JPH0469729B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は航空機の航法装置に係り、特に線加速
度の影響を除去する方法及びこの方法に基づく角
度検出装置に関する。

〔従来技術及び問題点〕

米国特許第4197737号（1980年４月15日日付、
特許権者は本願出願人）は、磁場、電場、気流、
線加速度、角加速度その他のパラメータの検出装
置に関するものである。この検出装置は、特に航
空機用に開発されたものであり、その要点は独立
した多数の検出装置が共通軸上に回転自在に装着
され、この検出装置の出力する１対の検出信号が
電圧の形で変換器に入力されることにある。上記
各独立の検出装置は、検出信号を交流電圧の形で
出力し、その信号の瞬間最大振幅が上記検出装置
を取り付けた航空機の物理的特性、例えば回転軸
線に直角な面内のベクトルにほぼ対応するように
取り付けられる。従つて上記物理的特性は上記検
出装置でほぼ完全に測定することができる。

上記軸に直角な軸線のまわりの角速度は、上記
軸から半径方向に延びかつ上記軸に直角な軸線を
撓み軸に有する１対のピエゾ結晶によつて検出さ
れる。上記従来の検出装置では、線加速度を受け
ると角速度検出装置に好ましくない影響が表われ
ることがわかつた。この線加速度は例えば次のよ
うにして生じるものである。すなわち、１対をな
す２個のピエゾ結晶の間に質量の不均衡がある場
合に、この１対のピエゾ結晶が回転軸線のまわり
に回転すると、回転軸線の方向の角運動量成分の
他にこの回転軸線の方向に垂直な方向の定常的な
角運動量成分が生じるからである。この定常的な
角運動成分は回転軸線に垂直な平面にあり、角速
度検出装置が検出目的とする角運動量成分と同一
の平面にある。このため、この定常的な角運動量
成分、すなわち線加速度は角速度検出装置に好ま
しくない影響を与えるのである。

この好ましくない影響を受けることなく検出装
置の出力信号をとり出すためには、多数のスリツ
プリングと分離された増幅器とを用いて、信号処
理装置に送る信号をミキシングする必要がある。
更に、２相のピツクアツプアレーを用いて線加速
度を適当に検出することが必要となる。従つて、
線加速度を検出装置全体のレベルで補償する必要
があるが、そのために装置が高価になり、信頼性
上の問題も生ずる。

〔発明の目的〕

本発明は上記補償を、上記のように検出装置レ
ベルではなく、検出装置の検出器レベルの装置で
行ない得る角速度検出方法及びその装置を提供す
ることを目的とする。

〔発明の概要〕

上記目的は、ピエゾ型回転子を双極子型とし、
回転軸線のまわいに高速回転させることにより達
成される。上記回転軸線に直角な任意の軸線のま
わりの回転速度に対応して動的出力を生じ、この
動的出力によつて入力角速度に比例する電気信号
を発生させる。線加速度が上記張出型回転子に加
わると、この回転子の出力が好ましからざる程度
にひずむので、この歪を補償するために、本発明
は、補償用ピエゾ装置を加え、この補償装置を上
記ピエゾ効果を利用する角速度検出装置に機械的
及び電気的に接続する。この補償装置の検出軸線
はピエゾ効果を利用する角速度検出装置に対する
線加速度の影響を完全に打消すように配設され
る。この補償装置の出力信号は、上記角速度検出
器の出力信号と同一スケール、同一位相であり、
この角速度検出器の出力信号と重ねられて線加速
度による好ましくない影響を打ち消す。

〔実施例〕

以下に本発明の実施例を図によつて説明する。

第１図に従来の角速度検出用プローブを示す。
このプローブは本願出願人が上記米国特許で開示
したものである。この第１図において、２箇のピ
エゾ結晶部材（歪検出用結晶装置）１６は軸１１
の両側に、この軸１１の軸線に直角な軸線に対し
て撓み得るように取り付けられる。必要に応じ、
慣性部材例えば環状部材１７を上記ピエゾ結晶部
材の半径方向外端部に対称的に設けることもでき
る。この構造体は角速度検出プローブを構成し、
このプローブは弾力的に支持された高速回転型本
体部のジヤイロ作用を利用するものである。上記
２箇の撓み得るピエゾ結晶部材は共通モードをな
くし、慣性を平衡させるために双極子を形成する
ように配設される。上記部材の角運動量は、軸１
１の回転軸線に直角に引加された角速度によつて
生ずる。この角運動量は、前記ピエゾ結晶によつ
て電圧を発生させ、この電圧は正弦波的であり、
上記軸線の回転周波数と等しい周波数を示す。

