JPH0440178Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

産業上の利用分野 本考案は光フアイバケーブルに関するものであ
り、特に架空の地線の中心又は中心近傍に配置さ
れた中空管内に引入れられる光フアイバケーブ
ル、つまり光フアイバ複合架空地線の引入れ用光
フアイバケーブルに関するものである。 従来の技術及び問題点 近年、架空地線の中心又は中心近傍に配置され
た中空管内に光フアイバケーブルを収容し、架空
地線と光フアイバケーブルとを組合せた光フアイ
バ複合架空地線が広く使用されてきた（特公昭60
−41403号公報）。 このような光フアイバ複合架空地線において
は、光フアイバケーブルを布設するために光フア
イバ複合架空地線の中空管内に光フアイバケーブ
ルを引入れることが必要であり、又光フアイバケ
ーブル等に断線等の故障が生じた場合、或いは伝
送容量を増大したい場合等には、新たに所望の光
フアイバケーブルを該中空管内に引入れることが
必要となる。従つて、光フアイバ複合架空地線の
引入れ用光フアイバケーブルを布設するに当つて
は該ケーブルに大きな引入れ張力と、場合によつ
ては湾曲部を通過することが必要となり曲げ応力
をも加わることとなる。 そのために、従来、斯る光フアイバ複合架空地
線の引入れ用光フアイバケーブルには耐引張及び
曲げ応力が要求され、第３図及び第４図に例示す
るような構造の光フアイバケーブルが提案されて
いる。 簡単に説明すると、第３図の光フアイバケーブ
ル１Ａは、コア及びクラツドから成る光フアイバ
素線２ａの回りに被覆層２ｂを有した光フアイバ
心線２を複数本、本例では７本集束して配置し、
各光フアイバ心線２間にはシリコン樹脂３を充填
し、更に外周囲にガラス繊維強化プラスチツク
（FRP）層４を設けて構成される。該構成の光フ
アイバケーブル１Ａは、外層のガラス繊維強化プ
ラスチツク層４の厚さを大きくすると光フアイバ
ケーブルの可撓性が減少するために、層厚には限
界があつた。そのために、薄層とされる外層はケ
ーブル引入れ時に中空管内の溶接部により長手方
向に傷を受け、湾曲部布設時にクラツクが発生し
たり、又は耐引入れ張力が減少するという問題が
あつた。 第４図の光フアイバケーブル１Ｂは、第３図の
光フアイバケーブル１Ａにて外層に設けられたガ
ラス繊維強化プラスチツク層４の代りに、複数の
光フアイバ心線２の中心部にガラス繊維強化プラ
スチツクのテンシヨンメンバ５を配置し、光フア
イバ心線２はシリコン樹脂３にて集合され且つそ
の外周囲が囲包された構造とされる。これによ
り、中空管は直接シリコン樹脂３と接触すること
となりスムースな引入れが可能とされるが、該光
フアイバ１Ｂの中心部にガラス繊維強化プラスチ
ツクのテンシヨンメンバ５が配置されているため
に、全体形状は大きくなり、可撓性が悪くなり、
湾曲部での布設が困難であるという問題を有す
る。 考案の目的 従つて、本考案の目的は、引入れ張力を大きく
することができ、且つ曲げ性能も優れ、光フアイ
バ複合架空地線の引入れ用光フアイバケーブルと
して好適に使用し得る光フアイバケーブルを提供
することである。 問題点を解決するための手段 上記目的は本考案に係る光フアイバ複合架空地
線の引入れ用光フアイバケーブルにて達成され
る。要約すれば本考案は、複数の光フアイバ心線
を集合して形成される光フアイバ心線の間及びそ
の外周囲にシリコン樹脂を充填して緩衝層を設
け、更にその上にひも状のテンシヨンメンバから
成るテンシヨンメンバ層、並びにPEEK（ポリエ
ーテル・エーテル・ケトン）、PFA（４弗化エチ
レン・パーフロロアルコキシエチレン共重合体）、
及びETFE（テトラフルオロエチレン・エチレン
共重合体）から選択される耐熱性樹脂より成る保
護シースを順に設けたことを特徴とする光フアイ
バ複合架空地線の引入れ用光フアイバケーブルで
ある。 次に、本考案に係る光フアイバ複合架空地線の
引入れ用光フアイバケーブルを図面に即して詳細
に説明する。 第１図を参照すると、光フアイバケーブル１
は、コア及びクラツドから成る光フアイバ素線２
ａの回りに被覆層２ｂを有した光フアイバ心線２
を複数本、本例では７本集合して光フアイバ心線
束が形成される。更に詳しく言えば、７本の光フ
アイバ心線束は中心の光フアイバ心線の回りに６
