JPH04373202A - 酸化物超伝導マイクロ波デバイス - Google Patents
酸化物超伝導マイクロ波デバイスInfo
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- JPH04373202A JPH04373202A JP3175898A JP17589891A JPH04373202A JP H04373202 A JPH04373202 A JP H04373202A JP 3175898 A JP3175898 A JP 3175898A JP 17589891 A JP17589891 A JP 17589891A JP H04373202 A JPH04373202 A JP H04373202A
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酸化膜超伝導薄膜を利用
したマイクロ波デバイスに関し、特に、酸化物超伝導薄
膜の低い表面抵抗,低い分散を活かした酸化物超伝導マ
イクロ波デバイスの容易な周波数調整,あるいは実装に
よる性能変化の少ないデバイス構造に関するものである
。 【0002】 【従来の技術】従来、マイクロ波領域で使用される各種
フィルタ,共振器,遅延線等の受動部品は、無酸素銅や
金といった表面抵抗の低い常伝導金属が利用されていた
。マイクロ波デバイスで導体損失を支配する表面抵抗は
、常伝導金属では周波数の1/2乗に比例し、超伝導材
料では、周波数の2乗に比例して増大する。超伝導材料
は数百GHz以下の領域で銅より抵抗損失が少なく、低
い周波数になるにつれ抵抗損失は一層低減できる。しか
し、従来のNb等のように極低温で超伝導を発現する金
属系超伝導材料は冷却などの問題で一部の特殊な分野の
みに限定して応用されていた。 【0003】近年、Y系,Bi系,Tl系といった酸化
物超伝導材料が発見されこれらの材料の薄膜化技術も大
幅に進展しつつある。これにより、従来の常伝導金属よ
りはるかに抵抗損失が少なく、低い分散を利用した小型
の超伝導マイクロ波デバイスが期待できるとともに、7
7K動作が可能であることから、金属系超伝導材料より
も冷却実装が容易になるという特長がある。それ故、酸
化物超伝導膜を利用したマイクロ波部品の研究が精力的
に進められている。 【0004】マイクロ波デバイスは、基本的に中心導体
とグランドプレーンから構成される。これらの基本的な
構成を図4に示す。ここで(a)はマイクロストリップ
型、(b)はストリップライン型である。図4において
1は中心導体、2は下部グランドプレーン、2aは上部
グランドプレーン、3は中心導体1を含む中間基板、4
は上部グランドプレーン2aを含む上部基板、5は下部
グランドプレーン2を含む下部基板、6は中間基板3と
下部基板5の隙間、7は上部基板4と中間基板3の隙間
である。 【0005】現在、MIC,MMIC等ではマイクロス
トリップ型が最も多く用いられており、放射損失や導体
損失を抑えるには中心導体の回りをグランドプレーンで
囲み、ストリップライン型に近づける必要がある。この
ことは特に、低損失を利用した超伝導マイクロ波デバイ
スでは重要となる。 【0006】良好な高周波特性を有する酸化物超伝導薄
膜は現在のところ基板の裏表に形成できないため、マイ
クロストリップで2枚、ストリップラインで3枚の基板
を重ね合わせて構成する。今後、基板の裏表に薄膜を形
成できる技術が開発された場合、中心導体1と下部グラ
ンドプレーン2は同一基板上に形成できるものの、中心
導体はパターンニングする必要があるため、中心導体を
含む中間基板3と上部グランドプレーンを含む上部基板
4とは別に成らざるを得ない。従って、低損失な超伝導
デバイスに有利なストリップライン構造を酸化物超伝導
薄膜で構成する場合には、3枚の基板の隙間6,7、特
に上部基板4と中間基板3の隙間7を避けることはでき
ない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】通常、マイクロ波デバ
イス用酸化物超伝導薄膜は、MgO,LaAIO3基板
上に形成されるが、これらの誘電率はそれぞれ9,25
と大きい。そのため、特に、中間基板と下部基板との空
気隙間は中心導体近傍の実効誘電率を大きく変化させ、
中心導体を伝搬するマイクロ波の位相速度,群速度が設
