JPH0439918B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 発明の分野 本発明は一般に原子炉に係わり、特に、燃料棒
の保持機能と破片捕捉機能とを単一の要素に組合
せて、それにより総合的圧力降下を低くすると共
によりコンパクトな下部ノズル構造を可能にする
燃料集合体の下部ノズルに組込まれる破片トラツ
プ（破片捕捉装置）に関するものである。

先行技術の説明 原子炉の冷却材循環系を構成する諸要素の製造
ならびにそれに続く設置や修理中に種々な運転条
件下で冷却材が循環する原子炉容器および関連の
諸系統から総ての破片を確実に除去するために、
惜しみない努力が払われている。このような破片
の除去を確実にするために手の込んだ処置が取ら
れるが、経験の示すところによれば、このような
破片の除去を行なう上で採用されているセーフガ
ードにも拘らず、諸系統内には或る種のチツプ
（切屑）とか金属粒子もしくは細片が隠れた状態
で残存している。

最近、特に、下部の格子で捕捉される破片に起
因する燃料集合体の破損が幾つかの原子炉におい
て観察されている。このような破損として、燃料
棒被覆管の外側と接触破片のフレツチングによつ
て生ぜしめられる燃料棒被覆管の鑚孔が挙げられ
る。破片は、球形の形状を有する片とは対照的に
比較的薄肉の矩形の片である場合が多い。特に、
殆んどの破片は、多分に蒸気発生器の修理または
交換後に一次系統内に取り残された金属の湾曲破
片である。このような破片は、最下位の格子の領
域内で、「卵の詰箱」形状のセル壁と燃料棒被覆
管の下端部分との間の空間内に入り込む。そして
殆んど総ての破片は、下部炉心支持板に形成され
ている４つの冷却材通流開口の直ぐ上方に沈積す
る。

原子炉からの破片の除去を行なうために、幾つ
かの異なつた解決策が提案されており且つ試みら
れている。これら試みのうちの多くは、米国特許
第4096032号明細書に論述されている。この特許
明細書に記述されている総ての手段は合理的に満
足に動作し、一般的に述べて、それらが企図され
ている範囲の運転条件下では、それぞれの目的を
達成しているが、それにも拘らず、原子炉におけ
る破片の除去と言う問題に対する新たな解決策の
必要性が存在する。この新たな解決策は、原子炉
の諸要素の現存の構造ならびに動作と両立し、原
子炉の運転サイクル全体に亘つて有効であり、そ
して少なくとも原子炉に設けることに要する費用
を上廻る総合的利益をもたらすものでなければな
らない。

発明の概要 本発明は、上に述べた必要性を満足するように
設計された破片トラツプもしくは捕捉装置を一体
的に具備する改良された下部ノズルを提供するこ
とにある。従来、燃料集合体の下部ノズルは、２
つの基本的機能を行なう上側アダプタ板を備えて
いた。その内の第１の機能として、従前の下部ノ
ズルアダプタ板は、燃料集合体の本質的な下部構
造要素として働く。このアダプタ板は、その上に
燃料集合体の案内シンブルを支持し且つ確りと碇
着するのに充分に堅牢な骨格を具備していた。第
２に、アダプタ板は、冷却材流を燃料集合体の残
余の部分に対して分配すると共に燃料棒の保持手
段としての働きをしていた。即ち、アダプタ板
は、燃料棒が燃料集合体の格子から取り外された
ような場合に、燃料集合体の燃料棒が下方向に変
位するのを制限するプラツトホームもしくは台を
なすように充分に堅牢な付加的な骨格を備えてい
た。したがつて、アダプタ板をして上記のような
２つの機能を遂行するのを可能にすることが要求
される従前のアダプタ板の堅牢な骨格全体は、ア
ダプタ板を相当肉厚の重厚な要素としていたばか
りではなく、冷却材の通流孔が小さく、高い圧力
損失を伴なつていた。そこで、従前の下部ノズル
に事後的に嵌装することができる破片トラツプを
付加的に取付けるとすれば下部ノズルの圧力降下
は、更に許容し得ないほど高いレベルまで増大す
ることになるであろう。

