビエライ
ン(Bierlein)及びギア(Gier)の米国特許3,94
9,323に記載されている。簡単にいうと、媒質(た
とえば結晶)内での誘導分極の2次非線形項を利用した
ある周波数から他の周波数への光の変換は、周波数の和
及び差のミキシング現象を生じる。これは、電磁場と媒
質との間にエネルギの交換がないとした場合の媒質作用
過程である。また、この過程において、エネルギ保存則
から、ポンプ周波数をωp 、信号周波数をωs 、そして
アイドラー周波数をωi としたときに、ωp =ωs +ω
i という式が成り立つことが要求される。
【0003】さらに、このエネルギ変換が起こるときに
は、モメンタム(運動量)すなわち相互作用する電磁場
の位相速度が、媒質内を伝播している間、整合していな
ければならないという条件も要求される。この位相整合
の要求は、各電磁波のkベクトル(波数ベクトル)を用
いて定義されるものであり、△k=kp −ks −ki
したときに(ここで、kはωn(ω)/cで定義され、
△kは位相整合の測度であり、n(ω)は周波数ωの電
磁波に対する媒質の屈折率、cは光速度を表す)、△k
=0であれば、位相整合が実現し、変換効率が最大とな
る。この条件は、非線形結晶においては、電磁波に対す
る屈折率が位相整合を満たすような角度に結晶を回転さ
せることにより、一般的には、実現される。
【0004】上に述べた、位相整合の△k=0という条
件は、複屈折の生じる結晶においてのみ満たされる。等
方媒質内においては、屈折率n(ω)は、光波の伝播方
向及び偏光の向きに対して独立であるが、電磁波の周波
数の関数となっている。このような媒質内においては、
屈折率はωとともに増加するため、上記したようなエネ
ルギ制約のある実際のωp 、ωs 及びωi を位相整合さ
せることは不可能である。異方(複屈折)媒質内におい
ても屈折率はωとともに増加するという等方媒質と同様
の傾向を示すが、このような媒質内においては、屈折率
n(ω)は、伝播方向及び電磁波の偏光の関数でもあ
る。複屈折媒質内での、ある周波数ωにおける電磁波の
2つの偏光状態は、常光線及び異常光線と呼ばれ、それ
ぞれ、no(ω)、ne (ω)という屈折率を有してい
る。no (ω)及びne (ω)は、共に、結晶主軸(結
晶主光学軸、すなわち主軸)に対する伝播方向の関数で
もあるから、極座標の変数θ、φを用いて、no (ω,
θ,φ)、ne (ω,θ,φ)という形で完全に特定さ
れる。
【0005】結晶内における屈折率の方向的な変化は、
光学屈折率楕円体(optical indicatrix)といわれる三
次元の楕円体により表される。この屈折率楕円体の最大
値(長軸)及び最小値(短軸)は相互に垂直であり、こ
れら2つに垂直な第3の方向と共に、一般的にx,y,
zと記される主光学軸でデカルト座標を形成する。結晶
内のいかなる方向のいかなる電磁波についても屈折率n
o (ω,θ,φ)及びne (ω,θ,φ)は、主光学軸
に沿った屈折率nx (ω),ny (ω),nz(ω)の
値から数学的に割り出すことができる。
【0006】実際には、ある与えられたパラメトリック
3波過程に対しての位相整合条件は、ωp 、ωs 及びω
i の間の正しい偏光関係を選択すること、及び、結晶軸
に対しての伝播方向を位相整合が起こる方向に配向(or
ientation )することの両方により達成される。ある与
えられた周波数及び偏光の集合に対して位相整合を起こ
すような結晶内での伝播方向の集まりは、「位相整合軌
跡」といわれる。単軸結晶では、この位相整合軌跡は、
光学屈折率楕円体の円断面(circular section)で表さ
れる。双軸結晶では、位相整合軌跡は、より複雑である
が、光学屈折率楕円体上の閉曲線として表すことが可能
である。どちらの場合も、位相整合軌跡は、3つの主光
学面のうちの多くて2つと接線的に交差する。
【0007】結晶の主屈折率nx (ω)、ny (ω)及
びnz (ω)は、実験により測定できるが、一般的には
いくつかの限られた周波数において知られているだけで
ある。他の周波数での値は、測定された値と、周波数に
相当する波長の関数である波長及び結晶の屈折率の間の
