JPH04372634A - 酸素バリアー性を有する樹脂組成物およびそれを用いる包装材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィン系の酸素
バリアー性を有する樹脂組成物および包装材に関する。

【０００２】

【従来の技術】ポリオレフィンは熱可塑性であるため、
溶融押出成形、射出成形、中空成形等の種々の方法で成
形可能であり、しかも安価であることから包装用のフィ
ルム、シート、ボトル、容器等に数多く使用されている
。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、係るポ
リオレフィンは酸素透過度が大きいため、特に包装用と
しては、酸素バリアー性であってより効果な他の樹脂、
例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリ
デン等と積層して用いるのが実状であった。

【０００４】本発明者等は既に、係る事情に鑑みて、０
〜５００ｐｐｍのラジカル抑制剤を含有するポリオレフ
ィン及び酸化触媒からなる樹脂組成物を提供することに
より、優れた酸素バリアー性を有する樹脂組成物が得ら
れることを見い出し、特許出願した（特願平３−５０５
８１号）。

【０００５】しかしながら、これらの樹脂組成物は酸素
バリアー性には優れているが、加工後徐々に、機械的強
度の低下に伴って臭気が発生する問題があった。

【０００６】一方、一般的なラジカル抑制剤を含む市販
のポリオレフィン及び酸化触媒からなる樹脂組成物では
、大量に含有されたラジカル抑制剤がポリオレフィンの
酸化反応を抑制し、酸素吸収反応が抑制され、酸素透過
率が大きくなり、臭気は制御されるが酸素バリアー性が
得られない。

【０００７】本発明は優れた酸素バリアー性を与えかつ
機械的強度の低下に伴う臭気を抑えたポリオレフィン系
の樹脂組成物と包装材を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題に鑑
みてなされたものであって、ポリオレフィン及び酸化触
媒と、ラジカル抑制剤２，２−メチレンビス−（４−メ
チル−６−ｔ−ブチルフェノール）を１００〜５００ｐ
ｐｍ含む酸素バリアー性を有する樹脂組成物およびそれ
をガスバリア層とする包装材により上記課題を解決した
。

【０００９】なお、酸化触媒がステアリン酸コバルトで
あり、その含量が１００ｐｐｍ〜３００ｐｐｍであるこ
とも含まれる。

【００１０】以下本発明を詳述する。本発明に用いられ
るポリオレフィンとしては、例えば低密度ポリエチレン
、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、
エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとブテンと
の共重合体、エチレンとペンテンとの共重合体が挙げら
れ、酸素バリアー性の点からプロピレンモノマーの単独
重合体または共重合体が好ましく用いられる。

【００１１】本発明に用いられる酸化触媒とは、ポリオ
レフィンの酸素酸化を促進させることにより、ポリオレ
フィンを浸透透過しようとする酸素をポリオレフィンと
反応させ、酸素透過率を低下させ、結果としてポリオレ
フィンの酸素バリアー性を向上させうるものであればよ
く、このような酸化触媒としては好ましくは遷移金属の
化合物からなる金属触媒が用いられる。このような遷移
金属の場合、金属イオンが酸化状態から還元状態、還元
状態から酸化状態へと遷移する過程で酸素とポリオレフ
ィンが反応することにより酸化触媒として作用すると考
えられる。

【００１２】遷移金属としては、Ｃｏが好ましく用いら
れる。Ｃｏ金属の化合物としては、有機酸の塩が用いら
れ、このような有機酸としては、ステアリン酸塩が好ま
しく用いられる。

【００１３】上記酸化触媒は、樹脂組成物中、金属原子
重量で１００ｐｐｍ以上となる量を含有し、特に２００
ｐｐｍ含有されることが好ましい。また、このような酸
化触媒は高濃度に含有される程酸素バリアー性の面では
優れた効果を発揮するが、含有量が多すぎると急速な酸
素吸収によりポリオレフィンが劣化し、シート等に成形
した場合、白濁したり、強度が劣化したりする等の点か
ら、樹脂組成物に対し３００ｐｐｍ以下で用いられるこ
とが多い。上記酸化触媒以外の酸化触媒を適当な濃度で
用いることも可能である。

【００１４】更に本発明に係る樹脂組成物は、下記構造
１で示されるラジカル抑制剤２，２−メチレンビス−（
４−メチル−６−ｔ−ブチルフェノール）

【００１５】

【化１】

【００１６】を１００〜５００ｐｐｍ含有する。

【００１７】一般にポリオレフィン系樹脂には、ラジカ
ルの発生を防止するため、または一旦発生したラジカル
を消滅させるために、ラジカル抑制剤を用いるが、ラジ
カル抑制剤は、熱酸化劣化に関連するラジカルを抑制す
る耐熱安定剤と、光劣化に関連するラジカルを抑制する
耐光安定剤の２つに大きく分けられる。

