JPH0440600B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜＞ 産業上の利用分野 本発明はLNG等の超低温の液体を貯蔵するタ
ンクに関するものである。

＜＞ 従来の技術 例えば、マイナス100度以下の超低温の液体を
貯蔵するタンクでは、タンク自体はもちろん、そ
の周囲の地盤までが凍結してタンクが損傷した
り、タンクをおしあげる力が発生したりする。

また外気温が高くなると液化された貯蔵物が蒸
発を促進して、品質管理からも好ましくない情況
を生じる。

さらに超低温液収納タンクのように、巨大で複
雑な構造物を構築するための立地条件がととのつ
ている場所は、極めて限定されている。

＜＞ 本発明が解決しようとする問題点 本発明はこうした点に鑑み成されたもので、外
部やタンク自体に低温による悪い影響を与えるこ
とがなく、また超低温液収納タンクを、諸設備の
十分整つた港湾施設等で、曳航可能な構造に構築
して目的地まで曳航し、着底、埋め戻しを行うこ
とによつて、建設立地による制限を受けることの
ない、超低温液収納タンクを提供することを目的
とする。

＜＞ 問題点を解決するための手段 本発明では、プレストレストコンクリートによ
る二重構造の曳航可能な外槽と、この外槽内に内
蔵された、超低温液を収納する金属製の内槽とで
構成する。

そして、外槽の二重壁間を空気の流路とし、流
路に加熱または冷却した空気を送込む温調装置を
設置する。

さらに外槽の内壁の数箇所に温調装置と連絡す
るセンサーを設置し、流路を常に０℃に保つてお
くよう構成した。

＜＞ 実施例 次に本発明の一実施例について図面をもとに説
明する。

本発明に使用する超低温液収納タンクは、二重
構造で曳航可能な外槽１内に、内槽２を内蔵した
構造である。

(イ) 外槽 外槽１はプレストレストコンクリート等によ
る曳航可能な中空の箱体である。

そして外壁１１、内壁１２による二重構造と
なつており、内壁１２内に後述の内槽２を内蔵
する。

内壁１２と外壁１１間の間隙は、後述する温
調装置３からの空気の流路１３とする。

そして外壁１１の上面に温調装置３を設置す
る。

温調装置３は、外部から空気を取入れて加熱
もしくは冷却し、流路１３に送込む装置であ
る。

温調装置３からの空気は、流路１３内に送り
込まれ内槽２の周囲を循環する。

そして温調装置３は外槽１の内壁１２に複数
箇所設置したセンサーＳの信号によつて、送込
む空気の温度を常に０℃に保つよう構成する。

なお流路１３内の空気を循環させずに、内槽
２の底面を回つて来た空気を外部に放出するよ
う構成することも考えられる。

外槽１の底面にダブルハル構造を採用すれ
ば、剛性が大きく、不同沈下の発生する可能性
も小さいので構造上の安全性が高められる。

また、外槽１に低温脆性のないコンクリート
を用いれば、二次防壁、防液堤として構造的に
さらに信頼性が高まる。

(ロ) 内槽 内槽２は、メンブレンあるいはセミメンブレ
ンタイプ等の従来の貯蔵タンクを使用する。

そして外槽１の際壁１２内の中空部分に内蔵
できる大きさとする。

このとき外槽１と内槽２間には保冷材４を設
置する。

また外槽１内を幾つかに区切つてそれぞれの
空間内に内槽２を内蔵させることも考えられ
る。

この場合は各ブロツクごとに流路１３を設
け、外槽１には各ブロツクごとに温調装置３を
設置することも考えられる。

次に上記の超低温液収納タンクの作動状態につ
いて説明する。

ドツク等で建設が終了したら目的地まで曳航
し、着底、埋め戻しを行ない半地下式の貯蔵タン
クとして使用する。

この場合貯蔵タンクは、土圧及び液圧のほか寒
冷地においては凍土圧等の外圧を受けるが、それ
らに対して外壁の変形で外力エネルギーを吸収す
ることにより、直接二次防壁としての内壁に力が
加わらず、従来の防液堤以上に構造及び機能上の
安全性が高い。