近似的な関係とから解析的に見積もることができる。波
長と屈折率との間の関係を近似的にあらわした解析的な
関係式のひとつとしては、まず、コーシーの分散式、 n(λ)=A+B/λ2 +C/λ4 +‥‥ が挙げられる。もし、異なったいくつかの波長における
媒質の屈折率が知られていれば、その値λ、n(λ)を
コーシーの分散式に代入すると、一組の線形方程式が得
られる。コーシーの分散式の定数係数A、B、C、‥‥
は、この一組の線形方程式を解くことにより求めること
ができる。
【0008】コーシーの分散式は、媒質の吸収帯からお
おきく離れた波長付近においてみられるように、屈折率
が小さくなると波長が大きくなるという一般的な傾向を
示している。しかし、全ての透過性媒質は、長波長及び
短波長に吸収端を有しているので、コーシーの分散式は
全透過帯においての屈折率の変化を正確に表すことがで
きていない。吸収端に相当する周波数近くの波長では、
媒質の屈折率は、コーシーの分散式から導かれた値から
外れたものとなる。吸収端近傍での波長を考慮した理論
的モデルは1871年に確立され、その数学的な調査に
よりセルミエール(Sellmeier)は全透過帯においての
屈折率変化をより特徴的に表すことのできる方程式を導
いた。この方程式は、コーシーの分散式と同じように、
波長の関数として、以下の級数で表される。 n(λ)2 =1+A/(1−B/λ2)+C/(1−D/λ4)+‥‥ この関数の係数は、セルミエール係数といわれる。これ
らの係数も、コーシーの分散式の係数と同じように、異
なったいくつかの波長における媒質の屈折率を代入する
ことにより得られる。セルミエール方程式は、屈折率が
実験によりすでに測定されている周波数領域における、
主屈折率(さらにこれらの値から、位相整合角度)を求
めることのできる唯一の正確な方程式である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】KNb O3 結晶におい
ては、透過範囲は、短波長側の吸収端が0.4μm近傍
であり、全可視領域、近及び中赤外線を透過し、長波長
側のカットオフ端が5μm近傍である。しかしながら、
KNb O3 の文献として公表されている屈折率は、0.
4μmから1.064μmまでのわずかな波長範囲に過
ぎない。つまり、文献には、1.1μmから5μmまで
の範囲の屈折率の測定結果を示すものはない。従って、
KNb O3 に対するセルミエール係数も0.4μmから
1.064μmまでの実測屈折率をもとに得られたもの
である。このため、これらの係数を用いて得られる長波
長側の吸収端近傍の波長に対する主屈折率の精度は高い
ものとはいえない。
【0010】セルミエール係数が正確なものである範囲
以外で、屈折率を求めるためにセルミエール方程式を用
いると、その結果は間違ったものとなり、パラメトリッ
ク過程を生じる正確な位相整合角度を得ることができな
い。さらには、セルミエール係数の間違いは、位相整合
ができないときにそれが可能であるという予測につなが
り、逆にいえば、現実には位相整合ができるときにそれ
ができないという予測をすることになる。従って、屈折
率が実験により確かめられている範囲、即ち、位相整合
が実測されている範囲外で、KNb O3 の結晶を位相整
合を生じる方向に配向することが必要とされている。
【0011】本発明の主たる目的は、近及び中赤外線領
域において調整可能なパラメトリック源を提供すること
である。より詳細には、本発明は、KNb O3 を利用し
て、1μm近傍の光源から、1.4μm〜4.6μmま
での近及び中赤外線を発生するパラメトリック源を提供
するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、一つの観点と
しては、非線形光学装置である。この装置は、1μm近
傍に相当する周波数を少なくとも有する電磁放射を、結
晶主軸の組に対して非線形光学特性を有する結晶に入射
させる手段を備えている。その結果、結晶から出射され
る電磁エネルギは、1.4μm〜4.6μmまでの範囲
の波長に相当する周波数を少なくとも有するものとな
り、全ての入射波長においてエネルギは増加するが、こ