計値からシフトするという問題があった。これらの隙間
は中心導体が0.5ミクロン厚さ程度では、比較的均一
な500nm以下の隙間を実現できるが、通常必要な1
〜2ミクロン厚さ(磁場侵入長の3倍必要)ではパター
ンニング後、機械的接触面の平滑性が取れないことから
、均一で薄い隙間を実現しにくく、部品の調整が容易で
はない。 【0008】図5は代表的な酸化物超伝導受動デバイス
の中心導体パターンを示す。ここで(a)は共振器、(
b)はチェビシェフ型帯域通過フィルタ、(c)は遅延
線である。図中1a〜1cはそれぞれ機能性を有するパ
ターンに加工された中心導体を意味する。これらの受動
デバイスにおける、実効誘電率による位相速度,群速度
のシフトは、共振器では非常にシャープな共振ピークの
周波数シフトを生じ、フィルタでは通過帯中心周波数の
ずれを生じるため、超伝導フィルタで有利な狭帯域通過
性を活かせない。また、遅延線では遅延時間が設計より
ずれるという問題がある。 従って、これらの超伝導
マイクロ波部品をストリップラインで構成する場合、中
間基板と上部基板との隙間を均一に制御でき、しかも実
効誘電率への影響の少ない構造が望まれていた。 【0009】本発明の目的は、ストリップライン構造に
おける基板間の隙間にフッ素樹脂薄膜を充填することに
よって、中心導体上に生じる凹凸を平滑にし、平滑な機
械的接触面を得ると同時に、空気隙間より実効誘電率の
変化が小さいために、周波数調整,あるいは実装時の性
能調整が容易な高性能で信頼性の高い酸化物超伝導マイ
クロ波デバイスを提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、上部グランドプレーンを含む上部基板と
、中心導体を含む中間基板との隙間に薄いフッ素樹脂薄
膜をコート・充填し、酸化物超伝導マイクロ波デバイス
のストリップライン構造を組み上げることを特徴とする
ものである。この場合、フッ素樹脂として本発明で利用
できるための条件は、(i)誘電率が空気より大きく、
(ii)塗布できる(スピンコートできること)、さら
に(iii)誘電損失が小さいことである。これを満足
するフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン
等があり、例えば非晶質テフロン(デュポン社製)が好
適である。 【0011】 【作用】このように本発明によると、上部基板と中間基
板との機械的接触面を平滑にすることにより、密着させ
る際の不必要な隙間をなくすと同時に、空気より誘電率
の大きなフッ素樹脂薄膜で充填しているために、中心導
体付近の実効誘電率の変化を抑制できる。その結果、調
整が少ない、高性能で信頼性の高い酸化物超伝導マイク
ロ波デバイスを実現することができる。 【0012】 【実施例】図1は本発明による酸化物超伝導マイクロ波
デバイスの構造例である。図1において11は酸化物超
伝導薄膜による中心導体、12は酸化物超伝導薄膜によ
る上部グランドプレーン、12aは同じく酸化物超伝導
薄膜による下部グランドプレーンである。13は中心導
体11を含むMgO,LaAIO3等の単結晶基板、1
4は上部グランドプレーン12を含む単結晶基板、15
は下部グランドプレーン12aを含む単結晶基板、16
は中間基板13と下部基板15との隙間、17は上部基
板14と中間基板13との隙間(スペーシング)、18
はその隙間16,17にそれぞれ充填されたフッ素樹脂
薄膜である。ただし、中心導体11と下部グランドプレ
ーン12aを同一基板上に形成できれば、隙間16と基
板15は省ける。図中εSは隙間17を充填するフッ素
樹脂材料の誘電率である。 【0013】通常、隙間16は中心導体11の実効誘電
率変化にはあまり影響しないが、隙間17は中心導体1
1の実効誘電率変化に大きく影響する。本発明では、フ
ッ素樹脂薄膜をフロリナートで溶かした溶液を中心導体
11を含む基板13にスピンコータ等で塗布する。この
際、フッ素樹脂薄膜は粘性を有するため、中心導体11
の形状に関わらず、塗布後の最表面は平滑にできる。こ
の後、上部グランドプレーン12を含む基板14を機械
的に接触させ、比較的低い温度(溶媒を飛ばすためのポ
ストアニールで200℃程度で処理)で熱処理し隙間1
7にフッ素樹脂薄膜18を充填する。 【0014】共振器,帯域通過型フィルタにおける共振
