JPH0470437B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は短繊維配向連続シートの製造方法に関
し、詳しくはシート長手方向に対し短繊維が高度
に横配向され、且つ目付斑の極めて少ない連続シ
ートの製造方法に関するものである。

〔従来の技術〕

従来より複合材料分野において、補強用繊維の
基材形態として特に複雑形状製品の成形性向上、
製品軽量化、過剰品質を抑える目的から補強繊維
量の軽減を行う為にも短繊維配向基材の有効性が
知られている。しかしながら、細繊度繊維では分
繊状態での配向は困難であり、いまだ短繊維配向
連続シートの製造は実用化されるに至つていな
い。

〔発明が解決しようとする問題点〕

かかる観点より、本発明者らは先に短繊維分散
液を回転する円盤状体上又は先端が横方向に向け
られたノズルを有する回転流路系に供給し該液を
周囲に飛散させ捕集用基材上に繊維捕集した短繊
維横配向連続シートの製造方法を提案した（特願
昭59−53788、同133551号）。

本発明は、短繊維配向基材としての有効性を高
める為にはより繊維の高分繊、高配向、均一な目
付分布が必要であることから上記方法に改良を加
え、各品質を大幅に向上させた短繊維横配向連続
シートが得られることを見出し本発明に到つたも
のである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の要旨とするところは、短繊維分散液を
互いに対向した２個の回転円盤状体の間に供給
し、円盤もしくは一方の円盤を回転させ円盤周囲
に飛散させて短繊維配向連続シートを製造する点
にある。

円盤間での液流動中短繊維の挙動は発生する速
度勾配により液流れ方向に配向する特性がありそ
のまま周外に飛散されるので、円盤面と交叉する
捕集用基材を移動することにより該基材上に、シ
ート長手方向に対し横配向された状態で繊維捕集
させた短繊維配向連続シートが得られるものであ
る。

以下図面に従つて本発明の詳細につき説明す
る。

第１，２図は本発明の製造原理に基づく短繊維
分散液の供給方法の実施モデル例、概略断面図を
示すものである。

第１図の場合は適当な間隙を置いて対向した円
盤の回転軸付近に液を供給するものであり、図中
５は回転用モータ６に接続された一方の円盤状体
を示し、７は中央部に液供給路７′を設けたもう
一方の円盤状体を示し、この円盤の回転はモータ
８に付けられているプーリ９から液供給路に付け
られているプーリ１０をベルト１１駆動すること
により得られる。又１は短繊維分散液２を調合す
る槽を示し、３は撹拌翼を付けた回転シヤフトを
示すものである。ここで調合された液は供給管を
通じて液供給路に流れ込み、さらに対向する円盤
間を円盤回転により発生する遠心力で円盤径方向
に移動し周外に飛散される。この時液中の短繊維
１２は液流速度勾配の効果により液流動方向に配
向された状態で移動し円盤周外に飛散されるもの
である。

第２図は液の供給位置を各円盤の回転中心から
同心円の位置に円筒状に供給した場合であり、図
中５は中央部に円柱状突起部５′を設けた一方の
円盤状体を示し、回転用モータ６と接続されてい
る。又１３は中央部が窪んだ形状で、その中心部
に液供給路１３′を付けたもう一方の円盤状体を
示し、この円盤の回転はモータ８に付けられてい
るプーリ９から液供給路に付けられているプーリ
１０をベルト１１駆動することにより得られる。
この場合も第１図例と同様対向する円盤間を液が
流動し周外に飛散され、液中短繊維１２は液流動
方向に配向された状態で円盤周外に飛散されるも
のである。尚対向する円盤状体の断面形状は上記
モデル例に限らず、垂直、水平面に対し適当な勾
配及び曲率を持つていても良い。又各円盤表面は
適当な溝付構造であつても良く、さらに各円盤外
径は同一径だけでなく各々異なつていても良い。
さらに各円盤回転方向、回転速度は同一にするの
が基本であるが、目的により各回転方向、速度は
適時選択出来るものである。

