JPH04331711A - アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法 - Google Patents

アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法

Info

Publication number
JPH04331711A
JPH04331711A JP13028891A JP13028891A JPH04331711A JP H04331711 A JPH04331711 A JP H04331711A JP 13028891 A JP13028891 A JP 13028891A JP 13028891 A JP13028891 A JP 13028891A JP H04331711 A JPH04331711 A JP H04331711A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
oxide
amorphous
composition
ferroelectric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13028891A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisataka Fujii
藤井 壽崇
Atsushi Kashima
加島 篤
Kazuhiro Fujii
一宏 藤井
Iwao Okamoto
巌 岡本
Hiroyuki Futai
裕之 二井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP13028891A priority Critical patent/JPH04331711A/ja
Publication of JPH04331711A publication Critical patent/JPH04331711A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Insulating Materials (AREA)
  • Compounds Of Iron (AREA)
  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜型のコンデンサー
素子、強誘電体メモリー、電気光学デバイス等が構成出
来る非晶質強誘電体酸化物材料及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】従来、ペロブスカイト
誘電体材料に代表される無機系強誘電体材料においては
、その強誘電特性が結晶対称性に於ける一定の規則に基
づいて発現している。このために強誘電性を顕著にする
ためには材料の結晶性を高めることが強誘電的性質を顕
著にすることになる。実際に、ペロブスカイト結晶構造
を有する材料では結晶性を高めるために焼成温度の調整
、あるいは焼結密度の向上など上述した事項に関連して
多くの努力がなされてきた。一方、このような強誘電体
を応用したコンデンサー、強誘電体メモリー等では材料
が多結晶体の場合、粒界の存在によって耐電圧の低下が
生じたり、粒界に添ってリーク電流が発生し、コンデン
サーにおいてはロスの原因となり、またメモリーにおい
ては情報の保持性が損なわれるという問題があった。 また、結晶粒界の存在によって各種デバイスの微細化が
困難となるということも、材料の誘電性を応用した種々
デバイスが小型化に向かっている今日、大きな問題とな
っている。また、誘電体材料を電気光学素子として展開
する場合にも結晶粒界の存在は光の散乱を招き、光デバ
イスを機能させるうえで光信号強度の減少、ノイズの増
大など重大な問題を伴う。これらの問題に対して、強誘
電体材料を薄膜で構成し、マイクロデバイス化されたコ
ンデンサーや強誘電体メモリー、あるいは電気光学デバ
イスを構成しようとする試みがある。薄膜に於いては、
結晶粒界の発生を回避するために、単結晶誘電体薄膜の
作製やアモルファス誘電体薄膜の作製などが試みられて
いる。単結晶誘電体薄膜については、例えば、西原、春
名、栖原著:光集積回路(オーム社、昭和62年)17
4 頁によれば、強誘電性材料として良く知られている
PLZTの単結晶薄膜を作製した例が記述されている。 同書によれば、単結晶のPLZT薄膜を得るために、サ
ファイヤの単結晶基板にスパッタリング製膜法によって
エピタキシャル成長を行なわせている。このほかに、同
書には液相エピタキシャル成長法(LPE法)によって
強誘電性のLiNbO3薄膜などをGd3Ga5O12
(GGG)単結晶基板上に成長させた例などが有る。し
かしながら、何れの方法も基板に高価な単結晶基板を使
用し、エピタキシャル成長のために、種々の条件コント
ロールを厳しく制御しなければならず、また結晶の成長
する結晶軸が単結晶の方位に規制され、さらに単結晶基
板の格子定数と薄膜の格子定数の差があまり大きくなる
と単結晶薄膜の成長が困難になるなど、実際の薄膜作製
は容易なものではない。さらに、これまで述べてきたよ
うなエピタキシャル成長法では、薄膜の単結晶化に、お
よそ600℃以上の高い熱処理温度を必要とするために
、膜の熱処理によって膜の表面性が損なわれるという問
題もあり、強誘電体材料のマイクロデバイス化を図る場
合の大きな障壁になっていた。
【0003】アモルファス薄膜は単結晶薄膜と同様に、
結晶粒界が存在しないため、前述した強誘電体多結晶材
料に於いて発生する種々の問題解決のためにその実用化
が期待されている。文献Japanese Journ
