JPH04310505A - 積層膜の作製方法 - Google Patents
積層膜の作製方法Info
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- JPH04310505A JPH04310505A JP3104655A JP10465591A JPH04310505A JP H04310505 A JPH04310505 A JP H04310505A JP 3104655 A JP3104655 A JP 3104655A JP 10465591 A JP10465591 A JP 10465591A JP H04310505 A JPH04310505 A JP H04310505A
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-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
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- Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層膜の作製方法に関
する。より詳細には、酸化物超電導薄膜と、該酸化物超
電導薄膜上の一部に積層された、絶縁体膜、常電導体膜
または前記酸化物超電導薄膜と結晶の状態が異なる酸化
物超電導薄膜等、特定の形状の上層の薄膜を具備する積
層膜の作製方法に関する。 【0002】 【従来の技術】酸化物超電導体は、従来の金属系超電導
体に比較して臨界温度が高く、実用性がより高いと考え
られている。例えば、Y−Ba−Cu−O系酸化物超電
導体の臨界温度は80K以上であり、Bi−Sr−Ca
−Cu−O系酸化物超電導体およびTl−Ba−Ca−
Cu−O系酸化物超電導体の臨界温度は 100K以上
と発表されている。 【0003】酸化物超電導体を各種電子デバイス等に応
用する場合、酸化物超電導体を薄膜化し、積層すること
が必要となる。例えば、トンネル型ジョセフソン接合と
称される超電導接合を酸化物超電導体を使用して実現す
る場合、第1の酸化物超電導薄膜、非超電導体の薄膜お
よび第2の酸化物超電導薄膜を順次積層しなければなら
ない。 【0004】上記のジョセフソン接合を利用したジョセ
フソン素子は2端子の素子であり、論理回路を構成しよ
うとすると回路が複雑となる。そのため、各種の3端子
の超電導素子が考えられている。3端子の超電導素子の
うちで、超電導体と半導体とを組み合わせた超電導トラ
ンジスタの構成に関しては、各種のものが発表されてい
る。この超電導トランジスタに酸化物超電導体を使用す
る場合には、半導体薄膜上に酸化物超電導薄膜を積層す
る必要性が生じることがある。さらに、超電導体と常電
導体を組み合わせた超電導素子も考えられているが、こ
の超電導素子に酸化物超電導体を使用する場合には、酸
化物超電導薄膜上に金属等の常電導体の薄膜を積層する
ことがある。 【0005】上記の積層膜を使用して、超電導素子、超
電導集積回路を作製する場合、各薄膜の機能、特性によ
り、それぞれの薄膜の大きさおよび形状を変えなければ
ならない。例えば、酸化物超電導薄膜に外部から電流を
供給する電極となる、例えばボンディングパッドのよう
な金属膜は、酸化物超電導薄膜上の一部の所定の位置に
形成される。また、超電導集積回路等で、酸化物超電導
薄膜に接する抵抗体となる金属膜も酸化物超電導薄膜上
の一部の所定の位置に形成されなければならない。この
ような金属膜は、 100nm以下の厚さでもよいが、
酸化物超電導薄膜との間に不要な電気抵抗を生じること
なく形成されていなければならない。さらに、電流路に
酸化物超電導薄膜を使用した素子、集積回路等を作製す
る場合には、酸化物超電導薄膜を所定の電流路の形状に
しなければならない。酸化物超電導体は、組成、結晶構
造が容易に変化し、それにより超電導特性が大幅に低下
するので、酸化物超電導薄膜を使用した上記の積層膜を
作製する場合には、酸化物超電導薄膜に悪影響を与えな
いようにしなければならない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】一般に複数の薄膜を積
層する場合、下層の薄膜の表面を清浄にしてから上層の
薄膜を成長させる。下層の薄膜の表面を清浄にしないと
