JPH0449453Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ボイラ火炉などの工業炉を炉本体と
し、この炉本体の前炉として微粉炭、微粉オイル
コークスなどの固体燃料（以下、単に石炭とい
う）を燃焼用旋回空気により燃焼するサイクロン
石炭燃焼炉において、燃焼炉内に石炭と燃焼用旋
回空気（二次空気）とを、それぞれ上下二段に分
け分割して供給する石炭投入装置に関するもので
ある。

〔従来の技術〕

従来から、ボイラ火炉などの工業炉において
は、炉本体に前炉としてサイクロン石炭燃焼炉を
設けて石炭を部分燃焼させるようにしたものが知
られている。このような前炉を備えた工業炉は、
燃焼効果が優れたものであることから、広く用い
られている。

上記の従来型のサイクロン石炭燃焼炉の構造を
示すものとして、たとえば先に提案した実開昭60
−76717号公報に示されるように、微粉炭と空気
とをサイクロン石炭燃焼炉内に供給するととも
に、これらを高速旋回流として効果的に混合して
燃焼させることにより、微粉炭を部分燃焼させる
構造のものが開示されている。すなわち、第３図
に示すように、ボイラ火炉などの火炉１の側壁に
サイクロン石炭燃焼炉２を横方向に取り付け、こ
のサイクロン石炭燃焼炉に石炭投入ノズル３、燃
焼用旋回空気供給ノズル４および燃焼ガスを火炉
へ導くガス導通口５を設け、サイクロン石炭燃焼
炉２の内部に、この炉２内で発生する燃焼ガスを
通過させ溶融スラグをせき止めるためのスラグバ
ツフル６を設けるとともに、スラグバツフルの燃
焼ガス上流側に下向きのスラグ流下口７を設けた
サイクロン石炭燃焼炉が記載されている。８はス
ラグタンク、１０は燃焼室、１１はバイパスライ
ン、１２は火炎である。

また、特公昭32−3908号公報には、１次サイク
ロンに燃料供給管と２次空気供給管とを、隣接し
てそれぞれ接線方向に接続したサイクロンフアー
ネスが記載されている。

特公昭35−13719号公報には、火炉の上下に、
燃料噴射ノズルと燃焼用旋回空気供給ノズルとを
それぞれ２組設けた構成が記載されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし上記従来のサイクロン石炭燃焼炉におい
ては、石炭を１本の投入ノズルで、燃焼用旋回空
気（二次空気）を他の１本の供給ノズルで供給す
るものであるから、適正な燃焼条件を保持できな
いことがあつた。

また別の従来方式で、燃焼炉の円筒軸方向に沿
つて横並びに石炭投入ノズルおよび二次空気供給
ノズルを設け、石炭、空気の各量を調節すること
ができるように構成したものが知られているが、
この方式では、低負荷運用に対する給炭量調節が
主で、燃焼性を制御する機能は低いという不都合
があつた。

また、特公昭32−3908号公報、特公昭35−
13719号公報記載の考案では、石炭投入ノズルお
よび燃焼用旋回空気供給ノズルは、各々交互に二
段ずつに分割して一体化された構造とはなつてお
らず、各々のノズルを多層状に隣接して設置する
という技術的思想は何も示されていないので、燃
焼時間が長くなり、燃焼効率が悪くなるという問
題点があつた。