の現象は、化学式KNb O3 を有する化合物からなる結
晶においておこるものである。
【0013】本発明は、別の観点としては、コヒーレン
ト光放射を発生するための方法である。この方法は、
(a)ポンプ周波数ωp 及び約1μmの波長を有するコ
ヒーレント近赤外線光放射を発生させること、(b)信
号周波数ωs 及び約1.4μm〜約4.6μmの範囲の
波長を有するコヒーレント光放射を発生させること、
(c)ポンプ及び信号周波数のコヒーレント光放射を所
定の方向に伝送すること、(d)化学式KNb O3 を有
する化合物からなり、かつ、配向軸と配向軸に対する結
晶の方向の関数として変化する屈折率とを有する結晶を
配向すること(ここで、配向軸は所定の方向に向けられ
かつ最小位相関係により定義される軌跡上にあり、この
軌跡は、最大屈折率を有する方向の主軸及び最小屈折率
を有する方向の主軸により定義された平面内の方向を含
んでおり、最大屈折率を有する主軸から約36°から4
6°の範囲の角度をなしている)、及び、(e)上記ポ
ンプ周波数を有する放射と上記信号周波数を有する放射
とを複屈折を起こす光学的物質内で相互作用させて、約
1.4μm〜約4.6μmの範囲の波長のアイドラー周
波数ωi (ここでωi =ωp −ωs )を有するコヒーレ
ント中赤外線光放射を発生させること、という段階を備
えている。
【0014】本発明は、もう一つの観点としては、コヒ
ーレント光放射を発生するための装置を備えるものであ
る。この装置は、ポンプ周波数ωp 及び約1μmの波長
を有するコヒーレント近赤外線光放射を発生させる手
段、信号周波数ωs 及び約1.4μm〜約4.6μmの
範囲の波長を有するコヒーレント光放射を発生させる手
段、ポンプ及び信号周波数のコヒーレント光放射を所定
の方向に伝送する手段、化学式KNb O3 を有する化合
物からなり、かつ、配向軸と配向軸に対する結晶方向の
関数として変化する屈折率とを有する結晶を配向する手
段(ここで、配向軸は所定の方向に向けられかつ最小位
相関係により定義される軌跡上にあり、この軌跡は、最
大屈折率を有する方向の主軸及び最小屈折率を有する方
向の主軸により定義された平面内の方向を含んでおり、
最大屈折率を有する主軸から約36°から46°の範囲
の角度をなしている)、及び、上記ポンプ周波数を有す
る放射と上記信号周波数を有する放射とを複屈折を起こ
す光学的物質内で相互作用させて、約1.4μm〜約
4.6μmの範囲の波長のアイドラー周波数ωi (ここ
でωi =ωp −ωs )を有するコヒーレント中赤外線光
放射を発生させる手段を備えている。
【0015】上記目的は、KNb O3 をパラメトリック
変換器として用い、最大屈折率を有する主軸から最小屈
折率を有する主軸へ向けて36°から46°の角度でK
NbO3 結晶を配向し、ポンプ周波数が1μm近傍の光
ポンプエネルギを吸収させ、1.4μm〜4.6μmの
範囲の信号周波数を有する光信号エネルギ及び1.4μ
m〜4.6μmの範囲のアイドラー周波数を有する光ア
イドラーエネルギを発生することにより達成される。
【0016】本発明によると、KNb O3 結晶内におけ
る1μm近傍の光源を1.4μm〜4.6μmの範囲の
光にパラメトリック発生させる効率は、3つの電磁波の
位相非整合が最小になるような角度に結晶を配向するこ
とで改善され得る。
【0017】
【実施例】図1は、本発明の第1実施例であるパラメト
リック発生器10の概略図であって、本発明に従って位
相整合するように配向されたKNb O3 結晶12内にお
いて1μm近傍の光を1.4μm〜4.6μmの範囲の
光に変換する発生器である。KNb O3 結晶12は、最
大屈折率を有する主軸16(z軸)から最小屈折率を有
する主軸18(x軸)へ向けて、36°から46°の範
囲の角度14(θ)だけ配向されている。パラメトリッ
ク発生器10は、ポンプレーザ源(図示せず)及び信号
レーザ源(図示せず)を含んでおり、結晶12の配向軸
24に沿って光ポンプエネルギ20及び光信号エネルギ
22が伝送される。
【0018】結晶12は、光ポンプエネルギ20と同じ
波長を有する光ポンプ出力エネルギ26、及び、光信号