、下層の薄膜の表面に堆積した汚染物質、下層の薄膜の
表面に形成された自然酸化物等により境界に不必要な弱
結合が発生したり、これらの異物により一様な成長が行
われず、上層の薄膜と下層の薄膜との界面の一部が不連
続となってしまう。従って、素子、集積回路の性能が所
定の値にならなかったり、動作しなかったりすることが
ある。 【0007】特に酸化物超電導体は、コヒーレンス長が
非常に短いので、酸化物超電導薄膜を下層の薄膜として
その上にさらに薄膜を積層する場合には、酸化物超電導
薄膜の表面状態に特に注意を払わなければならない。即
ち、下層の薄膜として使用する酸化物超電導薄膜の表面
は、清浄であり、結晶性、超電導性に優れていることが
要求される。 【0008】従来の半導体を使用した素子、集積回路等
では、下層の薄膜の表面を清浄にするために、純水洗浄
、化学洗浄、ドライエッチング、ウェットエッチング等
の方法が使用されていたが、酸化物超電導体は反応性が
高いので上記の各方法は適用できない。酸化物超電導薄
膜の表面を上記の方法で処理すると、酸化物超電導薄膜
の表面で反応が起こり、かえって薄膜表面の清浄性、結
晶性、超電導性が失われてしまう。 【0009】また、上層の薄膜の材料、上層の薄膜を形
成する条件によっては、下層の酸化物超電導薄膜中に上
層の薄膜に含まれる元素が拡散し、界面が急峻に形成さ
れないだけでなく、酸化物超電導薄膜が劣化してしまう
。さらに、積層膜を構成する薄膜をそれぞれ異なる形状
にする場合にも、酸化物超電導薄膜を劣化させないよう
に注意しなければならない。特に、酸化物超電導薄膜の
直上の薄膜を、この酸化物超電導薄膜上の一部に形成さ
れた構成とする場合に、酸化物超電導薄膜を劣化させる
危険性が高い。即ち、リフトオフ法ではフォトレジスト
、エッチング液等の影響を受け、また、反応性イオンエ
ッチングではClイオン等により、電子ビーム、イオン
ビーム等で酸化物超電導薄膜上に形成された薄膜を加工
する方法では、電子ビーム、イオンビーム等により、酸
化物超電導薄膜が侵されてしまう。 【0010】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の
問題点を解決した、酸化物超電導薄膜と、該酸化物超電
導薄膜上の一部に積層された所定の形状の上層の薄膜と
を具備する積層膜を作製する方法を提供することにある
。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明に従うと、酸化物
超電導体で構成された酸化物超電導薄膜と、該酸化物超
電導薄膜上の一部に積層された所定の形状の第2の薄膜
とを具備する積層膜を作製する方法において、前記酸化
物超電導薄膜を成膜した後、該酸化物超電導薄膜の温度
を、該酸化物超電導薄膜を構成する酸化物超電導体が酸
素を取り込む温度以上で、該酸化物超電導薄膜の成膜温
度より低い温度にして、該酸化物超電導薄膜上に前記第
2の薄膜を連続して成膜し、該第2の薄膜を前記所定の
形状に加工することを特徴とする積層膜の作製方法が提
供される。 【0012】本発明では、上記の酸化物超電導薄膜を上
記の第2の薄膜と共に所定の形状に加工することも好ま
しい。 【0013】 【作用】本発明では、酸化物超電導薄膜と、この酸化物
超電導薄膜上の一部に積層された所定の形状の第2の薄
膜とを具備する積層膜を作製する方法として、以下の方
法が提供される。即ち、上記の積層膜を作製する場合に
、下層の酸化物超電導薄膜を成膜後、この酸化物超電導
薄膜の温度を、この酸化物超電導薄膜を構成する酸化物
超電導体が酸素を取り込む温度以上で、この酸化物超電
導薄膜の成膜温度より低い温度にして第2の薄膜を連続
して成膜し、この第2の薄膜を前記所定の形状に加工す
るところにそれぞれ主要な特徴がある方法である。本発
明の方法は、例えば、酸化物超電導薄膜上に、絶縁体薄
膜、常電導体薄膜または下層の酸化物超電導薄膜と結晶
の状態が異なる酸化物超電導薄膜を積層して超電導素子
を作製する場合に適用できる。 【0014】上記本発明の方法で使用する高純度酸素は
、具体的には5N(99.999%)以上の純度で、特
にH2OおよびCO2が不純物として含まれないものが
好ましい。これは、H2OおよびCO2が酸化物超電導
体と反応し易く、特性を劣化させるからである。また、
上記の熱処理の際の酸素分圧は、20mTorr〜 1
00Torrが好ましい。さらに、本発明の方法で、下
