JPH04367365A - 繊維強化金属筒状体およびその製造方法 - Google Patents

繊維強化金属筒状体およびその製造方法

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JPH04367365A
JPH04367365A JP16881291A JP16881291A JPH04367365A JP H04367365 A JPH04367365 A JP H04367365A JP 16881291 A JP16881291 A JP 16881291A JP 16881291 A JP16881291 A JP 16881291A JP H04367365 A JPH04367365 A JP H04367365A
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JP
Japan
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fiber
cylindrical body
fibers
reinforced metal
metal cylindrical
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JP16881291A
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English (en)
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Hajime Ikuno
元 生野
Shinichi Towata
真一 砥綿
Yoji Awano
洋司 粟野
Senichi Yamada
山田 銑一
Orute Rangaa
ランガー・オルテ
Aasuburu Korusutain
コルスタイン・アースブル
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Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽量・高剛性で高強度
かつ低膨張性を有し、耐熱疲労性にも優れた金属筒状体
およびその製造方法に関し、更に詳しくは、ハイブリッ
ド型炭素繊維強化Al合金を用いて作製した繊維強化金
属筒状体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄に次いで使用量が多く身近な金
属であるAlについて、高性能材料としての開発が活発
に行われている。その一つとして、Alの本来持つ特徴
としての軽量であることを生かしながら、比強度・比弾
性率の高さ、耐熱性、耐摩耗性の改良を目指して繊維強
化金属複合材料(Fiber Reinforced 
Metals:以下、FRMとする)の開発が活発に行
われている。
【0003】このFRMは、特に、従来の金属材料と比
較して軽量で、比強度、比剛性が高く、耐熱性も優れ、
疲労強度も向上するなどの利点があるので、宇宙・航空
分野を中心に開発が進められている。最近は、強化繊維
として炭素繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維など良質
の強化繊維が開発され、複合化技術、成形技術と合わせ
て急速な技術の進展が見られ、宇宙・航空分野ばかりで
なく、一般機械、自動車などの分野にまで波及してきて
いる。
【0004】ところがこのFRMは、前記のごとく従来
の金属材料にはない高強度・高剛性といった優れた性質
を有する材料として注目されているものの、加熱・冷却
の熱サイクルによって性質が低下する(熱疲労)という
問題があった。特に、FRMの強化繊維として炭素繊維
を用いた場合、FRMの熱膨張係数を非常に小さくでき
るという利点はあるものの、逆に繊維/母相界面の熱応
力・熱歪が大きいので、耐熱疲労性が著しく低下すると
いう問題を有していた。
【0005】そこで、FRMの耐熱疲労性を改善する技
術として、いくつかの方法が提案されている。
【0006】第1の方法として、炭素繊維に表面処理を
施す方法 (T. Kyono, I. W. Hal
l,M. Taya and A. Kitamura
, Proc. Japan− U.S. CCM−I
II, P.553, (1986))が提案されてい
る。
【0007】第2の方法として、繊維に微粒子やウィス
カを付着させること(繊維のハイブリッド化)によりF
RMの耐熱疲労性も向上させる方法(S. Yamad
a, S. Towata, H. Ikuno, P
roc. Int. Symp. Advances 
in Cast ReinforcedMetal C
omposites, No, 8816−003, 
P.109, (1988))が提案されている。
【0008】また、SiC系繊維に変えて炭素繊維を用
いた場合には、該炭素繊維は母相と熱膨張係数差が大き
い上、界面強度も小さいので、これら欠点をなくすため
に、第3の方法として、Al−Ca合金を母相としたF
RM(特開昭60−194039号公報)が提案されて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記第
1の方法では、FRM合金の機械的強度は改良されるも
のの、7〜8μmの炭素繊維に表面処理を行うため大変
手間がかかり、また繊維が有するしなやかさも失われ、
コスト高の原因にもなるという問題を有していた。また
、この方法では、得られるFRMが耐熱疲労性が十分で
はないという問題を有していた。
【0010】また、前記第2の方法では、SiC系繊維
に変えて炭素繊維を用いた場合には、該炭素繊維は母相
と熱膨張係数差が大きい上、界面強度も小さいので、炭
素繊維に単に微粒子やウィスカを付着させただけでは耐
熱疲労性を向上させることは難しいという問題点を有し
ていた。
【0011】また、前記第3の方法では、このFRM合
金はFRMの機械的強度は改良されるものの、繊維の強
化だけでは強度がまだ十分ではなく、耐熱疲労性の改善
をするまでには至らなかった。
【0012】そこで、本発明者らは、上述の如き従来技
術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験
を重ねた結果、本発明を成すに至ったものである。
【0013】本発明の目的は、軽量・高剛性・高強度で
、低膨張性かつ耐熱サイクル性に優れた繊維強化金属筒
状体およびその製造方法を提供するにある。
【0014】本発明者らは、上述の従来技術の問題に関
し、以下のことに着眼した。すなわち、先ず、FRMの
耐熱疲労性は、繊維とマトリックスとの界面強度と密接
な関係がある。そこで、炭素繊維の表面に介在物を付着
させることにより繊維の間隔を適当にし、母相金属の充
填性を良くして界面強度を高めることに着目した。また
、炭素繊維の場合、この方法だけでは、界面強度は十分
に大きくないので、さらにマトリックス中に繊維のぬれ
性を良くする元素を添加することに着眼した。
【0015】一方、熱疲労の生じるメカニズムとして、
加熱・冷却に伴い母相が圧縮、引張の降伏を繰り返して
、繊維/母相界面の剥離を生じさせることが分かった。 そこで、加熱時に塑性歪が回復し易く、降伏強度が小さ
