JPH0458921B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、作土と停滞線の下方の心土の適宜深
さ位置までを掘り起こして施肥する深耕深層施肥
方法に用いられる心土耕作装置に関し、詳しく
は、トラクターに設けられた鋤保持部材に作土堀
刃を設け、該作土堀刃の下方で、進行方向後方側
に位置させて心土耕作用の鋤刃を設けた心土耕作
装置に関する。

〔従来技術及びその問題点〕

通常一般に行われている施肥方法は第７図ａに
示すように、作土Ａを停滞線Ｂの上部近傍深さ位
置まで堀り起こし、該掘り起こし部分Ｃに肥料分
Ｅをまいて施肥を行つていた。

ところが、第７図ｂに示すように、降雨時の水
分ｆが作土Ａと心土Ｄ間の停滞線Ｂに阻まれて、
該停滞線Ｂより下方に浸透せず横方向に流れてし
まい、また、晴天の時は心土Ｄを毛細管現象によ
り上方に登つてきた地下水ｇが該停滞線Ｂに阻ま
れてこの停滞線Ｂ下方位置で止まつてしまい作土
Ａまで浸透せず、このために、施肥効果が十分に
発揮されず、応々にして作物Ｓの成育も十分にな
されないといつた問題点があつた。

そこで、作土と停滞線の下方の心土の適宜深さ
位置まで掘り起こし肥料を心土まで入れて、施肥
効果を高め、作物の成育を良くし、しかも簡単に
作業が行い得る深耕深層施肥方法が提案された。

この深耕深層施肥方法は、第６図ａに示すよう
に、心土溝ｄに肥料分Ｅを施すと、第６図ｂに示
すように、降雨時の水分ｆが該心土溝ｄまで入り
込み、この心土溝ｄより周辺の心土Ｄに、この水
分ｆが浸透すると共に晴天時等は地下水ｇがこの
心土溝ｄより上方に上がつてきて作土Ａまで浸透
してくるのである。これによつて、作物Ｓに対す
る肥料分Ｅと水分ｆ・ｇが充分に供給されること
になつて、施肥効果を高めることができるように
なつた。

こうした深耕深層施肥方法を行うには、通常の
作土を耕作する他に、作土の下方の心土をも耕作
しなければならず、この為に、作土堀刃の下方に
心土耕作用の鋤刃を設けることが必要である。

こうした従来の心土耕作用の鋤刃を備えた耕作
装置としては、例えば、実開昭55−72804号公報
において提案されているものが知られている。

ところが、作土と心土の間には比較的固い所謂
停滞線（耕耘床）が横たわつており、心土耕作用
の鋤刃はこの停滞線を突き破つて下方に深く侵入
して水平に進行しなければならない。この場合、
心土耕作用の鋤刃は、作土の表面からすると非常
に深い位置にあり、その鋤刃の底部では比較的柔
らかい心土を耕作するが、その上部では比較的硬
度のある停滞線の大きな前進抵抗を受けることに
なる。その際、この鋤刃の前進時に、前記停滞線
（耕耘床）の厚みも硬度も一様でないことと鋤刃
の底部（心土）と上部で耕作抵抗に差があること
が原因し、この鋤刃は前進抵抗の少ない部分を進
行しようとして左右にブレる現象が発生する。

その結果、耕作される心土溝の直線性が得られ
なかつたり、前述の鋤刃のブレの為に鋤刃の先端
が安定せず、時には上方に持ち上がつたりして心
土溝の深度を所期の値に維持でき難くなつたりす
る問題があつた。

本発明は、こうした従来の心土耕作装置の持つ
問題点を解消し、安定した直進性と耕作深度を確
保できる心土耕作装置を提供することを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、上記目的を達成するために、トラク
ターに設けられた作土堀刃の下方で、且つ進行方
向後方側に位置させて心土耕作用の鋤刃を鋤保持
部材に設けた心土耕作装置であつて、進行方向及
び上下の方向において前記作土堀刃と心土耕作用
の鋤刃との間に位置し、作土と心土との間の停滞
線上部近傍位置部分を水平にガイドするガイド鋤
刃を、前記鋤保持部材に設ける、という手段を講
じたものである。

〔作用〕

本発明装置は、上記構成により、上方の作土堀
刃によつて作土を耕作しつつ鋤保持部材下端部の
鋤刃で心土を掘り起こすと共に鋤保持部材の所定
個所に設けられたガイド鋤刃で停滞線上部近傍位
置部分を水平にガイドするものである。この際、
ガイド鋤刃と心土耕作用の鋤刃とが上記の位置関
係で同一の鋤保持部材に設けられているので、比
較的硬度のある停滞線（耕耘床）とその下方の心
土とを耕作するときに、下方の心土耕作用の鋤刃
が比較的硬度のある停滞線の抵抗に合つて後方に
押しやられ勝手となつて鋤保持部材の上側を前傾
させようとするのを、この鋤刃よりも前方上方に
位置し、且つ、前記停滞線の上部近傍部分に位置
するガイド鋤刃が上方から抑え込むように作用し
ながらガイドする。また、前記停滞線が厚さや硬
度が一様でないことと心土耕作用の鋤刃の下方が
比較的柔らかい心土を耕作するために、この鋤刃
の先端方向が安定せず、心土耕作用の鋤刃の水
平、左右方向、引いては上下の方向へのブレが発
生するのを、上記ガイド鋤刃が比較的硬度のある
停滞線の上部近傍部分に位置してガイドして抑制
できるのであり、これによつて、進行方向を安定
させて直進性と深度とを確保できるのである。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は第１の実施例に係る装置の要部の斜視
図であつて、鋤保持部材２の下端部に前方より後
方に向かつて鋭角をもつ断面Ｖ字形で下端に略水
平な鋤部を形成した鋤刃３を設けると共に、前記
鋤保持部材２の停滞線上部近傍位置（後記する）
の所定個所に、前方に水平に延びる水平杆と前方
より後方に向かつて鋭角をもつ断面Ｖ字形で下端
に略水平な鋤部を形成したガイド鋤刃４を設け
て、更に該鋤保持部材２の後部位置に施肥用パイ
プ５を取り付けたものであり、また、前記鋤保持
部材２の上部後方位置には、重し（第３図、第５
図参照）が取り付けられるものである。

