JPH046279Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、FMステレオ受信機に用いられるス
テレオ・モノラル切換回路に関するものである。

(ロ) 従来の技術 特開昭55−86235号公報に開示されている如く、
19KHzステレオバイロツト信号の有無に応じて、
38KHzサブキヤリア信号がステレオ復調回路に
印加されるのを制御するステレオ・モノラル切換
回路が知られている。このステレオ・モノラル切
換回路は、第２図に示す如く、差動接続された第
１及び第２トランジスタ１及び２と、該第１及び
第２トランジスタ１及び２の共通エミツタに接続
された電流源トランジスタ３とを備えている。い
ま、ステレオ放送が受信されているとすれば、電
流源トランジスタ３のベースにステレオバイロツ
ト信号に応じた「Ｈ」の制御信号が印加され、前
記電流源トランジスタ３が導通し、ステレオ・モ
ノラル切換回路が動作状態になる。その為、
PLL回路４から発生する互いに逆相の38KHzサ
ブキヤリア信号が第１及び第２トランジスタ１及
び２で増幅され、そのコレクタからステレオ復調
回路５に印加される。その為、入力端子６に印加
されるステレオコンポジツト信号が前記ステレオ
復調回路５で復調され、出力端子７及び８にそれ
ぞれ左右ステレオ信号が得られ、ステレオ受信が
達成される。

また、モノラル放送の受信時には、電流源トラ
ンジスタ３のベースに「Ｌ」の制御信号が印加さ
れ、前記電流源トランジスタ３が非導通となる。
その為、第１及び第２トランジスタ１及び２も非
導通となり、PLL回路４から発生する38KHzサ
ブキヤリア信号は前記第１及び第２トランジスタ
１及び２で増幅されなくなる。従つて、ステレオ
復調回路５が復調動作を行なわず、入力端子６に
印加されたモノラル信号は、出力端子７及び８に
等しく発生し、モノラル受信が達成される。

それ故、第２図の如きステレオ・モノラル切換
回路を用いれば、受信信号に応じた復調状態を得
ることが出来る。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 しかしながら、第２図のステレオ・モノラル切
換回路は、モノラル受信時に38KHzサブキヤリ
ア信号の漏れが生じ、Ｓ／Ｎが悪化するという問
題がある。すなわち、第１及び第２トランジスタ
１及び２のベースにはPLL回路４から38KHzサ
ブキヤリア信号が印加されている為、モノラル受
信時に電流源トランジスタ３を非導通にしても、
前記第１及び第２トランジスタ１及び２に暗電流
I_CBOが流れ、前記暗電流に起因して前記第１及び
第２トランジスタ１及び２のコレクタに38KHz
サブキヤリア信号が漏出する。そして、前記
38KHzサブキヤリア信号の漏れ成分がステレオ
復調回路５に印加されると、入力端子６に印加さ
れるモノラル信号との間でビートが生じ、Ｓ／Ｎ
が大巾に悪化する。ちなみに、ステレオ復調回路
５の出力信号中に含まれるキヤリアリークは、バ
イアス回路等が適切に設計された回路においても
無入力時−75dB、モノラル受信時−60dB程度の
値になる。

上記のキヤリアリークに起因するＳ／Ｎの悪化
は、ノイズリダクシヨン回路を備えるラジオ付録
音機器で特に問題となり、前記キヤリアリークは
底レベルであることが要求されている。

(ニ) 問題点を解決するための手段 本考案は、上述の点に鑑み成されたもので、受
信状態に応じて発生する制御信号により、電流源
トランジスタを制御するとともに、前記制御信号
に応じて差動接続された第１及び第２トランジス
タのベース信号路を遮断する手段を設けた点を特
徴とする。

(ホ) 作用 本考案に依れば、電流源トランジスタを非導通
とすることにより差動接続された第１及び第２ト
ランジスタのエミツタ電流路を遮断するととも
に、前記第１及び第２トランジスタのベースを接
地して38KHzサブキヤリアの遮断を行なつてい
るので、キヤリアリークを確実に防止出来る。

