JPH0442265B2 - - Google Patents

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JPH0442265B2
JPH0442265B2 JP59146566A JP14656684A JPH0442265B2 JP H0442265 B2 JPH0442265 B2 JP H0442265B2 JP 59146566 A JP59146566 A JP 59146566A JP 14656684 A JP14656684 A JP 14656684A JP H0442265 B2 JPH0442265 B2 JP H0442265B2
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water supply
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【発明の詳細な説明】 [発明の分野] この発明は、河川等の地上の水を海中に貯え、
貯えられた水を必要に応じて海水と真水の比重差
を利用して地上に供給する海中貯水槽に関する。
[先行技術の説明] 我国は南西から北東へと延びた島国であり、そ
の中央部を山地が背骨のように走つている。この
ため降雨による雨水は、山間部を伝つて河川に集
められ、短い平地部を通つて海に流入する。した
がつて我国においては、雨水が地上に留まつてい
る期間は非常に短い、言い換えれば、供給される
水資源の大半が、利用されることなく海へ廃棄さ
れている。このことは特に降水量の少ない地域、
降雨の多くが年間の一時期に集中している地域で
は、水不足の深刻な問題を生じる。さらにそれ以
外の地域でも、天候の異変により降雨が長期間途
絶えれば、同様に水不足の問題が生じる。このた
め従来から、貯ダムや溜め池等が各地に設けられ
て、水不足の問題が十分ではないにせよ解決され
てきた。一般的に水事情が比較的恵まれていると
言われている我国においてさえ貯水にこのような
人為的手段を必要とするのが実情であり、我国よ
りも水事情の悪い国においてはさらに強力な水資
源活用のための方策が求められるのは自明であ
る。
貯水ダムや溜め池は、降雨によつて与えられた
水資源の一部を後の必要のために一時的に地上に
貯えておくものである。地上に相当量の水を貯え
るためには、広大な土地が必要である。したがつ
て新たにそのような貯水手段を設ける場合には、
必然的に土地確保の困難さが伴う。さらには、環
境破壊や人家の移転等に伴う補償のような困難な
問題を生じるかもしれない。また相当量の水を地
上に貯えておくには頑強な構造を必要とし、その
ような頑強な構造を構築するためには莫大な手間
と費用とを要する。貯えられた水は、広い表面を
通して大地と接触する。したがつて乾燥したい署
い気候の中では、蒸発によつて無駄に消費される
水の量も無視し得ないものと思われる。
[発明の概要] この発明は上述のような観点からなされたもの
であり水資源の確保を地上において行なうという
従来の貯水手段の発想を転換することによつて、
上述の種々の問題点を解決した従来にはなかつた
新しい形態の貯水手段を提供しようとするもので
あり、特に、地上以外に設けられながら、貯留さ
れる水の給排水が容易な貯水槽を提供することで
ある。
この発明によれば、河川等の地上の水を蓄える
ための貯水槽は海中に設けられる。貯水槽は、海
面下の第1部分と海面上の第2部分とからる貯水
部と、該貯水部に連結された給水管および排水管
とを備える。前記第1部分は海中から遮断された
貯水室を形成し、前記第2部分は前記第1部分よ
りも小さな断面積を有し、かつ前記第1部分およ
び大気と連通して、海水と真水の比重差により該
第1部分の水深に応じた水位を保つ。
[好ましい実施例の説明] 第1図は、この発明による海中貯水槽の好まし
い一実施例を示す説明図である。図示のごとく、
陸地1の内陸部から海2へと向かつて、川3が流
れている。川3の上流の適当な海抜の地点には、
川の水を取り込むための給水場4が設けられてい
る。取り込まれた水は、給水管5を通じて運ばれ
る。
給水場4は、川3の水を給水管5に導入し得る
ものであれば、どのような形態のものであつても
よい。たとえば単純に、川3を給水管5の入口
(給水点)にまで分流したものであつてもよい。
しかし望ましくは、円滑な給水のため、水中のご
み処理のための手段や水量調節のための手段が設
けられるであろう。
給水管5は、陸地1の部分ではたとえば金属製
の管6からなり、海2の部分ではたとえばフレキ
シブルな布またはプラスチツク製の管7からなつ
ている。管6は、地中に埋設されてもよく、地面
に接して置かれてもよく、また地上の一定高さに