第１図のレートジヤイロは第２Ａ図乃至第２Ｄ
図に矢印で示すように反時計回りに回転する。第
２Ａ図乃至第２Ｄ図にピエゾ結晶の４つの連続的
位置が表わされ、上記軸は連続的に回転する。第
３Ａ図乃至第３Ｄ図に、上記装置の側面図を、第
２Ａ図乃至第２Ｄ図に対応させて示す。この図示
により明らかなように、軸１１の回転軸線は角度
アルフア（α）だけ傾斜するとする。軸１１と、
上記ピエゾ結晶部材１６が取り付けられて上記軸
に配設されるハブ１８とは、共にずれたりするこ
となく新たな位置に移れるように適当に装着され
ている。しかしながら、上記ピエゾ結晶部材の半
径方向外側の端部は、軸１１が傾斜してもジヤイ
ロ効果によつて、しばらくの間姿勢が変らない。
これは、もちろん、慣性部材が上記ピエゾ結晶部
材の半径方向外側の端部にある場合に特に顕著で
ある。上記ジヤイロ効果により、上記ピエゾ結晶
部材は、第３Ａ図乃至第３Ｄ図に示すように、機
械的な軸線を中心として撓むので、第４図に示す
ような出力電圧を発生する。従つて、上記ピエゾ
結晶部材が回転軸線に対して直角方向に角度αだ
け撓んだ時に、上記出力信号の電圧の合成値が瞬
間的に最大になる。上記ピエゾ結晶部材は出力の
極性が異なり、逆に接続された結果、合成された
出力は第５図に示すようになる。

第１図乃至第５図に示すように、上記ピエゾ結
晶部材は、慣性部材の有無にかかわらず、ジヤイ
ロ部材として使用され、このピエゾ結晶部材の応
力は入力角速度に比例する。このピエゾ結晶部材
の出力の振幅は入力角速度に比例する。この出力
の位相は回転軸線に直角の方向にある回転軸のま
わりの入力される角速度の方向に関係する。換言
すれば、回転軸１１がXY平面内の軸線のまわり
に傾斜すれば、レートジヤイロ、すなわち、第１
図の角速度検出器の出力は、上記XY平面内の軸
線のまわりの回転速度に比例し、その出力電圧の
位相は上記XY平面内の回転軸線の方向に支配さ
れる。なお上記回転軸１１がＺ軸方向に延びてい
るとする。

第６図に、本発明に基づき、線加速度の影響を
補償する装置を有する上記改良型角速度検出装置
を示す。

基本型の角速度検出装置は、その全体が符号２
０で表わされ、その基本構造は第１図、第２Ａ図
乃至第２Ｄ図、及び第３Ａ図乃至第３Ｄ図を用い
て説明した角速度検出装置と同様である。この検
出装置の中央のハブ２２に、中央回転軸線と同軸
に孔２４が設けられる。２箇の撓み得るピエゾ装
置２６，２８はハブ２２から半径方向外側に延
び、すでに説明した従来の可塑性ピエゾ結晶部材
１６と同様に作用する。上記ピエゾ装置２６はピ
エゾ部材３０，３２よりなり、上記ピエゾ装置２
８は結晶素子３４，３６よりなる。矢印で示すよ
うに、上記ピエゾ装置２６，２８は回転軸線２５
を含む平面上で撓む。本発明に基づく改良、すな
わち線加速度補償装置３８は、この補償装置３８
の可塑性ピエゾ装置に電気的に接続された角速度
検出装置２０の出力に対する線加速度の好ましく
ない影響を減少させるものである。

上記補償装置３８は中央ブロツク４０を含み、
このブロツク４０は適当な材料、例えば、セラミ
ツク材料で得作られ、孔４２を有し、この孔４２
は回転軸線２５と同軸である。撓み得るピエゾ装
置４４は結晶素子４６，４８を有し、回転軸線２
５に対して直角な方向に延びる。矢印で示すよう
に、上記補償装置３８の可塑性ピエゾ装置４４は
回転軸線２５に直角な面に対して撓む。軸５２
は、角速度検出装置２０及び補償装置３８の孔２
４，４２にそれぞれ適当に挿入され、この軸５２
に、上記角速度検出装置及び補償装置が共通軸線
と同軸になるように取り付けられる。

