JPH04353819A - レーザー保護眼鏡用レンズの製造方法 - Google Patents

レーザー保護眼鏡用レンズの製造方法

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JPH04353819A
JPH04353819A JP3129782A JP12978291A JPH04353819A JP H04353819 A JPH04353819 A JP H04353819A JP 3129782 A JP3129782 A JP 3129782A JP 12978291 A JP12978291 A JP 12978291A JP H04353819 A JPH04353819 A JP H04353819A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面に高硬度で密着性に
優れた硬化膜を有し、600nm以上の波長域に吸収を
有するアクリル系樹脂からなるレーザー保護眼鏡用レン
ズの製造方法に関するものである。本発明により得られ
たレーザー保護眼鏡用レンズは、特に半導体、YAG、
He−Ne、ルビー、Kr等の上記波長域に発振波長を
持つレーザー機器を取り扱う際の保護眼鏡用レンズとし
て用いられる。
【0002】
【従来の技術】現在He−Ne、Ar、Kr、He−C
d、炭酸ガス、エキシマ等のガスレーザー、又、YAG
、ルビー、ガラス等の固体レーザー、さらに半導体レー
ザー等の種々のレーザーが幅広い応用分野を得てその普
及度を高めている。
【0003】しかし、一方においてレーザーが眼球組織
に照射された場合には危険なことが知られており、眼の
保護としてレーザーを遮光しレーザー光が眼に入らない
ような十分な光学濃度を備えた保護眼鏡の装用が必要と
なっている。
【0004】従来のレーザー保護眼鏡レンズとしては、
色ガラス、着色プラスチックなどの吸収型フィルターが
知られており、前記色ガラスは通常、青板、白板ガラス
等の素材、BK−7等の光学レンズ素材に、必要とする
波長域に吸収を持つイオンや元素を含有させたものであ
る。また、着色プラスチックレンズは透明性を有するプ
ラスチック樹脂例えばポリカーボネート、アクリル系樹
脂に、ピグメントオレンジ、ピグメントブルー系有機あ
るいは無機顔料などを成形前に前記樹脂ベースに混入さ
せ射出成形したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記色ガ
ラスは、重くて物理的衝撃により割れ易いばかりではな
く、エネルギー密度の高いレーザー光線が照射されると
照射部が部分的に熱膨張を起こして急に破壊することが
あり、万一の場合非常に危険であり、好ましくない。
【0006】また前記着色プラスチックレンズを構成す
るポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性に優れるが、特に
、アッベ数が低く、透明性にも劣り、特に強度処方の眼
鏡レンズには、光学物性的に好ましくないという課題が
ある。また、射出成形により得られるアクリル系プラス
チックレンズは、一般的に耐熱性に劣り、レーザー保護
眼鏡に用いた場合、レーザー受光面が溶融してしまった
り、穴があいてしまう場合がある。また、ポリカーボネ
ート及びアクリル系樹脂は射出成形法により得られてお
り、その製造において鏡面に磨かれた光学面を有する金
型を用いるため、成形装置におけるその金型の交換が複
雑である。従って少品種多量生産には適しているが、視
力補正を目的とする眼鏡レンズのように広範囲なレンズ
度数を有し、多品種少量生産方式の場合には、その金型
交換の時間や多数の金型のストックが必要となりコスト
負担を強いられ、実用的に多くの課題が残されていた。
【0007】更に、アクリル系樹脂は、表面硬度が十分
でないため、特に、レーザー保護眼鏡として用いる場合
、その通常の使用に耐えうるような耐久性を備えておら
ず、例えば特開昭61−166824号公報に示すよう
に、オルガノポリシロキサン硬化膜を設けることが行な
われている。しかしながら、この公報に開示されるオル
ガノポリシロキサン硬化膜は、その基材樹脂との密着度
がレーザー保護眼鏡として使用できる実用的範囲にまで
達していないという基本的問題点がある上、さらに、膜
硬度及びその耐久性を高めるために、前述の硬化膜に例
えば金属コロイドゾル等の添加剤を含有させた場合、さ
らに密着度が低下するという問題があった。
【0008】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたものであり、その目的は、レーザー光を遮光する
に十分に高い光学濃度を有し、かつ、耐擦傷性、高アッ