層の酸化物超電導薄膜にY1Ba2Cu3O7−X薄膜
を使用した場合には、上記の熱処理の際の加熱温度を
350〜700℃とする。加熱温度が350℃未満では
再結晶が起こらず、加熱温度が700 ℃を越えた場合
には逆に薄膜を構成する酸化物超電導体結晶の配向性が
乱れてしまう。上記の熱処理時間は、酸素分圧および加
熱温度により調整する必要があるが、概ね数分〜数時間
の範囲である。 【0015】上記本発明の方法では、下層の酸化物超電
導薄膜を成膜した後、同一の装置内で連続して上層の薄
膜を成膜するので、下層の酸化物超電導薄膜が空気に触
れたりすることがない。従って、下層の酸化物超電導薄
膜の表面が汚染されたり、空気中の水分等と反応して劣
化することがない。また、上記本発明の方法では、酸化
物超電導薄膜を成膜後、この酸化物超電導薄膜を構成す
る酸化物超電導体が酸素を取り込む温度以上で、この酸
化物超電導薄膜の成膜温度より低い温度にして、この酸
化物超電導薄膜の直上に第2の薄膜を成膜する。この温
度で第2の薄膜の成膜を行うと、酸化物超電導薄膜に十
分な酸素が取り込まれ、且つ第2の薄膜に含まれる元素
が下層の酸化物超電導薄膜内に拡散するのを抑制するこ
とができる。例えば、酸化物超電導薄膜が、Y−Ba−
Cu−O系酸化物超電導体で構成されている場合、Y−
Ba−Cu−O系酸化物超電導薄膜を 350〜700
℃にして第2の薄膜を成膜する。 【0016】本発明では、上記の方法で酸化物超電導薄
膜上に第2の薄膜を積層した後、第2の薄膜を所定の形
状に加工する。また、このとき、酸化物超電導薄膜を第
2の薄膜と共に所定の形状に加工することも好ましい。 本発明の方法では、加工時に酸化物超電導薄膜の表面が
露出していないので、酸化物超電導薄膜が劣化すること
がない。また、酸化物超電導薄膜と第2の薄膜との間の
界面の状態が良好であるので、本発明の積層膜を使用し
て素子、集積回路を作製すると、安定した動作を行う。 さらに、この界面における接触抵抗が低減されており、
機械的強度も向上している。 【0017】本発明は、任意の酸化物超電導体に適用す
ることが可能であるが、特にY−Ba−Cu−O系酸化
物超電導体、Bi−Sr−Ca−Cu−O系酸化物超電
導体、Tl−Ba−Ca−Cu−O系酸化物超電導体に
適用することが好ましい。これらの酸化物超電導体は、
臨界温度を始めとする各種の超電導特性が現在のところ
最も優れているからである。 【0018】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく
説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではない
。 【0019】 【実施例】本発明の方法により、Y1Ba2Cu3O7
−X酸化物超電導薄膜上にAu薄膜が積層された積層膜
を作製した。 図1を参照して本発明の方法で積層膜を作製する手順を
説明する。 【0020】まず、図1(a)に示すようなMgO(1
00)基板3を超高真空チャンバ内に入れ、1×10−
6Torrまで排気する。次いで、チャンバ内に酸素お
よびArを導入し、MgO(100)基板3の表面に図
1(b)に示すよう厚さ 300nmのc軸配向のY1
Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1をオフアクシ
ススパッタリング法、レーザアブレーション法、反応性
蒸着法、MBE法、CVD法等の方法で成膜する。オフ
アクシススパッタリング法で酸化物超電導薄膜を成膜す
る場合の成膜条件を以下に示す。 【0021】成膜後、基板温度を400
℃にしてY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1
を構成するY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導体に
酸素を取り込ませる熱処理を行ってもよい。続いて、チ
ャンバ内を純度99.999%以上の高純度酸素で置換
する。基板温度を500 ℃にしてY1Ba2Cu3O
7−X酸化物超電導薄膜1上に図1(c)に示すよう厚
さ 200nmのAu薄膜2を蒸着法で成膜する。成膜
条件を以下に示す。 雰囲気ガス O2 :10
0 %圧 力
10Pa次に、図1(d)に示すようA
u薄膜2上に、加工するパターンに合わせてフォトレジ
