JPH0471891B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、画期的な白癬菌及び其の同族菌によ
る皮膚病などの殺菌治療塗布薬の製造方法に関す
る。

従来、手のひら、足の裏や指間などに出来る残
存性の白癬で白癬菌というカビの一種が寄生する
ことにより発生する汗疱状白癬である。いわゆる
水虫に対しての治療薬は多数提供されている。例
えば、外用薬としては一般に湿潤した水虫には軟
膏、そして乾燥したものにはチンキ剤がある。ま
た、足の裏や手のひらに生じた角質増殖によつて
皮膚が厚くなり、且つ堅くなつてあかぎれ状を呈
するもの、爪の白癬症等に対してはグリセオフル
ビンなどの内服薬が用いられて来た。しかし、い
ずれの場合も充分なものではなく満足できるもの
ではなかつた。

そこで、本発明者は鋭意研究を長年重ねた結
果、本発明に到達したものであるが、本発明に係
る殺菌治療塗布薬は、構成する物質そのものが相
互に互助作用を発揮し、殺菌治療にその能力を表
わし、また原状回復に速効性が認められるもの
で、白癬菌及びその同族菌による皮膚病の殺菌治
療を目的とする塗布薬である。

次に、本発明者が本発明完成に至る経緯を説明
する。まず、本発明者は、蓚酸が殺菌性を有し白
癬症に作用することを発見し、水溶液にして足の
指の跨等の周辺部の白癬症に使用した結果、塗布
後患部に効果的な症状を見る事が出来た。しか
し、液が乾燥するに従い、蓚酸の極微粒白粉によ
つて患部を荒す恐れがある事を見い出した。そこ
で、本発明者は患部の荒れを防止し、且つ清浄を
目的として硼酸を追加した。しかしながら、効果
が得られるもののいまだ充分とは言えず、特に白
癬菌の毒素による廃物化した角質層が残る結果と
なつた。また、患部である皮膚への浸透力の不足
が原因として、治療も速効性に対し、充分とは言
えなかつた。そこで、本発明者は酢の特性に着目
し氷酢酸を追加した。その結果、廃物化した角質
層を取り除く事ができ、また皮下深く浸透して初
期の目的を達成することができた。即ち、患部の
周辺部にある包糸菌は、４日間前後の塗布にて死
滅し、其の残骸は角質層の新陳代謝作用により浮
上し、初期にありては薄桃色を呈し表皮より次ぎ
次ぎと脱落してゆく。あとに小さな窪みが残る
が、そのうちに普通の表皮と何ら変らなくなつ
た。また、集菌部は湿性状を呈しているが塗布薬
を４日間前後塗布することによつて次第に乾いた
状態になりつつ治癒した。この時点で患部であつ
たところは、乳白色を呈していたが、そのうちに
消えた。更に、本発明者は、以上の使用物質中に
ある不良物質を抽出分離し品質度を高めるためエ
チルアルコールを追加した。

即ち、本発明の要旨とするところは、滅菌水に
エチルアルコールを加え、僅少の蓚酸と硼酸を投
入し、撹拌加熱し、液温を90℃以上に加温、15分
間これを持続して、先づ基液を得た。その後、液
温を降下させ約55℃に至つた状態で氷酢酸を滴下
した。此の度も約15分間持続し、その後なを降下
を続け、常温に至つた状態で撹拌を止め工程が終
わる。

ここで、本発明たる白癬菌及び其の同族菌によ
る皮膚病の殺菌治療塗布薬の製造方法において使
用する各物質についての使用目的や効態について
簡単にまとめて説明すると、滅菌水は殺菌用の
水で、これには殺菌力はないエチルアルコール
は品質度を高め、また患部への浸透力の補強を目
的とするものである蓚酸は、白癬菌及びその同
族菌を死滅させる主体である硼酸は患部の清浄
を目的とするが、白癬菌を死滅させる力はない
氷酢酸は患部への浸透力及び菌が最善の住処とし
ている廃物化している角質層の除去を目的とする
ものである。この氷酢酸も白癬菌を死滅させる力
はない。このように本発明は構成物質の説明から
も明らかなように、本発明は卓越した殺菌能力を
持つ蓚酸を主体としたことにより完全治癒、そし
て速効性ある塗布薬を得ることが出来るのであ
る。

以下、本発明を実施例をもつて詳細に説明す
る。

実施例 １ 本実施例は、汗疱状白癬、趾間びらん型、足蹠
水疱型に関する。

滅菌水204c.c.、エチルアルコール75c.c.に蓚酸7.5
ｇ、硼酸ｇを加え、液温を90℃以上になるまで加
熱撹拌し、15分間以上持続することにより基液を
得たる後、該基液の液温を徐々に約55℃まで低下
させ、その状態で氷酢酸7.5c.c.を滴下し、よく撹
拌して15分間以上持続せしめ、後液温を降下させ
常温に至るのを見て撹拌を止め、工程を終る。以
上で目的とする効果ある殺菌治療塗布薬を得た。

