JPH0481441B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は履物に関し、特に新しい軽量の運動靴
例えばウオーキングシユーに関する。

従来の技術 ウオーキング等の運動に使用される通常の軽量
の運動靴は比較的軟い底を有し、接着接合される
ものが多い。踵革は内向きに曲げた接合フランジ
を有し、特に軟い底を使用するため、横方向の転
倒に対する抵抗がほとんどない。

発明は解決しようとする問題点 本発明の主目的は軽量の運動靴を提供し、軟い
外底を有し、しかも足に対して大きな横安定性を
有する靴とするにある。

本発明の他の目的はウオーキングシユーを提供
し、特に靴の後部に横の転倒に対する大きな抵抗
性を有する靴とするにある。

本発明の別の目的はウオーキングシユー等の運
動靴を提供し、前後方向の可撓性が大きく、しか
も大きな横安定性を有する靴とするにある。

問題点を解決するための手段 上述の目的を達するための本発明による運動靴
は、外向きに延びたフランジを有するよう成形さ
れた踵革付の甲革を含む。中底後部に広い接合縁
部を形成して外向きの踵革のフランジに適合す
る。甲革を踵革のフランジと中底の縁部と共に縫
合し、中底の縁部を巻いて中底底面を接着する。

靴は可撓性前部と硬い後部との２部分構成の中
底を有する。甲革の前部は中底の可撓性前部に接
着剤で接合する。外向きフランジ付踵革と硬い中
底部分とは共働して後部を形成し、踵の横方向の
転倒に対して大きな安定性を有し、足の捻挫を防
ぐ。甲革が中底の縁部を巻く構成は魅力が大き
い。硬い安定した後部は底の前部の屈曲を妨害せ
ず、強度の運動に適合する。

実施例 本発明を例示とした実施例並びに図面について
説明する。

第１図に示す運動靴は甲革１０と靴底１２とを
有する。甲革１０の爪革１４は１列の縫目２０に
よつてパターン線１８に沿つて上あて革１６に取
付ける。図示の例では第２図に示す通り上あて革
１６の共通縁に沿う折込みによつて縫目２０が隠
される。甲革１０の爪革１４は紐開口２２を有
し、鳩目ステー２４と舌革２６とで仕上げる。履
き心地と可撓性のために紐開口２２の上下の中間
の両側にノツチ２８を形成する。図示の例では内
層３０を甲革に縫付け、上あて革１６、爪革１４
の全内面に延長させる。内層は例えば豚革、織物
等の材料又は組合せとする。図示の例ではパツド
付カラー３２を甲革の頂部の上縁３４を囲んで取
付けて使用者の履き心地を更に良くする。

靴底１２は外底４０、中間底４２、中底４４を
有する。本発明の好適な実施例によつて、中底を
２部分とし、第３図に示す通り、足の親指の付根
のふくらみの直後で接合する。中底４４は前部４
６と後部４８を有し、第４図に示す通り、対向縁
を重ねる。前部と後部の重ねた対向縁５０，５２
は靴工業界で使用される所要の接着剤によつて接
着する。中底４４の前部４６は例えば商品名テク
ソン（Texon）No.485とし可撓性が大きく、靴の
前部での靴底の剛性を減少させる。中底の後部４
８は例えばテクソンＴ−90とし、比較的硬い材料
であり中底後部に安定性を与える。中底４４の後
部４８は広い縁部４９を有し、これは、シヤンク
部５１よりも後部から踵を囲むように延びる。後
述する通り縁部４９は踵革の外向きフランジと共
働する。上述のテクソンはユナイテツドシユーマ
シーン社の商品名であるが他の所要の材料を使用
できる。

第５図は本発明による踵革６０を示し、靴の甲
革の上あて革１６と内層３０との間に組入れる。
踵革６０は上から見てほぼＵ型であり、甲革の踵
部を囲むように延び、靴の市革６４から前部に向
けて高さの減少する比較的剛性の側壁６２を有す
る。踵革の下縁６８を囲む外向きのフランジ６６
を形成して後述する通り、靴を組立てる時の接合
縁部（lasting margin）を形成する。甲革１０を
組み立てる際に踵革を上あて革１６と内層３０と
の間に挿入する。フランジ６６は靴に横安定を与
えるための芯（roll）として作用し使用者の足又
は踵を捻挫する危険を減少する。