本考案は上記の諸点に鑑みなされたもので、石
炭投入ノズルおよび燃焼用旋回空気供給ノズル
を、各々交互に二段ずつに分割して一体化し、か
つ各量独立に調節できるようにすることにより、
適正な燃焼条件を保持しつつ、かつ低負荷運転へ
の対応もでき、しかも燃焼効率が向上する石炭投
入装置を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕 本考案のサイクロン石炭燃焼炉における石炭投
入装置は、第１図〜第３図を参照して説明すれ
ば、火炉１の側壁にサイクロン本体１５を横方向
に取り付け、このサイクロン本体１５に石炭投入
ノズル３、燃焼用旋回空気供給ノズル４、燃焼ガ
スを火炉へ導くガス導通口５およびスラグ流下口
７を設けたサイクロン石炭燃焼炉２において、 石炭投入ノズルと燃焼用旋回空気供給ノズルと
を隣接して取り付け、石炭投入ノズルと燃焼用旋
回空気供給ノズルとを交互に各々二段ずつに分割
供給できるように、上段燃焼用旋回空気供給ノズ
ル１６、上段石炭投入ノズル１７、下段燃焼用旋
回空気供給ノズル１８、下段石炭投入ノズル１９
の順に層状に隣接させノズルを一体として配置
し、各ノズルにそれぞれ独立した供給管を接続
し、各々の流量を調整可能にしたことを特徴とし
ている。

このように、本考案の装置においては、サイク
ロン石炭燃焼炉の接線方向から、上段燃焼用旋回
空気供給ノズル１６、上段石炭投入ノズル１７、
下段燃焼用旋回空気供給ノズル１８、下段石炭投
入ノズル１９を接線方向に対して多層状に隣接さ
せ、一体のノズルとして配置し、これらの上段燃
焼用旋回空気供給ノズル１６、上段石炭投入ノズ
ル１７、下段燃焼用旋回空気供給ノズル１８、下
段石炭投入ノズル１９、各々のノズルからの空気
および石炭投入量の調整が可能な構造となつてい
る。すなわち、ノズル１６，１７，１８，１９が
別個に独立して設けられているので、ノズル１
６，１８へ供給する空気量、及びノズル１７，１
９へ供給する石炭量を任意に変えることができ
る。

〔作用〕

上下各段の石炭および二次空気の量を、それぞ
れ独立に調節して供給することにより、上下各段
における石炭／空気の濃淡燃焼ができ、負荷や燃
焼条件に応じて適切な着火・保炎性能が確保され
る。

また低負荷運用時に、上下いずれかの段におけ
る石炭投入をカツトし、使用段における石炭／一
次空気の流速を制限速度以上に保つことによつ
て、逆火の防止を図ることができる。

さらに、各々のノズルが二段ずつ隣接して設け
られているので、燃料層（石炭層）の両面で燃焼
空気と接触して接触面積が増大し、燃料と空気と
の攪拌性も向上するので、燃焼時間が短縮され
る。そして、二段ずつにすることにより燃料層が
薄くなり、両面から燃焼するので、燃焼が早く完
結する。

〔実施例〕

以下、第１図および第２図を参照して本考案の
好適な実施例を詳細に説明する。ただしこの実施
例に記載されている構成機器の形状、その相対配
置などは、とくに特定的な記載がない限りは、本
考案の範囲をそれらのみに限定する趣旨のもので
はなく、単なる説明例にすぎない。

１５は円筒型のサイクロン本体で、このサイク
ロン本体１５に石炭投入ノズルと燃焼用旋回空気
（二次空気）供給ノズルとを隣接して接線方向に
取り付け、石炭投入ノズルと燃焼用旋回供給ノズ
ルとを、交互に各々二段ずつに分割供給できるよ
うに、上段燃焼用旋回空気供給ノズル１６、上段
石炭投入ノズル１７、下段燃焼用旋回空気供給ノ
ズル１８、下段石炭投入ノズル１９の順に層状に
隣接させノズルを一体として上から配置し、各ノ
ズルにそれぞれ独立した供給管を接続し、各々の
流量を調整可能にする。すなわち、上段燃焼用旋
回空気供給ノズル１６に独立した上段空気供給管
２０を接続し、下段燃焼用旋回空気供給ノズル１
８に独立した下段空気供給管２１を接続し、上段
石炭投入ノズル１７に独立した上段石炭搬送管２
２を接続し、下段石炭投入ノズル１９に独立した
下段石炭搬送管２３を接続する。