al Applied Physics, Vol.2
4 (1985) Supplement 24−2,
 pp 404−406 や応用物理  第54巻第6
号(1985) pp 568−575 に述べられて
いるように、スパッタリング法によってPbTiO3の
アモルファス薄膜化が試みられている。しかしながら、
製膜中の基板温度を200℃から液体窒素温度の種々温
度に調整しながら作製されたスパッタリング薄膜はアモ
ルファス構造を有するものの、強誘電性を生じていない
。さらに、同薄膜においてはPbやPbO の微細結晶
の析出も同時に発生することが報告されている。同薄膜
はPbの析出により、薄膜が導電性となるために誘電体
膜として機能しないことも問題である。さらに、同報告
では、この導電性の薄膜を強誘電体化するために、薄膜
に600℃以上の温度で熱処理を施しペロブスカイト結
晶構造を有するPbTiO3薄膜を得ている。しかしな
がらこれによって得られる薄膜は多結晶体であり、強誘
電体材料を応用した種々デバイスのマイクロ化を図る場
合にすでに述べた問題に遭遇すると考えられる。一方、
先に述べた2件の文献並びに、特開昭61−10223
号公報ではLiNbO3材料を100℃程度の基板温度
においてスパッタリング法により薄膜化し、アモルファ
ス薄膜を得ている。この薄膜はアモルファス構造ゆえに
アモルファス結晶格子中に空格子点を多く持ち、空格子
点に隣接した軽元素のLiが電界の印加により、Li原
子の存在する格子点と空格子点の間を電界の印加方向に
応じて、行き来する。この機構により、本材料が結晶性
の同系材料よりも大きな比誘電率を有し、これにより、
Liなどの軽元素を含むアモルファス薄膜においては強
誘電性が発現するらしいことが報告されている。しかし
ながら、重元素を含むPbTiO3, PbZrO3,
 BaTiO3等の典型的なペロブスカイト誘電材料に
ついては、これまでのところアモルファス強誘電体は得
られていない。
【0004】
【発明の目的】本発明は、アモルファス構造を有し、こ
のために結晶粒界や焼結体に見られるようなポアー等が
無く、損失の小さいコンデンサーや情報保持性の高い強
誘電体メモリー、あるいは電気光学デバイスなどに応用
できる強誘電体酸化物材料及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明は、遷移金属酸
化物(M2O3)−酸化リン(P2O5)−ペロブスカ
イト型化合物(ABO3)を主成分とした三元酸化物を
、真空蒸着、スパッタリング法などの非晶質膜形成手段
を用いて基板上に、基板温度を300℃以下に保持しな
がら非晶質の薄膜として作製し、これに熱処理等を施す
ことなく、作製したそのままの状態で強誘電体酸化物材
料を得る方法を採用することにより、上記問題の解決を
図ったものである。 即ち、本発明は、遷移金属酸化物(M2O3)−酸化リ
ン(P2O5)−ペロブスカイト型化合物(ABO3)
を主成分とした三元酸化物からなり、かつ該三元酸化物
がアモルファス構造を有することを特徴とするアモルフ
ァス強誘電体酸化物材料(ただし、M2O3は、Sc,
Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Y,Zr,
Nb,Mo,Pd,Hf,Ta,W,In 及びランタ
ン系列元素の酸化物からなる群から選ばれる少なくとも
一種であり、ABO3は強誘電性、反強誘電性または常
誘電性を示すペロブスカイト型化合物である。)を提供
するものである。さらに、本発明は、上記三元酸化物を
製膜手段を用いて基板上に、基板温度を300℃以下に
保持しながら非晶質の薄膜として作製し、作製したその
ままの状態で強誘電体酸化物材料を得ることを特徴とす
るアモルファス強誘電体酸化物材料の製造方法を提供す
るものである。
【0006】本発明のアモルファス強誘電体酸化物材料
は、遷移金属酸化物(M2O3)−酸化リン(P2O5
)−ペロブスカイト型化合物(ABO3)を主成分とし
た三元酸化物からなる。ここに、M2O3は、Sc,T
i,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Y,Zr,N
b,Mo,Pd,Hf,Ta,W,In 、及びLa,
Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,H
o,Er,Tm,Yb及びLuのランタン系列元素の酸
化物からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、A
BO3は強誘電性、反強誘電性または常誘電性を示すペ
ロブスカイト型化合物である。本発明のアモルファス強
誘電体酸化物材料は、上記三元酸化物をアモルファス構
造の薄膜の形態に形成してなる。前記薄膜がアモルファ
ス構造を取りながら、強誘電性を示す組成領域を図1に
示す。同組成領域は図1中においてα、β、γ、δ、ε
、φで囲まれた領域である。ここに於いて、直線αβは
aM2O3−(1−a)P2O5 で表される直線であ
り、直線βγは0.90P2O5−0.10(bM2O
3−(1−b)ABO3)で表される直線であり、直線
γδはcP2O5−(1−c)ABO3 で表される直
線であり、直線δεは0.20(dP2O5−(1−d
)M2O3)−0.80ABO3で表される直線であり
、直線εφはeABO3−(1−e)M2O3 で表さ
れる直線であり、直線φαは0.90M2O3−0.1
0(fABO3−(1−f)P2O5)で表される直線
であり、夫々の組成線において、0.10≦a≦0.9
0かつ0.00≦b≦1.00かつ0.20≦c≦0.