本の光フアイバ心線を撚り合せて構成される。光
フアイバ心線としては任意のものを使用し得る
が、例えば直径50μmのコア及び外径が125μmの
クラツドから成る光フアイバ素線２ａにシリコン
樹脂被覆層２ｂを有した光フアイバ心線とし得
る。このようにして形成された光フアイバ心線２
の外径は0.3mmとされる。 本実施例では７本にて集束された光フアイバ心
線２の間にはシリコン樹脂３が充填され、更に外
周囲にも該シリコン樹脂層３が設けられる。該シ
リコン樹脂層３は各光フアイバ心線２相互間の及
び外力に対する緩衝作用をなす緩衝層である。
又、本考案に従えば、該緩衝層３の上には、ガラ
ス繊維強化プラスチツクにて形成されるテンシヨ
ンメンバ６が緊密に配設される。該テンシヨンメ
ンバ６は直径0.3〜0.4mmのひも状態テンシヨンメ
ンバであり、前記緩衝層３の上に撚り合せるか又
は縦添される。 更に、前記テンシヨンメンバ６の外周囲には耐
熱性樹脂から成る保護シース７が被覆される。耐
熱性樹脂としては、PEEK（ポリエーテル・エー
テル・ケトン）、PFA（４弗化エチレン・パーフ
ロロアルコキシエチレン共重合体；例えばダイキ
ン工業製、ネオフロンAP−210、及び三井フロロ
ケミカル製、テフロンPFA Ｔ−340−Ｊ，Ｔ−
350−Ｊ）、及びETFE（テトラフルオロエチレ
ン・エチレン共重合体、例えばダイキン工業製、
ネオフロン EP−520）等が好適である。 上記構成の本考案に係る光フアイバケーブル１
は、シリコン樹脂層３の上に設けられたガラス繊
維強化プラスチツクにて形成されるテンシヨンメ
ンバ６にて大きな引入れ張力に耐えることがで
き、又テンシヨンメンバ６は該テンシヨンメンバ
６を被覆して配設された耐熱性樹脂層により熱及
び湿度的に保護され、延いては光フアイバケーブ
ルの耐久性を向上せしめる。更に、耐熱性樹脂層
７を外層に設けることにより光フアイバケーブル
１の摩擦係数は小さくなり、従つて引入れ負荷が
小さくなる。第１表は本考案に係る光フアイバケ
ーブルと第３図に示す従来の光フアイバケーブル
との性能試験結果を示す。該試験は、長さ3mの
アルミ製直線状中空管（実験Ａ）及び長さ3mの
中央部にて120°屈曲したアルミ製中空管（実験
Ｂ）を使用して行なつた。該試験結果より本考案
に係る光フアイバケーブルが優れていることが分
かる。

【表】 又、本考案に係る光フアイバケーブルによる
と、従来の光フアイバケーブル（第３図）に比較
し曲げ性能が向上し、従来に光フアイバケーブル
ではケーブル外径が2.5mmの場合に半径85mmの
曲げにより外層の被覆層にクラツクが発生した
が、本考案のケーブルでは半径10mmの曲げにお
いてもクラツクは発生しなかつた。 第２図に本考案に係る光フアイバケーブルの他
の実施例が示される。本実施例の光フアイバケー
ブル１ａは、第１図において最外層に配設された
保護シース７の耐熱性樹脂がテンシヨンメンバ６
の間にも充填される点においてのみ相違し、第１
図の光フアイバケーブル１と同様の作用効果を有
する。 考案の効果 以上の如くに構成される光フアイバ複合架空地
線の引入れ用光フアイバケーブルは、引入れ張力
を大きくすることができ、且つ曲げ性能も優れて
いる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本考案に係る光フアイバ
ケーブルの実施例の断面図である。第３図及び第
４図は、従来の光フアイバケーブルの断面図であ
る。 ２……光フアイバ心線、３……緩衝層、６……
テンシヨンメンバ、７……保護シース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の光フアイバ心線を集合して形成される光
   フアイバ心線の間及びその外周囲にシリコン樹脂
   を充填して緩衝層を設け、更にその上にひも状の
   テンシヨンメンバから成るテンシヨンメンバ層、
   並びにPEEK（ポリエーテル・エーテル・ケト
   ン）、PFA（４弗化エチレン・バーフロロアルコ
   キシエチレン共重合体）、及びETFE（テトラフル
   オロエチレン・エチレン共重合体）から選択され
   る耐熱性樹脂より成る保護シースを順に設けたこ
   とを特徴とする光フアイバ複合架空地線の引入れ
   用光フアイバケーブル。