JPH047717Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〓産業上の利用分野〓 本考案はビニールハウスの高分子フイルムの保
持装置に係り、とくに枠体の外側に被覆してビニ
ールハウスを形成する高分子フイルムを不使用時
に収納し保持する装置に関する。

〓従来の技術〓 一般に普及している促成栽培用ビニールハウス
においては、半円弧状に屈曲された鉄製のパイプ
を地上に立て並べ、Ｒ型トンネル形状の骨組のア
ーチを構成し、その外表面上に透明な高分子フイ
ルムを展張して被覆してビニールハウスを形成す
るようにしている。一般にビニールハウスはその
大きさが、間口が約7mで高さが約3.5m、そして
長さが約70〜100mとなつており、これが１棟の
標準的な寸法になつている。

通常の促成栽培農家においては、平均約10棟前
後の上記のようなビニールハウスを所有し、かつ
管理している。このビニールハウスを構成する高
分子フイルムは通年を通して展張されるのではな
く、降雪期間およびハウスを使用しない期間には
高分子フイルムを除覆し、納屋や倉庫などにこれ
を保管するとともに、畑土を養生させるようにし
ている。そして必要な時期になると、上記の高分
子フイルムを倉庫等から搬出し、ハウスの鉄骨上
に被覆してビニールハウスを組立てる作業を行な
うことになる。

〓考案が解決しようとする問題点〓 ところが従来の農業用ビニールハウスの高分子
フイルムの被除覆は大変な労力と手間とを要する
作業であつた。そしてこのような作業がすべて人
手によつて行なわれるばかりでなく、取付け現場
への搬入やあるいは除覆後の納屋や倉庫への収納
などの作業が付随するために、種々の問題があつ
た。すなわち除覆時には５〜６人の人数ですべて
の固定パツカを取外し、高分子フイルムを畑土上
へ落し、これを広げて折畳み、納屋や倉庫へ搬入
して保管しなければならなかつた。また被覆時に
は５〜６人の作業員がこれを畑へ搬入して拡げる
とともに、ハウスの鉄骨上に展張してパツカで固
定するようにしていた。

従つて農家におけるビニールハウスの高分子フ
イルムの被除覆は、通常５〜６名の作業者を必要
とし、１棟の被覆には段取りなども含めて約２時
間程度の時間を要していた。従つて10棟のハウス
を所有する農家においては、２日掛りの手間と10
名の延人員とを要することになつていた。除覆も
ほぼ大同小異である。

ちなみに長さが70〜100mのビニールハウスに
被覆される高分子フイルムの重量は、その厚みが
0.15mmとして約85Kgになる。このような重量に加
えて、被覆作業中の風などによつて船の帆のよう
に風をはらみ、あちこちに移動するなどして、こ
の被除覆は多大の労力を要する欠点があつた。従
つて農業における作業者の高齢化や核家族化など
の背景の中で、ビニールハウスの高分子フイルム
の被除覆作業の合理化は焦眉の急である。

本考案はこのような問題点に鑑みてなされたも
のであつて、ビニールハウスにおける高分子フイ
ルムの被除覆の作業に要する人員および手間を大
幅に削減するとともに、合理的に高分子フイルム
を保管するようにした保持装置を提供することを
目的とするものである。

〓問題点を解決するための手段〓 本考案は、枠体の外側に被覆してビニールハウ
スを形成する高分子フイルムを保持する装置にお
いて、前記高分子フイルムを前記ビニールハウス
の幅方向の両側から巻上げて前記枠体のほぼ中央
部上に前記ビニールハウスの長さ方向に沿つて載
置するとともに、長さ方向の両端に外側連結板と
内側連結板とをそれぞれ具備する収納カバーを前
記外側連結板と前記内側連結板とを互いに係合さ
せて複数個連結するようになし、巻上げられた前
記高分子フイルム上に該高分子フイルムを覆うよ
うに収納カバーを連結して装着するようにしたも
のである。

