JPH0481295B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の背景］ この発明は密封外被から炭化水素を除去する為
に使われる炭化水素ゲツタ・ポンプ、更に具体的
に云えば、触媒及びゲツタ材料を用いるポンプに
関する。

投影テレビジヨン装置の一部分として使われる
密封単一ビーム油膜ライト・バルブは、管内に配
置された薄い油膜が電子ビームによつて照射され
たことによつて生ずる水素、メタン及び重い炭化
水素を除去することが必要である。重い炭化水素
は分子ふるいによつて除去されるが、現在使われ
ているゲツタ・ポンプは、電子照射によつて、炭
化水素を炭素と水素に解離する為の電子を発生す
るタングステン・フイラメントを持つている。水
素は、84（重量）％のジルコニウム及び１６（重
量）％のアルミニウムから成る活性金属合金を用
いたゲツタ作用で捉えられるが、炭素は電子照射
室の面に沈積する。ゲツタ材料はリング形の容器
内に入れてある。これらの容器がワイヤ枠によつ
て軸方向に隔てられている。リング形容器の軸線
上に配置されたタングステン加熱素子を高い電圧
で動作させて、熱を発生して電子照射を行う。然
し、電子照射を用いるゲツタ・ポンプは２つの欠
点がある。第１に、タングステン・フイラメント
の経年変化につれて電子照射を維持するために必
要な電子放出制御回路のコストが高く、第２に、
電子放出フイラメントは長時間の動作後に脆くな
り、小さな機械的な衝撃を受けても、破損したり
或いは焼き切れることがある。

この発明の目的は、炭化水素を解離する為に電
子照射を用いない炭化水素ゲツタ・ポンプを提供
することである。

この発明の別の目的は、機械的な衝撃に強い炭
化水素ゲツタ・ポンプを提供することである。

この発明の別の目的は、制御回路を必要としな
い炭化水素ゲツタを提供することである。

［発明の概要］ この発明の１面では、真空又は不活性な雰囲気
を持つ密封外被内で使う炭化水素ゲツタ・ポンプ
が、水素に対してゲツタ作用を持ち得る活性金属
合金と、ニツケル触媒と、ゲツタ材料及びニツケ
ル触媒を300乃至500℃に加熱する手段とで構成さ
れる。加熱された触媒が炭化水素を水素と炭素に
解離し、こうしてゲツタ材料が水素をゲツタ作用
によつて捉え、炭素は触媒の表面に沈積すること
が出来る。

この発明の新規と考えられる特徴は特許請求の
範囲に具体的に記載してあるが、この発明の構
成、作用及びその他の目的並びに利点は、以下図
面について説明する所から、最もよく理解されよ
う。

［発明の具体的説明］ 図面について説明すると、例えば米国特許第
3385991号に記載されるライト・バルブ管の様な
密封外被２内に挿入するのに適した炭化水素ゲツ
タ・ポンプが示されている。リング形容器３が中
空の円筒５を取巻いている。円筒５はニツケル又
はステンレス鋼で作ることが出来る。容器は例え
ば点溶接によつて円筒に固定することが出来る。
リング形容器は片側が開放していて、円形の溝路
を形成し、この溝路の底部に複数個の開口が設け
られている。中空の円筒５に開口６を設けて、円
筒の内外のガスの循環を改善することが出来る。
中空の円筒の中にゼネラル・エレクトリツク・カ
ンパニから入手し得るカルロツド（Calrod：登
録商標）素子の様な絶縁電気加熱素子７が配置さ
れている。電気加熱素子は酸化マグネシウムの様
な絶縁材料８で被覆されており、この為、加熱素
子７の隣合つたターンが短絡することはない。少
なくとも１つのリング形容器３に粉末状又は粒状
の不動態化したニツケルから成るニツケル触媒１
０が入れてある。適当な触媒はアメリカ合衆国オ
ハイオ州のハーシヨ・ケミカル・カンパニからニ
ツケル触媒5132Gとして入手し得る。他のリング
形容器には、重量で約84％のジルコニウム及び約
16％のアルミニウムから成る金属合金で構成され
たゲツタ材料１２が入つている。このゲツタ材料
は例えばアメリカ合衆国コロラド州のSAESゲツ
ターズ・エレクトロニクス・インコーポレーテツ
ド社から入手し得る。加熱素子７を適当な電源に
接続し、典型的には、６乃至10ボルトで10乃至15
ワツトのエネルギを供給する。円筒５は密封外被
２内に支持ワイヤ１４によつて支持される。この
ワイヤは例えば溶接によつて円筒に固定され、ワ
イヤの他端は硝子外被の壁に係止されている。