ベ数、耐熱性などの眼鏡レンズとして要求される光学特
性を有するレーザー保護眼鏡用レンズの製造方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のレーザー保護眼鏡用レンズの製造方法は以下の工程
(1)、(2)および(3)を含むことを特徴とする。
【0010】(1)下記の(a)、(b)、(c)およ
び(d)成分を主成分とする単量体混合物を注型重合す
ることによりレンズを得る工程。 (a)メタクリル酸メチル、(b)(メタ)アクリル酸
および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ば
れる少なくとも1種の親水性単量体、(c)前記(a)
成分および(b)成分と共重合可能な多官能単量体、(
d)油溶性染料および/または近赤外線吸収剤、(2)
前記工程(1)で得られたレンズをプラズマ処理する工
程。 (3)前記工程(2)でプラズマ処理されたレンズに下
記の(e)、(f)および(g)成分を主成分とするコ
ーティング組成物を塗布、硬化して硬化膜を形成する工
程。 (e)シラノール基とエポキシ基を有する有機ケイ素化
合物、(f)コロイド状シリカ、(g)アセチルアセト
ン金属錯化合物。 上述のように本発明のレーザー保護眼鏡用レンズの製造
方法は、工程(1)、(2)および(3)を含むもので
ある。これらの工程を順次説明する。
【0011】工程(1) 工程(1)は、(a)、(b)、(c)および(d)成
分を主成分とする単量体混合物を注型重合することによ
りレンズを得る工程である。
【0012】単量体として(a)成分のメタクリル酸メ
チルを用いる理由は、得られるレーザー保護眼鏡用レン
ズにアクリル系樹脂のもつ高い透明性と高アッベ数とい
う優れた光学特性を実現させるためである。なお、この
(a)成分のメタクリル酸メチルとともに、これと共重
合可能な単官能単量体を併用することもできる。このよ
うな単官能単量体としてはメタクリル酸エチル、メタク
リル酸n−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタ
クリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル
酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタク
リル酸アダマンチル等のメタクリル酸エステル類、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキ
シル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アク
リル酸イソボルニル等のアクリル酸エステル類、スチレ
ン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチレ
ン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、p−クロルメ
チルスチレン等の核置換スチレンやα−メチルスチレン
、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイ
ン酸、N−置換マレイミド等があげられる。(a)成分
のメタクリル酸メチルと、所望により用いられる上記単
官能単量体との好ましい含有量は全単量体混合物中の3
0〜92重量%であり、更に好ましくは40〜85重量
%である。これらの単量体が全単量体混合物中の30重
量%未満であるとアクリル系樹脂本来の優れた透明性、
耐光性などが得られなくなったり強度が不足するなどの
問題点が生じ、92重量%を超えると親水基をもつ単量
体である(b)成分や架橋性単量体である(c)成分の
含有量が相対的に減るために耐熱性や硬化膜との密着性
の改善が不十分になる。
【0013】(b)成分としての親水性単量体としては
、(メタ)アクリル酸および水酸基含有(メタ)アクリ
ル酸エステルから選ばれる少なくとも1種が用いられる
。なお本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは「
アクリル酸」と「メタクリル酸」の両者を意味する。 これらの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アク
リル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエチルエステル、
アクリル酸又はメタクリル酸のクロロヒドロキシプロピ
ルエステル等があげられる。これらの単量体の好ましい
含有量は全単量体混合物中の5〜50重量%であり、更
に好ましくは5〜30重量%である。これらの単量体が
全単量体混合物中の5重量%未満であると硬化膜との密