〓作用〓 従つて本考案によれば、ビニールハウスの両サ
イドのパツカを外して、ビニールハウスの幅方向
の両側から高分子フイルムを巻上げるとともに、
その上に収納カバーを装着してひも等で固定する
ことによつて除覆を行なうことができるようにな
る。このためにこの間の作業を１〜２人の作業員
で行なうことが可能になる。また上記高分子フイ
ルムを被覆する場合には、上記とは逆の順序で作
業を行なえばよい。従つてビニールハウスにおけ
る高分子フイルムの被除覆時の作業人数の大幅な
削減を図るとともに、被除覆作業の簡略化とスピ
ードアツプとを達成することができる。さらにハ
ウスの頂上の部分に高分子フイルムを保管するこ
とが可能になるので、搬送や保管などのための労
力とスペースとを省略することができ、またビニ
ールハウス用高分子フイルムの汚損や鼠喰などの
被害を防止することが可能になる。

〓実施例〓 以下本考案を図示の一実施例につき説明する。
第２図および第３図は本考案の一実施例に係る保
持装置に用いられる収納カバーを示すものであつ
て、この収納カバーは第４図に示されるように、
断面が半円形のカバー本体１０から構成されてい
る。そしてカバー本体１０の一端、例えば右端に
は外側連結板１１が取付けられている。外側連結
板１１は上記カバー本体１０の外側を覆うように
係合用爪板１２を備えており（第５図参照）、ま
たその基端側には接合溝１３が設けられている。
この接合溝１３によつて連結板１１はカバー本体
１０に結合されている。なおこの結合は、接着剤
による溶着あるいは高分子ウエルダによる融着の
何れかの方法によつて行なわれてよい。そして互
に結合された連結板１１の係合用爪板１２とカバ
ー本体１０との間には隙間１４が形成されるよう
になつている。また係合用爪板１２の先端部は屈
曲して屈曲部１５を形成している。

上記カバー本体１０の反対側の端部には、内側
連結板１６が取付けられている。この連結板１６
も第５図に示すように係合用爪板１７を備えてお
り、カバー本体１０の内側に位置するようになつ
ている。そして連結板１６も接合溝１８によつて
カバー本体１０と連結されるとともに、カバー本
体１０と爪板１７との間に〓間１９が形成される
ようになつている。また爪板１７の先端は屈曲部
２０を形成している。

このように本実施例に係る保持装置を構成する
収納カバーは、カバー本体１０の両側に外側連結
板１１と内側連結板１６とをそれぞれ取付けるよ
うにしたものである。このような連結板１１，１
６の組合せによつて、収納カバーを複数個長く連
結することが可能になる。また上記連結板１１，
１６はカバー本体１０の両端部の補強をも兼ねる
ようになつている。なおカバー本体１０の幅方向
の両端部は第４図に示される中空のリブ２１から
形成されており、これによつて軽量でありながら
補強効果を高めるようにしている。

つぎに以上のような構成に係る収納カバーを用
いて高分子フイルムを保持するための動作につい
て説明する。一般にビニールハウス用の高分子フ
イルムは、３年間の耐用年数の間に、被除覆を６
〜10回程度反復して行なわれ、その後に新しい高
分子フイルムと交換される。

このようなビニールハウス用の高分子フイルム
の除覆に際しては、第７図に示すように、ビニー
ルハウスの幅方向の両側から頂上に向けて高分子
フイルム３１を巻上げるか寄上げる。そして頂上
のセンタの枠体３０、すなわち鉄パイプにひも３
２などを用いて仮止めする。ビニールハウスの全
長について第８図に示すように高分子フイルム３
１を巻上げて仮固定したならば、今度は第１図に
示すように、カバー本体１０から成る収納カバー
を仮止めの済んだ高分子フイルム３１の上から覆
うようにして被せ、その上からさらに別のひも３
３を用いて固定する（第９図参照）。このように
することによつて、風、雨、雪、粉塵、紫外線、
鼠などの被害から上記高分子フイルム３１を保護
することが可能になるとともに、このようにして
ビニールハウスの頂上に高分子フイルム３１を保
管するようにするものである。

このようにして高分子フイルム３１を保管する
場合には、除覆の際に頂上の鉄パイプ３０に高分
子フイルム３１を固定したパツカを外す必要がな
く、固定したままにしておいてよいので、除覆作
業においてハウスの裾から寄上げるか巻上げるか
しながら、両サイドの固定パツカを外していくこ
とが可能である。従つて風によつて高分子フイル
ム３１が飛ばされることが防止される利点が生ず
る。