実施例 ２ 本実施例は、角質増殖型、爪の白癬症に関す
る。

滅菌水201c.c.、エチルアルコール75c.c.に蓚酸９
ｇ、硼酸６ｇを加え、液温を90℃以上になるまで
加熱撹拌し、15分間以上持続することにより基液
を得た後、該基液の液温を徐々に約55℃まで低下
させ、その状態で氷酢酸９c.c.を滴下し、よく撹拌
して15分間以上持続せしめ、後液温を降下させ常
温に至るを見て撹拌を止め、工程を終る。

以上で目的とする効果ある殺菌治療薬を得た。
以上２つの実施例にて、使用したる、各成分の、
配合、割合を記述する。

滅菌水：201〜204c.c. エチルアルコール：75c.c. 蓚酸：7.5〜９ｇ 硼酸：６ｇ 氷酢酸：7.5〜９c.c. （実施例１、２の各仕上りは、約300c.c.となる。） 本実施例の作業工程に於いて最高液温を90℃以
上とし、また氷酢酸の液温を約55℃と限定するの
は、90℃以下の液温で基液を得たる場合、運転中
に小粒の結晶が生じたり、また該塗布薬を長期間
保存した場合、薬剤中の物質が遊離し、小粒の浮
遊物を生じて、薬質に変化を招くおそれ有るため
最高温度を90℃以上とし、また氷酢酸の滴下時の
液温を55℃と限定しているのは、此れ以下の液温
で滴下した場合より、滴下時の液温を55℃と高め
にしたる結果、塗布薬の密度を高めることが出来
た。

次に、本実施例における使用データを記述す
る。

前述の研究過程で述べた通りであるが、ここで
追記する事は、まず白癬症独特のカユミについて
であるが、塗布を始めてから２日間程度でカユミ
は消える。また、患部がただれている時に塗布す
ると刺激痛があるが、これも２日間程度で感じな
くなる。また、趾間びらん型の場合、雑菌等によ
る炎症にていずれかの指が地腫をしてくることが
ある。これは塗布していると変質していた組織が
膿汁となり、患部より排出される。この時点で塗
布は中止する（地腫している部分のみ）。膿汁は
出し切ること。その過程で吹出物の化膿時に似た
鈍痛あり。地腫が引き、原状回復した時点で白癬
症部分がまだ残るときは、尚10日以上間隔を置
き、再び塗布してもよい。

以上の各実施例にて得たる塗布薬の治療効果
は、治療実施例に詳細に記述する。

治療実施例 以下、各症状の治癒例は、人体による治療結果
を総括し、塗布方法及び塗布日数は各症状の平均
を勘案したものであるが、体質、症状の軽重によ
り、多小差違あり。しかし、白癬菌、疱糸菌及び
其の同族菌は、各症状共、その塗布日数にて菌は
すでに死滅しており、再発、薬害はなく、治癒率
は100％を確信するものである。

塗布要領 塗布は各症状共、毎回５分間程度は乾かない
様、充分塗布すること。朝、夕何れかに決めて日
に１回塗布する。症状により、塗布時に刺激痛あ
りて忍耐出来ない時は、20秒間程度乾かない程度
の塗布を断続的に行い、通算５分間程度は必要と
する。塗布範囲は、各症状共、菌が拡散している
場合あり。これが再発の源となる。又、廃物化し
た角質層の除去を兼ね、万全を期するため、カユ
ミを感じた部所を中心に、半径50mm程度の範囲内
は、最低塗布の要あり。

次に治癒例27例を記述する。

使用 ２名 銭田虫 其の名の如く、小さな粒々にて２、３重に弧状
を描きおれり、塗布２日間前後にて治癒せり。

（備考）初期にありては、１回の塗布にて治癒せ
り。

（以上塗布時の刺激痛あり） 使用 ２名 水疱性湿疹 ３日間の塗布にて刺激痛なく治癒せり。

使用 １名 早期治療 軽症 手のヒラの皮厚部にて、表皮に異常なく、乾い
た状態なれど深部にカユミあり。塗布３日間にて
カユミがなくなり、其の後変化なけれど、約４週
間余り後、死滅した白癬菌の残骸は、角質層の新
陳代謝作用により浮上し、極小の白い粒となりて
表皮上より脱落す。其のあとに小さなくぼみが出
来て居るが、やがて消えてゆき、後、健全な表皮
となりて完治せり。

（以上塗布時の刺激痛はなし） 使用 １名 早期治療 軽症 足のウラの場合、表皮に異常なく、乾いた状態
なれど深部にカユミあり。周辺部を含め３日間塗
布する。其の翌日には、カユミのありし箇所を中
心に、半径50mm程度の範囲内の廃物化した角質層
がフヤケ、除去可能状態となる。此れを除去した
後は健全な表皮となり完治せり。

