JPH0434185Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、トラツク等の自走車両荷台に搭載
し、冬季に路面凍結防止剤等を充填封入した薬袋
を開袋しながら薬剤を取り出して散布できるよう
にした袋詰薬剤開袋散布装置に関するものであ
り、国および地方公共団体など道路管理者が雪国
における交通確保の設備として利用するものであ
る。

〔従来の技術および解決すべき問題点〕

従来、路面の凍結を予防する凍結防止剤の散布
装置としては、広域に渡る道路を対象とした大型
の自走式散布装置（専用車）と、比較的短い距離
の道路を対象とした中規模散布用の車載式散布装
置と、および坂道など道路の局部域や狭い道路な
どを対象とした小規模散布用の人力供給式散布装
置の三種類が実用化されている。

しかしながら、四国や山陰地方の山岳道路など
のごとき低緯度地域の道路にあつては冬季に降雪
があるとはいつても些程長期間にわたつて雪が降
るわけではなく、それだけ凍結防止剤（融雪剤）
の散布装置を使用する期間が短く、しかも散布対
象となる個所も橋梁の上や峡谷など比較的狭い区
域に限られる。そこで、これらの地域では凍結防
止剤の散布は、トラツクなどの自走車両の荷台上
に作業人夫が乗つて道路の面積や降雪状態を目測
し、袋詰の薬剤を見当で散布機のホツパー内に投
入するという人海戦術的な方式を供給方式によつ
ていたのである。

それゆえ、かゝる方式にあつては、吹き曝しの
車上で薬袋を開袋する作業が非常に苦るしく過重
であるうえに転落事故などの危険もあつて、労働
環境上の問題があり、さらに人夫が開袋時に散乱
する薬剤を吸引して呼吸器疾患となるなど労働衛
生上の問題も引き起すことがあつた。

もつとも、使用期間が短くて対象区域の狭い低
緯度地域に前述の大型専用機や中規模用散布装置
を用いれば、上記の問題点は解消できるであろう
が、大量（最低でも1.0〜3.0m³）の薬剤を予じめ
開袋してホツパー内に投入しておかねばならぬと
ころから、使い残しの大量の薬剤が吸湿し硬化し
て使用不能になり不経済であるうえ、装置自体の
固定費用やランニングコストも仕事量に比して大
きくなり過ぎ負担が大きくなり、経済性の面でも
頗る不利であつたのである。

本考案は、凍結防止剤（融雪剤）の散布装置を
使用する期間が短く、しかも散布対象となる個所
も橋梁の上や峡谷など比較的狭い区域に限られる
低緯度地域における従来の薬剤散布技術が前述の
ごとく頗る不十分であつたことに鑑みて為された
もので、小規模な凍結防止剤散布に適し、かつ、
作業コストが安価で労働衛生的にも安全な薬剤開
袋散布装置を提供することを技術的課題とするも
のである。

〔問題解決のために採用した手段〕

本考案者が上記課題を解決するために採用した
手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のと
おりである。

即ち、本考案は、上部に薬剤投入口を有し、か
つ、下部の薬剤排出口４が開閉ゲート５の動作に
より適宜開閉される薬剤ホツパー６と；前記開閉
ゲート５の下方位置にターンテーブル３を備え、
このターンテーブル３が回転したときの遠心力で
ホツパー６から送り込まれる薬剤１３を飛散させ
る散布機Ｐと；送込始点に載せられた薬袋１２，
１２…を前記ホツパー６の薬剤投入口へ搬送する
薬剤搬送コンベアＲと；このコンベアＲが折り返
す搬送面終点に向けて突出する如く前記薬剤ホツ
パー６の投入口上方に設置され、かつ、前記コン
ベアＲで搬送されてくる薬袋１２の両側端を切り
裂く切袋カツター３０，３０を具備して、当該内
包の薬剤１３をホツパー６内に落下せしめる開袋
機Ｓと；この開袋機Ｓで切断された空袋１４をコ
ンベアＲの搬送面終点で受継し、当該コンベアＲ
に拘引させつゝＵターンして送込始点の下方まで
誘導する空袋ガイドラインＴとを自走車両１の荷
台２上に構設するという一連の技術手段を連関統
合したことによつて前述の技術的課題に応え得る
半自動式袋詰薬剤開袋散布装置を実現したのであ
る。