90かつ0.00≦d≦1.00かつ0.20≦e≦0
.90かつ0.00≦f≦1.00なる範囲に規定され
た組成線である。同図中においてABO3はペロブスカ
イト型の種々誘電材料(PbTiO3, BaTiO3
等の強誘電体材料、PbZrO3等の反強誘電体材料)
を表す。図1中、並びに後出の三角組成図に於いて、三
辺の刻みは1目盛0.1 (mol比)を表す。この図
から解かるようにペロブスカイト型の誘電材料の濃度の
高い領域ではアモルファス膜は作製できていない。しか
しながら、これにM2O3あるいはP2O5を過剰に添
加することにより、材料がアモルファス化し、しかも強
誘電性を呈するようになる。
【0007】本発明のアモルファス強誘電体薄膜の作製
方法によれば、上記三元酸化物を製膜手段を用いて基板
上に、基板温度を300℃以下に保持しながら非晶質の
薄膜として作製することにより、作製したそのままの状
態で強誘電体酸化物材料が得られる。製膜手段としては
、真空蒸着法、スパッタリング法など一般に用いられて
いる薄膜形成プロセスが用いられる。製膜中、基板温度
をアモルファス複合酸化物の結晶化温度(500〜60
0℃) 以下、好ましくは300℃以下の基板温度に於
いて酸素雰囲気中で製膜することにより、強誘電性を有
するアモルファス酸化物薄膜が得られる。本発明に於い
ては、製膜時に単結晶基板などを用いて行なうエピタキ
シャル成長や製膜後、薄膜結晶化のための熱処理を施す
ことなく簡単に強誘電特性を呈する薄膜が得られる。こ
のために強誘電性薄膜作製に掛かる手間を大幅に軽減す
ると共に、非常に表面性の良い結晶粒界のない膜が作製
できるために強誘電体材料を応用した高密度強誘電体メ
モリー、超微細コンデンサーなどのマイクロデバイス、
電気光学デバイス等への展開が期待される。
【0008】
【実施例】実施例1 薄膜作製にはRFマグネトロンスパッタリング装置を用
い、カソード板上に直径76mm、深さ4mmのステン
レス製シャーレを置き、その中に、P2O5,Fe2O
3,PbTiO3及びPbO の混合粉末を充填したも
のをターゲットとして用いた。なお、PbO はスパッ
タ中、鉛の蒸発による損失を補填する目的でPbTiO
3に対し、5mol% 過剰に加えた。P2O5,Fe
2O3,PbTiO3 及びPbO の各粉末はステン
レス製のシャーレに充填するに先立ち、各酸化物材料の
粉末を調合したものをエタノールを溶媒として30分間
ペイントシェーカーにより、湿式混合を行なった。その
後、さらに、脱媒、乾燥後、ステンレス製シャーレに充
填し、スパッタリングターゲットとして使用した。スパ
ッタガスはAr:O2=7:3 の混合ガスで、Ar,
 O2それぞれのガスの純度は99.995% 以上の
ものを使用した。基板には(111) 方位のSiウエ
ハーを使用した。Siウエハーはn型であり、抵抗率は
およそ1(Ωcm) の物を使用した。Siウエハー上
には予め酸化処理により、膜厚 200±20nmのS
iO2層を設けている。この層を設けた目的は主として
誘電性の評価時における電気絶縁性の確保のためである
。製膜に先だって基板温度を200℃まで上昇させ、主
に基板表面に吸着している水分の脱離処理を行なった。 さらに、製膜前に約30分ほどプリスパッタリングを行
ない、ターゲット表面の清浄化を図り、スパッタリング
製膜時における膜質と薄膜組成の安定化を図った。スパ
ッタリングガス導入前、真空度が2×10−7Torr
以下に到達していることを確認した。スパッタ製膜中、
全ガス圧は25mTorr と一定にした。スパッタリ
ング中は基板を固定している銅製のアノードを水冷し、
製膜中の基板温度を20〜25℃に維持した。高周波投
入電力は110Wとし、30〜60分のスパッタリング
製膜を行なった。このようにして得られた薄膜はターゲ
ットの組成によりスパッタリング速度が変動するために
膜厚に変動が見られたが、およそ夫々の薄膜において5
00〜1000nmの膜厚を示した。
【0009】以上のような薄膜形成プロセスにより、P
2O5,Fe2O3,PbTiO3 を3元とするスパ