そして鋤保持部材２の前方位置に作土堀刃１を
配置したものである。

要するに、トラクターに鋤保持部材２を介して
設けられた作土堀刃１の下方で、且つ進行方向後
方側に位置させて心土耕作用の鋤刃３を鋤保持部
材２に設けた心土耕作装置なのであつて、進行方
向及び上下の方向において前記作土堀刃１と心土
耕作用の鋤刃３との間に位置し、作土と心土との
間の停滞線上部近傍位置部分を水平にガイドする
ガイド鋤刃４を、前記鋤保持部材２に設けたとい
うことである。そして、上記心土耕作用の鋤刃３
とガイド鋤刃４とが所定の上下間隔で前記鋤保持
部材２に固定されているということである。

また、第２図は第２の実施例に係る装置の要部
斜視図であつて、三本の鋤保持部材２，２′，
２′を並設し、中央の取付用鋤保持部材２′に対
し、両側の鋤保持部材２′，２′が連結杆２０，２
０により連結されており、各鋤保持部材２，２′，
２′に各々鋤刃３とガイド鋤刃４と施肥用パイプ
５を設けたものである。

上記のように構成された本装置Ｔは、下記の如
くしてトラクターに着脱自在に取り付けられる。
ここでは、便宜上、第１図の第１の実施例の装置
をトラクターに取り付けたものについて説明す
る。まず、第３図（装置Ｔを取り付けた状態を上
方から斜視した図）に示すように、トラクター
（後記する）に着脱自在に取り付けられる装置支
持具６の支持杆７のほぼ中央部に設けられた取付
貫通孔７ａに着脱自在且つ上下移動調節自在に鋤
保持部材２を挿入して立下させ、適宜上下寸法個
所で、支持杆７の雌ネジ孔に螺入されたボルト７
ｂを螺進させて鋤保持部材２を締め付け固定して
装置支持具６の支持杆７に支持せしめるものであ
る。換言すると、前記作土堀刃１と前記鋤保持部
材２とが上下方向に相対位置変更自在に設けられ
ているということである。これによつて、前記作
土堀刃１に対して心土耕作用の鋤刃３とガイド鋤
刃４とを簡単に上下位置調節できるのである。ま
た、前記装置支持具６の支持杆７の後部（前記鋤
保持部材の後方位置）には適宜な重さの重し１０
が取り付けられている。

上記のようにして本装置Ｔを立下支持固定した
装置支持具６は第５図に示すように、トラクター
８の後部に設置され、該トラクター８の前進走行
により本装置Ｔにて土を耕作するものである。ま
た、第５図に示すように、前記施肥用パイプ５の
上部位置には該パイプ５と連結した肥料タンク９
が配置されている。

しかして、上記のように構成され、トラクター
８の後部位置に配置された本装置Ｔによつて土を
耕作すると、第５図に示すように、鋤保持部材２
下端の鋤刃３が作土Ａと停滞線Ｂの下方の心土Ｄ
の適宜深さ位置まで深耕し、また、これと共に、
前記ガイド鋤刃４は停滞線Ｂの上部個所を耕作し
ながら本装置全体の位置を支えて水平にガイド
し、また、上方位置の作土堀刃１によつて作土Ａ
を耕作する。

〔発明の効果〕

本発明にかかる心土耕作装置によれば、心土へ
の施肥を行うための心土溝を耕作するのに、心土
耕作用の鋤刃のブレを抑制して直進性と深度とを
確保でき、所期の心土溝をスムースに耕作できる
という効果を奏するに到つた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る装置の第１の実施例の要
部の斜視図、第２図は第２の実施例の要部の斜視
図、第３図は第１の実施例の装置の取り付け状態
を示す上方から見た斜視図、第４図は本装置によ
る深耕状態を示す説明図、第５図はトラクターに
本装置を設置した状態の斜視図、第６図ａ，ｂは
深耕深層施肥方法の実施例の説明図、第７図ａ，
ｂは従来の施肥方法を示す説明図である。 図中、Ａ……作土、Ｂ……停滞線、Ｄ……心
土、ｄ……心土溝、２……鋤保持部材、３……鋤
刃、４……ガイド鋤刃。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ トラクターに設けられた作土堀刃の下方で、
   且つ進行方向後方側に位置させて心土耕作用の鋤
   刃を鋤保持部材に設けた心土耕作装置であつて、
   進行方向及び上下の方向において前記作土堀刃と
   心土耕作用の鋤刃との間に位置し、作土と心土と
   の間の停滞線上部近傍位置部分を水平にガイドす
   るガイド鋤刃を、前記鋤保持部材に設けたことを
   特徴とする心土耕作装置。 ２ 上記心土耕作用の鋤刃とガイド鋤刃とが所定
   の上下間隔で前記鋤保持部材に固定され、前記作
   土堀刃と前記鋤保持部材とが上下方向に相対位置
   変更自在に設けられていることを特徴とする特許
   請求に範囲第１項に記載の心土耕作装置。