上記補償装置の可塑性ピエゾ装置４４は上記方
向に配設されることにより、角速度に対する応答
性は鈍いが、線加速度に対しては完全に応答す
る。この補償装置３８を軸５２に適当に位置決め
することにより、線加速度に応答して、角速度検
出装置２０によつて発生する線加速度信号と同じ
位相を有する信号を発生するように、オフセツト
角度を設定することができる。上記ピエゾ装置４
４のピエゾ装置２６，２８に対する角度は、実際
には、試行錯誤を行なつて決める。それは、実際
の結晶素子が理想的な結晶構造でない場合に、そ
の影響を最小にするためである。慣性調整部材５
０は、上記ピエゾ装置４４の外端部に、振幅が線
加速度の振幅を相殺するように取り付けられる。
この慣性調整部材５０は半田で作られ、上記補償
装置３８の振幅を精密にゼロにするように足した
り削つたりする。

補償装置３８に補償作用をさせるためには、こ
の補償装置３８を角速度検出装置２０の結晶に電
気的に接続しなければならない。従つて、導線５
４を用いて角速度検出装置２０の結晶素子３４を
補償装置３４の結晶素子４６に接続する。これと
同様に、導線５６で角速度検出装置２０の結晶素
子３２を補償装置３８の結晶素子４６に接続す
る。導線５８は角速度検出装置２０の結晶素子３
６，３６を接続し、この接続には余裕をもたせ
る。

第６図の補償装置を組み立てる時には、正確に
位相が打ち消されるまで、補償装置３８を軸５２
のまわりに回転される。その後に、中央ブロツク
４０を角速度検出装置２０のハブ２２に、適当な
エポキシ系接着剤で取り付ける。このようにする
代りに、軸５２にねじ部がある場合には、補償装
置３８を回転軸線に対して自由に回転できるよう
にし、固定具を螺合させてしつかり固定した後に
角速度検出装置を固定しても良い。

次に補償装置３８の作用について説明する。

補償装置３８はブロツク４０の一方の側部に可
撓性ピエゾ装置４４および慣性調整部材５０を有
しており、回転軸線２５に対して軸対称ではない
ので、補償装置３８が回転軸線２５のまわりに回
転すると、回転軸線２５に垂直な平面内に角運動
量成分を生じさせることができる。また、図６に
示すようにピエゾ結晶４６およびピエゾ結晶４８
はこの回転方向に積層されているので、補償装置
３８が回転軸線２５のまわりに回転すると、ピエ
ゾ結晶４６およびピエゾ結晶４８に作用するモー
メントにより、可撓性ピエゾ装置４４は電圧信号
を発生する。この電圧信号の大きさおよび位相
は、補償装置３８が回転軸線２５のまわりに回転
して生じる回転軸線２５に垂直な平面内に角運動
量成分を反映する量である。

一方、除去することを目的とする好ましくない
線加速度は、２個のピエゾ結晶２６，２８の間に
質量の不均衡性等に起因し回転軸線２５に垂直な
平面内にある角運動量成分に関係する。この線加
速度に関係する角運動量成分に比例して、２個の
ピエゾ結晶２６，２８に好ましくない電圧信号が
生じる。この好ましくない電圧信号の大きさを打
ち消すように慣性調整部材５０の質量を選択す
る。また、この好ましくない電圧信号の位相を打
ち消すように、補償装置３８を軸５２のまわりに
回転して、２個のピエゾ結晶２６，２８の間の質
量の不均衡性の分布にあわせる。

このようにして、角速度検出装置２０と補償装
置３８とを結線し、ピエゾ結晶２６，２８の好ま
しくない電圧信号と補償装置３８の電圧信号の大
きさおよび位相が打ち消しあうようにする。