あるいは中心周波数は、中心導体付近の実効誘電率で大
きく変化する。また、遅延線における遅延時間も中心導
体を伝搬するマイクロ波の群速度(Vg)で決定され、
この際にも中心導体付近の実効誘電率で大きく変化する
。ストリップライン構造で隙間のない場合、実効誘電率
は基板の誘電率εrで与えられるが、空気等の隙間が介
在する場合、実効誘電率εrは隙間の分だけ低下する。 【0015】この誘電率の変化率(δεr/εr)と周
波数の変化率(δf/f)の間には、(δf/f)=−
0.5×(δεr/εr)の関係があり、遅延線に重要
となる群速度の変化率も同様に、(δVg/Vg)=−
0.5×(δεr/εr)の関係がある。例えば空気隙
間等によって見かけ上の誘電率変化(δεr/εr)が
20%生じるとすれば、10%の周波数シフト,あるい
は10%の群速度変化を招くことになる。 【0016】図2は、誘電率変化率(δεr/εr)と
スペーシングの関係を計算機シミュレーションした結果
である。基板には、0.5mm厚さのMgO(εr=9
.1程度)単結晶基板を用い、中心導体幅,厚さはそれ
ぞれ0.5mm,0.5μmで数値解析している。空気
隙間(εs=1)では、スペーシング8μmでほぼ−1
0%の誘電率変化を引き起こすのに対して、フッ素樹脂
薄膜(εs=1.8)を充填した場合には、空気の変化
のほぼ半分で抑えられている。これは、MgOの誘電率
が9.1と大きいために、空気のような小さい誘電率の
ものが介在すると実効誘電率が容易に変化するのに対し
て、空気より少しでも大きな誘電率のフッ素樹脂薄膜を
充填することにより、急激な誘電率変化を抑制できた結
果である。 【0017】通常、0.5μm厚さの中心導体パターン
では注意深く調整することにより、空気隙間を500n
m程度まで狭くできるが、この場合でも約−1%の誘電
率変化を引き起こす。超伝導による狭帯域通過型フィル
タでは、例えば、中心周波数10GHz,通過帯域10
0MHz(1%)といった特性を要求されるが、理想的
な機械的接触を行っても空気の場合、中心周波数は設計
値から容易に約50MHzはずれてしまう。特に、磁場
侵入長の3倍以上取るために、中心導体の厚さを1μm
以上に設定した場合には、パターン配置に依るものの、
機械的なガタにより理想的な機械的接触は期待できず、
大幅な周波数変動を引き起こす。 【0018】一方、フッ素樹脂薄膜充填の場合、中心導
体が厚くても上部基板との機械的接触面は平滑で、空気
の介在を最小限にできるため、パターン配置に関わりな
く、機械的ガタが小さく高い信頼性を有した接触が可能
である。同時に、フッ素樹脂薄膜は空気より誘電率が大
きいため、誘電率の変化も空気の約半分に抑えることが
でき、周波数,群速度変化も約1/4に抑えることがで
きる。また、フッ素樹脂薄膜のスペーシングは均一に高
精度で設定できるため、あらかじめ実効誘電率の変化を
見込んで設計すれば周波数の調整は殆ど必要ない。 【0019】図3は、特性インピーダンスとスペーシン
グの関係を計算機シミュレーションしたものである。設
定条件は図2と同様である。中心導体幅0.5mmのた
め、特性インピーダンス31〜32Ω系となっている。 特性インピーダンスに関しては、スペーシングを8μm
程度まで広げてもたかだか1Ω程度の増加を招くだけで
あるが、この場合でもフッ素樹脂薄膜の方が空気の場合
より変化が小さい。 【0020】以上のように、本発明による上部基板14
と中間基板13の間にフッ素樹脂薄膜18を充填したス
トリップライン構造では、(1)中心導体11の厚さ,
配置に関わらず平滑な機械的接触面を有し、高信頼な接
触を実現できる。(2)空気隙間より誘電率が高いため
に、誘電率変化,特性インピーダンス,位相速度,群速
度,周波数に及ぼす隙間の影響を軽減できる、(3)フ
ッ素樹脂薄膜18で酸化膜超伝導体の中心導体11を覆
うことにより、大気中の水分等との反応による経時変化
を防止するといった特長があり、その結果として、調整
が少ない、高性能で信頼性の高い酸化物超伝導マイクロ
波デバイスを実現している。 【0021】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、実
装や冷却時の周波数変動が少なく、しかも調整が容易な
酸化物超伝導マイクロ波デバイスが可能になることから
、高性能で高い信頼性を有した酸化物超伝導マイクロ波