本発明の基本的思想は、従前の下部ノズルアダ
プタ板が、従来より行なわれているその２つの機
能上の役割、即ち、案内シンブルの支持と燃料棒
の保持と言う役割を果す必要はないと言う認識か
ら出発するものである。本発明に到る過程におい
て、試みに、下部ノズルに適当な破片トラツプを
配置した場合、該トラツプは、破片を捕捉し保持
すると言うその機能を行なうことに加えて、従
来、アダプタ板によつて行なわれていた燃料棒保
持機能をも本来的に果すであろうと考えられた。
したがつて、アダプタ板が燃料棒保持機能を遂行
する必要性を排除するようにすれば、該アダプタ
板は、より単純な設計もしくは構造、即ち、その
骨格の全体的複雑性が減少し、それにより下部ノ
ズルを横切つて生ずる全体的圧力降下を、少なく
とも、破片トラツプを組込むことにより増加する
圧力降下分だけ減少する単純な設計もしくは構造
に改変することができよう。実際、燃料棒を保持
機能とトラツプの破片捕捉および保持機能とを組
合せる本発明の改良された下部ノズル構造では、
従前の下部ノズルよりも低い総合的圧力降下なら
びに一層コンパクトな構造が達成されることが判
明した。なお、破片トラツプ自体は、本出願人の
特開昭61−120993号公報に開示されている破片ト
ラツプの構造と実質的に同じ構造を有するもので
ある。しかしながら、本発明の改良下部ノズル
は、上記公報記載の下部ノズルとは、破片トラツ
プと改変されたアダプタ板との組合せがここに開
示する改良下部ノズルにおいて用いられている点
で異なるものである。

従つて、本発明によれば、複数の燃料棒と、該
燃料棒を組織化された配列で支持する少なくとも
１つの格子と、該格子を支持する少なくとも１つ
の案内シンブルとを有する原子炉用の燃料集合体
において、前記格子の下方に同格子に隣接して配
置され、前記案内シンブルを支持すると共に、液
体冷却材が前記燃料集合体に流入するのを許容す
るようになつている下部ノズルは、(a)前記格子と
前記燃料棒の下端の下方に間隔を置いて配置さ
れ、前記案内シンブルを支持すると共に前記冷却
材が前記燃料集合体に流入するのを許容する支持
手段と、(b)該支持手段の周りに取り付けられて、
前記支持手段、前記格子及び前記燃料棒の下端の
間に開放領域を画定するように、前記格子及び前
記燃料棒の下端から間隔を置いてはいるが同格子
及び同燃料棒の下端に向かつて延びる画定手段
と、(c)前記開放領域内で前記支持手段上に配置さ
れたトラツプであつて、該トラツプは、前記案内
シンブルを同トラツプを介して前記支持手段へと
通過させると共に、前記冷却材を同トラツプを介
して通流させるようになつていて、同トラツプ内
の前記通流する冷却材によつて搬送される破片を
捕捉して保持し、該破片が前記燃料集合体に入る
のを実質的に阻止するようになつている前記トラ
ツプとを備え、該トラツプは、（）前記支持手
段の近傍で前記開放領域内に配置され、同開放領
域を横断して延びる構造体であつて、該構造体
は、前記燃料棒とそれぞれ整列して同燃料棒の下
方に配置される複数の交差部を画成するように十
字形の相互固定配列となつて互いに整列した複数
のストラツプからなり、該ストラツプは、両端が
それぞれ開放した多数の小さなセルを形成する壁
部分を画成し、各セルは、冷却材が同セルを通つ
て前記燃料集合体へと流れる中央通路を画成して
おり、各セルを形成する前記壁部分は、対峙して
配置され相互に結合された複数対となつて画成さ
れると共に、前記壁部分のあるものは隣接する２
つのセルに共通である、前記構造体と、（）前
記セルの各々内に配置されて同セルの前記中央通
路に延びて入り、同セルを通つて流れる前記冷却
材により前記セル内に運び込まれた破片を前記構
造体内に捕捉し保持する捕捉・保持手段であつ
て、各セル内の該捕捉・保持手段は、同セルを形
成する前記壁部分の各々から打ち抜かれたばね状
フインガの形態であつて、湾曲して垂直及び水平
の両成分の方向に延び、同セルとそれに隣接する
他のセルの前記中央通路に入つており、１つのセ
ルにおける前記壁部分の一方の対にある前記ばね
状フインガの一方の対は、燃料棒がこの１つのセ
ルに入ることができないように、同セルにおける
前記壁部分の他方の対にある前記ばね状フインガ
の他方の対の下流側に同ばね状フインガの他方の
対と重なり合つた関係で配置され、隣接する２つ
のセルに共通の前記壁部分は、同壁部分から打ち
抜かれた１対のばね状フインガを、互いに上流側
及び下流側に配置させて、前記隣接する２つのセ
ルのそれぞれに反対方向に延入させている前記捕
捉・保持手段とを含んでいる。

