JPH0444072Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は鳥追い装置にかゝり、なかでも航空機
のジエツトエンジンの先端のコーンカバーに適用
する鳥追い装置に関する。

（従来の技術） ジエツトエンジンを搭載した航空機において
は、飛行中にジエツトエンジンの先端の空気取入
れ口から鳥を吸込み、これがエンジン内部に入つ
てフアンブレードを損傷させるなどの弊害をもた
らすことがある。これは航空機の離陸時や着陸時
の比較的低空飛行中での吸込みが多く、特にこの
鳥害によるトラブルの大半は低空飛行時間が長い
着陸時に集中している。

鳥害を防ぐ手段として、鳥が他の獣類や爬虫類
の眼と間違つて恐怖感を覚える目玉状の模様を鳥
の眼に入るように設けることにより鳥に近づかな
いことが種々の研究実験結果から解明されてお
り、従来から農業用鳥追い用具として用いられて
いる。

またこの原理を応用して航空機の鳥害防止を図
つたもの（実開昭61−196900号公報）が提案され
ている。このものは、航空機のジエツトエンジン
のシヤフト先端のコーンカバーに目玉模様を描
き、かつこの目玉模様をシヤフトの回転中心に対
し偏心させて描くことによりエンジンの回転時に
模様そのものが変動するようにして鳥追い効果を
得ようとするものである。

（考案が解決しようとする問題点） しかるに前記農業用の鳥追い用具は、単に風船
状のボールの表面に目玉模様を表示しただけであ
るから、設置頭初は鳥追い効果はあつても、鳥が
馴れてしまうと恐怖心がなくなり、鳥追い効果が
失なわれやすい。

航空機における前記公報に示されるものは、単
色の模様が渦巻き状に回転するだけであるから、
鳥の視認性に劣り、エンジンの回転がアイドリン
グ状態であつても実質的に静止状態の目玉状に見
えてしまい、鳥に対する恐怖心を高めることがで
きず、最も鳥害を受ける着陸時にその効果を十分
に発揮することができないという問題があつた。

本考案はこれに鑑み、回転による瞬き作用を奏
せしめて鳥に対する視認性を高め、鳥追い効果を
一段と高めることができ、航空機のジエツトエン
ジンにおけるエンジントラブルの発生の確率を大
巾に低減することができる航空機の鳥追い装置を
提供することを目的としてなされたのである。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 上記従来技術の問題点を解決するため、本考案
は、ジエツトエンジンの回転軸先端のコーンカバ
ーに、その回転中心を中心とする複数の同心円ゾ
ーンを設け、各同心円ゾーンに異なる色彩により
所定の面積比をもつて着色し、回転軸に各ゾーン
の色彩の残像効果により瞬き状態を呈するように
したことを特徴とするものである。

（作用） 上記の構成により、ジエツトエンジンの回転軸
が比較的低速回転している間は複数の同心円ゾー
ンの各範囲内において異なる色彩が交互に回るの
で、その色彩の残像効果によつてちかちかと瞬く
作用を呈し、この瞬きにより鳥に対する視認性が
高まり、鳥追い効果を助長して鳥に大きな恐怖感
を与えることができる。したがつて、回転数の低
い地上におけるアイドリング時はもとより、着陸
態勢に入つて比較的低空を飛行する際の低回転時
に前記瞬き作用が顕著に現われ、最も鳥害を被る
可能性の高い時点での鳥追いが効果的に行なえ、
鳥の吸込みによる問題が大巾に解消される。

（実施例） 以下、本考案を図面に示す実施例を参照して説
明する。

第１図は本考案による航空機の鳥追い装置の基
本的構成例を示す正面図で、ジエツトエンジンの
コーンカバーの着色部分１を示し、その回転中心
Ｏを中心とする複数（図では３区域）の同心円ゾ
ーン２，３，４が区画され、各ゾーン２，３，４
はそれぞれ異なる色彩により所要の面積比をもつ
て着色されている。

上記第１図の基本例の場合は、回転中心Ｏを含
む最も内側の同心円ゾーン２および次位の同心円
ゾーン３では赤色（朱赤）Ｒと黄色Ｙとの組合せ
とされ、次位の最外側の同心円ゾーン４では黄色
Ｙと緑色Ｇとの組合せとされており、各色彩の割
合は面積比において中心の同心円ゾーン２では赤
色Ｒが60〜70％、黄色Ｙが25〜40％とされ、次位
の同心円ゾーン３では黄色Ｙが60〜80％、赤色Ｒ
が20〜40％とされ、さらに最外側の同心円ゾーン
４では緑色Ｇが20〜50％、黄色Ｙが80〜50％とさ
れている。この色彩の割合は、エンジンの回転数
の高低に応じ最も瞬き効果の大きい値が選ばれ
る。また前記各ゾーン２，３，４に施す色彩は、
各ゾーン内の２種の色彩を交互に配列するように
すれば、低回転域での瞬き効果を一層高めること
ができる。

第２図は航空機のジエツトエンジン５の回転軸
６の先端のコーンカバー７の表面に前記模様の着
色部分１が描かれた状態を示している。第２図に
おいて符号８はフアンブレード、９はノーズカウ
ル、１０は高圧圧縮機、１１は高圧タービン、１
２は低圧タービン、１３は膨脹拡散室および燃焼
器を示す。