スト5を積層し、図1(e)に示すようAu薄膜2とY
1Ba2Cu3O7−X薄膜1とを反応性イオンエッチ
ング法で加工する。ここまでの工程は全て同一のチャン
バ内で連続的に処理した。上記本発明の方法により作製
された積層膜は、加工後も各薄膜の結晶性が優れている
だけでなく、界面における整合性がよいことがわかった
。また、界面において、相互拡散は生じていなかった。 【0022】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に従えば、
酸化物超電導薄膜上に所定の形状の第2の薄膜が積層さ
れた積層膜の作製方法が提供される。本発明の方法によ
り作製される積層膜は、超電導特性が優れているだけで
なく、界面における整合性も優れている。本発明を超電
導素子、超電導集積回路の作製に応用することにより、
従来得られなかった高性能な超電導装置が作製可能であ
る。
する。より詳細には、酸化物超電導薄膜と、該酸化物超
電導薄膜上の一部に積層された、絶縁体膜、常電導体膜
または前記酸化物超電導薄膜と結晶の状態が異なる酸化
物超電導薄膜等、特定の形状の上層の薄膜を具備する積
層膜の作製方法に関する。 【0002】 【従来の技術】酸化物超電導体は、従来の金属系超電導
体に比較して臨界温度が高く、実用性がより高いと考え
られている。例えば、Y−Ba−Cu−O系酸化物超電
導体の臨界温度は80K以上であり、Bi−Sr−Ca
−Cu−O系酸化物超電導体およびTl−Ba−Ca−
Cu−O系酸化物超電導体の臨界温度は 100K以上
と発表されている。 【0003】酸化物超電導体を各種電子デバイス等に応
用する場合、酸化物超電導体を薄膜化し、積層すること
が必要となる。例えば、トンネル型ジョセフソン接合と
称される超電導接合を酸化物超電導体を使用して実現す
る場合、第1の酸化物超電導薄膜、非超電導体の薄膜お
よび第2の酸化物超電導薄膜を順次積層しなければなら
ない。 【0004】上記のジョセフソン接合を利用したジョセ
フソン素子は2端子の素子であり、論理回路を構成しよ
うとすると回路が複雑となる。そのため、各種の3端子
の超電導素子が考えられている。3端子の超電導素子の
うちで、超電導体と半導体とを組み合わせた超電導トラ
ンジスタの構成に関しては、各種のものが発表されてい
る。この超電導トランジスタに酸化物超電導体を使用す
る場合には、半導体薄膜上に酸化物超電導薄膜を積層す
る必要性が生じることがある。さらに、超電導体と常電
導体を組み合わせた超電導素子も考えられているが、こ
の超電導素子に酸化物超電導体を使用する場合には、酸
化物超電導薄膜上に金属等の常電導体の薄膜を積層する
ことがある。 【0005】上記の積層膜を使用して、超電導素子、超
電導集積回路を作製する場合、各薄膜の機能、特性によ
り、それぞれの薄膜の大きさおよび形状を変えなければ
ならない。例えば、酸化物超電導薄膜に外部から電流を
供給する電極となる、例えばボンディングパッドのよう
な金属膜は、酸化物超電導薄膜上の一部の所定の位置に
形成される。また、超電導集積回路等で、酸化物超電導
薄膜に接する抵抗体となる金属膜も酸化物超電導薄膜上
の一部の所定の位置に形成されなければならない。この
ような金属膜は、 100nm以下の厚さでもよいが、
酸化物超電導薄膜との間に不要な電気抵抗を生じること
なく形成されていなければならない。さらに、電流路に
酸化物超電導薄膜を使用した素子、集積回路等を作製す
る場合には、酸化物超電導薄膜を所定の電流路の形状に
しなければならない。酸化物超電導体は、組成、結晶構
造が容易に変化し、それにより超電導特性が大幅に低下
するので、酸化物超電導薄膜を使用した上記の積層膜を
作製する場合には、酸化物超電導薄膜に悪影響を与えな
いようにしなければならない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】一般に複数の薄膜を積
層する場合、下層の薄膜の表面を清浄にしてから上層の
薄膜を成長させる。下層の薄膜の表面を清浄にしないと
、下層の薄膜の表面に堆積した汚染物質、下層の薄膜の
表面に形成された自然酸化物等により境界に不必要な弱
結合が発生したり、これらの異物により一様な成長が行
われず、上層の薄膜と下層の薄膜との界面の一部が不連
続となってしまう。従って、素子、集積回路の性能が所
定の値にならなかったり、動作しなかったりすることが