本発明の上述の、ならびに他の利点や効果は、
本発明の実施例を例示する図面を参照しての以下
の詳細な説明を読むことにより当該技術分野の専
門家には明らかとなろう。

発明の詳細な説明 以下の詳細な説明においては添付図面を参照す
る。尚、全図面を通し同じ参照数字は同じまたは
対応の部分を表すものとする。また、以下の説明
において「前方」、「後方」、「左方」、「右方」、「
上
方もしくは上向き」、「下方もしくは下向き」その
他類似の術語は単なる説明の便宜上の表現であつ
て、限定的な意味に解釈されてはならない。

概略的説明 図面、特に第１図を参照するに、この図には、
本発明の好ましい実施例を具備して周知の慣行に
従つて構成された燃料集合体が、図示を明瞭にす
るために一部切除されて一部断面の立面図で参照
数字１０により総括的に示されている。この燃料
集合体１０は、基本的には、原子炉（図示せず）
の炉心領域で下部炉心支持板１４上に燃料集合体
を支持するための改良された下部ノズル１２の形
態にある下端構造と、該改良された下部ノズル１
２から上向きに突出する多数の縦軸方向に延びる
案内管もしくはシンブル１６とを備えている。さ
らに燃料集合体１０は、案内シンブル１６に沿つ
て軸方向に離間配設された複数個の横格子１８
と、該格子１８により横方向に離間されて軸方向
に支持されている細長い燃料棒２０の組織化され
た配列を備えている。また、燃料集合体１０は、
中心に配設された計装管２２を有している。案内
シンブルの上端部には、押え手段を具備し参照数
字２４で総括的に示された上端構造もしくは上部
ノズルが取付けられている。このような各部の配
列で、燃料集合体１０は、燃料集合体の構成要素
もしくは部品に損傷を与えることなく適宜に取扱
うことができる一体のユニツトを形成している。

燃料集合体１０を構成するに当つては、横格子
１８を先ず、予め定められた軸方向に離間して個
所で、縦軸方向に延びる案内シンブル１６に取付
ける。次に、燃料棒２０を、格子１８を介し下方
から挿入し、次いで、改良された下部ノズル１２
を、例えば機械ねじ２６（そのうち１つだけが示
してある）による等して適当な仕方で案内シンブ
ル１６の下端部に取付ける。最後に、上部ノズル
２４を、案内シンブル１６の上端部に取付ける。

上に述べたように、燃料集合体１０における燃
料棒配列内の燃料棒２０は、燃料集合体の長さ方
向に沿つて離間された格子１８により互いに離間
した関係で保持されている。各燃料棒２０は、核
燃料ペレツト２８を備えており、その両端は、上
部端栓３０および下部端栓３２により閉ざされて
いる。核分裂性物質から形成される燃料ペレツト
２８が原子炉の反応出力を発生する役割を果す。
水またはホウ素含有水のような液体減速材／冷却
材が、下部炉心板１４に形成されている複数の通
流開口３４を介して燃料集合体へとポンプ送りさ
れる。冷却材は、改良された下部ノズル１２を介
して燃料集合体１０内に上向きに流入し、さらに
該燃料集合体１０の案内シンブル１６を通り且つ
燃料棒２０に沿つて上向きに流れて、有用な仕事
を発生するために、燃料集合体内に発生された熱
を取出す。核分裂過程を制御するために、多数の
制御棒（図示せず）が、燃料集合体１０内の予め
定められた位置に設けられている案内シンブル１
６内に往復動可能に配設されている。