(ヘ) 実施例 第１図は、本考案の一実施例を示すもので、９
は制御端子１０に印加される制御信号に応じて導
通する第１遮断トランジスタ、１１は第１コレク
タが第１トランジスタ１のベースに、第２コレク
タが第２トランジスタ２のベースにそれぞれ接地
され、エミツタが接地され、ベースが前記第１遮
断トランジスタ９のコレクタに接続された第２遮
断トランジスタ、及び１２は前記第１遮断トラン
ジスタ９のコレクタに接続された電流源である。
尚、前記第２遮断トランジスタ１１と電流源１２
とは、I²Ｌ（インテグレーテツド・インジエクシ
ヨン・ロジツク）を構成しており、第１図におい
て第２図と同一の回路素子及びブロツクには同一
の符号を付し、説明を省略してある。

いま、ステレオ放送が受信され、ステレオ表示
回路（図示せず）を駆動する為のランプトリガ信
号が発生すると、前記ランプリトリガ信号「Ｈ」
が制御入力端子１０に印加され、電流源トランジ
スタ３が導通する。また、前記ランプトリガ信号
は、第１遮断トランジスタ９にも印加されるの
で、前記第１遮断トランジスタ９が導通し、それ
に応じて第２遮断トランジスタ１１がオフにな
る。従つて、第１及び第２遮断トランジスタ９及
び１１は回路動作に影響を与えず、PLL回路４
から発生する38KHzサブキヤリア信号は第１及
び第２トランジスタ１及び２のベースに正常に印
加される。前記電流源トランジスタ３が導通する
と、第１及び第２トランジスタ１及び２が動作状
態となり、前記38KHzサブキヤリア信号を増幅
してステレオ復調回路５に供給する。その結果、
入力端子６に印加されるステレオコンポジツト信
号が前記ステレオ復調回路５で復調され、出力端
子７及び８に左右ステレオ信号が発生する。

次に、モノラル放送が受信されると、ランプト
リガ信号が発生しなくなり、制御入力端子１０の
信号が「Ｌ」になる。その為、電流源トランジス
タ３が非導通となり、第１及び第２トランジスタ
１及び２が不動作になる。同時に、第１遮断トラ
ンジスタ９がオフし、それに応じて第２遮断トラ
ンジスタ１１が導通し、PLL回路４の出力端に
得られる38KHzサブキヤリア信号の遮断が行な
われる。従つて、前記38KHzサブキヤリア信号
の漏れ成分がステレオ復調回路５に印加されるこ
とは無く、Ｓ／Ｎの悪化が大巾に改善される。ち
なみに、従来の場合と同一の条件で測定したキヤ
リアリークは、無入力時−80dB、モノラル受信
時−80dBの値となり、特にモノラル受信時の特
性改善が−20dBという大きな値となつた。

尚、実施例に示す如く、第２遮断トランジスタ
１１をI²Ｌで構成すれば、IC（集積回路）化した
際の面積の縮小を計ることが出来、マルチコレク
タ型の単一のトランジスタにより第１及び第２ト
ランジスタ１及び２のベース信号路を同時に遮断
出来る。

(ト) 考案の効果 以上述べた如く、本考案に依れば、ステレオ・
モノラル切換回路をモノラル受信時に不動作とす
る制御信号を用いて、前記切換回路を構成する第
１及び第２トランジスタのベース信号路をも遮断
しているので、38KHzステレオサブキヤリア信
号の漏れに起因するビート妨害が生じず、Ｓ／Ｎ
の改善を計ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す回路図、及
び第２図は従来のステレオ・モノラル切換回路を
示す回路図である。 １……第１トランジスタ、２……第２トランジ
スタ、３……電流源トランジスタ、４……PLL
回路、５……ステレオ復調回路、９……第１遮断
トランジスタ、１１……第２遮断トランジスタ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 差動接続された第１及び第２トランジスタと、
   該第１及び第２トランジスタの共通エミツタに接
   続された電流源トランジスタとを備え、前記第１
   及び第２トランジスタのベースにそれぞれ印加さ
   れる38KHzサブキヤリア信号を前記第１及び第
   ２トランジスタのコレクタからステレオ復調回路
   に印加するとともに、前記電流源トランジスタの
   ベースに制御信号を印加してステレオ・モノラル
   の切換を行なうステレオ・モノラル切換回路にお
   いて、前記制御信号に応じて前記第１及び第２ト
   ランジスタのベース信号路を遮断する手段を設け
   たことを特徴とするステレオ・モノラル切換回
   路。