上段石炭搬送管２２および下段石炭搬送管２３
は、各々独立に設けられるが、第１図に示すよう
に、１本の主石炭搬送管２４を分岐し、この分岐
点に、通常の微粉炭バーナで用いられている分配
調節ダンパ２５を設ける場合がある。この場合
は、石炭供給系を一系統ですませることができる
という利点がある。

上記のように構成された石炭投入装置におい
て、石炭投入ノズル１７，１９から微粉炭と一次
空気との混合物を供給し、燃焼用旋回空気供給ノ
ズル１６，１８から二次空気を供給する。両者を
それぞれ独立に適正量になるように調節して、サ
イクロン本体１５内に供給し、火炉１（第３図参
照）からの輻射熱により着火し燃焼する。

なお、各々のノズルを多層状に隣接して設置す
るのは、燃料と燃焼空気の接触が燃料層の両面と
なり、接触面積が増大し、燃料と空気の攪拌性も
向上するため、燃焼時間が短縮されること、そし
て多層にすることにより燃料の層が薄くなり、両
面から燃焼するため、燃焼が早く完結し、火炎が
短くなることが理由である。

〔考案の効果〕

本考案は上記のように構成されているので、つ
ぎのような効果を奏する。

(1) 石炭投入ノズルと燃焼用旋回空気供給ノズル
とを一体として、各々を二段ずつに分割し、各
量独立に調節できるようにしているので、適正
な燃焼条件を保持することができ、かつ低負荷
に対応することができる。

(2) これら各々のノズルを多層状に隣接して設置
することにより、保炎性が向上し、燃焼時間が
短縮される。よつて早期燃焼が実現する。

(3) 早期燃焼により炉内温度が平均化し、低温部
が少なくなり燃焼反応が促進される。

(4) 以上の効果の結果、燃焼効率の向上と脱灰率
の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のサイクロン石炭燃焼炉におけ
る石炭投入装置の一実施例を示す断面説明図、第
２図は第１図における石炭投入ノズルを前面（燃
焼炉内側）から見た断面説明図、第３図は従来の
サイクロン石炭燃焼炉の一例を示す断面図であ
る。 １……火炉、２……サイクロン石炭燃焼炉、３
……石炭投入ノズル、４……燃焼用旋回空気供給
ノズル、５……ガス導通口、６……スラグバツフ
ル、７……スラグ流下口、８……スラグタンク、
１０……燃焼室、１１……バイパスライン、１２
……火炎、１５……サイクロン本体、１６……上
段燃焼用旋回空気供給ノズル、１７……上段石炭
投入ノズル、１８……下段燃焼用旋回空気供給ノ
ズル、１９……下段石炭投入ノズル、２０……上
段空気供給管、２１……下段空気供給管、２２…
…上段石炭搬送管、２３……下段石炭搬送管、２
４……主石炭搬送管、２５……分配調節ダンパ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 火炉の側壁にサイクロン本体１５を横方向に取
   り付け、このサイクロン本体１５に石炭投入ノズ
   ル、燃焼用旋回空気供給ノズル、燃焼ガスを火炉
   へ導くガス導通口およびスラグ流下口を設けたサ
   イクロン石炭燃焼炉において、 石炭投入ノズルと燃焼用旋回空気供給ノズルと
   を隣接して取り付け、石炭投入ノズルと燃焼用旋
   回空気供給ノズルとを交互に各々二段ずつに分割
   供給できるように、上段燃焼用旋回空気供給ノズ
   ル１６、上段石炭投入ノズル１７、下段燃焼用旋
   回空気供給ノズル１８、下段石炭投入ノズル１９
   の順に層状に隣接させノズルを一体として配置
   し、各ノズルにそれぞれ独立した供給管を接続
   し、各々の流量を調整可能にしたことを特徴とす
   るサイクロン石炭燃焼炉における石炭投入装置。