部品が製造歩留まり良く、比較的容易に提供できるとい
う利点がある。
したマイクロ波デバイスに関し、特に、酸化物超伝導薄
膜の低い表面抵抗,低い分散を活かした酸化物超伝導マ
イクロ波デバイスの容易な周波数調整,あるいは実装に
よる性能変化の少ないデバイス構造に関するものである
。 【0002】 【従来の技術】従来、マイクロ波領域で使用される各種
フィルタ,共振器,遅延線等の受動部品は、無酸素銅や
金といった表面抵抗の低い常伝導金属が利用されていた
。マイクロ波デバイスで導体損失を支配する表面抵抗は
、常伝導金属では周波数の1/2乗に比例し、超伝導材
料では、周波数の2乗に比例して増大する。超伝導材料
は数百GHz以下の領域で銅より抵抗損失が少なく、低
い周波数になるにつれ抵抗損失は一層低減できる。しか
し、従来のNb等のように極低温で超伝導を発現する金
属系超伝導材料は冷却などの問題で一部の特殊な分野の
みに限定して応用されていた。 【0003】近年、Y系,Bi系,Tl系といった酸化
物超伝導材料が発見されこれらの材料の薄膜化技術も大
幅に進展しつつある。これにより、従来の常伝導金属よ
りはるかに抵抗損失が少なく、低い分散を利用した小型
の超伝導マイクロ波デバイスが期待できるとともに、7
7K動作が可能であることから、金属系超伝導材料より
も冷却実装が容易になるという特長がある。それ故、酸
化物超伝導膜を利用したマイクロ波部品の研究が精力的
に進められている。 【0004】マイクロ波デバイスは、基本的に中心導体
とグランドプレーンから構成される。これらの基本的な
構成を図4に示す。ここで(a)はマイクロストリップ
型、(b)はストリップライン型である。図4において
1は中心導体、2は下部グランドプレーン、2aは上部
グランドプレーン、3は中心導体1を含む中間基板、4
は上部グランドプレーン2aを含む上部基板、5は下部
グランドプレーン2を含む下部基板、6は中間基板3と
下部基板5の隙間、7は上部基板4と中間基板3の隙間
である。 【0005】現在、MIC,MMIC等ではマイクロス
トリップ型が最も多く用いられており、放射損失や導体
損失を抑えるには中心導体の回りをグランドプレーンで
囲み、ストリップライン型に近づける必要がある。この
ことは特に、低損失を利用した超伝導マイクロ波デバイ
スでは重要となる。 【0006】良好な高周波特性を有する酸化物超伝導薄
膜は現在のところ基板の裏表に形成できないため、マイ
クロストリップで2枚、ストリップラインで3枚の基板
を重ね合わせて構成する。今後、基板の裏表に薄膜を形
成できる技術が開発された場合、中心導体1と下部グラ
ンドプレーン2は同一基板上に形成できるものの、中心
導体はパターンニングする必要があるため、中心導体を
含む中間基板3と上部グランドプレーンを含む上部基板
4とは別に成らざるを得ない。従って、低損失な超伝導
デバイスに有利なストリップライン構造を酸化物超伝導
薄膜で構成する場合には、3枚の基板の隙間6,7、特
に上部基板4と中間基板3の隙間7を避けることはでき
ない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】通常、マイクロ波デバ
イス用酸化物超伝導薄膜は、MgO,LaAIO3基板
上に形成されるが、これらの誘電率はそれぞれ9,25
と大きい。そのため、特に、中間基板と下部基板との空
気隙間は中心導体近傍の実効誘電率を大きく変化させ、
中心導体を伝搬するマイクロ波の位相速度,群速度が設
計値からシフトするという問題があった。これらの隙間
は中心導体が0.5ミクロン厚さ程度では、比較的均一
な500nm以下の隙間を実現できるが、通常必要な1
〜2ミクロン厚さ(磁場侵入長の3倍必要)ではパター
ンニング後、機械的接触面の平滑性が取れないことから
、均一で薄い隙間を実現しにくく、部品の調整が容易で
はない。 【0008】図5は代表的な酸化物超伝導受動デバイス
の中心導体パターンを示す。ここで(a)は共振器、(
b)はチェビシェフ型帯域通過フィルタ、(c)は遅延
線である。図中1a〜1cはそれぞれ機能性を有するパ
ターンに加工された中心導体を意味する。これらの受動
デバイスにおける、実効誘電率による位相速度,群速度
のシフトは、共振器では非常にシャープな共振ピークの
周波数シフトを生じ、フィルタでは通過帯中心周波数の