一体の破片トラツプを備えた改良下部ノズル 既に述べたように、最近、格子１８のうちの最
下位の格子で捕捉される破片に起因する燃料集合
体の破損が注目されている。したがつてこのよう
な破損の発生を阻止するためには、破片が最下位
に位置する格子に達する前に、該破片を捕捉し除
去するのが極めて望ましい。

本発明は、破片トラツプを有していない従前の
下部ノズルの場合に生ずる全圧力降下を越える程
に、下部ノズルを横切つて生ずる全圧力降下を増
加することなく、破片の捕捉および保持、燃料棒
変位の制限ならびに案内シンブルの支持という機
能を遂行するように、参照数字３６で総括的に示
されている破片トラツプおよび改変された中央ア
ダプタ板３８を特殊な仕方で組合せてなる燃料集
合体１０の改良された下部ノズル１２に関するも
のである。

再び第１図および第２図をも参照するに、改良
された下部ノズル１２は、該ノズルの改変された
中央アダプタ板３８を取巻く４つの相互接続され
た直立の側壁４２によつて形成されるスカートも
しくはハウジング４０と、該ハウジング４０の４
つの隅から下向きに延びる４本の脚部４４を備え
ている（第７図をも参照され度い）。１つの実施
例においては、下部ノズル１２は、ステンレス鋼
鋳造物として製作されている。下部ノズル１２の
隅の脚部４４は３つの隣接の燃料集合体からの対
応の脚部と共に、下部炉心板１４に設けられてい
る孔４６内に座着する。また、下部炉心板１４に
おいて、一連の開口３４、通常は４つの開口３４
が改良下部ノズル１２の改変された中央アダプタ
板３８と整列されており、下部炉心板を通り燃料
集合体１０へと流れる冷却材の流路を提供してい
る。

第７図に示してあるように、改良下部ノズル１
２の改変されたアダプタ板３８は、十字状に交差
したり対角線方向に延在する筋状部（支持手段）
５０の形態にある相互接続された構造部材の網状
組織から構成されている。筋状部５０は、ハウジ
ング４０内の空間を横切つて延在し、その両端
は、ハウジングの側壁（画定手段）４２の内面に
接続されている。アダプタ板３８の筋状部５０
は、案内シンブル１６の下端部を碇着するための
複数個のボスもしくはハブ５２のような取付け手
段と、中心の案内スリーブ５４とを支持してお
り、該案内スリーブ５４はハウジング４０の下部
周縁の高さレベルまで下向きに延びていて、下部
炉心板１４に接触している。案内シンブルのボス
もしくはハブ５２は、座ぐりされた通孔５６を有
しており、この通孔５６は、アダプタ板３８に案
内シンブル１６の下端部分を取付けて碇着するた
めの機械ねじ２６を受ける。案内スリーブ５４
は、計装管２２の下端部分を受けると共に、筋状
部５０の網状組織の構造強度要件を最小にするよ
うに改変されたアダプタ板３８の中心を支持する
働きをなす。改良下部ノズル１２のハウジング４
０および脚部４４自体は、従前の下部ノズルにお
けるものと実質的に同じであるが、筋状部５０の
網状組織から形成される改変されたアダプタ板３
８は、従前のアダプタ板と構造上異なるばかりで
はなく、従前のアダプタ板よりも冷却材の流れに
対してさらに大きい開放空間を与え、したがつ
て、該アダプタ板を横切つて生ずる圧力降下は従
前のアダプタ板と比較して小さく抑えられる。

第１図および第２図に示すように、改良下部ノ
ズル１２の破片トラツプ３６は、改変されたアダ
プタ板３８の上方に配置されている。さらに具体
的に延べると、アダプタ板３８の筋状部５０は、
ハウジング４０の上部周縁５８より下方に短い距
離をおいてハウジングの側壁４２に取付けられて
おり、アダプタ板の上方のハウジングの上側部分
内に開放領域６０を画定している。トラツプ３６
は、開放領域６０内に嵌合するように適応されて
おり、したがつて、下部炉心板の開口４８からの
冷却材の流路を横切り改変されたアダプタ板３８
の筋状部からなる網状組織の開放空間を貫通して
配置されるような寸法に設計されている。この位
置においてトラツプ３６は、通流する冷却材か
ら、小さい遊離物または遊離片のような破片を捕
捉し、該破片が燃料集合体１０内へと入るのを阻
止する。この場合、破片は、トラツプ３６内に保
持され、それにより、破片は、次の燃料交換サイ
クルで燃料集合体１０と共に取出すことができ
る。