さらに従来は除覆後に畑土の上に高分子フイル
ム３１を落し、数人で展伸しながら折畳んで倉庫
あるいは納屋まで運んで行き、収納するようにし
ていたが、このような労力と収納スペースとが節
約されるばかりでなく、これに要する作業時間が
大幅に短縮される利点が生ずる。さらに従来の高
分子フイルムの収納保持の方法によれば、畑土で
高分子フイルムが汚れたり、傷、穴などが生じ勝
ちであつたが、このようなトラブルがなくなる利
点も生ずる。さらに納屋などに高分子フイルムを
保管する場合には、鼠の害も予想されるが、この
ような鼠害も防止されることになる。

このようにしてビニールハウスの頂上部に両側
から巻上げられた高分子フイルム３１を保持する
場合に、巻上げられた高分子フイルム３１の断面
積は、通常の大きさのビニールハウスの場合に、
高さが80mm、幅が150mm程度の大きさになるため
に、このように頂上の部分に高分子フイルム３１
を保持しておいても、農作物を耕作する際に何等
障害となることがなく、非常に合理的である。

つぎにこのような高分子フイルム３１を被覆し
てビニールハウスを形成する場合には、第９図に
示すカバー本体１０と高分子フイルム３１とを結
合しているひも３３を取払う。そしてカバー本体
１０から成る収納カバーを除去し、さらに高分子
フイルム３１を止めている別のひも３２を解い
て、巻上げられている高分子フイルム３１を枠体
３０の両側に下して展張する。そしてハウス固定
用パツカでこのフイルム３１を固定してやれば被
覆作業が完了する。

この作業は従来の高分子フイルム３１の被覆作
業と比べると格段に作業性に優れることになる。
すなわち予めハウスの頂上に保管固定されたもの
を展張するのであるから、作業は非常に容易にな
る。また風などに影響されることも少なくなる利
点が生ずる。作業時間も大幅に短縮され、労力や
人員などの点でも大幅な合理化が可能になる。こ
のように被覆の作業性が大幅に合理化されるの
は、収納カバーによつてハウスの頂上に高分子フ
イルム３１を巻上げて保管するようにしたからで
ある。

この収納カバーは、上述の如く断面がほぼ半円
形状の板状体から成るカバー本体１０を適当な長
さに構成し、その一端に隙間１４を有する外側連
結板１１を取付けるとともに、反対側端部には〓
間１９を有する内側連結板１６を備えた構造とな
つており（第５図参照）、これらを互いに複数個
連結するようにしたものである。

収納カバーは、梱包や保管、あるいは輸送など
の都合を考慮し、ここでは約2mの長さとしてい
る。なおその高さ約100mmであり、横方向の幅は
約200mmに構成されている。従つて長さが100mの
ビニールハウスの場合には、このようなカバーを
50本連結して使用することになる。この場合にお
いて、外側連結板１１の〓間１４には内側連結板
１６の係合用爪板１７が挿入され、内側連結板１
６の〓間１９には外側連結板１１の係合用爪板１
２が挿入されるようにして必要な数のカバーが互
に連結される。

一般に畑土表面に100mの長さにわたつて設置
されたビニールハウスの頂上線は横方向から見れ
ば完全に水平にはなつておらず、部分距離毎に起
伏あるいは傾斜を有しており、風雨の際にはこの
カバーの傾斜に沿つて雨水が流れる。もしも連結
部から雨水が流入する構造になつている場合に
は、どんどん雨水が高分子フイルム上に溜まる。
次第に溜まり水の重量が増加すると、高分子フイ
ルム３１が部分的に下方へ、あたかも金魚鉢のよ
うな状態を呈して下垂し、やがては高分子フイル
ム３１が破れることになる。

ところが本実施例に係る保持装置によれば、そ
のカバー本体１０の両側の連結板１１，１６の上
述のような構造によつて、連結部から水が流れ込
まないようになる。すなわち本実施例に係る保持
装置の収納カバーによれば、とちらの方向にカバ
ーが傾斜しても、外側連結板１１に形成された〓
間１４と内側連結板１６に形成された〓間１９の
係合時の相乗作用効果により、連結部からの水の
流入が防止される。

このような収納カバーによれば、その取付けが
非常に容易になり、作業者１名で100mの長さの
ビニールハウスの頂上に巻上げられた高分子フイ
ルム３１上に取付け、ひも３３などによつて第９
図に示すように固定するのに、約30分間でこの作
業が完了することが確認されている。ちなみに従
来のビニールハウスにおいては、その除覆に４〜
５名で２時間を要していた。