く、柔らかい母相、または、降伏強度が大きく、実用温
度域において熱応力で降伏を生じない母相を用いること
によって耐熱疲労性を向上させ得ることに着目した。
【0016】そこで、Alと炭素繊維とのぬれ性を向上
させるために、母相中に元素の周期律表の第IIa族の
元素を添加したマトリックスを採用したハイブリッド型
FRMに着目した。さらに、FRMの特定の方向の熱膨
張係数を特に小さくするために、板厚方向に積層させる
ことがよく行われるが、このような積層板状材では、熱
応力により積層界面が剥離する。そこで、FRMを筒状
体として、その径方向に積層することにより、積層界面
の剥離を抑制し、前記従来技術の問題点を克服すること
に至った。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維強化金属筒
状体は、ある程度の間隔をもって配設されたヤング率3
00GPa以上を有する炭素長繊維と,該炭素長繊維の
間隙に介在させた炭化珪素,アルミナ,窒化珪素等のセ
ラッミクスや炭素,ガラス等の物質より選択された少な
くとも一種以上の粒子,短繊維,ウィスカまたは板状小
片体等の耐熱性物質とからなる強化繊維と、該強化繊維
の間隙を充填した元素周期律表の第IIa族元素を含む
Al合金からなるマトリックス部とからなる繊維強化金
属筒状形成体であって、前記強化繊維が径方向に積層さ
れてなり,高剛性・高強度で低線膨張係数を有するとと
もに、耐熱疲労性に優れたことを特徴とする。
【0018】
【作用】本発明の繊維強化金属筒状体が上述の如き効果
を発揮するメカニズムについては、未だ必ずしも明らか
ではないが、次のように考えられる。
【0019】本発明の繊維強化金属筒状体は、強化繊維
と該強化繊維の間隙を充填したマトリックス部とからな
る。
【0020】強化繊維は、ある程度の間隔をもって配設
された炭素長繊維の間隙に、炭化珪素、アルミナ、窒化
珪素等のセラッミクスや炭素、ガラス等の物質より選択
された少なくとも一種以上の粒子、短繊維、ウィスカま
たは板状小片体からなる耐熱性物質を介在させてなる。 これより、炭素長繊維がある程度の間隔を置いて均一に
分散され、鋳造欠陥が減少するのに加え、炭素長繊維同
士の接触がなくなり、炭素長繊維の破壊およびその伝播
が抑制されるため、高強度、高剛性のFRMが得られる
【0021】また、マトリックス部は、強化繊維間の間
隙を充填してなる金属或いは合金であり、元素周期律表
の第IIa族元素を含むAl合金からなる。これより、
強化繊維とのぬれ性が高まり、FRMの繊維軸に垂直方
向の強度、および繊維とマトリックスの剪断強度が高ま
り、耐熱疲労性も向上する。
【0022】さらに、前記強化繊維を、径方向に積層さ
せて繊維強化金属筒状体としたので、積層界面で熱疲労
等によりクラックが発生しようとした場合にも、周方向
の拘束力が働き、クラックの発生は抑制される。従って
、耐熱疲労性が向上する。
【0023】
【発明の効果】本発明の繊維強化金属筒状体は、高強度
、高剛性、低熱膨張で、かつ耐熱疲労性に優れている。
【0024】
【実施例】以下に、本発明をさらに具体的にした具体例
について、説明する。
【0025】第1具体例
【0026】本第1具体例の繊維強化金属筒状体は、あ
る程度の間隔をもって配設されたヤング率300GPa
以上を有する炭素長繊維の間隙に、炭化珪素、アルミナ
、窒化珪素等のセラッミクスや炭素、ガラス等の物質よ
り選択された少なくとも一種以上の粒子、短繊維、ウィ
スカまたは板状小片体等の耐熱性物質を介在させた強化
繊維と、該強化繊維間の間隙を充填したAl−Ca合金
からなるマトリックス部とからなる繊維強化金属筒状形
成体であって、前記強化繊維が径方向に積層されてなり
、長さ方向のヤング率が150GPa以上で、室温から
300℃での平均線膨張係数が−1.0〜1.0×10
−6℃−1であり、かつ温度差300℃以内(例えば、
室温と300℃)での繰り返し冷却後も、実質的に強度
低下のないことを特徴とする。
【0027】本第1具体例の繊維強化金属筒状体は、高
強度、高剛性、低熱膨張で、かつ耐熱疲労性に優れてい
る。
【0028】本第1具体例の繊維強化金属筒状体が上述
の如き効果を発揮するメカニズムについては、未だ必ず
しも明らかではないが、次のように考えられる。
【0029】本第1具体例の繊維強化金属筒状体は、強
化繊維と該強化繊維の間隙を充填したマトリックス部と
からなる。強化繊維は、ある程度の間隔をもって配設さ
れた炭素長繊維の間隙に、炭化珪素、アルミナ、窒化珪
素等のセラッミクスや炭素、ガラス等の物質より選択さ
れた少なくとも一種以上の粒子、短繊維、ウィスカまた
は板状小片体からなる耐熱性物質を介在させてなる。こ
れより、炭素長繊維がある程度の間隔を置いて均一に分
散され、鋳造欠陥が減少するのに加え、炭素長繊維同士
の接触がなくなり、炭素長繊維の破壊およびその伝播が
抑制されるため、高強度、高剛性のFRMが得られる。
【0030】また、マトリックス部は、強化繊維間の間
隙を充填したAl−Ca合金からなる金属マトリックス
である。これより、強化繊維とのぬれ性が一層高まり、
FRMの繊維軸に垂直方向の強度、および繊維とマトリ
ックスの剪断強度が高まり、耐熱疲労性も向上する。
【0031】さらに、前記強化繊維を、径方向に積層さ
せて繊維強化金属筒状体としたので、積層界面で熱疲労
等によりクラックが発生しようとした場合にも、周方向
の拘束力が働き、クラックの発生は抑制される。従って
、耐熱疲労性が向上する。
【0032】第2具体例
【0033】本第2具体例の繊維強化金属筒状体は、あ
る程度の間隔をもって配設されたヤング率500GPa
以上を有する炭素長繊維の間隙に、炭化珪素、アルミナ
、窒化珪素等のセラッミクスや炭素、ガラス等の物質よ
り選択された少なくとも一種以上の粒子、短繊維、ウィ
スカまたは板状小片体等の耐熱性物質を介在させた強化
繊維と、該強化繊維間の間隙を充填したAl−Zn−M
g合金を主成分とする合金からなるマトリックス部とか
らなる繊維強化金属筒状形成体であって、前記強化繊維
が径方向に積層されてなり、長さ方向のヤング率が25
0GPa以上で、−150℃〜120℃で熱膨張曲線が
直線的でかつその線膨張係数が−0.5〜1.0×10
−6℃−1であり、かつ150℃以下の温度域で300
℃の温度差での繰り返し加熱・冷却後も実質的に強度低
下のないことを特徴とする。
【0034】本第2具体例の繊維強化金属筒状体は、高
強度、高剛性、低熱膨張で、かつ耐熱疲労性に優れてい
る。
【0035】本第2具体例の繊維強化金属筒状体が上述
の如き効果を発揮するメカニズムについては、未だ必ず
しも明らかではないが、次のように考えられる。
【0036】本第2具体例の繊維強化金属筒状体は、強
化繊維と該強化繊維の間隙を充填したマトリックス部と
からなる。強化繊維は、ある程度の間隔をもって配設さ
れた炭素長繊維の間隙に、炭化珪素、アルミナ、窒化珪
素等のセラッミクスや炭素、ガラス等の物質より選択さ
れた少なくとも一種以上の粒子、短繊維、ウィスカまた
は板状小片体からなる耐熱性物質を介在させてなる。こ
れより、炭素長繊維がある程度の間隔を置いて均一に分
散され、鋳造欠陥が減少するのに加え、炭素長繊維同士