維持されてもよい。管7は、最も簡単には、海面
上に自然に浮かぶようにされる。浮力を与えるた
めに、管7の適当な箇所に、フロートが取付けら
れてもよい。もちろん管7は、適当な支持手段に
よつて、海中の一定深さまたは海上の一定高さに
維持されることもできる。管6および7の材質に
は、金属や布またはプラスチツク以外の適当なも
のが選択されてもよい。一般的には、給水管5の
材質、太さ、設置方法等のフアクタは、給水の距
離、量、環境等を考慮して、現在利用可能なもの
のうちから最も適当なものが選択される。
給水管5によつて運ばれてきた水は、入水管8
を通じて、貯水タンク9に供給される。貯水タン
ク9の詳細は第2図に示されており、これについ
ては後述する。貯水タンク9に貯えられた水は、
必要に応じて、出水管10を通じて排水管11に
供給されて運ばれる。排水管11は、給水管5と
同様に、海2の部分の管12と陸地1の部分の管
13とからなつている。その材質、太さ、設置方
法等のフアクタの選択は、給水管5に関して上述
したのと同様である。
排水管11によつて運ばれてきた水は、陸地1
の適当な海抜の地点に設けられた排水場14にお
いて排水される。排水量を調節するための手段
が、排水場14に設けられてもよい。排水された
水は、所望用途に応じてそのまままたは水処理さ
れて、利用に供される。たとえば排水場14は、
中水道または上水道のための水源として利用され
得る。第1図の排水場14は、中水道の水源とし
て示されており、工場地帯に設けられた排水場1
4からは、分岐した工業用水パイプ15を通じ
て、各工場に工業用水が供給される。また排水場
14は、農業用潅漑水源として利用されることも
できる。この場合には、排水場14からは、分岐
した農業用水路が各農作地へと延びることになろ
う。もちろん上述の用途は一例であつて、、この
発明の海中貯水槽は、水源としてのどのような用
途にも利用可能である。また排水場14において
一旦排水が行なわれる必要はなく、たとえば排水
管11自体が所望の各場所まで分岐してもよい。
第2図は、貯水タンク9の好ましい一実施例を
示す模式的斜視図である。図において海面は、1
点鎖線によつて示されている。貯水タンク9は、
海面下の第1部分16と、海面上の第2部分17
とからなつている。第1部分16と第2部分17
との境界部分には、貯水タンク9に適当な浮力を
与えるためのフロート板18が設けられている。
第1部分16と第2部分17とは連通しており、
第1部分16に貯えられた水の一部は、海水と真
水の比重差によつて第2部分17へ押し上げられ
る。
海面上の第2部分17は適当な厚みの中空円筒
19により構成され、その両端は開いている。フ
ロート板18は、適当な厚みの円板形状をしてお
り、その中心部には円形の開口が設けられて、そ
こに円筒19が嵌合する。
円筒19は、図示のごとくその内部に、海面下
の第2部分から押し上げられてきた水24を或る
程度の水位にまで貯えることができるものでなけ
ればならない。しかも設置される環境は海上であ
る。このようなことを考慮して、円筒19を形成
する材料としては、強度および耐触性に優れたも
のが選択される。たとえば表面に耐触性の塗料を
塗布した金属管が用いられてもよい。また、円筒
19は、図示のごとくその断面積が第1部分の断
面積よりも小さく、それにより、円筒19内の水
位は、円筒19の断面積が第1部分のそれと等し
い場合よりも高くなる。
フロート板18は、貯水タンク9に適当な浮力
を与えるためのものである。しかも常に海水と接
している。したがつてフロート板9を形成する材
料には、耐蝕性に優れかつ海水よりも十分に軽い
ものが選択される。たとえばプラスチツクが利用
可能であり、強度を向上させるため他の材料と合
板にされてもよい。また浮力を大きくするため
に、中空にすることも考えられる。フロート板1
8の下側は袋20に貯えられた水と常に接してい
る。したがつて海面の波などにかかわらず、フロ
ート板18は下側に貯えられた水から均一な力を
受け、力の不均一による破壊から保護される。
第1部分16は、水を溜めるフレキシブルな円
筒形状の袋20と、その外周を覆う同じく円筒形
のネツト21とからなる。袋20の下端は閉じて
おり、上端はフロート板18の下面外周付近に海
水が入り込まないように固着される。円筒形のネ
ツト21の上端は、袋20の固着部分を取り囲ん
で、フロート板18の下面外周付近または外側面
上に固定される。ネツト21の下端は閉じられて
もよく、または開かれてもよい。ネツト21は、
好ましくは、複数の環状の横糸22を複数の縦糸
23で連結したものが使用される。ネツト21の
目的は袋20の横方向の広がりを規制することに