〔実施例〕

以下、本考案を添附図面に示す実施例に基いて
更に詳しく説明する。

図面上、符号Ｒは自走車両（トラツク）１の荷
台２上に進退方向に沿つて配設された薬剤搬送コ
ンベア、符号６は薬剤搬送コンベアＲの搬送面終
点部の下方に薬剤投入口が位置した薬剤ホツパー
６である。この薬剤ホツパー６は、下部の薬剤排
出口４に開閉ゲート５を備え、この開閉ゲート５
が動作することにより薬剤の排出量を制御できる
ようになつている。本実施例では、薬剤ホツパー
６の開閉ゲート５は、薬剤排出口４に沿つて振子
式に枢支された円弧状の揺動プレートにて構成さ
れており、薬剤搬送コンベアＲの送込始点近傍に
設けた揺動レバー１５を手動操作することにより
リンク機構を介して振子式に揺動され、当該薬剤
排出口４を開閉する。

薬剤ホツパー６の排出口４の下方には、薬剤散
布機Ｐが設置してある。この薬剤散布機Ｐは、エ
ンジン７と；このエンジン７の回転を取り出すプ
ーリー１６と；このプーリー１６の回転をプーリ
ー１８に伝達するＶベルト１７と；このプーリー
１８にて駆動される駆動軸１９に固着せるフリク
シヨンローラ８の摩擦伝動によつてフリクシヨン
ホイル９と；このホイル９に固定されたピボツト
軸２０の下端に固定されると共に、ホツパー６の
薬剤排出口４の下側を臨んで配設されたターンテ
ーブル３とによつて構成されている。それゆえ、
前記エンジン７を回転させると、その回転はター
ンテーブル３に伝動して、ホツパー６から落下す
る粉末もしくは粒状またはフレーク状の薬剤１３
をその遠心力によつて飛散させ、路上に散布する
ことになるのである。

また、上記エンジン７の回転は、上記駆動軸１
９に連繋せるクラツチ１０、このクラツチ１０を
介して伝達される回転を遅くする減速機１１、こ
の減速機の出力軸に取り付けられたチエーンホイ
ル２１、チエーン２２および入力チエーンホイル
２３と伝達されて薬剤搬送コンベアＲのコンベア
駆動軸２４を回転させ、当該コンベアＲを駆動せ
しめることになる。

しかして、薬剤搬送コンベアＲは、搬送チエー
ン２６，２６を両側に備え、この搬送チエーン２
６，２６間に所定ピツチで架設したＬ形鋼２７，
２７…により水平スラツトコンベア形式に構成し
てある。なお、Ｌ形鋼２７，２７…の立上りフラ
ンジ２８の中央には「く」字形のフツク２９が付
設してある（第４図，第５図参照）。図示のよう
な薬剤搬送コンベアＲを採択したことにより、ト
ラツク荷台２に搭乗した作業人夫は、凍結路面の
状況に応じ、単にコンベア供給装置ＲのＬ形鋼２
７を目安にし薬袋１２をコンベア上に横置きすれ
ばよく、Ｌ形鋼２７が位置ズレの歯止めとなつて
正しい姿勢で搬送面終点に向つてスムースに移動
するのである。

上記のように搬送面終点に向つて搬送されてく
る薬袋１２を開袋して内包の薬剤１３を取り出す
開袋機Ｓは、薬剤ホツパー６の投入口上方から搬
送コンベアＲが折り返す搬送面終点に向け、丁
度、薬袋１２の両側縁を切り裂き可能なる如く左
右一対の切袋カツター３０，３０が前窄まりの
「ハ」字形に配向した状態に設置されてある。本
実施例においては、薬袋１２は開袋機Ｓに運ばれ
て切断される前に、コンベアＲの上に設置した均
しローラ３１ａ，３１ｂ，３１ｃにより脹らみ等
の変形を均平に矯正されるように構成されてい
る。したがつて、搬送コンベアＲに載せられた薬
袋１２は均しローラ３１ａ，３１ｂ，３１ｃを通
つて所定の厚みに矯正され、開袋機Ｓを構成する
両側のカツター３０，３０に圧接されて当該袋の
両側が切開され、コンベアの進行に伴つて搬送コ
ンベアＲの搬送面が折り返す終点に達する。

