JPH0435568Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、いわゆるプランジヤー型気化器の始
動装置の改良に関する。

〔従来技術〕

この種従来の始動装置として例えば実公昭52−
12823号公報に記載のものは、基本的には第３図
に示した如く、気化器本体MBにおいて始動用エ
ア通路１と始動用燃料通路２と始動用混合気通路
３との接続位置に設けられた円筒形のシリンダ室
４と、該シリンダ室４内に軸方向に摺動可能に嵌
挿されていると共にその頂部に操作用ロツド５が
固着され且つその底面にゴム板６と燃料通路２内
に挿脱され得るニードル７が固着された円柱形の
プランジヤー８と、該プランジヤー８に図面下方
即ち各通路１，２，３を閉じる方向の移動習性を
付与するスプリング９とから成り、プランジヤー
８の外周部により混合気通路３を開閉すると共に
プランジヤー８の底部に固着されたゴム板６によ
り燃料通路２を開閉し且つニードル９により燃料
流量を調整するように構成されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながらこの構成では、プランジヤー８の
円滑な動作を保証すると共に、閉弁時シリンダ室
４の内周面とプランジヤー８の外周面との接触に
より混合気の混合気通路３への漏れを止める必要
があるが、円筒と円柱との間で線接触することに
なり、混合気通路を閉塞することができない。こ
のため、漏れを小さくするためには、シリンダ室
４とプランジヤー８の径の差を小さくする必要が
あり、更に、シリンダ室４の内径、内周面及びプ
ランジヤー８の外径、外周面を高精度に加工する
ことが要求され、又そのためプランジヤー８は真
鍮の切削加工等により作る必要があり、その結果
製造コストが高いという問題があつた。

本考案は、上記問題点に鑑み、製造コストの安
い気化器の始動装置を提供することを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

本考案による気化器の始動装置は、始動用エア
通路と始動用混合気流入路と始動用混合気流出路
との接続位置に設けられたシリンダ室と、該シリ
ンダ室内に摺動可能に嵌挿されていて少なくとも
前記始動用混合気流出路を開閉するプランジヤー
とを備えた気化器の始動装置において、シリンダ
室がプランジヤーの摺動方向と平行で且つ始動用
混合気流出路が開口する第一平面を有しており、
プランジヤーにシリンダ室の第一平面に接して始
動用混合気流出路を閉鎖し得る第二平面を形成す
ると共に、該第二平面と反対側の部分を外方に撓
ませた薄肉のスカート部に形成してシリンダ室の
内面に圧接させることで弾性を持たせるようにし
たことにより、シリンダ室の内寸、内面の精度及
びプランジヤーの外寸、外面の精度にさほど高精
度が要求されず、プランジヤーを合成樹脂の射出
成形又は薄板のプレス加工にて作成し得るように
したものである。

〔実施例〕

以下、図示した一実施例に基づき本考案を詳細
に説明する。

第１図Ａ及びＢは夫々に本案始動装置の水平断
面図及び縦断面図であつて、１１，１２，１３は
気化器本体MBに形成された始動用エア通路、始
動用混合気流入路（図示しないウエルと接続され
ている）、始動混合気流出路（図示しないマニホ
ールドに接続されている）であつて、これらの接
続部に断面矩形のシリンダ室１４が設けられてい
る。そして、シリンダ室１４の内面の一平面１４
ａには上記始動用混合気流出路１３が開口せしめ
られ、該平面１４ａと対向する他の平面１４ｂに
は始動用エア通路１１が開口せしめられ、底面１
４ｃには始動用混合気流入路１２が開口せしめら
れている。１５はシリンダ室１４に上下摺動可能
に嵌挿された水平断面が矩形で縦断面が概略コの
字形のプランジヤーであつて、これは合成樹脂の
射出成形により形成され、平面１４ａに接する平
面１５ａと反対側のスカート部１５ｂは薄肉で且
つ若干外方へ撓んだ形状に形成されることによつ
て上記平面１５ａを平面１４ａに圧接させるよう
な弾性が付与されている。１６はその一端がプラ
ンジヤー１５の頂部に係合連結された操作用ワイ
ヤ、１７はプランジヤー１５に図面下方即ち混合
気流出路１３を閉じる方向の移動習性を付与する
スプリングである。

本考案による始動装置は上述の如く構成されて
おり、プランジヤー１５の上下動により混合気流
出路１３を開閉するのは従来例と基本的に同じで
あるが、スカート部１５ｂの弾性作用によりプラ
ンジヤー１５の平面１５ａをシリンダ室１４の平
面に圧接せしめて混合気流出路１３を閉じるよう
になつているので、シリンダ室１４の内寸、内面
の精度及びプランジヤー１５の外寸、外面の精度
をさほど高精度にしなくとも閉弁時に混合気の混
合気流出路１３への漏れを確実に止めることがで
きる。又、そのため、プランジヤー１５は合成樹
脂の射出成形により形成することが可能である。
従つて、製造コストが従来例に較べて格段に安く
なる。

第２図は他の実施例のプランジヤー１８の斜視
図であつて、プランジヤー１８は薄板をプレス加
工することにより形成され、その一方のスカート
部１８ａの外面がシリンダ室１４の内面１４ａと
接触し、他方のスカート部１８ｂが若干外方に撓
ませられて弾性が付与され、スカート部１８ｂか
ら頂部にかけて形成された孔１８ｃに操作用ワイ
ヤ１６の一端が係合連結されるようになつてい
る。この実施例の場合も、プランジヤー１８を単
なるプレス加工により作成し得るので、製造コス
トが安い。

尚、平面１４ａは第一平面を、１５ａ及び１８
ａは第二平面を夫々構成する。

〔考案の効果〕

上述の如く、本考案による気化器の始動装置
は、プランジヤー自体の弾性によつて、閉弁時に
混合気の漏れを確実に防止することができ、別個
に弾性部材を設置する必要はなく、部品点数を削
減できる上に構造が簡単である。しかもシリンダ
室やプランジヤーの精度を高精度にする必要もな
く、プランジヤーは射出成形や薄板のプレス加工
等で低廉且つ容易に製造できるから、製造コスト
が非常に安いという重要な利点を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ及びＢは夫々本考案による気化器の始
動装置の一実施例の水平断面図及び縦断面図、第
２図は他の実施例のプランジヤーの斜視図、第３
図Ａ及びＢは夫々従来例の水平断面図及び縦断面
図である。 １１……始動用エア通路、１２……始動用混合
気流入路、１３……始動用混合気流出路、１４…
…シリンダ室、１４ａ，１４ｂ……平面、１４ｃ
……底面、１５……プランジヤー、１５ａ……平
面、１５ｂ……スカート部、１６……操作用ワイ
ヤ、１７……スプリング、１８……プランジヤ
ー、１８ａ，１８ｂ……スカート部、１８ｃ……
孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 始動用エア通路と始動用混合気流入路と始動用
   混合気流出路との接続位置に設けられたシリンダ
   室と、該シリンダ室内に摺動可能に嵌挿されてい
   て少なくとも始動用混合気流出路を開閉するプラ
   ンジヤーとを備えた気化器の始動装置において、 前記シリンダ室はプランジヤーの摺動方向と平
   行で且つ前記始動用混合気流出路が開口する第一
   平面を有しており、前記プランジヤーにシリンダ
   室の第一平面に接して始動用混合気流出路を閉鎖
   し得る第二平面を形成すると共に、該第二平面と
   反対側の部分を外方に撓ませた薄肉のスカート部
   に形成して前記シリンダ室の内面に圧接させるこ
   とで弾性を持たせるようにしたことを特徴とする
   始動装置。