ッタ薄膜を作製した。図2にNo.1〜25までの番号
で示した組成について作製し、夫々について膜構造の評
価ならびに誘電特性について測定した。尚、得られた薄
膜について誘導プラズマ発光分析法によりターゲット組
成と薄膜組成の対応を調べたところ、およそ3%の誤差
で、両者の組成が対応していることが解かった。従って
、以下では薄膜の組成としてターゲットの仕込み組成を
用いて説明する。誘電特性は同特性評価において一般的
に使用されるソヤ・タワー回路によって評価した。この
回路により、電束密度(D) の電界依存性を評価し自
発分極(Ps)の値を求めた。 なお、誘電性の評価に於いては図3に示したような電極
構成とし、薄膜に電界を印加するための電極を酸化物薄
膜側から出すことにより等価的に2つのコンデンサーC
1、C2を直列に接続したような構成とし、Si側から
金属電極を出したときに金属電極とSiの界面に発生す
るショットキー特性を防止し、正確な誘電性評価を行な
った。 尚、金属電極は薄膜表面におよそ膜厚100nm 、直
径4mmのAu電極をスパッタリング法によって形成し
た。
【0010】上記の薄膜形成法によって作製したスパッ
タリング薄膜について作製したままの状態(As−de
posit 状態) の構造、誘電特性の評価を行なっ
た。まず、薄膜の構造について評価した結果について述
べる。図2の点線A上において作製された種々組成のス
パッタ製膜後の膜のXRD回折結果を図4に示す。同図
中に示したNo.7, No.10, No.15, 
No.18 は図2中の番号に相当し、薄膜試料の組成
を表している。XRDの線源にはCuのターゲットを使
用し、さらにモノクロメーターを装着した。 図4に示したXRDの結果には基板として用いたSiの
(111) 面に相当する回折線も薄膜の回折結果に重
畳して見られている。同図より明らかなように、PbT
iO3薄膜No.7ではAs−deposit状態でも
薄膜は結晶化を生じていることが解かる。しかしながら
、P2O5ならびにFe2O3 が過剰になる組成(N
o.10, No.15, No.18) では薄膜の
結晶化によるX線の回折線が全く認められず、薄膜がア
モルファス状態であることが解かる。また、図2の点線
B上において作製された種々組成のスパッタ製膜後の膜
のXRD回折結果を図5に示す。同図中に示したNo.
3, No.16, No.22は図2中の番号に相当
し、薄膜試料の組成を表している。図5から明らかなよ
うに、XRDの結果にはSiの(111) 面に相当す
る回折線の他には明瞭な回折線もなく、これらの組成の
薄膜は全てアモルファス構造を有していることが解かる
。さらに、図2に示したNo.1〜No.25 の全て
の膜についてXRD分析を行なった結果、同図中におい
て黒丸で示した薄膜においては、Siの(111) 面
に相当する回折線の他には明瞭な回折線もなく、図2に
於いてα、β、γ、δ、ε、φで囲まれた領域は薄膜を
作製した状態(As−deposit状態)で薄膜がア
モルファス構造を有することが解かった。
【0011】次いで、アモルファス構造の微細組織を観
察するために、図2におけるNo.15の組成の膜につ
いて高分解能のTEM観察を行なった。TEM観察にお
いては薄膜の表面側ならびに基板側よりエッチングを行
ない、薄膜の厚さ方向に対してほぼ中点付近の組織を観
察している。これによれば、0.3nm の分解能に於
いても、格子像を認めることが出来なかった。同薄膜試
料について、直径約200nm の領域において制限視
野電子線回折を行い、観測された回折リングは非常に幅
の広いハローパターンを示し、薄膜のアモルファス性が
非常に高いことを示している。
【0012】次に、誘電特性について説明する。まず、
図2の点線A上に於ける誘電性ヒステリシスループの変
化を図6に示す。同線上においてNo.7の膜は薄膜が
導電性となり、誘電特性を評価することが出来なかった
。図6のヒステリシスループの左肩に示した番号は、図
2中の組成を示す番号に対応している。この結果、なら
びに図4の構造解析の結果から明らかなように、No.