搬送コンベアＲの折返部である終点から当該コ
ンベアのスラツトベルトがリターンして送込始点
に下側に至る全長に亙りコンベアと所定の隙間を
保持するごとくガイドレール３２が配設されて開
袋ガイドラインＴを構成している。したがつて、
搬送コンベアＲに載つて搬送されてきた上記薬袋
１２，１２…は開袋機Ｓに両側縁が切断開袋され
つゝ案内されて中身の薬剤１３は残らずホツパー
６内に投入される一方、空袋１４，１４…は反転
落下し中央部分が上記ガイドレール３２に支えら
れた状態でＵターンしてコンベアＲのＬ形鋼２７
の立上りフランジ２８の中央部に付設したフツク
２９に引つ掛かり、ガイドレール３２に沿つて搬
送コンベアＲの下方、つまり薬袋の送込始点の下
方まで案内誘導されてくるのである。

〔本発明の効果〕

以上実施例をもつて説明したとおり、本考案の
「開袋散布装置」によれば、荷台搭乗の作業人夫
は、たゞ薬袋を搬送コンベア上に載せさえすれば
よく、従前不可避的であつた薬袋を開袋して内包
薬剤をホツパー内に投入する一連の薬剤投入作業
と、空袋の取出作業とが自動的に処理することが
可能になる。したがつて、従来の人力供給式薬剤
散布装置のように荷台搭乗の作業員が走行中に
次々と薬袋を開袋して、ホツパーに薬剤を投入す
るという重労働の作業を完全に省くことができ、
作業条件を大幅に改善できるのである。

しかも、この場合、車両の走行中の刃物で開袋
作業を行うことが不要になるので、しかも薬剤を
吸引して呼吸器疾患を起すといつた労働衛生上の
障害を除去することができるという大きな効果が
齎らされるのである。

さらに、本考案の「散布装置」は、薬袋を必要
散布量に応じて開袋して使用するようにしている
ため、従来の大・中規模用薬剤散布装置の如く多
量の薬剤をホツパー内に投入して使用するような
場合に比して、ホツパー内の使い残し薬剤量が減
少するため、ランニングコストの低減化という大
きなメリツトも得られるのである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の一実施例を表わしたもので、
第１図は本実施例装置の要部側面図、第２図は同
装置の後面図、第３図は同装置の拡大平面図、第
４図は同装置のコンベアチエーンの一部を示す側
面図、第５図は同装置のコンベアチエーンの構造
を表わす部分平面図である。 Ｐ……散布機、Ｒ……薬剤搬送コンベア、Ｓ…
…開袋機、Ｔ……空袋ガイドライン、１……車
両、２……荷台、３……ターンテーブル、４……
薬剤排出口、５……開閉ゲート、６……薬剤ホツ
パー、１２……薬袋、１３……薬剤、１４……空
袋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部に薬剤投入口を有し、かつ、下部の薬剤排
   出口４が開閉ゲート５の動作によつて適宜開閉さ
   れる薬剤ホツパー６と；前記開閉ゲート５の下方
   位置にターンテーブル３を備え、このターンテー
   ブル３が回転したときの遠心力でホツパー６から
   送り込まれる薬剤１３を飛散させる散布機Ｐと；
   送込始点に載せられた薬袋１２，１２…を前記ホ
   ツパー６の薬剤投入口へ搬送する薬剤搬送コンベ
   アＲと；このコンベアＲが折り返す搬送面終点に
   向けて突出する如く前記薬剤ホツパー６の投入口
   上方に設置され、かつ、前記コンベアＲで搬送さ
   れてくる薬袋１２の両側縁を切り裂く切袋カツタ
   ー３０，３０を具備して、当該内包の薬剤１３を
   ホツパー６内に落下せしめる開袋機Ｓと；この開
   袋機Ｓで切断された空袋１４をコンベアＲの搬送
   面終点で受継し、当該コンベアＲに拘引させつゝ
   Ｕターンして送込始点の下方まで誘導する空袋ガ
   イドラインＴとを自走車両１の荷台２上に構設し
   たことを特徴とする半自動式袋詰薬剤開袋散布装
   置。