（以上塗布時の刺激痛はなし） 補足 （角質層が、フヤケて除去可能状態）とは、指
先で軽くこすり取ることが出来る状態をいう。以
下各症状に適用。

使用 １名 早期治療 軽症 足趾の場合、趾間にカユミを感じ、趾間がじめ
じめと湿りをもち、又、水気でぬれて居る様な状
態が、２、３日と続く。此の時点で３日間塗布す
る。其の間に、カユミをはじめ以上の症状が消
え、周辺部の廃物化している角質層の部分はフヤ
ケ、除去可能状態となる。此れを除去した後は、
健全な表皮となり完治せり。

（以上は塗布時の刺激痛はなし） 使用 ２名 手の趾間型 中症 表皮がやぶれ、ジクジクしてカユミあり。４日
間前後の塗布にて乾いた状態となり、後、健全な
表皮となり完治せり。

（以上塗布時の刺激痛あり） 使用 ７名 趾間びらん型 重症 足趾間が湿性症にて、タダレて居る場合は、表
皮が破れ、乳白色を呈して居りてカユミが強く、
趾間に切れ込みが出来た様な状態になつて居る。
此の様な症状には、４日間前後塗布することによ
り、治癒に向う。其の過程にて、先ず、カユミが
なくなりて、次第に乾いた状態となり、症状によ
りては、いずれかの指の表皮が薄皮状になり、
（ここに包糸菌の死滅した残骸有る時は、共連れ
にて）剥離してくる。此れは除去する。又、乳白
色は消え、切込み状はやがて回復して完治せり。

（以上塗布時の刺激痛あり） 使用 ４名 足蹠水疱型 重症 水疱が破れ、ジクジクしていてカユミあり。此
の症状には７日間前後塗布する。其の間に、次第
に乾いた状態となりつつ廃物化した角質層がフヤ
ケ、時には足のウラ、クルブシの下の側面等の表
皮が、（ここに包糸菌の死滅した残骸有る時は、
共連れにて）剥離してくる。此れらを除去してい
るうちに、再生してきた角質層が健全な表皮にな
りて完治せり。

（以上塗布時の刺激痛あり） 使用 ３名 角質増殖型 重症 足のウラの皮厚性の場合は７日間前後塗布す
る。其の間に廃物化した角質層がフヤケ、又部分
的に薄皮状になりて剥離してくる。此れらは其の
都度除去してゆく。除去しにくい、患部のあちら
こちらに点在する断片的な廃物化した角質層は、
新しく再生してきた角質層が健全な表皮になるに
したがい、自然に淘汰されてゆき完治せり。又、
皮膚が厚い手のヒラにて、表皮に異常はないの
に、皮下に時々カユミのある症状の場合７日間塗
布せり。その結果、１部分の皮膚が袋状になり浮
上つて来た。この部分は切除することがのぞまし
い。その跡は湿性にてジクジクしている。（皮下
深部でのみ菌が活躍していたものと思う）此の箇
所はあらためて塗布する３日間の塗布にて治癒せ
り。又、随処にある包糸菌は塗布により死滅し、
其の残骸は前述の通り、剥離して除去、又は、表
皮上より脱落してゆく。あとの小さな表皮上のく
ぼみはやがて消えてゆき、健全な表皮となる。

（以上塗布時の刺激痛は部分的にあり） 使用 ３名 爪の白癬症 重症 爪によりては、部分的に白濁色を呈し、いずれ
の爪ものびる程に爪先が欠落してゆく。７日間前
後塗布する。其の後も既存の廃物化した爪はのび
る程に欠落してゆき、症状により、１ケ月から２
ケ月前後にて廃物化した爪は消失、後は健全な爪
となり完治せり。

（以上塗布時には指先に微々たる刺激痛あり） （備考 爪の白癬症の場合、足のコウにまで症状
が広がつて居る場合あり。勿論、治療、治癒せ
り） 使用 １名 小胞子菌型 手のヒラに、湿性白癬症と同じ症状なれど、治
癒後、表皮上に母指大の斑紋状の痕跡を残す。其
のはじまりは、文鳥に水浴をさせるため、手のヒ
ラにのせ鳥篭をうつすことを日々行ううちに発病
せり、塗布日数は４日間にて治癒せり。（注）以
上は昭和52年の臨床例にて、其の後痕跡は年々小
さくなりつつあれど、現在、なを小さく痕跡を残
す。

（以上塗布時の刺激痛あり）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 滅菌水、エチルアルコール、そして僅少の蓚
   酸及び硼酸を加え、液温を90℃以上になるまで撹
   拌加熱して基液を得た後、徐々に該基液の温度を
   約55℃まで降下せしめ、その状態で氷酢酸を追加
   し、常温になるまで撹拌する事により得られる、
   白癬菌及び其の同族菌による皮膚病の殺菌治療塗
   布薬の製造方法。