着性の改善が不十分になり、50重量%を超えると吸水
性が大きくなり樹脂表面の物性が不安定になり、荒れ、
あばた等を生じやすくなる。又、賦型時の離型性が悪化
し良好な転写性が得られたかったり賦型が困難となるな
どの問題点が発生し、眼鏡用レンズ基材として好ましく
ない。
【0014】(c)成分としての架橋性多官能単量体と
しては(a)成分および(b)成分と共重合可能なもの
が用いられ、エチレングリコールジメタクリレート、ジ
エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレング
リコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジ
メタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリ
レート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリ
ントリメタクリレート等の多官能メタクリル酸エステル
類、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレン
グリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多
官能アクリル酸エステル類、ジビニルベンゼン等があげ
られる。これらの単量体の好ましい含有量はその種類に
よって異なるが、おおむね全単量体混合物中の3〜50
重量%の範囲である。その理由は架橋性単量体が3重量
%未満であると耐熱性が不十分となり、レーザー光の照
射によりレンズが溶融するおそれがあり、一方、50重
量%を超えると耐衝撃性が低下したり、賦型が困難とな
るなどの問題点が発生し好ましくないからである。エチ
レングリコールジメタクリレートを例にとれば3〜30
重量%が好ましい。
【0015】(d)成分は、レーザー光を吸収的に遮光
する目的で用いる。出願人は特開昭62−231925
号公報において、レーザー光に対する保護眼鏡の一つの
基準モデルを提案した。それは、レーザー製品の放射安
全基準(JIS)について示されている、レーザー放射
が直接眼を露光する場合の角膜(眼球表面部)における
最大許容露光量(MPE)を基準にしている。MPEは
眼球の傷害発生率が50%レベルの100分の1のレー
ザー強度を意味するものであり、レーザー露光量を管理
する指標として用いられている。そこでレーザーの発振
波長、放射時間等からレーザー強度を算出し、平均的レ
ーザー出力を基準に、最終的にMPEを満足するレンズ
光学濃度(OD)を導き出した。その値は、Arレーザ
ーはOD=3.2、He−NeレーザーはOD=1.6
8、Ga−AsレーザーはOD=1.10、YAGレー
ザーはOD=3.33である。従って、使用するレーザ
ーの種類、出力等によっても異なるが、少なくともOD
が1.10以上であれば、レーザー保護眼鏡用レンズと
して有用であると判断される。そして、本発明は、その
ODを付与させる成分として、染料および/または近赤
外線吸収剤を用いる。これらの染料、近赤外線吸収剤は
、使用するレーザーの発振波長を考慮して定めることは
もちろんであるが後記実施例に示すように、一般的に6
00nm〜1200nmにその吸収のピークを有するも
のであれば、その周辺の波長帯域も同時に吸収帯域が存
在することとなり、例えばヘリウムネオンレーザー(6
32.8nm)からYAGレーザー(1060nm)付
近に発振波長を有するレーザー等にも好適に使用できる
。又、レーザー保護メガネ装用時の作業性から、吸収帯
域がなるべく可視域に影響の少ないものが好ましい。特
に、本発明において、(d)成分は単量体混合物中に直
接含まれているので、例えば、前述の特開昭62−23
1925号公報で示すレーザー保護眼鏡用レンズの製造
方法に示すような、レンズ成形後の染色(後染色)でな
いので、(d)成分の含有量の巾が広く、十分なODを
付与させることができる。具体的にその含有量は、染料
固有のモル吸光係数や求めるODによりも異なるが、後
述する実施例に示すように、ODが4〜5程度となるよ
うな量が好ましい。
【0016】単量体混合物中に含有される(d)成分の
染料、近赤外線吸収剤は上述の単量体に可溶で重合開始
剤に対して安定である必要がある。可視領域に吸収を持
つ染料の場合は市販の油溶性染料の多くが使用可能であ
るが、近赤外線吸収剤としては耐光性に優れるアントラ
キノン系、金属錯化合物系等の近赤外線吸収剤が好まし
い。
【0017】工程(1)においてレンズの製造は注型重
合法が用いられ、通常は熱硬化重合が採用される。すな
わち、単量体混合物に適量の重合開始剤を加え、型に注
入して加熱重合する方法である。このときの重合開始剤
としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2
,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
等のアゾ系開始剤が好適に使用できる。ベンゾイルパー
オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系開
始剤は、レンズ中の油溶性染料や近赤外線吸収剤の効果
を減退、消失させるため好ましくない。これらの開始剤
は通常単量体総量の0.001〜5.0重量%の範囲で
使用することが好ましい。又、加熱重合温度は用いる開
始剤により異なるが、通常は20〜80℃の範囲である
【0018】また、レンズ中にはこのほかにも必要に応
じて熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯
電防止剤などを少量含有させることもできる。
【0019】工程(2) 工程(1)で得られたレンズをこの工程(2)において
プラズマ処理する。このプラズマ処理により、工程(1
)で得られたレンズと工程(3)で設けられる硬化膜と
の密着性が向上する。プラズマ処理は、用いる装置の大
きさ、形式、形状によりその条件も多少異なるが、本発
明では通常空気、ヘリウム、アルゴン、水素、酸素、窒
素などの非重合性気体0.01〜10Torrの雰囲気
下60秒以内で行なわれる。
【0020】工程(3) 工程(2)でプラズマ処理を終えたレンズは望ましくは
24時間以内に、工程(3)においてコーティング組成
物の塗布、硬化を行ない、硬化膜を形成する。本発明に
用いるコーティング組成物は、分子内にシラノール基と
エポキシ基を有する有機ケイ素化合物[(e)成分]、
コロイド状シリカ[(f)成分]、アセチルアセトン金
属錯化合物[(g)成分]を含むことが必要である。 (e)成分としては、分子内に少なくとも2個のシラノ
ール基と少なくとも1個のエポキシ基を有する有機ケイ
素化合物が好ましく、その具体例として、一般式
【00
21】
【化1】
【0022】(式中R1 は炭素数1〜4のアルキル基
であり、R2 は炭素数1〜4のアルキレン基である)
で表わされる3官能の有機ケイ素化合物を加水分解して
得た加水分解物が挙げられる。なお式中のR1 がメチ
ル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であり、R2
 がメチレン基、エチレン基、プロピレン基又はブチレ
ン基であるものが更に好ましい。
【0023】一方、(f)成分のコロイド状シリカとし
ては有機ケイ素化合物の加水分解後になるべく余分な水
を残さないようにするため、高濃度の水分散コロイド状
シリカ(例えばSiO2 固形分40%以上のもの)が
好ましく用いられる。平均粒子径は5〜100mμの範
囲のものが好ましく、更に好ましくは5〜30mμであ
る。高濃度のコロイド状シリカを含むオルガノポリシロ
キサン系コーティング組成物を用いることにより、より
高硬度の硬化膜を得ることができる。従って、本発明で
用いるコーティング組成物はコロイド状シリカを高濃度
で含むときにその有用性を発揮する。その意味から本発
明においてコーティング組成物中のコロイド状シリカの
量はコロイド状シリカと有機ケイ素化合物の全量を基準
にして55〜90mol %(SiO2 固形分換算値
)に設定することが好ましく、さらに好ましい範囲は7
5〜90mol %である。
【0024】硬化剤としての(g)成分のアセチルアセ
トン金属錯化合物としてはアルミニウム錯化合物が特に
効果的である。その添加量はコロイド状シリカと有機ケ
イ素化合物の加水分解物とを硬化するに足る量、すなわ
ち、コロイド状シリカ(SiO2 換算)と有機ケイ素
化合物の加水分解物の合計1mol に対して1〜10
gであるのが好ましい。
【0025】なお式(I)の有機ケイ素化合物の加水分
解には有機酸が用いられる。これにはギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸などがあげられるが、コーティング組成物の安
定性から酢酸を用いるのが好ましい。有機酸の添加量は
コロイド状シリカと有機ケイ素化合物の全量1mol 
に対して5〜30gであるのが好ましい。これより少な
いとコーティング組成物のゲル化を生じやすくなり、こ
れより多くなると臭気が強くなり作業上好ましくない。
【0026】更に加水分解を均一に、しかもその度合を
適度に調節するために、適当な溶媒をコーティング組成
物中に加えることが好ましい。このような溶媒としては
メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソル
ブ等のセロソルブ類が好ましく、イソプロピルアルコー
ル、ブタノール等と組み合わせると更に好ましい。セロ
ソルブの割合は全溶媒量の3重量%以上であるのが好ま
しく、特に好ましくは10重量%以上である。コロイド
状シリカの割合が多い場合、溶媒中のセロソルブの割合
が全溶媒量の3重量%未満ではコーティング組成物の調
製中にゲル化を生じコーティング組成物とすることがで
きない。
【0027】本発明で用いるコーティング組成物には塗
膜の平滑性を向上させる目的でシリコーン系界面活性剤
を添加することもできる。更に耐光性の向上、あるいは
塗膜の劣化防止の目的で紫外線吸収剤、酸化防止剤など
を添加することも可能である。
【0028】コーティング組成物はディッピング法、ス
ピンコート法、ロールコート法、スプレー法等によりレ
ンズに塗布することができる。塗布されたコーティング
組成物の硬化は加熱処理することによって行なわれ、加
熱温度は40〜150℃が好ましく、特に好ましくは8
0〜130℃である。加熱時間は1〜4時間が好ましい
。コーティング組成物の塗布、硬化後に得られた硬化膜
は、前記工程(2)においてレンズにプラズマ処理がな
されているので、レンズとの密着性に優れている。なお
、硬化膜形成後、この硬化膜に蒸着によるコーティング
を行なうこともできる。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、実施例及び比較例中の物性評価の方法
は以下の通りである。
【0030】(a)表面硬度 スチールウール#0000で付加荷重1000gで表面
を50回(往復)摩擦して傷の付きにくさを以下の基準
で判定した。 A:ほとんど傷がつかない。 B:極くわずかに傷がつく。 C:少し傷がつく。 D:多く傷がつく。
【0031】(b)密着性 硬化膜表面を1mm間隔のゴバン目(10×10個)に
カットし、セロハン粘着テープ(ニチバン(株)製No
.405)を強くはりつけ、90度方向に急激にはがし
て残ったゴバン目の数を調べた。
【0032】(c)外観 肉眼目視により透明性、着色状態、表面状態等を調べた
【0033】(d)分光測定 日立製作所(株)製分光光度計U−3410を用いて分
光測定を行ない吸収特性及び光学濃度を測定した。
【0034】[コーティング組成物の調製]SiO2 
濃度40%のコロイド状シリカ(スノーテックス−40
、水分散シリカ、平均粒径10〜20mμ、日産化学(
株)製)240重量部に0.5N塩酸2.0重量部、酢
酸20重量部を加えた液を35℃にして撹拌しながらγ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3官能有
機ケイ素化合物)95重量部を滴下し室温にて8時間撹
拌しその後16時間放置した。この加水分解溶液にメチ
ルセロソルブ80重量部、イソプロピルアルコール12
0重量部、ブチルアルコール40重量部、アルミニウム
アセチルアセトン16重量部、シリコーン系界面活性剤
0.2重量部、紫外線吸収剤0.1重量部を加えて8時
間撹拌後室温にて24時間熟成させコーティング組成物
を得た。これをコーティング組成物(A)とする。この
ときコーティング組成物中のコロイド状シリカの量はコ
ロイド状シリカとγ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシランの合計量を基準にして80mol %(SiO
2 固形分換算値)であった。
【0035】γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ランの量を67重量部とした以外はコーティング組成物
(A)の調製と同様にしてコーティング組成物(B)を
得た。このときのコーティング組成物中のコロイド状シ
リカの量はコロイド状シリカとγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシランの合計量を基準にして85mol
%(SiO2 固形分換算値)であった。
【0036】γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ランの量を253重量部とした以外はコーティング組成
物(A)の調製と同様にしてコーティング組成物(C)
を得た。このときのコーティング組成物中のコロイド状
シリカの量はコロイド状シリカとγ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシランの合計量を基準にして60mo
l %(SiO2 固形分換算値)であった。
【0037】コロイド状シリカに代えてイオン交換水1
20重量部を用いた以外はコーティング組成物(A)の
調製と同様にしてコーティング組成物(D)を得た。