の接触がなくなり、炭素長繊維の破壊およびその伝播が
抑制されるため、高強度、高剛性のFRMが得られる。
【0037】また、マトリックス部は、強化繊維間の間
隙を充填したAl−Zn−Mg合金からなる金属マトリ
ックスである。これより、強化繊維とのぬれ性が一層高
まり、FRMの繊維軸に垂直方向の強度、および繊維と
マトリックスの剪断強度が高まり、熱膨張が直線的で小
さく耐熱疲労性も向上する。
【0038】さらに、前記強化繊維を、径方向に積層さ
せて繊維強化金属筒状体としたので、積層界面で熱疲労
等によるクラックの発生は、周方向の拘束力によって抑
制される。従って、耐熱疲労性が向上する。
【0039】第3具体例
【0040】以下に、前記発明および前記具体例の繊維
強化金属筒状体を、さらに具体的に説明する。
【0041】前記繊維強化金属筒状形成体の連続繊維は
、炭素長繊維からなり、該炭素長繊維同士がある程度の
間隔をもって配設されている。該炭素長繊維は、どのよ
うなものでもよいが、該炭素長繊維間に充填させたマト
リックスがAl−Ca合金の場合は、該マトリックス部
中のCaとの反応性からヤング率が300GPa(約3
0000kgf/mm2)以上のものが好ましい。また
、マトリックスがAl−Zn−Mg合金の場合は、該マ
トリックス部中のMgおよびZnとの反応性および繊維
強化金属の線膨張係数を小さくするため、ヤング率が5
00GPa(約50000kgf/mm2)以上のもの
が好ましい。このように、高弾性タイプの炭素長繊維を
用いることにより、繊維軸方向および繊維軸に直角方向
の強度と、繊維軸方向の剛性を大きくすることができる
。また、該炭素長繊維の太さや長さ、および断面形状等
の性状は、目的とする繊維強化金属筒状体の形状や構造
、および要求される物性、性能等により適宜選択する。
【0042】次に、炭素長繊維の間隙に介在させた耐熱
性物質は、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素等のセラッミ
クスや炭素、ガラス等の物質より選択された少なくとも
一種以上の粒子、短繊維、ウィスカまたは板状小片体か
らなり、これら物質を単独で用いても、二種以上の物質
または/および形状のものを組み合わせて用いてもよい
。なお、この耐熱性物質の粒子径は、0.3〜10μm
であることが好ましい。これは、この範囲であれば、粒
子が炭素長繊維の間隙にほぼ均一に分散して介在し、炭
素長繊維の均一分布に適するためである。該粒子径が0
.3μm未満の場合、粒子が凝集し易く、また該粒子径
が10μmを超える場合には、炭素長繊維の間隙に粒子
が侵入しにくく、該炭素長繊維の均一分布に適しにくい
ので、ともに好ましくない。
【0043】また、耐熱性物質の配合量は、炭素長繊維
に対して、体積率で3〜40%であることが好ましい。 これは、該範囲とすることにより、連続繊維の体積率を
30〜60%程度に保つことができ、炭素長繊維の接触
がなくなり該炭素長繊維の間隔が適当となり、該炭素長
繊維が均一分布するためである。また、該耐熱性物質の
配合量が炭素長繊維に対して3体積%未満の場合は、炭
素長繊維同士に接触が生じ、また40体積%を超えると
炭素長繊維の分布が不均一となり、ともに好ましくない
。また該耐熱性物質は、炭化珪素粒子であることが好ま
しい。これは、他の介在物に比べ、寸法が安定で鱗片状
でなく、Al合金中での安定性に優れ、公害上の問題も
少ないためである。
【0044】次に、前記強化繊維間の間隙を充填するマ
トリックス部は、第1にAl−Ca合金であることが好
ましい。このCaの添加量は、強化繊維とのぬれ性を適
度にし、降伏応力を上げないため0.1〜0.5重量%
であることが好ましい。これは、該添加量が0.5重量
%を超えると強化繊維と激しく反応しFRMの強度は低
下し、また0.1重量%未満の場合ぬれ性の改善効果は
小さいので、添加量は0.1〜0.5重量%が適当であ
る。また、この程度の少量の添加であれば、マトリック
スの降伏応力は純Alとほどんど変わらず小さく(例え
ば図13)、加熱・冷却に伴い導入される塑性歪が回復
し易いため、耐熱疲労性に優れる。
【0045】このようにマトリックスをAl−0.1〜
0.5重量%Ca合金とすることにより、マトリックス
はわずかの温度変化で降伏を生じ、繊維強化金属の熱膨
張係数はマトリックス降伏後は強化繊維の熱膨張係数と
ほぼ同じになるため、広い温度範囲で熱膨張係数を小さ
くすることができる。なお、該Al−Ca合金は、該マ
トリックス部に要求される性質を損なわない範囲で、他
の金属元素が添加されたものでもよい。なお、該マトリ
ックス部と前記連続繊維との混合比率は、マトリックス
組成、連続繊維の種類・形状等、目的とする繊維強化金
属筒状体およびそれを形成する繊維強化金属筒状形成体
の形状や構造、および要求される物性、性能等により適
宜選択する。
【0046】第2に、マトリックス部は、Al−Zn−
Mg合金であることが好ましい。この合金は、降伏応力
が大きく、実用温度域において熱応力で降伏を生じない
ためである。この合金を用いることにより、繊維強化金
属の熱膨張曲線の直線領域を広くすることができる。さ
らに、前記合金中のMgは、強化繊維とのぬれ性が良く
、これらの元素が繊維強化金属の界面強度を適度に強く
し、加熱や冷却時に界面で熱応力をよく伝達し、熱膨張
曲線の直線性を保つことができる。また、適度な界面強
度を持つため、繊維強化金属の強度は、繊維方向、およ
び繊維に垂直方向に優れる。また、熱膨張曲線が直線的
であるので、加熱・冷却を繰り返しても熱膨張曲線はヒ
ステリシスを示さず、可逆的であるので耐熱疲労性が優
れる。
【0047】なお、該マトリックス部は、前記合金でも
、JIS−7000番シリーズのものを用いることが望
ましい。これは、前記Al−Zn−Mg合金マトリック
スを用いることによる効果が、より顕著になるからであ
る。なお、該Al−Zn−Mg合金は、該マトリックス
部に要求される性質を損なわない範囲で、他の金属元素
が添加されたものでもよい。なお、該マトリックス部と
前記連続繊維との混合比率は、マトリックス組成、連続
繊維の種類・形状等、目的とする繊維強化金属筒状体お
よびそれを形成する繊維強化金属筒状形成体の形状や構
造、および要求される物性、性能等により適宜選択する
【0048】本発明の繊維強化金属筒状体は、前記ハイ
ブリッド型の強化繊維と、該強化繊維の間隙に充填させ
たマトリックス部とからなり、前記強化繊維を径方向に
積層してなる金属筒状体である。なお、筒状体とは、長
さが半径に対して十分に大きいものである。筒状体の断
面形状および寸法は、用途や要求される強度等によって
適宜選択される。
【0049】ここで、繊維強化金属筒状体の具体的構造
を、図1〜図3を用いて説明する。
【0050】図1は、筒状体の長さ方向に炭素長繊維1
1を配向させた構造である。
【0051】図2は、筒状体の周方向に炭素長繊維21
を配向させた構造である。
【0052】図3は、筒状体の長さ方向に対して+θ方
向に炭素長繊維311を螺旋状に巻き、その上から−θ
の方向に炭素長繊維312を巻き、筒状体の径方向に炭
素長繊維が積層された構造である。
【0053】本発明の繊維強化金属筒状体は、図3に示
したような構造、または図1〜図3に示した何れかの構
