JPH04306596A - 交流式イオン発生装置およびこれを用いた清浄空間内の帯電物品の除電設備 - Google Patents

交流式イオン発生装置およびこれを用いた清浄空間内の帯電物品の除電設備

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JPH04306596A
JPH04306596A JP9498491A JP9498491A JPH04306596A JP H04306596 A JPH04306596 A JP H04306596A JP 9498491 A JP9498491 A JP 9498491A JP 9498491 A JP9498491 A JP 9498491A JP H04306596 A JPH04306596 A JP H04306596A
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総一郎 阪田
Hitoshi Inaba
仁 稲葉
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,正イオンと負イオンの
発生濃度を簡易に調節し得るようにした交流式イオン発
生器並びにこれを用いて清浄空間内の帯電物品を除電す
る設備に関する。特に本発明は,同一出願人に係る特願
平1−265189号,特願平1−265190号並び
に特願平2−222542号に提案した発明の一層の改
善に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば半導体素子を製造するクリーンル
ームでは,静電気の帯電現象に起因する種々の障害が問
題視されるようになった。このような障害には,半導体
デバイスの破壊と性能劣化,微粒子の吸着による製品の
表面汚染,エレクトロニクス機器の誤動作等がある。
【0003】一方, 最近のクリーンルームでは, 室
内に供給する清浄空気流中には0.03μm以上の大き
さの粒子は検出されないと言った超清浄度を維持するも
のまで登場した。しかし,クリーンルーム内に存在する
オペレータ, ロボット, 更には種々の製造装置類か
ら微粒子が不可避的に発生する。このような内部発生微
粒子の大きさは0.1μmから数10μmにもおよび,
かような粒子が最小線幅が1μmといった最近のLSI
,VLSI等のウエハ上に付着すれば格落ち品となって
製品歩留りを低下させる。かような微粒子のウエハ表面
への沈着は,大部分は静電気力によって起こり,その付
近の気流形状とはほとんど無関係であることが明らかと
なってきた。
【0004】したがって,この微粒子の吸着による製品
の表面汚染の防止には,クリーンルームの清浄度を高め
る技術およびフイルターの性能向上技術とは別に, 静
電気の除電技術の開発を待たねばならない。この除電は
,帯電物体が電気の良導体である場合には接地すればよ
く,これによって帯電した静電気を素早く逃がすことが
できる。しかしクリーンルーム内の全ての導体物品を接
地することは事実上不可能であるし,帯電物体が絶縁体
の場合では接地しても除電できず無意味となる。ウエハ
について言えば,ウエハ自身は導体であっても絶縁物で
あるカセットケースやパレットに入れて搬送されるため
に,接地によって帯電を除去することは困難である。こ
のようなことから,イオン発生器 (イオナイザ) に
よる除電方式が提案された。クリーンルーム内はフイル
ターで浄化された清浄空気流がほぼ一方向性に流れてい
るので,この清浄空気流の上流側(通常はフイルターの
空気吹出し面に近い位置)にコロナ放電によって空気を
イオン化するイオナイザを配置し,ここでイオン化した
空気の流れを帯電物体の表面と触れさせることにより,
帯電物体上の静電気を中和しようとするものである。す
なわち,物体表面がプラスに帯電していればマイナスに
イオン化した空気によって中和し,マイナスに帯電して
いればプラスにイオン化した空気によって中和して,物
体表面の静電気を除電しようとするものである。
【0005】かようなコロナ放電によるイオン発生器と
して,Pulsed−DCタイプ, DCタイプおよび
ACタイプのものが知られている。DCは直流,ACは
交流の意味である。いずれにしても,空気中に配置した
放電極 (Emitter)近傍で発生する電界強度が
, 空気の絶縁破壊電界強度以上となるような直流また
は交流の高電圧を該電極に印加することによってコロナ
放電を行わせるものであり,それぞれ次のような特徴を
有する。
【0006】Pulsed−DCタイプ:これは所定の
間隔 (例えば数10cmの間隔) を離して対向配置
された一対の針状エミッタ (タングステン電極) に
, 例えば+13〜+20kVまたは−13〜−20k
Vの直流を, 例えば1〜11秒間隔(パルス)で交互
に印加してエミッタから交互に正と負のイオン (ai
r ions) を発生させ,このエアイオンを気流に