【0038】[実施例1]メタクリル酸メチル30重量
部にメタクリル酸20重量部、エチレングリコールジメ
タクリレート20重量部、スチレン30重量部、近赤外
線吸収剤(三井東圧染料(株)製近赤外線吸収剤SIR
−114)0.06重量部、アゾビス系ラジカル重合開
始剤(和光純薬工業(株)製V−70)0.15重量部
、紫外線吸収剤(チバガイギー(株)製チヌビンP)0
.10重量部、離型剤(信越化学(株)製信越シリコー
ンKF353A)0.01重量部を加え混合溶解した。 この調合液を2枚のガラスモールド及びプラスチック製
のガスケットからなる型に注入し、これを熱風循環式加
熱炉に入れて37℃で8時間加熱し、その後8時間かけ
て90℃まで昇温し、そのまま2時間加熱して重合を行
なった。型をはずして得られた重合体は直径75mm、
厚さ2.0mm、度数0.00ジオプターの緑色に着色
したレンズであった。これを更に120℃で2時間加熱
してアニーリングを行なった。
【0039】この樹脂組成物にヤマト科学(株)製PR
−501Aを用いて窒素0.6Torr雰囲気下に1秒
間プラズマ処理を行なった。
【0040】続いてコーティング組成物(A)をディッ
ピング法(引き上げ速度20cm/分)にて塗布し、こ
れを120℃で90分間加熱硬化させて硬化膜を形成し
た。
【0041】こうして得られた硬化膜付きレンズの評価
結果は表−1に示すごとく表面硬度、密着性、外観とも
に優れたものであった。又、この硬化膜付きレンズは図
1に示すように650〜790nmの波長の光を選択的
に吸収し、特に670〜785nmでは光学濃度(OD
)が4以上に達した。このためルビーレーザー(発振波
長約600〜694nm)、Ga−Asレーザー(発振
波長約740〜790nm)等の保護眼鏡用レンズとし
て好適に使用できるものであった。
【0042】[実施例2〜10]表−1に示す様なプラ
ズマ処理条件及びSiO2 を含むコーティング組成物
(A)、(B)、(C)を用いた以外は実施例1と同様
にしてレーザー保護眼鏡用レンズを作製し、同様に評価
を行なった。結果は表−1のごとく優れたものであった
。又、これらのレンズは実施例1と同様に650〜79
0nmの波長の光を選択的に吸収し、特に670〜78
5nmでは光学濃度が4以上に達した。このため、ルビ
ー、Ga−Asレーザー等の保護眼鏡用レンズとして好
適に使用できるものであった。
【0043】[比較例1〜3]表−1に示す様なプラズ
マ処理条件及びSiO2 を含まないコーティング組成
物(D)を用いた以外は実施例1と同様にして硬化膜付
きレンズを作製した(比較例1)。またプラズマ処理を
行なわずに、SiO2 を含むコーティング組成物(A
)およびSiO2 を含まないコーティング組成物(D
)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして硬化膜
付きレンズを得た(比較例2および比較例3)。これら
の評価結果は表−1のごとく膜硬度、密着性に劣るもの
であった。
【0044】[比較例4〜6]プラズマ処理の代わりに
表−1に示す様な薬品処理を行なった以外は実施例1と
同様にして硬化膜付きレンズを作製し、同様に評価を行
なった。結果は表−1のごとく膜硬度、密着性に劣るも
のであった。
【0045】
【表1】
【0046】[実施例11〜16]単量体混合物中の(
b)成分である親水性単量体を表−2の様に変化させた
以外は実施例1と同様にしてレーザー保護眼鏡用レンズ
を作製し、同様に評価を行なった。結果は表−2のごと
く表面硬度、密着性、外観ともに優れたものであった。 又これらのレンズは650〜790nmの波長の光を選
択的に吸収し、特に670〜785nmでは光学濃度が
4以上に達した。このため、ルビー、Ga−Asレーザ
ー等の保護眼鏡用レンズとして好適に使用できるもので
あった。
【0047】
【表2】
【0048】[実施例17〜20]単量体混合物の組成
を表−3の様に変化させた以外は実施例1と同様にして
硬化膜付きレンズを作製し、同様に評価を行なった。結
果は表−3のごとく表面硬度、密着性、外観ともに優れ
たものであった。又、これらのレンズは650〜790
nmの波長の光を選択的に吸収し、特に670〜785
nmでは光学濃度が4以上に達した。このため、ルビー
、Ga−Asレーザー等の保護眼鏡用レンズとして好適
に使用できるものであった。
【0049】[比較例7〜8]単量体混合物の組成を表
−3の様に変化させた以外は実施例1と同様にしてレン
ズを作製し、同様に評価を行なった。結果は、単量体混
合物の組成が本発明の要件を満たさないと、表−3のご
とく膜硬度、密着性に劣るものであった(比較例7)。 また、良好なレンズ形状が得られなかった(比較例8)
【0050】
【表3】