ある。 【0007】特に酸化物超電導体は、コヒーレンス長が
非常に短いので、酸化物超電導薄膜を下層の薄膜として
その上にさらに薄膜を積層する場合には、酸化物超電導
薄膜の表面状態に特に注意を払わなければならない。即
ち、下層の薄膜として使用する酸化物超電導薄膜の表面
は、清浄であり、結晶性、超電導性に優れていることが
要求される。 【0008】従来の半導体を使用した素子、集積回路等
では、下層の薄膜の表面を清浄にするために、純水洗浄
、化学洗浄、ドライエッチング、ウェットエッチング等
の方法が使用されていたが、酸化物超電導体は反応性が
高いので上記の各方法は適用できない。酸化物超電導薄
膜の表面を上記の方法で処理すると、酸化物超電導薄膜
の表面で反応が起こり、かえって薄膜表面の清浄性、結
晶性、超電導性が失われてしまう。 【0009】また、上層の薄膜の材料、上層の薄膜を形
成する条件によっては、下層の酸化物超電導薄膜中に上
層の薄膜に含まれる元素が拡散し、界面が急峻に形成さ
れないだけでなく、酸化物超電導薄膜が劣化してしまう
。さらに、積層膜を構成する薄膜をそれぞれ異なる形状
にする場合にも、酸化物超電導薄膜を劣化させないよう
に注意しなければならない。特に、酸化物超電導薄膜の
直上の薄膜を、この酸化物超電導薄膜上の一部に形成さ
れた構成とする場合に、酸化物超電導薄膜を劣化させる
危険性が高い。即ち、リフトオフ法ではフォトレジスト
、エッチング液等の影響を受け、また、反応性イオンエ
ッチングではClイオン等により、電子ビーム、イオン
ビーム等で酸化物超電導薄膜上に形成された薄膜を加工
する方法では、電子ビーム、イオンビーム等により、酸
化物超電導薄膜が侵されてしまう。 【0010】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の
問題点を解決した、酸化物超電導薄膜と、該酸化物超電
導薄膜上の一部に積層された所定の形状の上層の薄膜と
を具備する積層膜を作製する方法を提供することにある
。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明に従うと、酸化物
超電導体で構成された酸化物超電導薄膜と、該酸化物超
電導薄膜上の一部に積層された所定の形状の第2の薄膜
とを具備する積層膜を作製する方法において、前記酸化
物超電導薄膜を成膜した後、該酸化物超電導薄膜の温度
を、該酸化物超電導薄膜を構成する酸化物超電導体が酸
素を取り込む温度以上で、該酸化物超電導薄膜の成膜温
度より低い温度にして、該酸化物超電導薄膜上に前記第
2の薄膜を連続して成膜し、該第2の薄膜を前記所定の
形状に加工することを特徴とする積層膜の作製方法が提
供される。 【0012】本発明では、上記の酸化物超電導薄膜を上
記の第2の薄膜と共に所定の形状に加工することも好ま
しい。 【0013】 【作用】本発明では、酸化物超電導薄膜と、この酸化物
超電導薄膜上の一部に積層された所定の形状の第2の薄
膜とを具備する積層膜を作製する方法として、以下の方
法が提供される。即ち、上記の積層膜を作製する場合に
、下層の酸化物超電導薄膜を成膜後、この酸化物超電導
薄膜の温度を、この酸化物超電導薄膜を構成する酸化物
超電導体が酸素を取り込む温度以上で、この酸化物超電
導薄膜の成膜温度より低い温度にして第2の薄膜を連続
して成膜し、この第2の薄膜を前記所定の形状に加工す
るところにそれぞれ主要な特徴がある方法である。本発
明の方法は、例えば、酸化物超電導薄膜上に、絶縁体薄
膜、常電導体薄膜または下層の酸化物超電導薄膜と結晶
の状態が異なる酸化物超電導薄膜を積層して超電導素子
を作製する場合に適用できる。 【0014】上記本発明の方法で使用する高純度酸素は
、具体的には5N(99.999%)以上の純度で、特
にH2OおよびCO2が不純物として含まれないものが
好ましい。これは、H2OおよびCO2が酸化物超電導
体と反応し易く、特性を劣化させるからである。また、
上記の熱処理の際の酸素分圧は、20mTorr〜 1
00Torrが好ましい。さらに、本発明の方法で、下
層の酸化物超電導薄膜にY1Ba2Cu3O7−X薄膜
を使用した場合には、上記の熱処理の際の加熱温度を
350〜700℃とする。加熱温度が350℃未満では
再結晶が起こらず、加熱温度が700 ℃を越えた場合
には逆に薄膜を構成する酸化物超電導体結晶の配向性が
乱れてしまう。上記の熱処理時間は、酸素分圧および加