動作について説明すると、真空又は不活性な雰
囲気内でゲツタ材料及びニツケル触媒を加熱素子
７によつて約300乃至500℃に加熱する。活性化さ
れたニツケル触媒１０によつてメタンが解離し
て、水素と炭素を形成する。水素は拡散し、加熱
されたゲツタ材料１２のケツタ作用によつて捉え
られ、炭素は触媒１０の表面に沈積する。一層重
い炭化水素は図示してない分子ふるいによつて除
去することが好ましい。

炭化水素ゲツタ・ポンプをライト・バルブに使
う時、ポンプは管の付属部分の中に配置し、ポン
プと管の本体の間に分子ふるいを配置する。２本
のフイラメント導線が管壁を介して管の外部に通
り抜ける。

以上は、炭化水素を解離する為に電子照射を使
わないで、密封外被から炭化水素を除去する炭化
水素ゲツタ・ポンプを説明したものである。この
発明の炭化水素ゲツタ・ポンプは、タングステ
ン・フイラメントを使わないので機械的な衝撃に
強く、加熱素子を制御する為に制御回路を必要と
しない。

この発明を好ましく実施例について図示し且つ
説明したが、当業者であれば、この発明の範囲内
で種々の変更を加えることが出来ることは云うま
でもない。

【図面の簡単な説明】

図はこの発明の炭化水素ゲツタ・ポンプの断面
図である。 主な符号の説明、２……外被、３……リング形
容器、５……中空の円筒、７……加熱素子、１０
……ニツケル触媒、１２……活性金属合金。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 真空又は不活性な雰囲気内で使う炭化水素ゲ
   ツタ・ポンプに於て、水素に対してゲツタ作用を
   持ち得る活性金属合金で構成されたゲツタ材料
   と、炭化水素を水素及び炭素に解離するための、
   粉末状又は粒状の不動態化したニツケルからなる
   ニツケル触媒と、前記ゲツタ材料及びニツケル触
   媒を約300乃至500℃に加熱する手段とを有する炭
   化水素ゲツタ・ポンプ。 ２ 特許請求の範囲第１に記載した炭化水素ゲツ
   タ・ポンプに於て、前記合金が重量で略84％のジ
   ルコニウム及び16％のアルミニウムで構成されて
   いる炭化水素ゲツタ・ポンプ。 ３ 真空又は不活性な雰囲気内で使う炭化水素ゲ
   ツタ・ポンプに於て、中空の円筒と、該円筒内に
   配置された加熱手段と、前記中空の円筒を取巻く
   複数個のリング形容器と、炭化水素を水素及び炭
   素に解離するためのニツケル触媒と、水素の対し
   てゲツタ作用を持ち得る活性金属合金で構成され
   たゲツタ材料とを有し、前記容器の内の少なくと
   も１つの中に前記ニツケル触媒が配置されてお
   り、他の容器の中にゲツタ材料が配置されている
   炭化水素ゲツタ・ポンプ。 ４ 特許請求の範囲第３に記載した炭化水素ゲツ
   タ・ポンプに於て、前記活性金属合金が重量で略
   84％のジルコニウム及び16％のアルミニウムで構
   成されている炭化水素ゲツタ・ポンプ。 ５ 真空又は不活性な雰囲気から炭化水素を除去
   する方法に於て、炭化水素の存在中で約300乃至
   500℃にニツケル触媒を加熱して、前記炭化水素
   を水素及び炭素に解離し、活性金属合金を用いて
   前記水素をゲツタ作用で捉え、炭素材料を触媒の
   表面に沈積させる工程から成る方法。