10, No.15, No.18 の薄膜ではアモル
ファス構造を取りながら強誘電性を示していることが解
かった。また、図2に於ける直線A上の薄膜組成をy(
0.5Fe2O3−0.5P2O5)−(1−y)Pb
TiO3と表したときに、y に対する薄膜の飽和電荷
密度(Ps)の依存性を図7に示す。飽和電荷密度は図
6に示した誘電特性のヒステリシスループから電界 3
00〜500kV/cmに於ける電束密度(D) の電
界依存性をE=0 軸に外挿し、同軸と交わった点に於
ける電束密度を飽和電荷密度と定義し求めた。図7より
広い組成範囲に亘って、Psが存在し、薄膜が強誘電性
を示していることが解かるが、同線上においてはPbT
iO3に近い組成領域で強誘電性が消失していることが
解かる。この組成領域において析出している相は強誘電
相ではなく、常誘電相であると考えている。また、図2
に於ける直線B上においても各組成についてヒステリシ
スループの組成依存性を図8に示す。図8のヒステリシ
スループの左肩に示した番号は、図2中の組成を示す番
号に対応している。これからも明らかなように全ての組
成に薄膜において強誘電性が観測されていることが解か
る。このヒステリシスループより先に述べた方法で、飽
和電荷密度(Ps)を求めた。直線Bの組成変化は0.
80(xP2O5−(1−x)Fe2O3)−0.20
PbTiO3 なる表記で表される。x に対するPs
の依存性を図9に示す。同図からも解かるように全ての
x 値に対してPsが存在し強誘電性を示していること
が解かる。さらに、前出の図2中に示した全ての薄膜の
組成について誘電特性とX線による構造の評価を行なっ
た。これらの結果をまとめて同図中に示した。即ち、同
図中において黒丸はアモルファス強誘電性を示した薄膜
の組成を示し、斜線を施した丸はアモルファス構造を取
りながら常誘電性をしめした組成を示している。さらに
白丸は結晶質の薄膜であり、同薄膜は導電性を示してい
た。同組成図上で検討した種々組成の薄膜について構造
と誘電特性についてまとめた。この図から明らかなよう
に、アモルファス構造を有しながら強誘電性を示す薄膜
材料の組成は同図中に広く分布しており、同図に於いて
、α、β、γ、δ、ε、φにて囲まれた領域をアモルフ
ァス構造を取りながら、強誘電性の発現する組成領域と
定義することが出来る。また、図2に示した全ての組成
について、薄膜組成と飽和電荷密度Psの対応を表1に
示す。強誘電性を示す薄膜では、およそ70(nC/c
m2)以上の飽和電荷密度を有し、この電荷密度は最大
300 (nC/cm2)程度まで達していることが解
かり、強誘電体として十分な実用特性を有していると考
えられる。
【0013】
【表1】
【0014】実施例2 実施例1において説明した製膜法により基板をガラス基
板にかえて、薄膜を作製した。ガラス基板にはコーニン
グのNo.7059 を使用した。図2に示したNo.