エネルギ22と同じ波長を有する光信号出力エネルギ2
8を発生する。光ポンプエネルギ20及び光信号エネル
ギ22と結晶12との相互作用により、光信号出力エネ
ルギ28は増加し、さらに、周波数が、光ポンプエネル
ギ20と光信号エネルギ22との周波数差に等しいアイ
ドラー出力エネルギ30が発生する。
【0019】一つの具体例として、光ポンプエネルギ2
0を波長1.064μm、光信号エネルギ22を波長
1.5μmとし、光ポンプ及び信号エネルギ20、22
を透過させるために角度θを40°近傍に配向したと
き、パラメトリック過程により、波長3.66μmのア
イドラー出力エネルギ30が位相整合し、ポンプエネル
ギ20から信号及びアイドラー出力エネルギ28、30
へのエネルギ変換効率は最大となる。
【0020】この第1の実施例においては、アイドラー
出力エネルギ30の調整は、光信号エネルギ22の周波
数を変化させること、及び、光ポンプエネルギ20及び
光信号エネルギ22の伝播角度が正確な位相整合角度と
なるようにKNb O3 結晶12の配向軸24に対する配
向角度を変化させることの両方で達成される。
【0021】図2は、本発明の第2実施例である光パラ
メトリック発振器といわれるパラメトリック発生器40
の概略図であって、本発明に従って位相整合するように
配向されたKNb O3 結晶42内において1μm近傍の
光を1.4μm〜4.6μmの範囲の光に変換する発生
器である。KNb O3 結晶12は、信号及びアイドラー
出力エネルギ50、52のひとつ又は両方のための共鳴
空洞48として機能する2つのミラー44、46の間に
位置しており、最大屈折率を有する主軸16(z軸)か
ら多くの場合は最小屈折率を有する主軸18(x軸)へ
向けて、36°から46°の範囲で、空洞48の配向軸
54に対して角度14(θ)だけ配向されている(図1
参照)。光パラメトリック発振器40は、結晶42の配
向軸54及び空洞48の光軸58に沿って光ポンプ入力
エネルギ56を伝送するポンプレーザ源(図示せず)を
含んでいる。
【0022】ポンプエネルギ56と結晶42との相互作
用により、信号出力エネルギ50、及び、ポンプ及び信
号エネルギ56、50の周波数の差に等しい周波数を有
するアイドラー出力エネルギ52が発生する。
【0023】一つの具体例として、ポンプ入力エネルギ
56を波長1.064μm、信号エネルギ50を波長
1.5μmとし、ポンプ及び信号エネルギ56、50を
透過させるために角度θを40°近傍に配向したとき、
パラメトリック過程により、波長3.66μmのアイド
ラー出力エネルギ52が位相整合し、ポンプ入力エネル
ギ56から信号及びアイドラー出力エネルギ50、52
へのエネルギ変換効率は最大となる。
【0024】この第2の実施例においては、アイドラー
出力エネルギ52の調整は、ポンプ入力エネルギ56の
伝播角度が正確な位相整合角度となり、所望の信号及び
アイドラーエネルギ50、52を発生するように、KN
b O3結晶42の配向軸54に対する配向角度を変化さ
せることにより達成される。
【0025】図3は、KNb O3 内において1μm近傍
の光源を1.4μm〜4.6μmの範囲の光にパラメト
リック発生させるための位相整合角度について、現在文
献化されているセルミエール係数から予測されたもの及
び実測された正確なもの(白丸印(○)で示されてい
る)を比較したグラフである。図3において、ビーゼン
デンジャー(Wiesendanger)のFerroelectrics1,141
(1970)により明らかにされた値は三角印(▽)で示さ
れており、ウエマツのJapan J .Appl.Phys.13,1362
(1974)により明らかにされた値は黒丸印(●)で示さ
れており、バウマート(Baumert) その他のSPIE vol.37
4,ECOOSA (1984)により明らかにされた値は白四角印
(□)で示されている。ここで内部結晶角(internal c
rystal angle)は、最大屈折率を有する主軸(z軸)か
ら最小屈折率を有する主軸(x軸)へ向けての角度で測
定されている。図3の右側にある3つの曲線はセルミエ
ール方程式及び文献に示されたセルミエール係数から計