甲革の一体の爪革１４は爪先部７０と側部７２
を囲んで延長し、第６図に示す通り中底４４の前
部４６の縁部７６の下に延びるように寸法づけら
れた接合縁部７４を有する。同様にして内層３０
の下部縁部７７は中底縁部７６の下に巻込む。上
あて革１６の接合縁部７８は踵革のフランジ６６
の上に延び、中底後部４８の広い縁部４９の下に
第７図に示す通りに巻込む。

上述した通り、本発明の靴構造は前部を接着剤
接合とし、後部を縫合せとし、これにより種々の
利点を有する。第６図は甲革の前部の接合用の縁
部７４が中底前部の縁部７６の下に巻込まれ、そ
の適切な位置で接着剤で接合されていることを示
す。第７図は成形された踵革６０の剛性のあるフ
ランジ６６と上あて革１６の下部が中底後部４８
の広い縁部４９を超えて外側に折り返され、縫目
８１によつてともに縫合される状態を示す。上あ
て革１６の縁部の最外縁７８は中底後部４８の縁
部４９の下まで包むようにされ、そこで接着剤で
接合される。

靴の製造に際して、爪革１４、上あて革１６、
鳩目ステー２４、舌革２６からなる甲革と内層３
０を図示かつ記述の通りに組立て、この後に踵革
６０を甲革の後部の上あて革１６と内層３０との
間に挿入する。次に、甲革の後部を雄雌金型を使
用して熱と圧力で成形し、かつ底部に外向きのフ
ランジを形成し、これにより踵革のフランジ６６
と上あて革１６の外向きの張り出しとを形成す
る。

別の独立した工程として、可撓性前部４６と硬
い後部４８とを第４図に示す各々の縁部に沿つて
接着して中底４４を形成する。

甲革１０と中底４４とを上述によつて形成した
後に中底４４と甲革１０とをほぼ1/2in（13mm）巾
の帯状接着剤で予め接着する。

次に中底４４を、靴型Ｌの底に対し、前記中底
の接着剤が靴型Ｌの底とは反対側に位置する状態
で仮付けする。そして第６図に示す通り、内層３
０の縁部７７と爪革の縁部７４とを中底の底縁部
７６を超えてしつかりと巻付けることにより甲革
１０の前部を中底４４の前部４６に接着剤により
接合する。縁部間の接合は靴型入れ前に施した帯
状接着剤によつて急速に形成される。

次に、上あて革１６の接合用の縁部７８および
もしあれば内層縁部を踵革６０のフランジ６６の
上面に機械接合しかつ接着剤で接着し、次に、上
あて革の縁部と踵革のフランジ６６とを中底４４
の後部４８の広い縁部４９の上面に第７図に示す
通りに縫目８１によつて縫付ける。土踏まず部で
前後の接着剤接合と後部の縫合接合とを調和させ
ることにより側部の接合を完了する。この最後の
作業は例えば手作業とする。

上あて革縁部７８を次に中底４４の後部４８の
縁部４９の回りを包囲させて底面８０に至らせ、
接着剤で接着して平滑な巻いた縁部を形成する。
最後に中底４４の底面及び甲革の縁部を粗面とし
中間底４２と外底４０を接着して靴の組立を終了
する。中間底４２と外底４０は所要のクツシヨン
作用を有し、使用者に魅力があり、所要の耐摩耗
性を有する材料でつくられる。外底には例えば第
１図に示すつま革８４を有してもよく、中間底を
楔型として足に所要のリフトを与えてもよい。図
示しない底革内層を靴に入れて中底上面を覆い更
に足にクツシヨンを与える。

効 果 上述によつて明らかにされた通り、本発明によ
つて著しく履き心地のよい靴を提供し、前部は前
後方向におおきな可撓性を有し、側方には大きな
安定性を有し、転倒や捻挫を防ぐ。中底の剛性の
後部は踵革に対する丈夫なプラツトホームとな
り、踵革の外向きに延長するフランジ６６は踵部
での靴の有効巾を増し、通常の軽量の接着剤接合
の運動靴に比較して転倒に抵抗する。