〔効果〕

以上のように本発明は、線加速度の影響を受け
ない角速度検出装置を提供する。上記補償装置３
８は、角速度検出装置２０の信号と大きさおよび
位相の合わされた信号を発生し、この信号は角速
度検出装置２０の信号に加えられ、線加速度の好
ましからざる影響を除くことができる。従つて、
本発明により、補償用の外部信号処理装置を用い
ることなく検出器レベルで補償を行なうことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の角速度検出装置の略図、第２Ａ
図乃至第２Ｄ図は第１図の検出装置の検出ロータ
ーの回転を90°毎に示す略図、第３Ａ図乃至第３
Ｄ図は第２Ａ図乃至第２Ｄ図に対応する検出装置
の側面図、第４図は第２Ａ図乃至第２Ｄ図及び第
３Ａ図乃至第３Ｄ図に示す検出装置の２箇の結晶
の出力の説明図、第５図は第４図の出力信号の電
圧の合成曲線を示す説明図、第６図は本発明に基
づいて補償作用を行なうよに改良された角速度検
出装置の分解斜視図である。 １１，５２……軸、１６……従来のピエゾ結晶
部材、１８，２２……ハブ、２０……角速度検出
装置、２４，４２……孔、２６，２８，４４……
ピエゾ装置、３０，３２，３４，３６，４６，４
８……結晶素子、３８……線加速度補償装置、４
０……中央ブロツク、５０……慣性調整部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 第１部分と第２部分とからなり、上記第１部
   分は回転軸線に同軸なハブと、このハブから半径
   方向外側に延び、回転軸線のまわりに角速度に対
   応する所要の成分と線加速度に関する好ましくな
   い成分とを含む複合信号を生成する少なくとも１
   対の可撓性ピエゾ装置とを有し、上記第２部分は
   上記回転軸線に同軸な中央部本体と、この中央部
   本体から外側に延びて線加速度に対応する信号を
   発生する第３の可撓性ピエゾ装置と、線加速度の
   影響を打消すために上記３箇の可撓性ピエゾ装置
   を接続する導線と、上記第１及び第２部分を同一
   軸線上に離間して組み合わせ、上記第２部分の出
   力信号の位相を自由に調節できるように、上記第
   ３のピエゾ装置を上記対をなすピエゾ装置に対す
   る角度を自由に変え得るように取り付ける取付装
   置と、上記第３の可撓性ピエゾ装置の出力信号の
   振幅を決定するための第３のピエゾ装置の外側端
   部に重量調節手段とを有することを特徴とする線
   加速度補償型角速度検出装置。 ２ 上記取付装置はねじ部を備えた固定部材を有
   し、この固定部材は上記ハブの中央部および中央
   部本体に形成された孔に挿入され、上記取付装置
   は組立時に上記第１部材及び第２部材の角度を調
   節できるとともに組立後に上記第１部材及び第２
   部材との間を固定保持できる構造であることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項に記載の角速度検
   出装置。 ３ 上記取付装置は固定部材を有し、この固定部
   材は上記ハブの中央部および中央部本体に形成さ
   れた孔に挿入され、上記取付装置は組立時に上記
   第１部材及び第２部材の角度を調節できるととも
   に組立後に上記第１部材及び第２部材との間を固
   定保持できる構造であることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項に記載の角速度検出装置。 ４ 回転軸線を中心として回転するハブと、この
   ハブから半径方向に延びて撓み得る第１ピエゾ装
   置及び第２ピエゾ装置とを有する角速度検出装置
   の出力信号の線加速度成分を補償する方法におい
   て、上記補償方法は、線加速度の影響を示す信号
   を生成させるために、上記ハブと組み合わせて同
   一軸線上に離間して第３ピエゾ装置を取り付ける
   段階と、撓み得る第１ピエゾ装置及び第２ピエゾ
   装置によつて生成された信号の線加速度成分を打
   ち消すために、第１ピエゾ装置乃至第３ピエゾ装
   置を接続する段階と、撓み得る上記第３ピエゾ装
   置から導かれる線加速度信号の振幅が第１ピエゾ
   装置及び第２ピエゾ装置からの好ましからざる線
   加速度信号を十分打ち消す大ききさになるよう
   に、第３ピエゾ装置に重量を加える段階とを含む
   ことを特徴とする線加速度補償方法。 ５ 撓み得る第３ピエゾ装置から導かれる線加速
   度信号の位相が撓み得る第１及び第２ピエゾ装置
   の出力信号の位相に合うように、第３ピエゾ装置
   が第１及び第２ピエゾ装置に対してなす角度を調
   節できる段階をさらに有することを特徴とする特
   許請求の範囲第４項に記載の線加速度補償方法。 ６ 撓み得る第３ピエゾ装置から導かれる線加速
   度信号の位相が撓み得る第１及び第２ピエゾ装置
   の出力信号の位相に合うように、第３ピエゾ装置
   が第１及び第２ピエゾ装置に対してなす角度を周
   期的に調節できる段階をさらに有することを特徴
   とする特許請求の範囲第４項に記載の線加速度補
   償方法。