算された値を示しており、図3の左側にある白丸印の曲
線はパラメトリック過程の実測された正確な位相整合角
度を示している。
【0026】セルミエール係数から予測された位相整合
角度に垂直な面でカットされたKNb O3 の結晶では、
結晶内を結晶面に垂直な方向に進む1μm近傍の光を、
パラメトリックダウンコンバージョン(parametric dow
nconversion )のために位相整合させることはできな
い。このような結晶は、結晶の屈折率に起因する位相整
合条件を達成するために、図3に示された内部結晶角度
の差よりも大きな値で、入射光に対して外部角度を回転
させる必要がある。
【0027】図3から、計算された内部角度と実測され
た内部角度との差は、およそ10.5°であることがわ
かる。図3に示された波長におけるKNb O3 の屈折率
は約2.2であるので、セルミエール方程式に従ってカ
ットされた結晶の外部角度エラーは、sin -1(2.2・
sin(10.5°))=22.6°となる。このような大き
な角度にわたって結晶を通過する光が減少させられるの
で、パラメトリック過程に関与する3つの波長間の角分
散が引き起こされ、その結果、パラメトリック変換は減
少すなわち抑制される。
【0028】最初、発明者が、1.064μmの光を
2.128μmの中赤外線帯の光に変換することのでき
る材料を探している間、KNb O3 結晶は、文献にある
セルミエール係数により予想された角度に相当するx−
z平面の位相整合角度に垂直な面でカットされた。この
結晶は、以前に他の材料によりパラメトリック過程に有
効に用いられた光パラメトリック発信器空洞内に置かれ
た。しかし、このKNbO3 結晶では、空洞内でいかに
配向してもパラメトリック変換を得ることができなかっ
た。セルミエール係数が使用範囲の波長において間違っ
ていることが疑われたので、結晶が空洞から外され、
2.128μmの光源が、結晶を試験し、1.064μ
mへの周波数2倍化(frequency doubling)の起こる角
度を見つけるために用いられた。
【0029】2.128μmから1.064μmの周波
数2倍化は所望のパラメトリックダウンコンバージョン
とは逆の過程であるが、位相整合角度を決定するために
はより簡単なものである。結晶を光の伝播方向及び結晶
面に垂直な方向に対して約20°傾けることにより、波
長2.128μmの光が波長1.068μmに周波数2
倍化されることが、KNb O3 で達成された。この角度
は始めに探そうとしたダウンコンバージョン過程のもの
と等しいので、結晶はこの角度で発振器内に置かれた
が、やはり、パラメトリックダウンコンバージョンは見
つけられなかった。
【0030】次の試みは、周波数2倍化実験で発見され
た伝播方向に垂直な面でカットされた結晶で行われた。
この結晶がパラメトリック発振器空洞内に置かれたと
き、パラメトリックダウンコンバージョンは直ちに実現
された。最初の実験で、文献のセルミエール係数に従っ
てKNb O3 結晶をカットしたのが失敗したのは、正し
い位相整合を予測するのには、これら係数が大きく間違
っていたためであった。
【0031】1.064μmの光を1.4μm〜4.6
μmの範囲にダウンコンバージョンするための位相整合
角度が、周波数2倍化の方法と同様な方法により、KN
b O3 について決定された。ここでは、2つの光源が用
いられている。そのうちのひとつは1.064μmに固
定されており、もう一方は1.4μmから2.128μ
mの範囲で調節可能である。これらの光線は同一直線上
になるようにかつ1.064μmの波長を有する光から
2.128μmの波長を有する光を発生できるように、
上記の発見された角度でKNb O3 結晶に入射される。
結晶内でのこれら2つの光線のパラメトリック相互作用
により、結晶が正確に位相整合角度に配向されていると
きには、これら2つの光線の周波数差に等しい周波数の
第3の光線が発生する。この光線は、これが検出された
ときは、結晶が位相整合をする角度に配向されているこ
とを示している。図3の白丸印はこの結果による測定の
結果を示しているものである。
【0032】以上の記述は、本発明の好ましい実施例に