造と図3に示したような構造とを組み合わせた積層構造
が好適である。なお、後者の図1〜図3に示した何れか
の構造と図3に示したような構造とを組み合わせた積層
構造の具体的一例としては、図3のように±θ方向に繊
維を配向させた筒状体の上に図2のように繊維を長さ方
向に対し90°に配向させた部分を配設した構造がある
。この場合、該構造は、強化繊維を前記のように形成し
、マトリックス部となる金属を注湯して繊維強化金属筒
状体とする方法、それぞれの構造の繊維強化金属筒状体
を作製しそれを組み合わせて前記構造の繊維強化金属筒
状体とする方法などがある。
【0054】このように、筒状体の径方向に積層されて
いる場合には、耐熱疲労性の向上効果に特に著しい。こ
れは、周方向の拘束力によって、積層界面でのクラック
発生が抑制されるからである。
【0055】さらに、炭素長繊維は、主として長さ方向
に対して±10°〜±35°に螺旋状に配設することが
好ましい。これは、該範囲の螺旋状に配設することによ
り、熱膨張係数が小さくでき、周方向と半径方向の強度
をともに大きなものとすることができるからである。
【0056】また、繊維強化金属筒状体は、最外層に強
化繊維を前記繊維強化金属筒状体の長さ方向に対して大
略90°方向に配設したフープを有することが好ましい
。これより、筒状体の径方向の強度、剛性を高めること
ができる上、割れ等の欠陥の発生を防止することができ
るので、製造が容易となる。
【0057】図4に、配向角と熱膨張係数および弾性率
の関係を示した。図中、「E」は弾性率を、「α1 」
は熱膨張係数(マトリックス:弾性域)、「α2 」は
熱膨張係数(マトリックス:塑性変形域)を示す。同図
から明らかのように、配向方向が±35度を超えると繊
維強化金属の熱膨張係数は急激に大きくなる。一方、配
向方向が±10度より小さい場合には、繊維強化金属筒
状体の周方向と半径方向の強度が小さく、製造時に割れ
等の欠陥が生じ易い。また、配向角が小さい方が弾性率
は大きい。
【0058】本発明の繊維強化金属筒状体は、以上のよ
うに構成することにより、高剛性、高強度でかつ低熱膨
張特性を有するうえに、耐熱疲労性にも優れたものとな
る。
【0059】本発明の繊維強化金属筒状体の製造方法に
ついて、その具体的な方法を簡単に説明すると以下のよ
うである。
【0060】本発明の繊維強化金属筒状体の製造方法は
、先ず、炭素長繊維がある程度の間隔をもって配設され
、該炭素長繊維の間隙に炭化珪素、アルミナ、窒化珪素
等のセラッミクスや炭素、ガラス等の物質より選択され
た少なくとも一種以上の粒子、短繊維、ウィスカまたは
板状小片体からなる耐熱性物質を介在させたハイブリッ
ド繊維を用意する。次に、筒状体製造用の芯棒を用意し
、該芯棒の回りに前記ハイブリッド繊維を螺旋状に巻き
、径方向に積層させた繊維強化金属筒状体原体を形成す
る。次いで、該繊維強化金属筒状形成体原体をケースに
配置し、必要により応力緩和体をケースに接合し、所定
の形状の型内にケースに配置した該繊維強化金属筒状形
成体原体を配置し、該原体の繊維間に元素周期律表の第
IIa族元素を含むAl合金からなる金属溶湯を注入し
充填させた後、冷却・固化することにより、繊維強化金
属筒状形成体が得られる。次いで、該繊維強化金属筒状
形成体に、必要により所定の形状に切削や切断等の加工
を施し、径方向の所定形状に積層させた繊維強化金属筒
状体が得られる。
【0061】本発明の繊維強化金属筒状体の好適な製造
方法について、以下に説明する。
【0062】第1の好適な繊維強化金属筒状体の製造方
法は、ある程度の間隔をもって配設されたヤング率30
0GPa以上を有する炭素長繊維の間隙に、炭化珪素、
アルミナ、窒化珪素等のセラッミクスや炭素、ガラス等
の物質より選択された少なくとも一種以上の粒子、短繊
維、ウィスカまたは板状小片体からなる耐熱性物質を配
置してハイブリッド繊維を作製する工程と、熱膨張係数
が前記ハイブリッド繊維束の径方向の熱膨張係数とほぼ
同程度以上の材料からなる芯棒を用意し、前記ハイブリ
ッド繊維を該芯棒の周囲に螺旋状に配置し径方向に積層
してプリフォームを作製する工程と、熱膨張係数が前記
ハイブリッド繊維束の径方向の熱膨張係数とほぼ同程度
以下の材料からなるケースを用意し、該ケースに前記プ
リフォームを配置する工程と、該ケースを鋳型のキャビ
ティにセットし、元素周期律表の第IIa族元素を含む
Al合金を注湯し、高圧鋳造によりハイブリッド繊維と
前記第IIa族元素を含むAl合金との複合体を作製す
る工程と、該複合体インゴットから繊維強化金属筒状体
を取り出す工程と、からなることを特徴とする。
【0063】本製造方法により、高剛性、高強度でかつ
低熱膨張特性を有する上に耐熱疲労性にも優れた繊維強
化金属筒状体を、歩留り良く、かつ効率的に製造するこ
とができる。
【0064】第2の好適な繊維強化金属筒状体の製造方
法は、ある程度の間隔をもって配設されたヤング率30
0GPa以上を有する炭素長繊維の間隙に、炭化珪素、
アルミナ、窒化珪素等のセラッミクスや炭素、ガラス等
の物質より選択された少なくとも一種以上の粒子、短繊
維、ウィスカまたは板状小片体等の耐熱性物質を配置し
て強化繊維を作製する工程と、線膨張係数が18×10
−6℃−1以上のFeまたはMnあるいはそれらの合金
製の芯棒を用意し、前記強化繊維を該芯棒の周囲に螺旋
状に配置し、径方向に積層してプリフォームを作製する
工程と、線膨張係数が18×10−6℃−1以下の材料
からなり、合金溶湯を内部に導入する導入部を有するケ
ースを用意し、該ケースに前記プリフォームを配置する
工程と、該ケースおよびプリフォームを鋳型のキャビテ
ィにセットし、Al−Ca合金溶湯を注湯し、高圧鋳造
により複合体を作製する工程と、該複合体インゴットか
ら繊維強化金属筒状体を取り出す工程と、からなること
を特徴とする繊維強化金属筒状体の製造方法である。
【0065】本製造方法により、高剛性、高強度でかつ
低熱膨張特性を有する上により一層耐熱疲労性に優れた
繊維強化金属筒状体を、歩留り良く、かつ効率的に製造
することができる。
【0066】第3の好適な繊維強化金属筒状体の製造方
法は、ある程度の間隔をもって配設されたヤング率50
0GPa以上を有する炭素長繊維の間隙に、炭化珪素、
アルミナ、窒化珪素等のセラッミクスや炭素、ガラス等
の物質より選択された少なくとも一種以上の粒子、短繊
維、ウィスカまたは板状小片体等の耐熱性物質を配置し
て強化繊維を作製する工程と、線膨張係数が18×10
−6℃−1以上のFeまたはMnあるいはそれらの合金
製の芯棒を用意し、前記強化繊維を該芯棒の周囲に螺旋
状に配置し、径方向に積層してプリフォームを作製する
工程と、線膨張係数が18×10−6℃−1未満の材料
からなり、合金溶湯を内部に導入する導入部を有するケ
ースを用意し、該ケースに前記プリフォームを配置する
工程と、前記ケースおよびプリフォームを鋳型のキャビ
ティにセットし、Al−Zn−Mgを主成分とする合金
溶湯を注湯し、高圧鋳造により複合体を作製する工程と
、該複合体インゴットから繊維強化金属筒状体を取り出
す工程と、該繊維強化金属筒状体をT6またはT7処理
する工程と、からなることを特徴とする繊維強化金属筒
状体の製造方法である。
【0067】本製造方法により、高剛性、高強度でかつ