(イ) 超低温液の貯蔵 内槽２内の貯蔵物が超低温液であるから、外
槽１の内壁１２や外壁１１が冷却されてしまい
損傷が生じることがある。

そこで外槽１の外壁１１、内壁１２を常に０
℃に保つように流路１３に加熱した流体を送込
む。

流路１３は、外槽１の内壁１２の複数箇所に
設置されたセンターＳによつて、常に流路１３
が０℃を保つているように温調装置３が働く。

(ロ) 外気温が高くなつた場合 外気温が高くなると、貯蔵物が蒸発する恐れ
がある。

この場合は、流路１３内の温度が０℃より上
昇すると、それを感知したセンターＳが温調装
置３に信号を送る。

温調装置３は冷却した空気を流路１３に送り
込んで流路１３内の温度が０℃より上昇しない
よう調整する。

＜＞ 発明の効果 本発明は、以上説明したようになるので、次の
ような効果を期待することができる。

(イ) 外槽は内壁、外壁からなる二重構造であり、
内壁は二次防壁、外壁は防液堤の機能をはた
し、さらにガス漏れや液漏れに対しての安全性
も高められる。

(ロ) 二重構造の内外壁内の流路は、単に流路とし
てだけでなく、ガス漏れ、液漏れの監視スペー
スとして利用できる。

(ハ) 流路内に複数箇所設けたセンサーの信号によ
つて、流路内の温度を常に０℃に保つ温調装置
を設置した。

従つて、貯蔵タンクとして使用する際に環境
の温度変化等によつて貯蔵物が変質したり、超
低温液収納タンク自体が損傷を受ける恐れがな
い。

またほぼ０℃にコントロールすることによ
り、ボイルオフ量もその範囲で経済的なバラン
スをとることができる。

(ニ) 外壁はコンクリート製であるため補修が可能
である。

(ホ) 超低温液を収納する内槽を、曳航可能な外槽
内に内蔵した。

従つて巨大で複雑な構造の超低温液収納タン
クを、陸上に建設するときのように建設立地に
制限を受けない。

すなわち、設備が十分整つたドツク等の製作
場所で建設し、どこでも所定の目的地に曳航し
て設置することができる。

したがつて高精度、高品質の機能をそなえる
ことができ、さらに工期を十分とれない寒冷地
にも容易に設置することができる。

(ヘ) 従来の低温タンクには、タンクの底部にのみ
密封構造の二重底部分を設け、この二重底部分
の内部を外気と連通するように、二重底部分に
開口部を設けたものが存在する。

しかしこのタンクは、外槽の底部だけしか二
重に構成されていない。

即ち、タンクの側面及び上面は二重に構成さ
れていないため、本発明のような二次防壁及び
防液提として機能は十分でない。

また、タンクの側面及び上面からのガス漏れ
や液漏れの危険性もある。

それに対して本発明のタンクは、タンクの全
周囲にわたつて、外槽の内壁は二次防壁とし
て、また外壁は防液提としての機能を十分に発
揮することができる。

さらに、タンクの全周囲にわたつて、ガス漏
れや液漏れに対しての安全性も高められる。

また上記の従来のタンクは、二重底部分の内
部を外気と連通しただけの構造であるため、外
気温が高くなつた場合には、外気温がタンク内
の貯蔵物に伝わり易くなる。

従つて、貯蔵物の蒸発が促進され、品質管理
上好ましくない。

それに対して本発明は、加熱空気または冷却
空気を自動で適量だけ流通路内に送り込み、常
に流通路内が零度になるように構成されてい
る。

そのため、夏期等に外気温が高くなつた場合
でも、外気温がタンク内の貯蔵物に伝わること
がない。

従つて、貯蔵物の蒸発を防止し、確実な品質
管理を行うことができる。

(ト) また従来の低温タンクには、タンクを内壁と
外壁のみから構成し、このタンクを地面のくぼ
み内に、周囲の地山との間に空間を設けて設置
し、この空間内に加熱空気を導入する構造のも
のが存在する。

しかしこのタンクは、地盤のくぼみの内周面
に壁体が構築されているが、タンク自体は内壁
と外壁のみからしか構成されていない。

そのため、タンク自体とくぼみ内周面の壁体
との一体性が乏しく、タンクの外壁と壁体との
間の環状通路の密閉性が問題である。

従つて、ガス漏れや液漏れの危険性がある。

しかし、本発明は上記のように確実にタンク
の全周囲にわたつて、ガス漏れや液漏れを防止
することができる。

また従来のタンクは、タンクと地山との間の
流通路内に、加熱空気のみを送り込む構造であ
り、本発明のように流通路内に冷却空気を送り
込むことができない。

そのため、外気温が高くなつた場合には、外
気温がタンク内の貯蔵物に伝わり易くなり、貯
蔵物の蒸発が促進され、品質管理上好ましくな
い。

この点においても本発明は、上記のように貯
蔵物の蒸発を防止し、確実な品質管理を行うこ
とができる。

従つて、本発明のタンクは、これらの従来の
タンクに比べて、安全面及び品質管理面におい
て優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明の超低温液収納タンクの斜視
図、第２図：本発明の超低温液収納タンクの断面
説明図 １：外槽、２：内槽、３：温調装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ コンクリート製の二重の壁で全周囲を覆つて
   構成する外槽と、 超低温液を収納する金属製の内槽から構成し、
   外槽を曳航可能な構造物に形成し、 外槽の二重壁の間を空気流通路として連通し、 前記空気流通路内の温度をセンサーにより感知
   し、加熱空気または冷却空気を送風する温調装置
   を備え、流通路内の温度を零度に維持するように
   構成した、 超低温液収納タンク。