ついて示されたものであって、本発明は、その精神から
離れない範囲において、さまざまな設計変更が可能であ
る。本発明の精神は、上述の特許請求の範囲に限定され
ている。
【0033】
【発明の効果】近及び中赤外線領域において調整可能な
パラメトリック源を提供することができ、より詳細に
は、KNb O3 を利用して、1μm近傍の光源から、
1.4μm〜4.6μmの近及び中赤外線を発生するパ
ラメトリック源を提供することができる。さらに、パラ
メトリック発生の効率が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるパラメトリック発生
器の概略図である。
【図2】本発明の第2実施例であるパラメトリック発生
器の概略図である。
【図3】KNb O3 内において波長1μm近傍の光源か
らパラメトリック発生する1.4μm〜4.6μmの範
囲の光の位相整合角度について、文献化されているセル
ミエール係数から予測されたもの及び実測されたものを
比較したグラフである。
【符号の説明】 10 パラメトリック発生器 12 KNb O3 結晶 20 光ポンプエネルギ 22 光信号エネルギ 24 配向軸 26 光ポンプ出力エネルギ 28 光信号出力エネルギ 30 アイドラー出力エネルギ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】波長1μm近傍に相当する周波数を少なく
    とも有する電磁放射を、結晶主軸の組に対して非線形光
    学特性を有する結晶に入射させる手段を備えている非線
    形光学装置であって、 化学式KNb O3 を有する化合物からなる上記結晶を備
    えており、 上記結晶から出射される電磁放射は、全ての入射波長に
    おいてエネルギが増加しており、かつ、1.4μm〜
    4.6μmまでの範囲の波長に相当する周波数を少なく
    とも有するものである非線形光学装置。
  2. 【請求項2】上記結晶主軸に関連して定義され、最大屈
    折率を有する結晶主軸から概して最小屈折率を有する結
    晶主軸へ約36°から約46°の範囲だけ傾いている上
    記電磁放射の配向軸を備える請求項1の非線形光学装
    置。
  3. 【請求項3】(a)ポンプ周波数ωp 及び約1μmの波
    長を有するコヒーレント近赤外線光放射を発生させるこ
    と、 (b)信号周波数ωs 及び約1.4μm〜約4.6μm
    の範囲の波長を有するコヒーレント光放射を発生させる
    こと、 (c)上記ポンプ周波数及び上記信号周波数のコヒーレ
    ント光放射を所定の方向に伝送すること、 (d)所定の方向に向けられかつ最小位相関係により定
    義される軌跡(この軌跡は、最大屈折率を有する方向の
    結晶主軸及び最小屈折率を有する方向の結晶主軸により
    定義された平面内の一方向を含んでおり、上記最大屈折
    率を有する方向の結晶主軸から約36°〜46°の範囲
    の角度をなしている)上にある配向軸と上記配向軸に対
    する結晶の方向の関数として変化する屈折率とを有し、
    かつ、化学式KNb O3 を有する化合物からなる上記結
    晶を配向すること、及び、 (e)上記ポンプ周波数を有する上記コヒーレント近赤
    外線光放射と上記信号周波数を有する上記コヒーレント
    光放射とを複屈折を起こす光学的物質である上記結晶内
    で相互作用させて、約1.4μm〜約4.6μmの範囲
    の波長のアイドラー周波数ωi (ωi =ωp −ωs )を
    有するコヒーレント中赤外線光放射を発生させること、 という段階を備えているコヒーレント光放射を発生させ
    るための方法。
  4. 【請求項4】ポンプ周波数ωp 及び約1μmの波長を有
    するコヒーレント近赤外線光放射を発生させる手段、 信号周波数ωs 及び約1.4μm〜約4.6μmの範囲
    の波長を有するコヒーレント光放射を発生させる手段、 上記ポンプ周波数及び上記信号周波数のコヒーレント光
    放射を所定の方向に伝送する手段、及び、 所定の方向に向けられかつ最小位相関係により定義され