【００１８】耐熱安定剤は、樹脂加工時における熱酸化
劣化を防止する加工熱安定剤と、保管時、使用時におけ
る熱酸化劣化を防止する静的熱安定剤に分けられる。

【００１９】静的熱安定剤は、酸化反応で発生したラジ
カルに水素原子を付加してラジカル反応（酸化反応）を
抑制し、加工熱安定剤は過酸化物を分解消費して、ラジ
カルの発生を防止する。

【００２０】耐光安定剤のラジカル抑制剤は、酸化反応
を抑制し、発生したラジカルに作用して、ラジカル同志
を反応結合させて、酸化反応を抑制する。

【００２１】添加するラジカル抑制剤２，２−メチレン
ビス−（４−メチル−６−ｔ−ブチルフェノール）は、
静的熱安定剤であり、その添加量は１００ｐｐｍ〜５０
０ｐｐｍが適当である。

【００２２】２，２−メチレンビス−（４−メチル−６
−ｔ−ブチルフェノール）の添加量が１００ｐｐｍ未満
の少量である場合、ポリオレフィンの酸化反応をほとん
ど抑制できず、機械的強度が大幅に低下し、臭気が増大
する恐れがある。また、５００ｐｐｍより多いと充分な
酸素バリアー性が得られない。

【００２３】本発明の樹脂組成物をガスバリア層として
用い、熱による種々の成形方法を用いて、シート、容器
、その他の包装材等に成形することができる。

【００２４】例えば、溶融押出成形によりフィルム、シ
ート、パイプ等を射出成形により容器形状に、また、中
空成形によりボトル状等の中空容器に成形できる。中空
成形には、押出成形によりパリソンを成形し、これをブ
ローして成形を行う押出中空成形と射出成形によりプリ
フォームを成形してこれをブローして成形を行う射出中
空成形等がある。

【００２５】シート、またはフィルム状に成形する場合
は袋用材料、ブリスターパック用材料、容器の蓋等に用
いることができる。また、パイプ状に成形する場合は、
両端の開口部を金属蓋等で密封することにより、容器と
することができる。更に射出成形容器やボトルの場合は
、そのまま容器として使用することができる。

【００２６】成形温度としては、一般にポリオレフィン
の熱成形に用いられる温度、２００〜３２０℃で行うこ
とが可能であるが、本発明においては３５０℃程度まで
可能である。すなわち、一般にポリオレフィンの熱成形
においては、加工時の熱劣化を防止するため比較的低い
温度で成形が行われるが、本発明においては加熱により
酸化触媒が分解してラジカルの発生を増大させるため熱
劣化を恐れる必要がなく、比較的高温成形が可能となる
。

【００２７】成形厚みは、好ましくは５０μｍ以上、更
に好ましくは１００μｍ以上、特に好ましくは４００μ
ｍ以上である。すなわち、５０μｍ未満では酸素バリア
ー効果が少ない。

【００２８】

【作用】ポリオレフィンは酸化触媒の存在下で加工時ま
たは保存中に光や熱によってラジカルを形成しやすくな
り、空気中の酸素と反応して、パーオキシラジカルとな
る。さらに、このパーオキシラジカルは、ポリオレフィ
ンと反応して、パーオキシラジカルは、ポリオレフィン
と反応してハイドロパーオキサイドとラジカルを生成す
る。このハイドロパーオキサイドは、アルコキシラジカ
ルとハイドロキシラジカルに分解され、さらにポリオレ
フィンと反応し、ラジカルを生成すると考えられる。

【００２９】本発明の構成により、上記の如くラジカル
の発生を増大させ、これによりラジカル反応によるポリ
オレフィンの酸素吸収反応を促進させ、結果的に大気中
の酸素を消費し酸素バリアー性を向上せしめるものと推
測される。

【００３０】また、ラジカル抑制剤２，２−メチレンビ
ス−（４−メチル−６−ｔ−ブチルフェノール）は、酸
化反応で発生したポリオレフィンのパーオキシラジカル
、アルコキシラジカル、アルキルラジカルに水素原子を
付加して、自らが安定なラジカルとなることにより安定
化する。パーオキシラジカルとの反応がポリオレフィン
基質とラジカル抑制剤とで競争反応になっており、この
反応は酸化触媒とラジカル抑制剤の添加量により左右さ
れると考えられる。

【００３１】

【実施例】〔実施例１〕ラジカル抑制剤を全く含まない
ポリプロピレン（メルトインデックス０．５）に静的熱
安定剤２，２−メチレンビス−（４−メチル−６−ｔ−
ブチルフェノール）（吉富製薬製　　商品名ヨシノック
ス２２４６Ｇ）を５００ｐｐｍ添加し、ステアリン酸コ
バルトをコバルト原子の濃度で２００ｐｐｍ添加して単
層シート（１０００μｍ）を押出温度２２０℃で押出成
形してシート試料１を作成した。