【0051】[実施例21]メタクリル酸メチル60重
量部にメタクリル酸20重量部、エチレングリコールジ
メタクリレート20重量部、近赤外線吸収剤(三井東圧
染料(株)製SIR−114)0.04重量部、同(S
IR−128)0.07重量部、ラジカル重合開始剤(
和光純薬工業(株)製V−70)0.30重量部、紫外
線吸収剤(チバガイギー(株)製チヌビンP)0.10
重量部、離型剤(信越化学(株)製信越シリコーンKF
353A)0.01重量部を加え混合溶解した。この調
合液を用いて実施例1と同様にして緑色に着色した表面
硬化膜を有するレンズを得た。このレンズは表面硬度A
、硬化膜の密着性100/100と優れたものであった
。又、このレンズは図2に示すように700〜850n
mの波長の光を選択的に吸収し、その光学濃度は5以上
に達した。そのためGa−Asレーザー等の保護眼鏡用
レンズとして好適に使用できるものであった。
【0052】[実施例22]メタクリル酸メチル60重
量部にメタクリル酸20重量部、エチレングリコールジ
メタクリレート20重量部、近赤外線吸収剤(日本化薬
(株)製IRG−002)0.05重量部、同(IRG
−022)0.05重量部、ラジカル重合開始剤(和光
純薬工業(株)製V−70)0.20重量部、紫外線吸
収剤(チバガイギー(株)製チヌビンP)0.20重量
部、離型剤(信越化学(株)製信越シリコーンKF35
3A)0.01重量部を加え混合溶解した。この調合液
を用いて実施例1と同様にして緑色に着色した表面硬化
膜を有するレンズを得た。このレンズは表面硬度A、硬
化膜の密着性100/100と優れたものであった。 又、このレンズは図3に示すように1000〜1100
nmの波長の光を選択的に吸収し、その光学濃度は5以
上に達した。そのためこの波長域に発振波長を持つYA
Gレーザー等の保護眼鏡用レンズとして好適に使用でき
るものであった。
【0053】これらの実施例からわかるように、本発明
によれば600nm以上の波長域に吸収を持つアクリル
系樹脂レンズに極めて高硬度で密着性に優れた良好な硬
化膜を与えることができる。これはレーザー保護眼鏡用
レンズとして極めて有用なものである。一方、比較例か
らわかるように、本発明を構成する要件、すなわち、基
材レンズ組成、プラズマ処理、コーティング組成物のい
ずれかが不適当、又は欠けた場合には良好なレンズは得
られない。
【0054】
【発明の効果】本発明により得られたレーザー保護眼鏡
用レンズは、レンズに有効量の油溶性染料および/また
は近赤外線吸収剤を含有せしめることにより約600n
m以上の波長域において所望の光学濃度を有する。また
レンズを構成する単量体組成物の組成を選択し、かつ得
られたレンズにプラズマ処理を行なうことにより、プラ
ズマ処理後に設けられる硬化膜がレンズと強固に密着す
る。従って600nm以上の波長域で吸収を持ち、レン
ズと硬化膜との密着性に優れたレーザー保護眼鏡用レン
ズが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたレーザー保護眼鏡用レンズ
の分光特性図、
【図2】実施例21で得られたレーザー保護眼鏡用レン
ズの分光特性図、
【図3】実施例22で得られたレーザー保護眼鏡用レン
ズの分光特性図

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  以下の工程(1)、(2)および(3
    )を含むことを特徴とするレーザー保護眼鏡用レンズの
    製造方法。 (1)下記の(a)、(b)、(c)および(d)成分
    を主成分とする単量体混合物を注型重合することにより
    レンズを得る工程。 (a)メタクリル酸メチル、(b)(メタ)アクリル酸
    および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ば
    れる少なくとも1種の親水性単量体、(c)前記(a)
    成分および(b)成分と共重合可能な多官能単量体、(
    d)油溶性染料および/または近赤外線吸収剤、(2)
    前記工程(1)で得られたレンズをプラズマ処理する工
    程。 (3)前記工程(2)でプラズマ処理されたレンズに下
    記の(e)、(f)および(g)成分を主成分とするコ
    ーティング組成物を塗布、硬化して硬化膜を形成する工
    程。 (e)シラノール基とエポキシ基を有する有機ケイ素化
    合物、(f)コロイド状シリカ、(g)アセチルアセト
    ン金属錯化合物。
  2. 【請求項2】  請求項1に記載の方法により得られた
    レーザー保護眼鏡用レンズ。
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