低熱膨張特性を有する上により一層耐熱疲労性に優れた
繊維強化金属筒状体を、歩留り良く、かつ効率的に製造
することができる。
【0068】この製造方法が上述の如き効果を発揮する
メカニズムについては、未だ必ずしも明らかではないが
、次のように考えられる。
【0069】すなわち、先ず、プリフォームを作製する
に際して、前記耐熱性物質からなる連続炭素長繊維の間
隙に前記耐熱性物質からなる微細なウィスカや微粒子等
を配置し、その後該炭素長繊維間に母相金属を注入し充
填してFRM化するようにしたので、注湯に際して繊維
同士の接触を極めて少なくすることができ、母相金属を
繊維/繊維間へ十分に充填することができる。従って、
炭素長繊維の周囲をウィスカや微粒子等で強化された母
相金属が取り囲むことによって、繊維軸に平行な面内で
の剪断応力および繊維軸に垂直な面内での剪断応力等の
機械的強度に優れるとともに、高い強度を有しかつ高剛
性のものとすることができる。よって、高剛性で高強度
の筒状体とすることができる。
【0070】また、螺旋状に強化繊維(ハイブリッド繊
維)を巻く芯棒として、熱膨張係数がハイブリッド繊維
束の径方向とほぼ同程度かまたはそれより大きい材料を
選ぶことにより、高圧鋳造による複合化後の冷却時に芯
棒が繊維強化金属筒状体を圧迫するのを防止し、割れ等
が欠陥のない健全な繊維強化金属筒状体が得られる。
【0071】また、ケースは、繊維強化金属筒状体の外
に配置されるので、繊維強化金属筒状体の径方向の熱膨
張係数の熱膨張係数と同程度かまたはそれより小さい材
料とすることにより、高圧鋳造後の冷却時の収縮量が繊
維強化金属筒状体より小さく、繊維強化金属筒状体への
外側からの圧迫を防止することがでる。
【0072】次に、高圧鋳造により、強化繊維(ハイブ
リッド繊維)とAl−Ca合金やAl−Zn−Mg合金
などの元素周期律表の第IIa族元素を含むAl合金と
を複合化することにより、ほぼ完全に、繊維の間隙に該
Al合金が充填され、繊維強化金属の強度、剛性を大き
くすることができる。また、インゴットより繊維強化金
属筒状体平行部をまず切り出すことにより、繊維強化金
属筒状体の長さ方向の残留応力を除去することができる
。 次に、ケースの湯口部分を除去することにより、繊維強
化金属筒状体に無理な力を加えることなく容易にケース
と繊維強化金属筒状体を分離することができる。そして
、最後に芯棒を抜くことにより、繊維強化金属筒状体に
無理な力を加えることなく容易に繊維強化金属筒状体を
得ることができる。
【0073】以下に、前記本発明の繊維強化金属筒状体
の好適な製造方法をさらに具体的に説明する。
【0074】先ず、ある程度の間隔をもって配設された
ヤング率300GPa以上を有する炭素長繊維の間隙に
、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素等のセラッミクスや炭
素、ガラス等の物質より選択された少なくとも一種以上
の粒子、短繊維、ウィスカまたは板状小片体からなる耐
熱性物質を配置して強化繊維を作製する(ハイブリッド
繊維作製工程)。本工程において用いられる炭素長繊維
、該炭素長繊維間に介在させる粒子、短繊維、ウィスカ
または板状小片体からなる耐熱性物質は、前述したもの
と同様のものを用いることができる。なお、該介在物質
として短繊維やウィスカ、または微粒子を用いる場合は
、耐熱性非金属材料を用いることが好ましい。このよう
な材料を用いることにより、繊維体と母相金属とを複合
化する際に、高温に曝露されても蒸発や溶融することな
く十分に繊維間を保持することができる。なお、該ハイ
ブリッド繊維の作製方法としては、介在物となる物質を
所定量懸濁させた溶液中に超音波を照射しながら該繊維
束を浸漬し、その後に引き上げて乾燥させることが好ま
しい。浸漬しながら連続的に巻き取ればより効率的であ
る。このようにして作製した繊維体の一本一本の表面に
は均一に介在物が付着し、繊維と繊維との間を一定間隔
に保持している。
【0075】次に、熱膨張係数がFRM筒状体の径方向
の熱膨張係数とほぼ同程度であるかまたはそれ以上の材
料からなる芯棒を用意し、前記ハイブリッド繊維を該芯
棒の周囲に螺旋状に巻き付けてプリフォームを作製する
(プリフォーム作製工程)。このとき用いる芯棒は、ス
テンレス鋼、Mn合金、アルミニウムブロンズなどの、
700〜800℃での強度および剛性に優れた材料であ
ることが好ましい。これは、溶湯温度700〜800℃
において高強度、高剛性の芯棒を選ぶことにより、高圧
鋳造時の芯棒の変形を防止できるので、後工程での芯棒
の除去が容易となる上、製造されたFRM筒状体の変形
が防止できるからである。また、炭素繊維の配向は、第
2発明で前述した通りの理由で、前記芯棒の周囲にフィ
ラメントワインディング法により±10〜±35°に螺
旋状に前記ハイブリッド繊維を配設することが望ましい
。さらに好ましくは、±15°程度である。このときの
巻き方としては、例えば+15°方向に巻いた層の上に
−15°方向の層を重ねて巻き、径方向に積層された構
造とする。また、後の加工工程においてFRM筒状体と
芯棒を分離し易いように、芯棒にはあらかじめ黒鉛、窒
化硼素等の離型剤を塗布しておくことが好ましい。
【0076】次に、熱膨張係数が前記ハイブリッド繊維
束の径方向の熱膨張係数とほぼ同程度またはそれ以下の
材料からなるケースを用意し、該ケースに前記プリフォ
ームを配置する(ケーシング工程)。ここで、ケースの
材質は、炭素繊維の熱膨張係数を考慮して、ステンレス
鋼、普通鋼などを用いる。ただし、後の鋳造工程でAl
−Ca合金と反応せず、加工工程で繊維強化金属筒状体
とケースの分離を容易にするため、ケースの表面には黒
鉛、窒化硼素等の離型剤を十分に塗布しておくことが望
ましい。さらに、凝固・冷却時に繊維強化金属筒状体の
長さ方向の熱応力を緩和するために、ケースの両端部に
は外部のAlとの連結を断ち切る仕切り板をつけること
が望ましい(例えば図5(b))。このように、ケース
に仕切り板をケース両端に取り付けることにより、外部
のAl合金部との連結を断ち切ることができるので、凝
固・冷却時に繊維強化金属筒状体に外部より働く長さ方
向の熱応力を緩和することができる。
【0077】また、ケースの側面には、凝固・冷却時に
繊維強化金属筒状体の径方向の熱応力を緩和するために
、フィンを付けることが望ましい(例えば図5(a)お
よび(b))。このように、ケース側面に外側のAl合
金部を分断するフィンを取り付けることにより、繊維強
化金属筒状体に外側より働く径方向の熱応力を緩和する
ことができる。さらに、湯口は、ケースの上下面に配置
することが望ましい(例えば図5(b))。これより、
繊維強化金属筒状体の変形を防止できるからである。ま
た、湯口の形状は、繊維強化金属筒状体の長さ方向に対
しては短く、それに直交する方向には長い長方形とし、
長さ方向の数カ所に分散させて設けることが望ましい(
例えば図5(b))。これは、凝固・冷却時に湯口部分
が熱応力により切断または変形して繊維強化金属筒状体
に長さ方向の熱応力が加わるのを防止するからである。
【0078】次に、前記ケースを鋳型のキャビティにセ
ットし、Al−Ca合金やAl−Zn−Mg合金などの
元素周期律表の第IIa族元素を含むAl合金の溶湯を