15ならびにNo.20 の組成の薄膜を作製した。ス
パッタ製膜された薄膜の膜厚はおよそ200nm であ
った。作製された薄膜は琥珀色を呈していた。何れの薄
膜も近赤外領域では、反射防止膜を施し、光透過率の測
定を行なった。透過率の光波長依存性を図10に示す。 この結果から解かるようにアモルファス強誘電体薄膜は
近赤外領域に於いて90%以上の光透過率を有し、同薄
膜の電気光学素子への応用が考えられることが解かる。
【0015】実施例3 実施例1と同様の製膜法により、ペロブスカイト誘電体
材料として強誘電性のPbTiO3に変え、反強誘電性
のPbZrO3を用いて薄膜を作製した。作製した薄膜
の組成は図11の三角組成図にNo.1ならびに、No
.25 〜No.48 までの番号を付記した点として
表した。As−deposit薄膜について誘電性とX
線による構造解析を行なった。その結果をまとめて図1
1に示す。同図中において黒丸はアモルファス強誘電性
を示した薄膜の組成を示し、斜線を施した丸はアモルフ
ァス構造を取りながら常誘電性を示した薄膜の組成を示
している。さらに白丸は結晶質の薄膜であり、導電性を
示した薄膜の組成を示している。この結果より、三角組
成図に於いて、α、β、γ、δ、ε、φにて囲まれた領
域でアモルファスの強誘電性が発現していることを見い
出した。ここに於いて、単体では反強誘電性を示すPb
ZrO3材料もFe2O3 またはP2O5を過剰に添
加することにより、顕著な強誘電性を示すことが解かっ
た。 また、図11上に示した各組成に対する飽和電荷密度の
一覧を表2に示す。同表によると、P2O5−Fe2O
3−PbZrO3 系アモルファス強誘電体薄膜では、
最大で 400(nC/cm2)程度の飽和電荷密度を
観測した。
【0016】
【表2】
【0017】実施例4 実施例1と同様の製膜法により、ペロブスカイト誘電体
材料として強誘電性のBaTiO3を用いて薄膜を作製
した。 作製した薄膜の組成は図12の三角組成図にNo.1,
 No.25 ならびに、No.49 〜No.71 
までの番号を付記した点として表した。同図中において
黒丸はアモルファス強誘電性を示した薄膜の組成を示し
、斜線を施した丸はアモルファス構造を取りながら常誘
電性を示した薄膜の組成を示している。さらに白丸は結
晶質の薄膜であり、常誘電性を示した薄膜の組成を示し
ている。この結果より、三角組成図に於いて、α、β、
γ、δ、ε、φにて囲まれた領域でアモルファスの強誘
電性が発現していることを見い出した。薄膜構造の同定
は実施例1に於いてのべたX線回折手法を用いた。また
、図12上に示した各組成に対する飽和電荷密度の一覧
を表3に示す。この誘電性評価においては最大で270
(nC/cm2) 程度の飽和電気分極密度を観測した
【0018】
【表3】
【0019】実施例5 M2O3−P2O5−PbTiO3系において、Mに表
4に示す元素を用いて、夫々の薄膜を作製した。薄膜の
作製は実施例1に説明した方法により行なった。また、
薄膜の構造評価は、X線回折法により、その条件は実施
例1に述べたとおりであった。さらに、薄膜の誘電性評
価法についても実施例1と同様である。ただし、スパッ
タリング製膜においてMがZr,Mo,Pd,Hf,T
a,Wの場合には、ターゲットとしてM2O3の替わり
に、各元素の金属微粉を使用した。その他のSc,Ti
,V,Cr,Mn,Co,Ni,Y,Nb,In,La
,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,
Ho,Er,Tm,Yb,Lu についてはM2O3型
の酸化物材料をターゲットに用いた。また、Ni2O3
 については結晶水を含むためにターゲットとして使用
する前に、 200℃程度まで加熱し、結晶水をとばし
、無水物化した。全てのM元素に対応して、図13に丸
点で示した組成の膜を作製し、As−deposit状
態で膜の構造ならびに誘電特性を評価した。同図中にお
いて黒丸はアモルファス強誘電性を示した薄膜の組成を
示し、斜線を施した丸はアモルファス構造を取りながら
常誘電性を示した薄膜の組成を示している。さらに白丸
は結晶質の薄膜であり、導電性になった薄膜の組成を示
している。この結果より、三角組成図に於いて、α、β
、γ、δ、ε、φにて囲まれた領域でアモルファスの強
誘電性が発現していることを見い出した。また、同組成
図中にNo.72 と付記した組成の膜について種々の
Mにおいて測定された飽和電荷密度(Ps)を表4に示
す。これからも、同表に示した全ての薄膜に於いてPs
が観測され、夫々の薄膜において強誘電性が発現してい
ることが解かる。
【0020】
【表4】
【0021】
【発明の効果】以上の様に、M2O3−P2O5−AB
O3 (ABO3はペロブスカイト型誘電体) 系の薄
膜をRFスパッタリング法などにより低い基板温度、例
えば25℃程度の基板温度により薄膜化することにより
、アモルファス構造を有する透光性の高い強誘電性薄膜
が得られ、強誘電性を応用したセンサ、メモリ、電気光
学素子に応用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明を説明するための組成系図であ
る。
【図2】図2は、本発明の一実施例を説明するための組
成系図、ならびに誘電特性、薄膜構造の説明図である。
【図3】図3は、本発明の誘電特性評価法を説明するた
めの薄膜の構造図である。
【図4】図4は、本発明の一実施例を説明するためのX
線回折図形である。
【図5】図5は、同実施例を説明するためのX線回折図
形である。
【図6】図6は、同実施例を説明するための誘電特性の
電界依存性を表した図である。
【図7】図7は、同実施例を説明するための飽和電荷密
度の組成依存性を表した図である。
【図8】図8は、同実施例を説明するための誘電特性の
電界依存性を表した図である。
【図9】図9は、同実施例を説明するための飽和電荷密
度の組成依存性を表した図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施例を説明するた
めの光透過率の波長異存特性を示す図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施例を説明するた
めの組成系図、ならびに誘電特性、薄膜構造の説明図で
ある。
【図12】図12は、本発明の他の実施例を説明するた
めの組成系図、ならびに誘電特性、薄膜構造の説明図で
ある。
【図13】図13は、本発明の他の実施例を説明するた
めの組成系図、ならびに誘電特性、薄膜構造の説明図で
ある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  遷移金属酸化物(M2O3)−酸化リ
    ン(P2O5)−ペロブスカイト型化合物(ABO3)
    を主成分とした三元酸化物からなり、かつ該三元酸化物
    がアモルファス構造を有することを特徴とするアモルフ
    ァス強誘電体酸化物材料。(ただし、M2O3は、Sc