ずれを生じるため、超伝導フィルタで有利な狭帯域通過
性を活かせない。また、遅延線では遅延時間が設計より
ずれるという問題がある。 従って、これらの超伝導
マイクロ波部品をストリップラインで構成する場合、中
間基板と上部基板との隙間を均一に制御でき、しかも実
効誘電率への影響の少ない構造が望まれていた。 【0009】本発明の目的は、ストリップライン構造に
おける基板間の隙間にフッ素樹脂薄膜を充填することに
よって、中心導体上に生じる凹凸を平滑にし、平滑な機
械的接触面を得ると同時に、空気隙間より実効誘電率の
変化が小さいために、周波数調整,あるいは実装時の性
能調整が容易な高性能で信頼性の高い酸化物超伝導マイ
クロ波デバイスを提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、上部グランドプレーンを含む上部基板と
、中心導体を含む中間基板との隙間に薄いフッ素樹脂薄
膜をコート・充填し、酸化物超伝導マイクロ波デバイス
のストリップライン構造を組み上げることを特徴とする
ものである。この場合、フッ素樹脂として本発明で利用
できるための条件は、(i)誘電率が空気より大きく、
(ii)塗布できる(スピンコートできること)、さら
に(iii)誘電損失が小さいことである。これを満足
するフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン
等があり、例えば非晶質テフロン(デュポン社製)が好
適である。 【0011】 【作用】このように本発明によると、上部基板と中間基
板との機械的接触面を平滑にすることにより、密着させ
る際の不必要な隙間をなくすと同時に、空気より誘電率
の大きなフッ素樹脂薄膜で充填しているために、中心導
体付近の実効誘電率の変化を抑制できる。その結果、調
整が少ない、高性能で信頼性の高い酸化物超伝導マイク
ロ波デバイスを実現することができる。 【0012】 【実施例】図1は本発明による酸化物超伝導マイクロ波
デバイスの構造例である。図1において11は酸化物超
伝導薄膜による中心導体、12は酸化物超伝導薄膜によ
る上部グランドプレーン、12aは同じく酸化物超伝導
薄膜による下部グランドプレーンである。13は中心導
体11を含むMgO,LaAIO3等の単結晶基板、1
4は上部グランドプレーン12を含む単結晶基板、15
は下部グランドプレーン12aを含む単結晶基板、16
は中間基板13と下部基板15との隙間、17は上部基
板14と中間基板13との隙間(スペーシング)、18
はその隙間16,17にそれぞれ充填されたフッ素樹脂
薄膜である。ただし、中心導体11と下部グランドプレ
ーン12aを同一基板上に形成できれば、隙間16と基
板15は省ける。図中εSは隙間17を充填するフッ素
樹脂材料の誘電率である。 【0013】通常、隙間16は中心導体11の実効誘電
率変化にはあまり影響しないが、隙間17は中心導体1
1の実効誘電率変化に大きく影響する。本発明では、フ
ッ素樹脂薄膜をフロリナートで溶かした溶液を中心導体
11を含む基板13にスピンコータ等で塗布する。この
際、フッ素樹脂薄膜は粘性を有するため、中心導体11
の形状に関わらず、塗布後の最表面は平滑にできる。こ
の後、上部グランドプレーン12を含む基板14を機械
的に接触させ、比較的低い温度(溶媒を飛ばすためのポ
ストアニールで200℃程度で処理)で熱処理し隙間1
7にフッ素樹脂薄膜18を充填する。 【0014】共振器,帯域通過型フィルタにおける共振
あるいは中心周波数は、中心導体付近の実効誘電率で大
きく変化する。また、遅延線における遅延時間も中心導
体を伝搬するマイクロ波の群速度(Vg)で決定され、
この際にも中心導体付近の実効誘電率で大きく変化する
。ストリップライン構造で隙間のない場合、実効誘電率
は基板の誘電率εrで与えられるが、空気等の隙間が介
在する場合、実効誘電率εrは隙間の分だけ低下する。 【0015】この誘電率の変化率(δεr/εr)と周
波数の変化率(δf/f)の間には、(δf/f)=−
0.5×(δεr/εr)の関係があり、遅延線に重要
となる群速度の変化率も同様に、(δVg/Vg)=−
0.5×(δεr/εr)の関係がある。例えば空気隙
間等によって見かけ上の誘電率変化(δεr/εr)が
20%生じるとすれば、10%の周波数シフト,あるい
は10%の群速度変化を招くことになる。 【0016】図2は、誘電率変化率(δεr/εr)と