    る軌跡(この軌跡は、最大屈折率を有する方向の結晶主
    軸及び最小屈折率を有する方向の結晶主軸により定義さ
    れた平面内の一方向を含んでおり、上記最大屈折率を有
    する方向の結晶主軸から約36°〜46°の範囲の角度
    をなしている)上にある配向軸と上記配向軸に対する結
    晶の方向の関数として変化する屈折率とを有し、かつ、
    化学式KNb O3 を有する化合物からなる上記結晶を配
    向し、上記ポンプ周波数を有する上記コヒーレント近赤
    外線光放射と上記信号周波数を有する上記コヒーレント
    光放射とを複屈折を起こす光学的物質である上記結晶内
    で相互作用させて、約1.4μm〜約4.6μmの範囲
    の波長のアイドラー周波数ωi (ωi =ωp −ωs )を
    有するコヒーレント中赤外線光放射を発生させる手段、 を備えているコヒーレント光放射を発生させるための装
    置。
  5. 【請求項5】(a)ポンプ周波数ωp 及び約1μmの波
    長を有するコヒーレント近赤外線光放射を発生させるこ
    と、 (b)上記ポンプ周波数のコヒーレント光放射を所定の
    方向に伝送すること、 (c)所定の方向に向けられかつ最小位相関係により定
    義される軌跡(この軌跡は、最大屈折率を有する方向の
    結晶主軸及び最小屈折率を有する方向の結晶主軸により
    定義された平面内の一方向を含んでおり、上記最大屈折
    率を有する方向の結晶主軸から約36°〜46°の範囲
    の角度をなしている)上にある配向軸と上記配向軸に対
    する結晶の方向の関数として変化する屈折率とを有し、
    かつ、化学式KNb O3 を有する化合物からなる上記結
    晶を、1.4μm〜4.6μmの範囲の波長の放射を1
    又はそれ以上共鳴させる光パラメトリック発振器内で配
    向すること、及び、 (d)上記ポンプ周波数を有する上記コヒーレント近赤
    外線光放射を複屈折を起こす光学的物質である上記結晶
    内で相互作用させて、約1.4μm〜約4.6μmの範
    囲の波長に相当する周波数のアイドラー周波数ωi 及び
    信号周波数ωs (ωi =ωp −ωs )を有するコヒーレ
    ント中赤外線光放射を発生させること、 という段階を備えているコヒーレント光放射を発生させ
    るための方法。
  6. 【請求項6】ポンプ周波数ωp 及び約1μmの波長を有
    するコヒーレント近赤外線光放射を発生させる手段、 上記ポンプ周波数のコヒーレント光放射を所定の方向に
    伝送する手段、 所定の方向に向けられかつ最小位相関係により定義され
    る軌跡(この軌跡は、最大屈折率を有する方向の結晶主
    軸及び最小屈折率を有する方向の結晶主軸により定義さ
    れた平面内の一方向を含んでおり、上記最大屈折率を有
    する方向の結晶主軸から約36°〜46°の範囲の角度
    をなしている)上にある配向軸と上記配向軸に対する結
    晶の方向の関数として変化する屈折率とを有し、かつ、
    化学式KNb O3 を有する化合物からなる上記結晶を、
    1.4μm〜4.6μmの範囲の波長の放射を1又はそ
    れ以上共鳴させる光パラメトリック発振器内で配向する
    手段、及び、 上記ポンプ周波数を有する上記コヒーレント近赤外線光
    放射を複屈折を起こす光学的物質である上記結晶内で相
    互作用させて、約1.4μm〜約4.6μmの範囲の波
    長に相当する周波数のアイドラー周波数ωi 及び信号周
    波数ωs (ωi =ωp −ωs )を有するコヒーレント中
    赤外線光放射を発生させる手段、 を備えているコヒーレント光放射を発生させるための装
    置。
  7. 【請求項7】上記コヒーレント中赤外線光放射を発生さ
    せる手段が、1.4μm〜4.6μmの範囲の波長の放
    射を1又はそれ以上共鳴させる光パラメトリック発振器
    を備えている請求項6の装置。
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