本発明を好適な実施例について説明したが実施
例並びに図面は例示であつて発明を限定するもの
ではない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による運動靴の斜視図、第２図
は第１図２−２線に沿う部分断面図、第３図は第
１図の靴の中底の低面図、第４図は第３図の４−
４線に沿う部分断面図、第５図は靴の一部を形成
する成形踵革の斜視図、第６図及び第７図は靴型
上で部分的に組み立てた靴の前部と後部の断面図
である。 １０……甲革、１２……底、１４……爪革、１
６……上あて革、２４……鳩目ステー、２６……
舌革、３０……内層、４４……中底、４６……前
部、４８……後部、６０……踵革、６４……市
革、６６……フランジ、Ｌ……靴型。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 前部と後部とを有し、後部を比較的堅くした
   中底と、 内側が内層で覆われ外側が上あて革で覆われ、
   外向きフランジ付の成形踵革を有する甲革であつ
   て、上あて革が踵革のフランジを超えて外に伸び
   て中底の後部の外周の下に巻かれた下縁部を有す
   る甲革と、 中底の前部の外周の下に伸びかつ中底前部に接
   着剤で接合される接合縁部を有する爪革と、 を備え、中底の後部の外周を踵革のフランジおよ
   び該フランジを覆う上あて革の縁部と縫合せ接合
   した靴。 ２ 前部と後部とを夫々有する底および甲革を備
   え、甲革の前部が底の前部に接着剤で接合され、
   甲革の後部が底の後部に縫合されている靴。 ３ 前記底が、比較的可撓性のある材料で形成さ
   れた前部と比較的堅い材料で形成された後部とを
   有する中底を含む特許請求の範囲第２項に記載の
   靴。 ４ 前記中底の前部と後部が、足の親指の付根の
   膨らみの下の中底部分の直ぐ後方で接合されてい
   る特許請求の範囲第３項に記載の靴。 ５ 比較的可撓性のある材料で形成された前部と
   比較的堅い材料で形成された後部とを有する２部
   分の中底を有し、両部分が足の親指の付根の膨ら
   みの下の中底部分の後方で互いに接合された底
   と、 爪革と堅い踵革とを有し、堅い踵革が中底の後
   部に縫合され、爪革の前部が中底の前部に接着剤
   で接合された甲革と、 中底の後部に接着された中間底及び外底とを、
   備えた靴。 ６ 前記踵革は外向きのフランジを有し、該フラ
   ンジが中底の上面に縫合されている特許請求の範
   囲第５項に記載の靴。 ７ 前記爪革が中底の底部に接着される縁部を有
   する特許請求の範囲第６項に記載の靴。 ８ 前記甲革が踵革を覆う上あて革を含み、上あ
   て革が踵革のフランジを超えて外方にかつ中底外
   周の下に延長する接合縁部を有し、上あて革の接
   合縁部が踵革のフランジと共に中底の上部外周に
   縫合されている特許請求の範囲第７項に記載の
   靴。 ９ 前記甲革が、その頂部において上あて革の頂
   部に縫合された内層を有し、上あて革と内層が踵
   革を挟んでいる特許請求の範囲第８項に記載の
   靴。 １０ 後部において広い縁部を有する中底を含む
   底と、 爪革と上あて革および堅い踵革とを有する甲革
   と、 中底の広い縁部に対面するよう配置され、踵革
   の一部をなす、外方に延びたフランジと、 この踵革のフランジの上に重なる上あて革の接
   合縁部と、 を備え、 上あて革の縁部および踵革のフランジを中底の
   広い縁部の上面に縫合し、かつ 爪革が接合縁部を有し、 該爪革の接合縁部を中底の底面に接着剤で接合
   した靴。 １１ 踵革のフランジを超えた前記上あて革の縁
   部が中底の後部の底面に接着されている特許請求
   の範囲第１０項に記載の靴。