次に第３図を参照するに、破片トラツプ３６
は、例えばステンレス鋼材料から形成された複数
のストラツプ６４から形成される構造（構造体）
６２を備えている。該ストラツプ６４は、十字形
に交差して相互ロツクされた配列で互いに整列さ
れている。このような配列で設けられるストラツ
プ６４は、複数のセルを形成する複数の相互接続
された壁部分６６を画定する。この場合、各セル
は参照数字６８で全体的に表されており、そして
壁部分６６のうちの任意の内側の壁部分は、セル
６８の２つの隣接する壁部分によつて共有される
関係にある。セル６８の任意の１つのセルを形成
する各４つの相互接続された壁部分６６は、開い
た両端と、冷却材が燃料集合体１０の内部へと通
過するように冷却材の流路に対しほぼ並行に延び
る中央通路７０とを有するセル６８を画定する。
各セル６８は「１」よりも小さい深さ対幅の比を
有する。

また第３図に示すように、破片捕捉もしくはト
ラツプ構造６２を構成するストラツプ６４の十字
形交差配列によつて形成される交差部７２が、各
燃料棒２０（第３図には破線輪郭で示されてい
る）と整列して下側に位置している。このように
して、破片トラツプ構造６２は、原子炉の運転中
不本意にも格子１８から解放されて下向きに落下
するような燃料棒２０を捕捉するためのプラツト
ホームもしくは台としての働きをする。既に述べ
たように、従前の下部ノズルにおいてはそのアダ
プタ板がこの働きをしているのである。さらに第
３図には、アダプタ板３８の案内シンブルボス５
２と整列して十字形交差ストラツプ６４により支
持されている複数個のボス７４が示してある。ボ
ス７４は、案内シンブル１６が破片トラツプ３６
の構造６２を通つてアダプタ板３８のボス５２と
係合することを可能にする。

破片トラツプ３６は、トラツプ構造６２の周壁
７８に一体的に形成されて該周壁７８から若干外
向きに曲げられている複数個の板ばね７６の形態
にある手段を備えている。トラツプ構造６２をハ
ウジング４０の開放領域６０内に上から配置し
て、改変されたアダプタ板３８の筋状部５０上に
乗せると、板ばね７６が内部に延びて、開放領域
６０を画定しているハウジング４０の側壁４２の
上側周辺部分８２に形成されている複数の内向き
の凹部を有する肩部８０と係合する。第４図に示
したばね板７６の位置においては、該板ばねは、
トラツプ構造６２を開放領域６０内にロツクす
る。トラツプ構造６２をハウジング４０から取出
すためには、下部ノズル１２を燃料集合体１０か
ら取外して、ハウジングの上側周辺部分８２を貫
通する孔８４を介して凹部が形成されている肩部
８０内に工具（図示せず）を挿入し、板ばね７６
を該肩部から離れる方向に内向きに偏向しなけれ
ばならない。

破片トラツプ３６はまた、貫流する冷却材によ
りセル６８内に搬入される破片を捕捉して構造６
２内に保持するために、セル６８の各々に画定さ
れている複数のばね状のフインガ８６の形態にあ
る捕捉・保持手段を備えている。２つの隣接セル
６８に対して共通である各壁部分６６は、上下の
２つの高さレベルで該セルに固定された少なくと
も２つのフインガ８６を有している。各フインガ
８６は、壁部分６６を形成するストラツプ６４の
材料から打ち抜き形成（パンチング）されて、セ
ル通路７０内に延びるように曲げられ且つ燃料集
合体１０の内部に向かい下流側に先端が向くよう
に曲げられている。特に、任意の共通の壁部分６
６から打ち抜き形成された２つのフインガ８６に
ついて考察すると、一方のフインガ８６は共通壁
部分６６を共有する隣接のセル６８のうちの一方
のセル内に延び、他方のフインガ８６は、隣接の
セルの他方のセル内に延びている。