スペーシングの関係を計算機シミュレーションした結果
である。基板には、0.5mm厚さのMgO(εr=9
.1程度)単結晶基板を用い、中心導体幅,厚さはそれ
ぞれ0.5mm,0.5μmで数値解析している。空気
隙間(εs=1)では、スペーシング8μmでほぼ−1
0%の誘電率変化を引き起こすのに対して、フッ素樹脂
薄膜(εs=1.8)を充填した場合には、空気の変化
のほぼ半分で抑えられている。これは、MgOの誘電率
が9.1と大きいために、空気のような小さい誘電率の
ものが介在すると実効誘電率が容易に変化するのに対し
て、空気より少しでも大きな誘電率のフッ素樹脂薄膜を
充填することにより、急激な誘電率変化を抑制できた結
果である。 【0017】通常、0.5μm厚さの中心導体パターン
では注意深く調整することにより、空気隙間を500n
m程度まで狭くできるが、この場合でも約−1%の誘電
率変化を引き起こす。超伝導による狭帯域通過型フィル
タでは、例えば、中心周波数10GHz,通過帯域10
0MHz(1%)といった特性を要求されるが、理想的
な機械的接触を行っても空気の場合、中心周波数は設計
値から容易に約50MHzはずれてしまう。特に、磁場
侵入長の3倍以上取るために、中心導体の厚さを1μm
以上に設定した場合には、パターン配置に依るものの、
機械的なガタにより理想的な機械的接触は期待できず、
大幅な周波数変動を引き起こす。 【0018】一方、フッ素樹脂薄膜充填の場合、中心導
体が厚くても上部基板との機械的接触面は平滑で、空気
の介在を最小限にできるため、パターン配置に関わりな
く、機械的ガタが小さく高い信頼性を有した接触が可能
である。同時に、フッ素樹脂薄膜は空気より誘電率が大
きいため、誘電率の変化も空気の約半分に抑えることが
でき、周波数,群速度変化も約1/4に抑えることがで
きる。また、フッ素樹脂薄膜のスペーシングは均一に高
精度で設定できるため、あらかじめ実効誘電率の変化を
見込んで設計すれば周波数の調整は殆ど必要ない。 【0019】図3は、特性インピーダンスとスペーシン
グの関係を計算機シミュレーションしたものである。設
定条件は図2と同様である。中心導体幅0.5mmのた
め、特性インピーダンス31〜32Ω系となっている。 特性インピーダンスに関しては、スペーシングを8μm
程度まで広げてもたかだか1Ω程度の増加を招くだけで
あるが、この場合でもフッ素樹脂薄膜の方が空気の場合
より変化が小さい。 【0020】以上のように、本発明による上部基板14
と中間基板13の間にフッ素樹脂薄膜18を充填したス
トリップライン構造では、(1)中心導体11の厚さ,
配置に関わらず平滑な機械的接触面を有し、高信頼な接
触を実現できる。(2)空気隙間より誘電率が高いため
に、誘電率変化,特性インピーダンス,位相速度,群速
度,周波数に及ぼす隙間の影響を軽減できる、(3)フ
ッ素樹脂薄膜18で酸化膜超伝導体の中心導体11を覆
うことにより、大気中の水分等との反応による経時変化
を防止するといった特長があり、その結果として、調整
が少ない、高性能で信頼性の高い酸化物超伝導マイクロ
波デバイスを実現している。 【0021】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、実
装や冷却時の周波数変動が少なく、しかも調整が容易な
酸化物超伝導マイクロ波デバイスが可能になることから
、高性能で高い信頼性を有した酸化物超伝導マイクロ波
部品が製造歩留まり良く、比較的容易に提供できるとい
う利点がある。
【図1】本発明による酸化物超伝導マイクロ波デバイス
の構造例を示す図である。
の構造例を示す図である。
【図2】本発明の説明に供する実効誘電率の変化分とス
ペーシングの関係を示す図である。
ペーシングの関係を示す図である。
【図3】同じく本発明の説明に供する特性インピーダン
スとスペーシングの関係を示す図である。
スとスペーシングの関係を示す図である。
【図4】一般のマイクロ波デバイスの構造例を示す図で
ある。
ある。
【図5】典型的なマイクロ波デバイスの中心導体パター
ン例を示す図である。
ン例を示す図である。
11 中心導体
12 グランドプレーン
13 中間基板
14 上部基板
15 下部基板
16 中間基板と下部基板との隙間
17 上部基板と中間基板との隙間
