JPH048929Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は竹刀（しない）に関し、特に竹刀を構
成する割子が複合材料で作られている竹刀に関す
る。

通常、竹刀はその名の通り、竹材で作られた４
本の割子を束ねて構成されている。ところが、竹
材で作られた竹刀は激しい繰返し衝撃力に対して
は耐久性が小さく、使用中に裂損、折損等が生じ
易いため、競技者の身体に尖つた破損端が突き刺
さり、競技者が失明したり死亡事故に至ることが
あつて、竹製竹刀の危険性が指摘されてきた。

竹製竹刀のこのような危険性を無くすため、こ
れ迄にも竹材以外の材料（例えばアルミなどの金
属）で作つた竹刀や、複合材料（例えば金属とプ
ラスチツクとの複合材料）で作つた竹刀が各種開
発されている。しかしながら、これらの竹刀は安
全性の点においては優れているものの、現実には
殆ど使用されていないのが実情である。その最大
の理由は、これらの竹刀の重量がきわめて重くな
つてしまい、その結果競技者が従来の竹製竹刀と
同様な俊敏かつ軽快な動作を行うことが不可能で
あつたことによる。すなわちこれは、安全性を得
るために使用される金属、プラスチツク等の比重
が竹に比べかなり大きなものであることによる
が、これらの金属、プラスチツク等の材料を使用
して、しかも竹刀の軽量化を図ると、竹刀の強度
が大幅に低下してしまうという困難が伴なう。

従つて、この二律背反的な問題を解決するため
本考案者らは、割子の芯体を形成する積層体のう
ち軽量材の層の占有体積をできる限り増大させて
軽量化を図つても、十分大きな曲げ強度、衝撃強
度の得られる割子の開発に多大の努力を続けてき
た。

この結果、割子の芯体を少くとも補強材の層
と、軽量材の層と、保護材の層からなる積層体と
して構成すること。これらの各層を割子の円周
方向に積層させて保護材の層を最外側部に設ける
こと（耐衝撃強度の向上のため）。補強材の層
はできる限り割子の両側方近くに設けることによ
つて曲げ強度の向上を図ると共に、その傾斜角度
を割子の側面の傾斜にできる限り近付けて補強材
の層と割子の側面とがほぼ平行になるようにする
ことによつて軽量材の層（更に中空部の層を設け
るときは軽量材の層と中空部の層）の占める体積
を増大し軽量化を図るのがきわめて有効であるこ
とを見出した。

以下本考案による竹刀を添付図面に基いて説明
する。

第１図は、竹刀１の概略構成を示すものであ
り、通常、竹刀は４本の割子２から構成されてい
て、各割子２は中央部の巾W₁が幅広に、先端部
および手元部の幅W₂が幅狭になつている。

第２図は、竹刀の任意位置における横断面形状
を示すものであり、本明細における用語である
「割子の円周方向」とは、矢印Ａで示す方向、「割
子の半径方向」とは矢印Ｂで示す方向、「割子の
側面」とは符号Ｃで示す部分をいうものとする。

第３図は、本考案による１本の割子の概略構成
を示すものであり、割子は芯体１０と、その半径
方向外方に設けられる表面材１２と、半径方向内
方に設けられる裏面材１４とからなるが、本考案
は特に芯体１０に関するものであつて、表面材１
２及び裏面材１４については本考案とは直接関係
ないものである。

第４図は本考案の竹刀を構成する割子の芯体１
０の各種構造を示すものである。いずれの構造
も、少くとも補強材の層１２と、軽量材の層１４
と、保護材の層１６とからなること、これらの各
層が割子の円周方向に積層されていること、割子
の円周方向最外側部には保護材の層１６が存在す
ること、および保護材の層１６の円周方向内方に
は補強材の層１２が存在し、この補強材の層１２
が割子の側面Ｃの傾斜に対しできる限り平行に傾
斜していること、等の点において共通する。これ
らの構造例のうち、第４図ａは、補強材の層１２
と、軽量材の層１４と、保護材の層１６との３種
類の層のみからなる例を示し、第４図ｂは、３種
類の層１２，１４，１６のみからなるものである
が、積層体の中央部に更に補強材の層１２が存在
するものの例を示し、第４図ｃは、３種類の層１
２，１４，１６以外に中空部の層１８が存在しか
つ割子の中央部近くに複数（図示のものは３つ）
の補強材の層１２がする例を示し、第４図ｄは、
軽量材の層１４がチヤンネル状の断面形状を有
し、中空部１８が形成されているものの例を示
す。第４図ａ〜ｄに示した具体例以外にも、種々
の構造を考えることができる。

補強材の層１２は、ガラス繊維、カーボン繊維
等で強化したプラスチツク（FRP）、アルミ等の
軽量金属の薄板等で作ることができ、軽量材の層
１４は、発泡樹脂、軽量木材等のほか第５図に示
すようなハニカム構造のプラスチツク成形体を使
用することができ、また、保護材の層１６として
は各種プラスチツク、ゴム、皮革等を使用するこ
とができる。

第６図は、本考案の理解を容易にするための説
明図である。もしも補強材の層１２がＤで示す位
置すなわち割子の側面Ｃの傾斜に対し平行になつ
ていないときは、本考案におけるように補強材の
層１２がＥで示す位置にあるものに比べ、斜線で
示す領域２０が保護材の層１６で占められること
になり、竹刀の重量軽減化に寄与できない。これ
に対し、本考案では、補強材の層１２をＥの位置
（割子の側面Ｃに対し、ほぼ平行の位置）にした
ことにより、軽量材の層１４の占める体積増加
（すなわち保護材の層１６の占める体積減少）の
ため、竹刀の重量を軽減して割子の嵩比重を竹の
比重とほぼ同等にすることが可能となり、同時
に、補強材の層１２が割子の円周方向外方に位置
するため割子の曲げ剛性を向上させることにな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、竹刀の概略構造を示す斜視図であ
る。第２図は、竹刀の任意位置における横断面図
である。第３図は、割子の概略構造を示す横断面
図である。第４図は、割子の芯体の各種構造を示
す横断面図である。第５図は、本考案の積層芯体
の軽量材の層として使用できるハニカム構造体を
示す斜視図である。第６図は、本考案の積層芯体
における補強材の層の位置について説明する横断
面図である。 １０……割子の芯体、１２……補強材の層、１
４……軽量材の層、１６……保護材の層、１８…
…中空部の層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 複数本の割子を束ねて構成した竹刀において、
   前記各１本の割子が、少くとも補強材の層と、軽
   量材の層と、保護材の層とからなる積層芯体を有
   し、 前記各層が互いに割子の円周方向に積層されて
   いて、前記保護材の層が割子の円周方向最外側部
   に配設されており、 前記保護材の層の円周方向内方には補強材の層
   が隣接しており、この補強材の層は割子の側面の
   傾斜に対しできる限り平行になるように傾斜して
   いることを特徴とする竹刀。