第５図、第６図および第８図は各セル６８にお
けるフインガ８６の配列の種々な組合せを示す。
第５図および第６図に示したフインガ配列の１つ
の実施態様においては、所与の１つのセル６８の
対面する壁部分６６に設けられたフインガ８６
は、２つの異なつた高さレベルに配置されてい
る。したがつて、この実施態様においては、同じ
高さレベルにある２つのフインガ８６は、互いに
接続されている壁部分６６上で互いに90度変位し
ている。第８図に示したフインガ配列の他の実施
態様においては、所与のセル６８の対面する壁部
分６６上のフインガ８６は、同じ高さレベルに配
置されている。したがつて、この配列において同
じ高さレベルにある２つのフインガ８６は、互い
に180度変位している。しかしながら、両方の配
列において、各高さレベルにある２つのフインガ
８６はそれぞれの先端部で、上下に短い距離だけ
離れて互いに重なり合う。さらに、２つの配列に
おいて、上側の高さレベルにある２つのフインガ
の重なり合う先端部は、各セル６８における下側
の高さレベルにある２つのフインガの重なり合う
先端部と重なり合う。このようにして、セル６８
を経る通路７０はフインガ８６により遮られ、そ
してフインガ８６の上下の組間における重なり合
つた離間関係で、セルの通路７０内には、破片を
構造６２内に捕捉し保持することができる幾つか
の領域が設けられることになる。各フインガ８６
には弾力性もしくはばねに類似の性質があり、そ
の結果、該フインガには、破片に対して横方向の
力を加え、破片を壁部分６６に対して押付け、破
片をトラツプ３６内に保持する能力が与えられ
る。

フインガ８６は、セルの通路７０を遮るが、ト
ラツプ３６を流れる冷却材の流れに対しては極く
僅かな抵抗しか与えない。第１に、各壁部分６６
は、フインガが打ち抜き形成された領域に形成さ
れる開口８８を有しており、それにより、個々の
セル６８間における壁部分６６を介しての冷却材
の横行流が容易になるからである。また、各フイ
ンガ８６は、貫通形成された孔９０を有してお
り、それによりセルを通る水の流量は増大せしめ
られる。