18 フッ素樹脂薄膜
Claims (1)
- 【請求項1】 基板上の酸化物超伝導薄膜を、フォト
リソグラフィにより、機能性を有するパターンに加工し
た中心導体を含む基板の上下を、グランドプレーンを含
む基板で挟む込んだストリップライン構造において、上
部グランドプレーン基板と、中心導体基板の間の隙間に
フッ素樹脂薄膜を充填することを特徴とする酸化物超伝
導マイクロ波デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3175898A JPH04373202A (ja) | 1991-06-21 | 1991-06-21 | 酸化物超伝導マイクロ波デバイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3175898A JPH04373202A (ja) | 1991-06-21 | 1991-06-21 | 酸化物超伝導マイクロ波デバイス |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04373202A true JPH04373202A (ja) | 1992-12-25 |
Family
ID=16004164
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3175898A Pending JPH04373202A (ja) | 1991-06-21 | 1991-06-21 | 酸化物超伝導マイクロ波デバイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04373202A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5845395A (en) * | 1995-09-14 | 1998-12-08 | Nec Corporation | Method of producing high-temperature superconductor thin film device |
WO2003090374A1 (fr) * | 2002-04-22 | 2003-10-30 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | Systeme de transmission de signaux a grande vitesse |
-
1991
- 1991-06-21 JP JP3175898A patent/JPH04373202A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5845395A (en) * | 1995-09-14 | 1998-12-08 | Nec Corporation | Method of producing high-temperature superconductor thin film device |
WO2003090374A1 (fr) * | 2002-04-22 | 2003-10-30 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | Systeme de transmission de signaux a grande vitesse |
GB2403387A (en) * | 2002-04-22 | 2004-12-29 | Nat Inst Of Advanced Ind Scien | High-speed signal transmission system |
GB2403387B (en) * | 2002-04-22 | 2005-12-07 | Nat Inst Of Advanced Ind Scien | High-speed signal transmission system |
US7295032B2 (en) | 2002-04-22 | 2007-11-13 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | High-speed signal transmission system |
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