注湯し、高圧鋳造により、ハイブリッド繊維と周期律表
の第IIa族元素を含むAl合金との複合体インゴット
を作製する(複合体作製工程)。ここで、プリフォーム
を入れたケースは、N2 ガスあるいは不活性ガス中で
、400℃〜750℃に予熱しておく。これより、周期
律表の第IIa族元素を含むAl合金の溶湯を途中で凝
固することなく炭素繊維間隙に十分に充填することがで
きる。また、鋳造型は、250℃以上に予熱し、離型剤
を塗布することが望ましい。鋳造時の圧力は、400k
gf/cm2 以上で凝固が完了するまで1〜2分程度
加圧状態を保つことが望ましい。また、注湯温度は、7
00〜800℃とすることが望ましい。これらの鋳造条
件とすることにより、引け巣、充填欠陥などのない健全
で、かつ適度に繊維とマトリックスが反応して強度、剛
性、耐熱疲労性等に優れた繊維強化金属筒状体を得るこ
とができる。
【0079】次に、前記複合体インゴットから繊維強化
金属筒状体を取り出す(FRM筒状体作製工程)。鋳造
インゴットより繊維強化金属筒状体の平行部のみを切断
して切り出した後、ケースの上下の湯口部分を除去し、
芯棒の入った繊維強化金属筒状体からケースを剥がし、
芯棒を押し抜いて繊維強化金属筒状体を得る。これより
、繊維強化金属筒状体の残留応力を除去し、繊維強化金
属筒状体に過剰な負荷をかけずに、かつ容易に繊維強化
金属筒状体を取り出すことができる。
【0080】なお、元素周期律表の第IIa族元素を含
むAl合金の溶湯Al合金溶湯としてAl−Zn−Mg
合金を用いた場合は、さらに、該繊維強化金属筒状体を
熱処理することが望ましい。これにより、マトリックス
部であるAl合金の降伏応力がさらに高まり、FRM筒
状体の熱膨張曲線を広い温度範囲で直線的にし、かつそ
の線膨張係数を小さくすることができる。また、同時に
、マトリックスの強度を向上することができるので、F
RMの繊維に直角方向の強度を一層向上させることがで
きる。
【0081】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0082】第1実施例
【0083】先ず、弾性率400GPa、軸方向強度2
50kgf/mm2 の高弾性タイプの炭素長繊維束を
、SiC粒子(平均粒径:1.8μm)1kgを10リ
ットルのエタノール中に懸濁した液中に超音波を付与し
ながら通過させ、炭素長繊維にSiC粒子を付着させた
強化繊維束(FRMとしたときの繊維に直角方向の熱膨
張係数:約18×10−6℃−1)を作製した。重量測
定の結果、SiC粒子の付着量は、炭素繊維に対して約
10体積%であった。
【0084】次に、この強化繊維束52をフィラメント
ワインディング装置を用いて+15°/−15°/+1
5°/−15°にヘリカル巻きした。なお、芯棒53は
ステンレス鋼製(熱膨張係数:約18×10−6℃−1
)とし、表面に黒鉛を塗布しておいた。
【0085】次に、図5の図5(a)および図5(b)
に示すように、繊維成形体(プリフォーム)51を、湯
口57となる切込みのついたステンレス製の半割りパイ
プ54の中に収め、半割りパイプ54に凝固時の熱応力
を緩和するフィン55および仕切り板56を取り付け、
鋳型58内に配置した。
【0086】次に、この繊維成形パイプを750℃のN
2 ガス雰囲気中で30分間加熱後、金型内にセットし
、750℃のAl−0.4重量%Ca合金を金型キャビ
ティに注湯し、750kgf/cm2 で2分間加圧し
、凝固させた。得られたインゴットから、大まかに繊維
強化金属筒状体の含まれる部分を切出し、ケースの湯口
部分をエンドミル等で切削して除去し、ケースを繊維強
化金属筒状体より分離する。次いで、この芯棒の入った
繊維強化金属筒状体より、ハンドプレス等を用いて芯棒
を押し抜き、本実施例にかかる繊維強化金属筒状体を得
た。
【0087】得られたFRMパイプの外観を観察したと
ころ、外観性状は良好で全く欠陥がなかった。また、こ
のFRMパイプの断面の金属組織を、光学顕微鏡(倍率
:400倍)で観察した。その結果を、図6に示す。 同図より明らかのごとく、充填不良、引け巣等の欠陥は
全く観察されなかった。
【0088】なお、図7に、湯口の位置とFRMパイプ
の真円度との関係を示した。これより、湯口を上下位置
に配置することにより、変形を極めて小さくできること
が分かった。
【0089】また、作製したFRMパイプの平均線膨張
係数を横型熱膨張計により測定した。その結果を、図8
に示す。同図より明らかのごとく、FRMパイプの室温
(RT)〜300°Cでの平均線膨張係数は、0〜−0
.7×10−6℃−1と非常に小さかった。また、FR
Mパイプをエポキシ接着剤でつかみ治具に固定して引張
試験を行った結果、歪ゲージを取付けたほぼ中央部で破
壊した。このときの長さ方向の弾性率は160GPaと
大きく、強度も450MPaと大きかった。
【0090】次に、得られたFRMパイプを用い、室温
〜300°Cで加熱・冷却を500回繰り返した。該試
験後のFRMパイプの断面の金属組織の走査型電子顕微
鏡写真図(倍率:2000倍)を、図9に示す。また、
該熱サイクル試験後の本実施例のFRMパイプの室温〜
300℃の平均熱膨張係数は、0〜−0.7×10−6
℃−1と小さかった。さらに、熱サイクル後の寸法変化
を、表1に示した。
【0091】
【表1】
【0092】なお、比較のために、強化繊維を±15°
に板状に積層してAl合金溶湯としてAl−0.4重量
%Ca合金を用いた(試料番号C1)、Al−5%Mg
合金を用いた(試料番号C2)、および純Alを用いた
(試料番号C3)、以外は前記実施例と同様にして、比
較用繊維強化金属体を作製し(試料番号:C1〜C3)
、同様の評価試験を行った。なお、比較用繊維強化金属
体の熱サイクル試験後の断面の金属組織の走査型電子顕
微鏡写真図を、試料番号C1は図10(倍率:2000
倍)に、試料番号C2の結果は図11(倍率:2000
倍)にそれぞれ示す。また、該熱サイクル試験後の寸法
変化を、表1に併せて示す。
【0093】図9〜図11より明らかのごとく、板状積
層材である比較用繊維強化金属体は、熱疲労により積層
界面にクラックが認められたが、パイプ状の本実施例の
繊維強化金属筒状体はクラックが認められず、耐熱疲労
性に優れていることが分かる。
【0094】また、表1より、板状のものではAl−0
.4重量%Caマトリックスの場合(試料番号C1)が
最も残留変形量が小さく、さらに本実施例のようにパイ
プ状にすることによりさらに寸法安定性が改善されるこ
とが分かった。
【0095】第2実施例
【0096】前記第1実施例と同様の強化繊維束を一方
向に並べて角パイプ状ケースに配設し、第1実施例と同
様の方法により、各種のAl合金と複合化して本実施例
にかかる繊維強化金属体を得た。
【0097】図12に、一方向強化FRMの熱サイクル
による寸法変化を示した。同図より、Al−5重量%M
g合金、純Alに比べ、Al−0.4重量%Ca合金を
マトリックスとした場合に、最も残留変形量が小さいこ
とが分かった。
【0098】さらに、この原因について解析するために
、Caの添加量を変えて同様の方法により作製したFR
Mについて、硬さおよび繊維軸に垂直方向の強度および
繊維軸方向の強度について調べた結果を、図13および