あり、その目的は環状の横糸22の働きによつて
達成される。すなわち袋20は、環状の横糸22
によつて規制されて、その直径以上に横方向に広
がることができない。
袋20は、中に貯えられる水の量に応じてその
容積を変化するよう、フレキシブルでなければな
らない。さらに、貯蔵される水を海水から遮断し
得るものでなければならない。しかし袋20は、
内側から水の圧力、外側からは海水の圧力を受け
て平衡状態に保たれるので、材料自体の強度はそ
れほど要求されない。このような点を考慮して、
袋20の材料としては、フレキシブルでかつ耐水
性に優れたものが選択される。たとえばテント地
のように防水加工を施された布やビニール等が利
用可能である。ネツト21は、或る程度の強度と
耐水性を備えておればよく、たとえばビニールが
利用可能である。
フロート板18の外周付近の適当な所には、入
水管8が表面に垂直に貫通して固定されている。
入水管8の出口は、フロート板18の下側で、第
1部分16に向かつて開いている。したがつて管
7および入水管8を通じて供給される地上からの
水は、袋20に注入される。袋20は、水の注入
に応じて、海面下でフレキシブルにその容積を変
化する。海水と真水とは比重が異なつているの
で、袋20内の水の一部は、袋20の水深に応じ
て、円筒19内へと押し上げられる。
円筒19の露出側面の最下部付近には、出水管
10が側面に垂直に貫通しかつ固定されている。
したがつて第2部分17内の水24は、出水管1
0および管12を通じて地上へと供給される。
第3図は、第2図に示された実施例における給
水の原理を示す模式的断面図である。図において
海面は、一点鎖線により示されている。給水場4
は、海抜h3メートルの高度に設けられている。
水は位置エネルギにより、給水管5を通つて袋2
0に供給される。袋20は水の供給に応じて、フ
レキシブルに容積を変化する。今袋20の水深が
h2メートルであつたとし、円筒19内に押し上
げられた水の水位h1メートルであつたとする。
また、円筒19の断面積をS1、袋20の断面積
をS2とする。簡単のため水の比重を1とし、海
水の比重を1.1とすれば、圧力の釣合いより次式
が成立する。
1×(h1×S1+h2×S2)=1.1×h2×S2 したがつて円筒19内の水位h1は、次式で表
わされる。
h1=0.1×h2×S2/S1 このように円筒19内には、袋20の水深の
S2/10S1の水位まで水が押し上げられる。原理
的には、h3>h1である限り、水の自然供給は可
能である。
第4図は、第2図に示された実施例における排
水の原理を示す模式的断面図である。第3図と同
様、海面は1点鎖線により示されている。排水場
14は、海抜h4メートルの高度に存在する。円
筒19内の水位は、h1メートルまで押し上げら
れている。今h1>h4であるとすれば、円筒19
内の水24は、位置エネルギのみにより、排水管
11を通じて排水場14に供給される。原理的に
は、h1>h4である限り、自然排水は可能である。
排水によりh1は小さくなるが、それに応じて
フレキシブルな袋20が収縮し、h2も小さくな
る。最終的には、h1=h4、h2=10h4×S2/S1の
時点で位置エネルギにより自然排水は不可能とな
る。したがつて以後の排水は、ポンプを使用る必
要がある。
第5図は、第4図の実施例の改良を示す模式的
断面図である。この実施例においては、排水場の
設けられる高度にかかわらず、貯水タンク9内の
水24がすべて自然排水される。排水場14は、
第4図と同様に、貯水タンク9の水位h1よりも
低い位置に設けられている。したがつて上述した
ように、或る程度の自然排水は可能である。
この実施例では、さらに自然排水を可能にする
ように、排水場14において、排水管11の排水
点25は、地中に掘り下げられた排水井戸26内
に設けられている。たとえば図示のように排水点
25が海面と同じ高さに存在すれば、貯水タンク
9内の水24はすべて自然排水可能である。
このことを利用すれば、h1よりも高い所にあ
る排水場14′においても、自然排水が可能とな
る。すなわち排水井戸27を設けて、排水管11
の排水点28をh1よりも小さい適当な高さに設
定すればよい。図示のように排水点28を海面と
同じ高さに設ければ、上述したように完全な自然
排水が可能となる。
なお、上述の実施例においては、自然給水およ
び自然排水についてのみ述べた。しかし必要に応
じて、給排水のためのポンプが設けられてもよ
い。
第2図に示された貯水タンク19は、説明のた
めの単なる例示であることを理解されたい。たと
えば、入水管8および出水管10の取付け位置
は、適宜変更されてもよい。また各部材の形状と
して、円形以外の適当な形状が選択されてもよ