熱温度により調整する必要があるが、概ね数分〜数時間
の範囲である。 【0015】上記本発明の方法では、下層の酸化物超電
導薄膜を成膜した後、同一の装置内で連続して上層の薄
膜を成膜するので、下層の酸化物超電導薄膜が空気に触
れたりすることがない。従って、下層の酸化物超電導薄
膜の表面が汚染されたり、空気中の水分等と反応して劣
化することがない。また、上記本発明の方法では、酸化
物超電導薄膜を成膜後、この酸化物超電導薄膜を構成す
る酸化物超電導体が酸素を取り込む温度以上で、この酸
化物超電導薄膜の成膜温度より低い温度にして、この酸
化物超電導薄膜の直上に第2の薄膜を成膜する。この温
度で第2の薄膜の成膜を行うと、酸化物超電導薄膜に十
分な酸素が取り込まれ、且つ第2の薄膜に含まれる元素
が下層の酸化物超電導薄膜内に拡散するのを抑制するこ
とができる。例えば、酸化物超電導薄膜が、Y−Ba−
Cu−O系酸化物超電導体で構成されている場合、Y−
Ba−Cu−O系酸化物超電導薄膜を 350〜700
℃にして第2の薄膜を成膜する。 【0016】本発明では、上記の方法で酸化物超電導薄
膜上に第2の薄膜を積層した後、第2の薄膜を所定の形
状に加工する。また、このとき、酸化物超電導薄膜を第
2の薄膜と共に所定の形状に加工することも好ましい。 本発明の方法では、加工時に酸化物超電導薄膜の表面が
露出していないので、酸化物超電導薄膜が劣化すること
がない。また、酸化物超電導薄膜と第2の薄膜との間の
界面の状態が良好であるので、本発明の積層膜を使用し
て素子、集積回路を作製すると、安定した動作を行う。 さらに、この界面における接触抵抗が低減されており、
機械的強度も向上している。 【0017】本発明は、任意の酸化物超電導体に適用す
ることが可能であるが、特にY−Ba−Cu−O系酸化
物超電導体、Bi−Sr−Ca−Cu−O系酸化物超電
導体、Tl−Ba−Ca−Cu−O系酸化物超電導体に
適用することが好ましい。これらの酸化物超電導体は、
臨界温度を始めとする各種の超電導特性が現在のところ
最も優れているからである。 【0018】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく
説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではない
。 【0019】 【実施例】本発明の方法により、Y1Ba2Cu3O7
−X酸化物超電導薄膜上にAu薄膜が積層された積層膜
を作製した。 図1を参照して本発明の方法で積層膜を作製する手順を
説明する。 【0020】まず、図1(a)に示すようなMgO(1
00)基板3を超高真空チャンバ内に入れ、1×10−
6Torrまで排気する。次いで、チャンバ内に酸素お
よびArを導入し、MgO(100)基板3の表面に図
1(b)に示すよう厚さ 300nmのc軸配向のY1
Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1をオフアクシ
ススパッタリング法、レーザアブレーション法、反応性
蒸着法、MBE法、CVD法等の方法で成膜する。オフ
アクシススパッタリング法で酸化物超電導薄膜を成膜す
る場合の成膜条件を以下に示す。 【0021】成膜後、基板温度を400
℃にしてY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導薄膜1
を構成するY1Ba2Cu3O7−X酸化物超電導体に
酸素を取り込ませる熱処理を行ってもよい。続いて、チ
ャンバ内を純度99.999%以上の高純度酸素で置換
する。基板温度を500 ℃にしてY1Ba2Cu3O
7−X酸化物超電導薄膜1上に図1(c)に示すよう厚
さ 200nmのAu薄膜2を蒸着法で成膜する。成膜
条件を以下に示す。 雰囲気ガス O2 :10
0 %圧 力
10Pa次に、図1(d)に示すようA
u薄膜2上に、加工するパターンに合わせてフォトレジ
スト5を積層し、図1(e)に示すようAu薄膜2とY
1Ba2Cu3O7−X薄膜1とを反応性イオンエッチ
ング法で加工する。ここまでの工程は全て同一のチャン
バ内で連続的に処理した。上記本発明の方法により作製
された積層膜は、加工後も各薄膜の結晶性が優れている
だけでなく、界面における整合性がよいことがわかった