第３図乃至第７図は、第１図に示した着色部分
１の各同心円ゾーン２，３，４の色彩区分形態の
具体的実施例を示すもので、第３図の場合は、中
心の同心円ゾーン２に半径線ａ，ａにより45°の
角度範囲を区画して広い面積側に赤色Ｒの、狭い
面積側に黄色Ｙの着色が施され、次位の同心円ゾ
ーン３は区画線ｂ，ｂで1/2に区画してそれぞれ
に赤色Ｒと黄色Ｙの着色が施され、最外側の同心
円ゾーン４は前記区画線ｂ，ｂに対し直角で同心
円ゾーン３の接線方向の区画線ｃ，ｃにより区画
してそれぞれに黄色Ｙと緑色Ｇの着色が施されて
いる。また第４図は３区域の同心円ゾーン２，
３，４を半径線ｄで区切り、中心の同心円ゾーン
２は赤色Ｒが75％、黄色Ｙが25％となるように前
記半径線ｄに直角な分割線ｅで区画され、次位の
同心円ゾーン３および最外側の同心円ゾーン４は
前記中心の同心円ゾーン２から接線方向に延びる
分割線ｆにより区画され、中間の同心円ゾーン３
では赤色Ｒが40％、黄色Ｙが60％、外側の同心円
ゾーン４では黄色Ｙが70％、緑色Ｇが30％とされ
ている。

このほか第５図乃至第７図のように区画するこ
ともでき、これらは図中に記載の色彩および割合
で着色される。また区画の仕方は上記例示以外で
あつてもよい。

上記いずれにおいても、コーンカバー７が回転
すると、各ゾーン２，３，４は着色部分１の回転
中心Ｏを中心として同心円状に回転し、その回転
により各ゾーン２，３，４に施された互いに異な
る色彩が交互に回ることにより低回転域では残像
効果により瞬きが生じ、この瞬き現象が各ゾーン
２，３，４において生じるので鳥の視認性が高め
られ、鳥追い効果が倍加される。そしてこの瞬き
は、中心の同心円ゾーン２においては赤色Ｒが黄
色Ｙによつて瞬き、中間の同心円ゾーン３におい
ては黄色Ｙが赤色Ｒによつて瞬き、外側の同心円
ゾーン４においては緑色Ｇが黄色Ｙによつて瞬
く。使用する色彩およびその割合は、使用地域に
おいて多数棲息する鳥の種類に応じその鳥が嫌う
色彩を選択することができ、また同心円ゾーンの
数はコーンカバー７の大きさに応じて適宜増減す
ることができる。

航空機のジエツトエンジン５の場合、地上にお
けるアイドリング時や、着陸時の低回転時（700
〜100r.p.m.）に特に瞬き効果が発揮されるので、
最も鳥を吸込みやすい時期において鳥追い効果が
高められる。

また視認性を高めるため色彩を光輝性塗料、光
輝性着色フイルムの接着、発光素子の配列による
着色その他の手段を用いることができ、この発光
素子を用いる場合は自己発光素子、外光照射によ
る発光素子のいずれであつてもよい。

第８図は、コーンカバー７の色彩模様が夜間で
も鳥に明瞭に見えめようにして、夜間における鳥
追い効果を高めるための一手段を示している。

すなわち航空機の機体１４に照明器１５，１５
が設置され、この照明器１５，１５はその照明光
路１６，１６の範囲内にジエツトエンジン５，５
……の先端部が位置するように配設されている。
図示の例では、主翼１７，１７より前方の胴体１
４′の両側部に配置されている。

これにより、夜間飛行時に照明器１５，１５を
点灯して照射すれば、その光路１６，１６内にジ
エツトエンジン５，５……の先端のコーンカバー
７が位置してこれが照明され、着色部分１の色彩
模様が明瞭に現出して夜間での鳥の視認性が高め
られる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案は、航空機のジエツ
トエンジンの回転軸先端のコーンカバーにその回
転中心を中心とする複数の同心円ゾーンを設け、
各同心円ゾーンに異なる色彩により所定の面積比
をもつて着色を施し、これを回転させたとき各ゾ
ーンの色彩の残像効果により瞬き状態を呈するよ
うにしたので、鳥に対する視認性が高められ、目
玉状の模様による恐怖感に加え目玉模様が瞬くこ
とによる動感を与えて一層鳥の恐怖心を呼び、鳥
追い効果を著しく高めることができる。特に瞬き
は低回転時に顕著に現われるので、鳥の吸込みが
多いアイドリング回転時や比較的長い時間低空飛
行を行なう着陸時における鳥の吸込みが防止さ
れ、エンジンのフアンブレードの破損時の不都合
を効果的に解消することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による航空機の鳥追い装置の一
実施例を示す着色部分の正面図、第２図は本考案
を適用したジエツトエンジンの一例を示す縦断面
図、第３図乃至第７図は第１図の変形例を示す略
示正面図、第８図は航空機のジエツトエンジンに
適用した着色部分に照明を与える手段の一例を示
す説明図である。 １……着色部分、２，３，４……同心円ゾー
ン、５……ジエツトエンジン、７……コーンカバ
ー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ジエツトエンジンの回転軸先端のコーンカバー
   の表面にその回転中心を中心とする複数の同心円
   ゾーンを設け、各同心円ゾーンに異なる色彩によ
   り所定の面積比をもつて着色を施し、回転軸の回
   転時に各ゾーンの色彩の残像効果により瞬き状態
   を呈するようにしたことを特徴とする鳥追い装
   置。