    ,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Y,Zr
    ,Nb,Mo,Pd,Hf,Ta,W,In 及びラン
    タン系列元素の酸化物からなる群から選ばれる少なくと
    も一種であり、ABO3は強誘電性、反強誘電性または
    常誘電性を示すペロブスカイト型化合物である。)
  2. 【請求項2】  三元酸化物がM2O3,P2O5,A
    BO3の3成分の組成図において、aM2O3−(1−
    a)P2O5 ならびに、0.90P2O5−0.10
    (bM2O3−(1−b)ABO3)ならびに、cP2
    O5−(1−c)ABO3 ならびに、0.20(dP
    2O5−(1−d)M2O3)−0.80ABO3なら
    びに、eABO3−(1−e)M2O3 ならびに、0
    .90M2O3−0.10(fABO3−(1−f)P
    2O5)で表される夫々の組成線において、0.10≦
    a≦0.90かつ0.00≦b≦1.00かつ0.20
    ≦c≦0.90かつ0.00≦d≦1.00かつ0.2
    0≦e≦0.90かつ0.00≦f≦1.00なる範囲
    に規定された6本の組成線で囲まれた組成を有すること
    を特徴とする請求項1のアモルファス強誘電体酸化物材
    料。
  3. 【請求項3】  三元酸化物が、薄膜の形態に形成され
    ていることを特徴とする請求項1又は請求項2のアモル
    ファス強誘電体酸化物材料。
  4. 【請求項4】  三元酸化物を製膜手段を用いて基板上
    に、基板温度を300℃以下に保持しながら非晶質の薄
    膜として作製し、作製したそのままの状態で強誘電体酸
    化物材料を得ることを特徴とする請求項3のアモルファ
    ス強誘電体酸化物材料の製造方法。
JP13028891A 1991-05-07 1991-05-07 アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法 Pending JPH04331711A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13028891A JPH04331711A (ja) 1991-05-07 1991-05-07 アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13028891A JPH04331711A (ja) 1991-05-07 1991-05-07 アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH04331711A true JPH04331711A (ja) 1992-11-19

Family

ID=15030737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13028891A Pending JPH04331711A (ja) 1991-05-07 1991-05-07 アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH04331711A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH04331714A (ja) アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH04331712A (ja) アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05147933A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH04331711A (ja) アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH04331709A (ja) アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH04331713A (ja) アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH04331710A (ja) アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH0517139A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH04331708A (ja) アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05147940A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH0517138A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05105422A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH0517137A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05151823A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05147936A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05132314A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH0517127A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05105446A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05147972A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH0517177A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH059021A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05155618A (ja) アモルファス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05139732A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05139734A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法
JPH05132316A (ja) アモルフアス強誘電体酸化物材料及びその製造方法