図14に示した。これらの図より、マトリックス中にC
aを添加することにより、繊維/マトリックス界面強度
が改善され、垂直方向強度が大きくなるが、Ca添加に
より硬さはほとんど変化しないことが明らかとなった。
【0099】このように、界面強度が強く、母相が柔ら
かいことが、耐熱疲労性の向上に寄与しているものと考
えられる。しかし、Caの添加量を多くすると、繊維軸
方向の強度が低下するので、その添加量は0.5重量%
程度までとしたほうがよいことが分かる。
【0100】第3実施例
【0101】前記第1実施例と同様の強化繊維束を、ア
ルミニウムブロンズ製芯棒の周囲に+15°/−15°
/+15°/−15°にヘリカル巻きし、さらにその上
から90°方向に強化繊維束を巻いた。この繊維成形体
とAl−0.4重量%Ca合金を前記第1実施例と同様
にして高圧鋳造法で複合化した後、金型中で自然放冷し
、繊維強化金属筒状体を得た。
【0102】得られた繊維強化筒状体は、ケースおよび
芯棒の除去が容易であり、割れ等の欠陥の無い50cm
長さの筒状体が得られた。なお、芯棒をステンレス製と
し、最外層にフープ(90°巻層)を設けないほかは、
前記第3実施例と同様にして50cmの筒状体を作製し
た場合は、ケースまたは芯棒と繊維強化金属筒状体との
間の離型状態が悪いと、繊維強化金属筒状体に割れが生
じることがあった。
【0103】第4実施例
【0104】先ず、弾性率740GPa、軸方向強度2
.75GPaの炭素長繊維束を、SiC粒子(平均粒径
:1.8μm)1kgを10リットルのエタノール中に
懸濁した液中に超音波を付与しながら通過させ、炭素長
繊維にSiC粒子を付着させた強化繊維束(FRMとし
たときの繊維に直角方向の熱膨張係数:約18×10−
6℃−1)を作製した。重量測定の結果、SiC粒子の
付着量は、炭素繊維に対して約10体積%であった。
【0105】次に、この強化繊維束52をフィラメント
ワインディング装置を用いて+15°/−15°/+1
5°/−15°にヘリカル巻きした。なお、芯棒53は
ステンレス製(熱膨張係数:約18×10−6℃−1)
とし、表面に黒鉛を塗布しておいた。
【0106】次に、繊維成形体(プリフォーム)51を
、湯口57となる切込みのついたステンレス製の半割り
パイプ54の中に収め、半割りパイプ54に凝固時の熱
応力を緩和するフィン55および仕切り板56を取り付
け、鋳型58内に配置した(図5(a)および図5(b
))。
【0107】次に、この繊維成形パイプをN2 ガス雰
囲気とし、750℃の7075合金(組成:Al−6重
量%Zn−3重量%Mg−2重量%Cu−0.3重量%
Cr)を金型キャビティに注湯し、750kgf/cm
2で2分間加圧し、凝固させた。得られたインゴットか
ら、繊維強化金属筒状体の含まれる部分を切出し、ケー
スの湯口部分をエンドミル等で切削して除去し、ケース
を繊維強化金属筒状体より分離する。次いで、この芯棒
に入った繊維強化金属筒状体より、ハンドプレス等を用
いて芯棒を押し抜き、本実施例にかかる繊維強化金属筒
状体を得た。
【0108】得られたFRMパイプの外観を観察したと
ころ、外観性状は良好で全く欠陥がなかった。また、こ
のFRMパイプの断面の金属組織を、光学顕微鏡で観察
したところ、充填不良、引け巣等の欠陥は全く観察され
なかった。また、湯口を上下位置に配置することにより
、変形を極めて小さくできることが分かった。また、作
製したFRMパイプをT6処理(465℃4時間溶体化
処理→120℃36時間の時効硬化処理)後、熱膨張係
数を横型熱膨張計により測定した。その結果、−150
℃〜120℃までの温度域で直線の熱膨張曲線を示し、
その線膨張係数は、0.4×10−6℃−1と非常に小
さかった。また、同様の方法で作製した板状の一方向強
化材について、引張試験を行った結果、ほぼ中央部で破
壊した。このときの繊維方向の弾性率は470GPaと
大きく、強度も0.9GPaと大きかった。
【0109】次に、得られたFRMパイプを用い、−1
50〜120°Cで加熱・冷却を500回繰り返した。 その結果、FRMパイプにクラックは認められなかった
【0110】なお、比較のために、強化繊維を±15°
に板状に積層してAl合金溶湯としてAl−5重量%M
g合金を用いた(試料番号C4)、および純Alを用い
た(試料番号C5)、以外は前記実施例と同様にして、
比較用繊維強化金属体を作製し(試料番号:C4、C5
)、同様の評価試験を行った。その結果、何れの場合に
も、積層界面にクラックが認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維強化金属筒状体の具体的構造の一
例を示した説明図である。
【図2】本発明の繊維強化金属筒状体の具体的構造の一
例を示した説明図である。
【図3】本発明の繊維強化金属筒状体の具体的構造の一
例を示した説明図である。
【図4】本発明の繊維強化金属筒状体の強化繊維の配向
角と熱膨張係数および弾性率の関係の一例を示す線図で
ある。
【図5】本発明の第1実施例における繊維強化金属筒状
体の製造方法を示す説明図で、図5(a)は繊維成形体
の径方向断面図、図5(b)は繊維成形体の長手方向の
断面図である。
【図6】本発明の第1実施例において得られたFRMパ
イプの断面の金属組織を示す写真図である(倍率:40
0倍)。
【図7】本発明の第1実施例において得られたFRMパ
イプの、湯口の位置とFRMパイプの真円度との関係を
示す線図である。
【図8】本発明の第1実施例において得られたFRMパ
イプの熱膨張量と温度との関係を示す線図である。
【図9】本発明の第1実施例において得られたFRMパ
イプの加熱−冷却試験後の断面の金属組織を示す写真図
(倍率:2000倍)である。
【図10】比較例(試料番号C1)において得られた比
較用FRMパイプの加熱−冷却試験後の断面の金属組織
を示す写真図(倍率:2000倍)である。
【図11】比較例(試料番号C2)において得られた比
較用FRMパイプの加熱−冷却試験後の断面の金属組織
を示す写真図(倍率:2000倍)である。
【図12】本発明の第2実施例において得られた一方向
強化FRMの熱サイクルによる寸法変化を示す線図であ
る。
【図13】本発明の第2実施例において得られた一方向
強化FRMのCaの添加量と硬さおよび繊維軸に垂直方
向の強度との関係を示す線図である。
【図14】本発明の第2実施例において得られた一方向
強化FRMのCaの添加量と硬さおよび繊維軸方向の強
度との関係を示す線図である。
【符号の説明】
11、21、311、312  ・・・  炭素長繊維
51  ・・・  繊維成形体(プリフォーム)52 
 ・・・  強化繊維束 53  ・・・  芯棒 54  ・・・  半割りパイプ 55  ・・・  フィン 56  ・・・  仕切り板 57  ・・・  湯口 58  ・・・  鋳型

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  ある程度の間隔をもって配設されたヤ
    ング率300GPa以上を有する炭素長繊維と、該炭素
    長繊維の間隙に介在させた炭化珪素、アルミナ、窒化珪
    素等のセラッミクスや炭素、ガラス等の物質より選択さ
    れた少なくとも一種以上の粒子、短繊維、ウィスカまた