。また、界面において、相互拡散は生じていなかった。 【0022】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に従えば、
酸化物超電導薄膜上に所定の形状の第2の薄膜が積層さ
れた積層膜の作製方法が提供される。本発明の方法によ
り作製される積層膜は、超電導特性が優れているだけで
なく、界面における整合性も優れている。本発明を超電
導素子、超電導集積回路の作製に応用することにより、
従来得られなかった高性能な超電導装置が作製可能であ
る。
【図1】本発明の方法で、積層膜を作製する工程を説明
する図である。
する図である。
1 酸化物超電導薄膜
2 Au薄膜
3 基板
5 フォトレジスト
Claims (2)
- 【請求項1】 酸化物超電導体で構成された酸化物超
電導薄膜と、該酸化物超電導薄膜上の一部に積層された
所定の形状の第2の薄膜とを具備する積層膜を作製する
方法において、前記酸化物超電導薄膜を成膜した後、該
酸化物超電導薄膜の温度を、該酸化物超電導薄膜を構成
する酸化物超電導体が酸素を取り込む温度以上で、該酸
化物超電導薄膜の成膜温度より低い温度にして、該酸化
物超電導薄膜上に前記第2の薄膜を連続して成膜し、該
第2の薄膜を前記所定の形状に加工することを特徴とす
る積層膜の作製方法。 - 【請求項2】 前記酸化物超電導薄膜を前記第2の薄
膜と共に加工することを特徴とする請求項1に記載の積
層膜の作製方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3104655A JP2647278B2 (ja) | 1991-04-10 | 1991-04-10 | 積層膜の作製方法 |
EP92401006A EP0509886B1 (en) | 1991-04-09 | 1992-04-09 | Process for patterning layered thin films including a superconductor layer |
DE69216138T DE69216138T2 (de) | 1991-04-09 | 1992-04-09 | Verfahren zum Strukturieren mehrlagiger Dünnschichten mit einer supraleitenden Lage |
CA002065625A CA2065625C (en) | 1991-04-09 | 1992-04-09 | Process for patterning layered thin films including a superconductor layer |
US07/865,498 US5326747A (en) | 1991-04-09 | 1992-04-09 | Process for patterning layered thin films including a superconductor |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3104655A JP2647278B2 (ja) | 1991-04-10 | 1991-04-10 | 積層膜の作製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04310505A true JPH04310505A (ja) | 1992-11-02 |
JP2647278B2 JP2647278B2 (ja) | 1997-08-27 |
Family
ID=14386479
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3104655A Expired - Lifetime JP2647278B2 (ja) | 1991-04-09 | 1991-04-10 | 積層膜の作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2647278B2 (ja) |
-
1991
- 1991-04-10 JP JP3104655A patent/JP2647278B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2647278B2 (ja) | 1997-08-27 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19970408 |