上の説明から、本発明の破片トラツプならびに
それに伴う数多の利点について理解されたであろ
うと考える。また本発明の精神および範囲を免脱
することなく、或いは本発明の実質的な利点を犠
牲にすることなく、実施態様もしくは形態、構造
および配列において種々な変更が可能であろうこ
とは明らかである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による改良下部ノズルを備えた
燃料集合体を、図示を明瞭にするために部分的に
切除し垂直方向に短縮して一部断面で示す立面
図、第２図は第１図の燃料集合体の拡大部分立面
図であつて、一部断面で一部切除し燃料集合体の
改良された下部ノズルを図解する図、第３図は第
２図の線３−３に沿つて見た下部ノズルの開放領
域に配置される破片トラツプの頂面図であつて、
トラツプ内の通路を貫通する案内シンブルを断面
形態で示すと共に、トラツプ構造のセルのうちの
数個のセルおよび該セル内に配置されたばね状フ
インガを示す図、第４図は第３図の線４−４に沿
つて見た改良下部ノズルの側壁の一部分ならびに
該側壁に設けられた凹部付き肩部と係合してトラ
ツプを下部ノズル内に解放可能にロツクするため
の破片トラツプ構造に設けられた板ばねを一部断
面で示す拡大部分図、第５図は第３図の線５−５
における一部断面で破片トラツプ構造を示す拡大
部分図であつて、セルの壁部分から、該壁部分に
よりセルを通るように画定された通路内に突出す
るばね状のフインガの１つの配列を示す図、第６
図は、第３図の線６−６における部分断面で破片
トラツプ構造を示す拡大部分図であつて、第５図
と同じフインガの配列を、第５図の観察位置から
90度離間した観察位置で示す図、第７図は、第２
図の線７−７における改良下部ノズルの改変され
たアダプタ板の頂面図であつて、アダプタ板のボ
スに取付けられ碇着された案内シンブルを断面形
態で図解する図、第８図は、第５図に類似の破片
トラツプ構造を一部断面で示す拡大部分図である
が、セルの壁部分から該壁部分によりセルを通る
ように画定された通路内に突出するばね状のフイ
ンガの別の配列を示す図である。 １０……燃料集合体、１２……下部ノズル、１
６……案内シンブル、１８……格子、２０……燃
料棒、３６……トラツプ、３８……アダプタ板、
４２……側壁（画定手段）、４０……ハウジング
（画定手段）、５０……筋状部（支持手段）、６０
……構造体、６４……ストラツプ、６６……壁部
分、６８……セル、７０……中央通路、７２……
交差部、８６……ばね状フインガ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数の燃料棒と、該燃料棒を組織化された配
   列で支持する少なくとも１つの格子と、該格子を
   支持する少なくとも１つの案内シンブルとを有す
   る原子炉用の燃料集合体において、前記格子の下
   方に同格子に隣接して配置され、前記案内シンブ
   ルを支持すると共に、液体冷却材が前記燃料集合
   体に流入するのを許容するようになつている下部
   ノズルであつて、 (a) 前記格子と前記燃料棒の下端の下方に間隔隔
   を置いて配置され、前記案内シンブルを支持す
   ると共に前記冷却材が前記燃料集合体に流入す
   るのを許容する支持手段と、 (b) 該支持手段の周りに取り付けられて、前記支
   持手段、前記格子及び前記燃料棒の下端の間に
   開放領域を画定するように、前記格子及び前記
   燃料棒の下端から間隔を置いてはいるが同格子
   及び同燃料棒の下端に向かつて延びる画定手段
   と、 (c) 前記開放領域内で前記支持手段上に配置され
   たトラツプであつて、前記案内シンブルを同ト
   ラツプを介して前記支持手段へと通過させると
   共に、前記冷却材を同トラツプを介して通流さ
   せるようになつていて、同トラツプ内の前記通
   流する冷却材によつて搬送される破片を捕捉し
   て保持し、該破片が前記燃料集合体に入るのを
   実質的に阻止するようになつている前記トラツ
   プとを備え、該トラツプは、 () 前記支持手段の近傍で前記開放領域内に
   配置され、同開放領域を横断して延びる構造
   体であつて、該構造体は、前記燃料棒とそれ
   ぞれ整列して同燃料棒の下方に配置される複
   数の交差部を画成するように十字形の相互接
   続配列となつて互いに整列した複数のストラ
   ツプからなり、該ストラツプは、両端がそれ
   ぞれ開放した多数の小さなセルを形成する壁
   部分を画成し、各セルは、冷却材が同セルを
   通つて前記燃料集合体へと流れる中央通路を
   画成しており、各セルを形成する前記壁部分
   は、付峙して配置され相互に接続された複数
   対となつて画成され、前記壁部分のあるもの
   は隣接する２つのセルに共通である、前記構
   造体と、 () 前記セルの各々内に配置されて同セルの
   前記中央通路に延びて入り、同セルを通つて
   流れる前記冷却材により前記セル内に運び込
   まれた破片を前記構造体内に捕捉し保持する
   捕捉・保持手段であつて、各セル内の該捕
   捉・保持手段は、同セルを形成する前記壁部
   分の各々から打ち抜かれたばね状フインガの
   形態であつて、湾曲して垂直及び水平の両成
   分の方向に延び、同セルとそれに隣接する他
   のセルの前記中央通路に入つており、１つの
   セルにおける前記壁部分の一方の対にある前
   記ばね状フインガの一方の対は、燃料棒がこ
   の１つのセルに入ることができないように、
   同セルにおける前記壁部分の他方の対にある
   前記ばね状フインガの他方の対の下流側に同
   ばね状フインガの他方の対と重なり合つた関
   係で配置され、隣接する２つのセルに共通の
   前記壁部分は、同壁部分から打ち抜かれた１
   対のばね状フインガを、互いに上流側及び下
   流側に配置させて、前記隣接する２つのセル
   のそれぞれに反対方向に延入させている前記
   捕捉・保持手段とを含んでいる、 燃料集合体における下部ノズル。