    は板状小片体等の耐熱性物質とからなる強化繊維と、該
    強化繊維の間隙を充填した元素周期律表の第IIa族元
    素を含むAl合金からなるマトリックス部とからなる繊
    維強化金属筒状形成体であって、前記強化繊維が径方向
    に積層されてなり、高剛性・高強度で低線膨張係数を有
    するとともに、耐熱疲労性に優れたことを特徴とする繊
    維強化金属筒状体。
  2. 【請求項2】  ある程度の間隔をもって配設されたヤ
    ング率300GPa以上を有する炭素長繊維の間隙に、
    炭化珪素、アルミナ、窒化珪素等のセラッミクスや炭素
    、ガラス等の物質より選択された少なくとも一種以上の
    粒子、短繊維、ウィスカまたは板状小片体等の耐熱性物
    質を介在させた強化繊維と、該強化繊維間の間隙を充填
    したAl−Ca合金からなるマトリックス部とからなる
    繊維強化金属筒状形成体であって、前記強化繊維が径方
    向に積層されてなり、長さ方向のヤング率が150GP
    a以上で、室温から300℃での平均線膨張係数が−1
    .0〜1.0×10−6℃−1であり、温度差300℃
    以内での繰り返し冷却後も、実質的に強度低下のないこ
    とを特徴とする繊維強化金属筒状体。
  3. 【請求項3】  マトリックス部が、Al−0.1〜0
    .5重量%Ca合金であることを特徴とする請求項2記
    載の繊維強化金属筒状体。
  4. 【請求項4】  強化繊維が、該繊維強化金属筒状体の
    長さ方向に対して±10〜±35°に螺旋状に配設され
    てなり、低線膨張係数を有することを特徴とする請求項
    2記載の繊維強化金属筒状体。
  5. 【請求項5】  繊維強化金属筒状体が、最外層に強化
    繊維を前記繊維強化金属筒状体の長さ方向に対して大略
    90°方向に配設したフープを有してなり、筒状体の径
    方向の強度に優れてなることを特徴とする請求項1記載
    の繊維強化筒状体。
  6. 【請求項6】  炭素長繊維の間隙に配設された耐熱性
    物質が炭化珪素粒子であり、該粒子の大きさが0.3〜
    10μmで、該粒子の配合量が炭素長繊維に対して体積
    率で3〜40%であることを特徴とする請求項2記載の
    繊維強化金属筒状体。
  7. 【請求項7】  ある程度の間隔をもって配設されたヤ
    ング率300GPa以上を有する炭素長繊維の間隙に、
    炭化珪素、アルミナ、窒化珪素等のセラッミクスや炭素
    、ガラス等の物質より選択された少なくとも一種以上の
    粒子、短繊維、ウィスカまたは板状小片体等の耐熱性物
    質を配置して強化繊維を作製する工程と、線膨張係数が
    18×10−6℃−1以上のFeまたはMnあるいはそ
    れらの合金製の芯棒を用意し、前記強化繊維を該芯棒の
    周囲に螺旋状に配置し、径方向に積層してプリフォーム
    を作製する工程と、線膨張係数が18×10−6℃−1
    以下の材料からなり、合金溶湯を内部に導入する導入部
    を有するケースを用意し、該ケースに前記プリフォーム
    を配置する工程と、該ケースおよびプリフォームを鋳型
    のキャビティにセットし、Al−Ca合金溶湯を注湯し
    、高圧鋳造により複合体を作製する工程と、該複合体イ
    ンゴットから繊維強化金属筒状体を取り出す工程と、か
    らなることを特徴とする繊維強化金属筒状体の製造方法
  8. 【請求項8】  芯棒がアルミニウムブロンズであり、
    高圧鋳造後、ゆっくりと冷却することを特徴とする請求
    項7記載の繊維強化金属筒状体の製造方法。
  9. 【請求項9】  ある程度の間隔をもって配設されたヤ
    ング率500GPa以上を有する炭素長繊維の間隙に、
    炭化珪素、アルミナ、窒化珪素等のセラッミクスや炭素
    、ガラス等の物質より選択された少なくとも一種以上の
    粒子、短繊維、ウィスカまたは板状小片体等の耐熱性物
    質を介在させた強化繊維と、該強化繊維間の間隙を充填
    したAl−Zn−Mg合金を主成分とする合金からなる
    マトリックス部とからなる繊維強化金属筒状形成体であ
    って、前記強化繊維が径方向に積層されてなり、長さ方
    向のヤング率が250GPa以上で、−150℃〜12
    0℃で熱膨張曲線が直線的でかつその線膨張係数が−0
    .5〜1.0×10−6℃−1であり、かつ150℃以
    下の温度域で300℃の温度差での繰り返し加熱・冷却
    後も実質的に強度低下のないことを特徴とする繊維強化
    金属筒状体。
  10. 【請求項10】  マトリックス部が、Al−4〜7重
    量%Zn−2〜3重量%Mg合金であることを特徴とす
    る請求項7記載の繊維強化金属筒状体。
  11. 【請求項11】  強化繊維を径方向に積層させた繊維
    強化金属筒状体であり、該強化繊維が繊維強化金属筒状
    体の長さ方向に対して±10〜±35°に螺旋状に配設
    されてなることを特徴とする請求項7記載の繊維強化金
    属筒状体。
  12. 【請求項12】  炭素長繊維の間隙に配設された耐熱
    性物質が炭化珪素粒子であり、該粒子の大きさが0.3
    〜10μmで、該粒子の配合量が炭素長繊維に対して体
    積率で3〜40%であることを特徴とする請求項7記載
    の繊維強化金属筒状体。
  13. 【請求項13】  ある程度の間隔をもって配設された
    ヤング率500GPa以上を有する炭素長繊維の間隙に
    、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素等のセラッミクスや炭
    素、ガラス等の物質より選択された少なくとも一種以上
    の粒子、短繊維、ウィスカまたは板状小片体等の耐熱性
    物質を配置して強化繊維を作製する工程と、線膨張係数
    が18×10−6℃−1以上のFeまたはMnあるいは
    それらの合金製の芯棒を用意し、前記強化繊維を該芯棒
    の周囲に螺旋状に配置し、径方向に積層してプリフォー
    ムを作製する工程と、線膨張係数が18×10−6℃−
    1未満の材料からなり、合金溶湯を内部に導入する導入
    部を有するケースを用意し、該ケースに前記プリフォー
    ムを配置する工程と、前記ケースおよびプリフォームを
    鋳型のキャビティにセットし、Al−Zn−Mgを主成
    分とする合金溶湯を注湯し、高圧鋳造により複合体を作
    製する工程と、該複合体インゴットから繊維強化金属筒
    状体を取り出す工程と、該繊維強化金属筒状体をT6ま
    たはT7処理する工程と、からなることを特徴とする繊
    維強化金属筒状体の製造方法。
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JP4655884B2 (ja) * 2005-10-27 2011-03-23 株式会社豊田自動織機 複合部材

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