い。第2部分17の断面積は、海面から持ち上げ
られる水位を高くするように狭くされているが、
このような形状をとることにより水面と空気との
接触面積が少なく、その結果水の蒸発が少なくな
るという効果もある。さらには円筒19の上端
に、水の蒸発やごみの混入を防ぐための簡便な蓋
が設けられてもよい。
この発明による海中貯水槽は、上述の用途に限
らず、多目的に使用することができる。たとえば
フロート板18の上面を利用して、海上レジヤー
ランドを作ることができる。貯えられた真水は、
たとえば淡水プールとして利用できる。淡水魚の
養殖を行なうことも可能であり、さらに淡水およ
び海水の両方が存在することを利用して、サケ等
の養殖が可能かもしれない。浄水設備を備え付け
れば、船舶の給水場として利用することも可能で
ある。袋20の底部に取出口を設ければ、河砂が
集められるかもしれない。このような用途は、上
述の各種水源としての用途の副次的なものとして
実現されるであろうと考えられる。
[発明の効果] 以上のようにこの発明によれば、従来にはなか
つた新しい形態の貯水手段が実現される。
この発明によれば、降雨によつてもたらされた
水資源は、後の利用のために海中に貯えられる。
海中に貯水するものであるため、ダムや溜め池な
どのように、土地確保の困難な問題、環境破壊や
人家の移転に伴う補償のような困難な問題を生じ
ることがない。貯水タンクは内外からの水圧を受
けるため、構造としてはダムのように強力なもの
は要求されない。したがつて構築が比較的容易で
あり、経済性も優れている。しかも、水を供給す
ることも、貯留された水を排出することも水の位
置エネルギを利用して容易に行なうことができ、
ポンプなどの助力を少なくすることができ、より
経済性に優れたものとなつている。さらにこの発
明によれば、蓄えられた水と大気との接触面積を
容易に小さくすることができ、蓄えられた水資源
が蒸発によつて無駄に消費されることがない。
この発明は上述のように種々の優れた効果を有
するものであり、降雨量が少なくかつ乾燥した署
い気候の地方においては特に有効であろう。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による海中貯水槽の好ましい
一実施例を示す説明図、第2図は貯水タンク9の
好ましい一実施例を示す模式的斜視図、第3図は
第2図の実施例の給水の原理を示す模式的断面
図、第4図は第2図の実施例における排水の原理
を示す模式的断面図、第5図は第4図の実施例の
改良を示す模式的断面図である。 図において、1は陸地、2は海、3は川、4は
給水場、5は給水管、9は貯水タンク、11は排
水管、14は排水場、16は第1部分、17は第
2部分、18はフロート板、19は円筒、20は
袋、21はネツトをそれぞれ示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 海水から遮断された貯水のための海面下の第
    1部分と、海面と平行な断面において前記第1部
    分の断面積より小さな断面積を有するとともに、
    前記第1部分および大気と連通し、海水と真水の
    比重差により該第1部分の水深に応じた水平を保
    つ海面上の第2部分とからなる貯水部と、 一端が前記貯水部と連結され、他端が地上の給
    水点へと延びて、前記給水点から前記貯水部へと
    給水する給水管と、 一端が前記貯水部と連結され、他端が地上の排
    水点へ延びて、前記貯水部から前記排水点へと排
    水する排水管とを備え、 前記第1部分は前記給水および排水に応じて海
    面下でその容積を変化し、 前記給水点は海面よりも高い位置にあり、前記
    排水点は前記給水点よりも低い位置にある、海中
    貯水槽。 2 前記第1部分はフレキシブルな材料を用いて
    形成される、特許請求の範囲第1項記載の海中貯
    水槽。 3 前記フレキシブルな材料を用いて形成された
    前記第1部分の海中での横方向の広がりを規制す
    るための規制手段をさらに含む、特許請求の範囲
    第2項記載の海中貯水槽。 4 前記第1部分と前記第2部分の境界部分に設
    けられ、前記貯水部に対して浮力を与えるフロー
    トをさらに含む、特許請求の範囲第1項記載の海
    中貯水槽。 5 前記給水管および排水管として共通の導管が
    使用される、特許請求の範囲第1項記載の海中貯
    水槽。
JP14656684A 1984-07-13 1984-07-13 海中貯水槽 Granted JPS6133972A (ja)

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