次に第３図は上記液供給方法にて円盤周外に飛
散された短繊維の捕集方法を示すもので、図中１
４は液吸引用スリツト１４′を設けた円筒管を示
し、捕集用基材１５は送り出しローラ１６から引
き出された後、適当な変曲バー等のガイド類を使
用し、フラツトな状態から円盤状に変えられて円
筒管内面に沿つて移動し、同様な手段でもつて円
筒状からフラツトな状態にもどし巻取り用ローラ
１７に巻き取られる。従つて短繊維分散液は円盤
周外に飛散されると同時に、分散液のみは捕集用
基材を通過し吸引用スリツト、吸引管１８より脱
水され、短繊維１２は円筒管周方向すなわち捕集
用基材横方向に配向された状態で連続捕集される
ものである。尚捕集用基材幅は円筒管内周長の同
一基材での繊維捕集を行つても良いが、一般的に
は円筒管内周長を何分割かにした複数の捕集用基
材を同時に供給した方が容易である。

第４図は前述の方法で捕集用基材１５の長手方
向に対し横方向に短繊維１８が捕集された状態を
示し、乾燥することにより短繊維連続シートが容
易に得られるものである。尚本発明において使用
する繊維分散剤は一般的に良く知られている分散
剤の他水溶性高分子系の増粘剤、糊剤でも良く、
例えばセルロース系、PVA、ポリアクリルアミ
ド系、POE、PVP、アクリル酸系、グリセリン
及び無機系のケイ酸ソーダ等が挙げられる。又使
用する短繊維は合成系、天然系、無機系、金属系
等繊維状であれば良いが繊維配向上ロークリンプ
ないしはノンクリンプ状のものがより望ましい。

〔効 果〕

本発明により得られる短繊維配向シートは、シ
ート長手方向に対し横配向された連続シートが得
られることであるが、対向する回転円盤間を液流
動させる為多くの利点があげられる。すなわち液
流動断面積が一定に保たれる為、円盤周方向への
液流出、飛散量の均一化が計られる為、捕集用基
材上へ捕集された繊維は極めて目付斑が少なく高
均質なシートが得られることである。又液流動中
における液の異常乱流、脈動現象が抑えられる
為、それによる繊維の配向乱れ、絡み合いが少な
く、又長時間に亘る液流量の安定化が保たれるの
で、欠点個所の発生が極めて少なく高能率で高歩
留りのシート加工が可能である。さらに分散剤と
して粘稠なものを使用した場合には液流動中の速
度勾配が極めて有効的に得られる為、短繊維の分
繊、配向効果が高められ、高配向、高分繊、高均
整な連続シートが得られるものである。従つて本
発明により得られた短繊維横配向連続シートの有
用性は極めて高く、複合材料分野においては多く
の製品適用が可能であり、特に縦、横交叉配向の
補強用繊維連続シートの製造には、既存のシート
長手方向配向シートと簡単に積層、貼り合わせす
ることにより出来るので、大幅な加工合理化、コ
スト合理化が計れる。又シート自体短繊維で構成
される為、特に製品成形時における繊維流動が発
生しやすいことから複雑形状製品の成形用には極
めて有用性が高く、さらにシート加工の特性上低
目付シートの製造が可能であり、材料力学上ごく
少量の補強用繊維で充分な製品用途には軽量、高
性能な製品設計が出来るものである。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は本発明による短繊維分散液の供給
断面状態図を、第３図は繊維捕集機構の断面図
を、第４図は短繊維配向シートの状態図を示すも
のである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 短繊維分散液を回転円盤状体上に供給し、該
   液を円盤周囲に飛散させ、これと交叉する捕集用
   基材上に繊維を捕集する短繊維配向連続シートの
   製造方法において、互いに対向した２個の回転円
   盤状体の間に該液を供給し、円盤もしくは一方の
   円盤を回転させ円盤周囲に飛散させることを特徴
   とする短繊維配向連続シートの製造方法。