【００３２】上記試料１の作成において、上記静的熱安
定剤の代わりに静的熱安定剤ペンタエリスリチル−テト
ラキス［３−（３，５−ジ−ｔ−ブチル−４−ヒドロキ
シフェニル）プロピオネ−ト］（チバガイギー社製　　
商品名ＩＲＧＡＮＯＸ１０１０）、または、加工熱安定
剤トリス（２，４−ジ−ｔ−ブチルフェニル）ホスファ
イト（チバガイギー社製　　商品名ＩＲＧＡＦＯＳ１６
８）、または、ラジカル抑制剤コハク酸ジメチル・１−
（２−ヒドロキシエチル）−４−ヒドロキシ−２，２，
６，６−テトラメチルピペリジン重縮合物（チバガイギ
ー社製　　商品名ＴＩＮＵＶＩＮ６２２ＬＤ）を用いた
以外は同様にして比較シート試料１〜３を作成した。

【００３３】また、ラジカル抑制剤を含まないポリプロ
ピレンを同様に成形して比較シート試料４を作成した。

【００３４】得られた試料１、及び比較シート試料１〜
４のそれぞれを押出成形後２５℃に放置して、成形直後
から経時的に酸素透過率を測定した。測定はＯｘ−ＴＲ
ＡＮ１００（モダンコントロール社製）で２５℃にて行
った。結果を表１に示す。

【００３５】

【表１】

【００３６】＊１ラジカル抑制剤 ａ：２，２−メチレンビス−（４−メチル−６−ｔブチ
ルフェノール） ｂ：ペンタエリスエチル−テトラキス［３−（３，５−
ジ−ｔ−ブチル−４−ヒドロキシフェニル）プロピオネ
ート］ ｃ：トリス（２，４−ジ−ｔ−ブチルフェニル）ホスフ
ァイト ｄ：コハク酸ジメチル・１−（２−ヒドロキシエチル）
−４−ヒドロキシ−２，２，６，６−テトラメチルピペ
リジン重縮合物 それぞれ濃度は５００ｐｐｍで固定

【００３７】表１から明らかなように、シート試料１及
び比較シート試料１〜３では酸素バリアー性が得られる
。

【００３８】また、シート試料１及び比較シート試料１
〜４のサンプルを成形直後、１ｃｍ角に切り、酸素透過
度測定用シート試料同様２５℃で保存し、経時的にガス
クロマトグラフ島津１４Ａ（島津製作所製）で臭気の測
定を行った。

【００３９】ただし、臭気を凝集するため、測定の２４
時間前から試料２５．０ｇを１５０ｍｌバイアルびんに
入れて密栓し、５５℃でエージングをし、ヘッドスペー
ス法で測定した。

【００４０】シート試料１及び比較シート試料４で検出
される３成分、アセトアルデヒド、アセトン、２−メチ
ルプロペナールについて、それぞれ検量線を作成し、シ
ート試料１及び比較シート試料１〜４のサンプルにおい
て、これら３成分がバイアルびん中に気体の状態で占め
る量を算出した。結果を表２に示す。

【００４１】

【表２】

【００４２】※枠内上段　　アセトアルデヒド中段　　
アセトン 下段　　２−メチルプロペナール

【００４３】比較シート試料１〜３では上記３成分以外
にエチレン、プロピレン、メタノール、酢酸、２，４−
ペンタジオンの５成分のピークが検出され、これらの臭
気も問題となる。

【００４４】表２より明らかなように、シート試料１は
、比較シート試料１〜３に比べ、上記３成分の割合が非
常に小さく、酸素バリアー性を与えかつ臭気の少ないポ
リプロピレン樹脂組成物である。

【００４５】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、優れた酸素バリアー性を与えかつ臭気の少ないポリ
オレフィン系の樹脂組成物および包装材が得られる。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ポリオレフィン及び酸化触媒と、ラジカル
   抑制剤２，２−メチレンビス−（４−メチル−６−ｔ−
   ブチルフェノール）を、１００ｐｐｍ〜５００ｐｐｍ含
   むことを特徴とする酸素バリアー性を有する樹脂組成物
   。
2. 【請求項２】前記酸化触媒がステアリン酸コバルトであ
   り、その含量が１００ｐｐｍ〜３００ｐｐｍであること
   を特徴とする請求項１記載の酸素バリアー性を有する樹
   脂組成物。
3. 【請求項３】ガスバリア層として請求項１，２記載の樹
   脂組成物を用いることを特徴とする包装材。