このようにビニールハウスの頂上の部分に巻上
げられるとともに、収納カバーによつて保護され
た高分子フイルム３１は、風、雨、雪、塵埃など
の汚れおよび紫外線による劣化から保護され、鼠
喰などの被害からも免れるなどの理由により、理
想的に保護が行なわれることになる。さらに使用
する場所に保管されるために、納屋などに収納さ
れる場合と異り、搬入や搬出の手間と人員と時間
とを省略することが可能となり、それらの作業に
伴う高分子フイルム３１の損傷が回避される。ま
た従来の方式によれば、高分子フイルム３１の被
除覆に際して畑土による汚染が生ずるが、このよ
うな汚染を防止することにより、高分子フイルム
の透明度を高く保持することが可能になり、さら
には病原菌などの付着がなくなるので、従来より
も高分子フイルム３１の耐用年数が延長される利
点をももたらすことになる。

以上本考案を図示の一実施例につき述べたが、
本考案は上記実施例によつて限定されることな
く、本考案の技術的思想に基いて各種の変更が可
能である。例えば収納カバーの連結板の構造は、
第５図の構造のものに限定されることなく、第６
図のような変形を施してもよい。この場合には、
連結板１１を係合用爪板１２と内側接合板２５と
によつて断面をコ字状に形成するとともに、内側
接合板２５の外表面にカバー本体１０を接着剤ま
たは熱溶着によつて結合するようにしている。

〓考案の効果〓 以上のように本考案は、高分子フイルムをビニ
ールハウスの幅方向の両側から巻上げて枠体のほ
ぼ中央部上にビニールハウスの長さ方向に沿つて
載置するとともに、巻上げられた高分子フイルム
上に収納カバーを装着するようにしたものであ
る。従つて本考案によれば、高分子フイルムの被
除覆の作業時間と作業工数とを大幅に削減するこ
とができ、また高分子フイルムを搬送および保管
する労力とスペースとを省略することが可能にな
る。さらに高分子フイルムの汚損や鼠害を防止す
ることが可能になる。

また本考案によれば、比較的短い所定の寸法の
カバーを複数個連結してビニールハウスの長さに
応じた寸法とすることができるために、カバーを
予めビニールハウスの長さに応じた寸法に合わせ
て形成する必要がなくなるとともに、カバーの共
通化を図ることが可能になる。また巻上げられた
高分子フイルム上にこの高分子フイルムを覆うよ
うにカバーを取付けているために、巻上げられた
カバー内に雨水や雪、粉塵が入り難くなる。とく
に雨水が高分子フイルム内に侵入しなくなるため
に、どんどん水がフイルム内に溜つてその重量が
増加し、高分子フイルムが下方へあたかも金魚鉢
のような状態を呈して下垂し、やがてはこの高分
子フイルムが破損する事故を未然に回避すること
が可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るビニールハウ
スの高分子フイルムの収納カバーの取付け動作を
示す外観斜視図、第２図は収納カバーの外観斜視
図、第３図は同縦断面図、第４図は同幅方向の縦
断面図、第５図は収納カバーの連結の構造を示す
縦断面図、第６図は変形例に係る収納カバーの要
部断面図、第７図は高分子フイルムの巻上げの動
作を示す外観斜視図、第８図は同巻上げの完了の
状態の外観斜視図、第９図は収納カバーの装着を
完了した状態の外観斜視図である。 なお図面に用いた符号において、１０……カバ
ー本体、１１……外側連結板、１６……内側連結
板、３０……枠体、３１……高分子フイルム、３
２，３３……ひも、である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 枠体の外側に被覆してビニールハウスを形成す
   る高分子フイルムを保持する装置において、前記
   高分子フイルムを前記ビニールハウスの幅方向の
   両側から巻上げて前記枠体のほぼ中央部上に前記
   ビニールハウスの長さ方向に沿つて載置するとと
   もに、長さ方向の両端に外側連結板と内側連結板
   とをそれぞれ具備する収納カバーを前記外側連結
   板と前記内側連結板とを互いに係合させて複数個
   連結するようになし、巻上げられた前記高分子フ
   イルム上に該高分子フイルムを覆うように収納カ
   バーを連結して装着するようにしたことを特徴と
   するビニールハウスの高分子フイルムの保持装
   置。