乗せて帯電物体に運び, 帯電物体の帯電電荷と反対極
性のイオンで中和する仕組みである。
【0007】DCタイプ:これは,それぞれ多数本の針
状エミッタを1〜2cm間隔で埋め込んだ一対のバーを
所定の間隔(例えば数10cm間隔)でバー軸を平行に
して対向配置し, 一方のバーの各エミッタに+12〜
+30kV, 他方のバーの各エミッタに−12〜−3
0kVの直流電圧を印加して空気をイオン化する仕組み
である。
【0008】ACタイプ:これは針状エミッタに高電圧
の交流(周波数は商用の50/60Hz)を印加するも
のであり,多数本のエミッタを二次元的拡がりをもって
配置し,これらを交流高圧電源に対して絶縁被覆された
フレーム状の導電性バーによって接続する。そして各エ
ミッタの放電端を取り囲むように対極 (導電性のグリ
ッド) を放電端から離して配置し,この対極グリッド
を接地する構造のものが代表的なものである。これによ
ると,各エミッタと対極グリッドとの間で交流サイクル
に応じて極性が反転する交流電界が形成され,各エミッ
タから正と負のイオン化空気が発生する。
【0009】ところが,これらいずれのタイプの公知の
イオン発生器も,クリーンルーム内の帯電物品の除電に
使用しようとすると,以下のような問題に遭遇する。
【0010】先ず第一は,いずれのタイプでも,エミッ
タ自身によるクリーンルームの汚染の問題である。放電
極である針状エミッタの材質はタングステンが最も好ま
しいとされているが,このエミッタに高電圧を印加して
コロナ放電を行わせると,スパッタリング現象によって
正イオン発生時におびただしい微粒子(0.1μm以下
の粒径のものが殆んどである) がエミッタ先端から発
生し,これが清浄空気流に運ばれてクリーンルーム内を
汚染する。
【0011】第二に,いずれのタイプでも,クリーンル
ーム内で長時間稼働するとエミッタの放電端に主として
SiO2からなる白色の粉塵が目視できるほど付着堆積
する。これは,クリーンルームに清浄空気を供給するた
めのフイルタ素材ですら除去できずに通過してしまう超
微粒子にその原因があると考えられる。この堆積粉塵に
よってイオン発生量が低下したり,また,この堆積粉塵
がクリーンルーム内に再飛散したりする問題を起こす。 したがって,エミッタの洗浄が怠れず, また前記のス
パッタリング現象はエミッタ先端を損傷させるので頻繁
な取り換えを必要とする。
【0012】第三に,クリーンルームの天井面に多数の
イオン発生器を取付けると,クリーンルーム内のオゾン
濃度が高くなることがある。その濃度は人体に影響を与
えるほどではなくても,オゾンは反応性に富むので半導
体製造には好ましくない。
【0013】そして, 前記の各タイプそれぞれ次のよ
うな個別の問題がある。DCタイプでは一方のエミッタ
からは正にイオン化した空気が,他方のエミッタからは
負にイオン化した空気が空気流に乗って流れるので,正
と負の何方かに偏ったイオンが帯電物品に到達すること
になりかねない。このため,帯電物品の帯電負荷の極性
と同じ極性のイオンが供給される機会も多く,この場合
には除電されることはない。逆に,帯電していないか若
しくは帯電量が小さい物品に対しては,搬送された空気
イオンによって帯電を助成する事態も起こり得る。この
現象は特に正負の電極間距離を離した場合に起こり易い
が, 電極間距離をあまり短くするとスパークが生じる
といった問題がある。
【0014】Pulsed−DCタイプでは所定の周期
でこのイオンの極性を反転させるのでその発生周期毎に
交互に正負イオンが帯電物品に供給されることになり,
DCタイプのように正負どちらかのイオンが連続して送
られるといったことは避けられるが,その周期をあまり
短くすると正と負のイオンが搬送気流中で混ざり合って
帯電物品に到達する前に結合してイオンが消滅する度合
いが多くなる。また逆に周期をあまり長くすると, 正
負イオンの結合の割合は低下する代わりに,正と負のイ
オンの大きな塊が交互に帯電表面に到達することになる
。M.Blitshteyn,et.al.,はAss
essing The Effectiveness 
of Cleanroom Ionization S
ystems, Microconta−minati
on, March 1985, P.46〜52,7
6において, Pulsed−DCタイプでは帯電表面
の電位は正と負を交互に繰り返して減衰することを報告
している。この結果では,帯電表面は帯電電荷が無くな
ることはなく,正または負に500V程度の帯電が交互
に生じることになる。近年の超LSIが数10Vの表面
電位でも破壊されることを考えると,かような500V
の如き表面電位が生じることは, かえって製品歩留り
を低下することにもなりかねない。
【0015】ACタイプは,正イオンと負イオンの発生
量が異なるという基本的な問題がある。エミッタに高電
圧の交流を印加すると,正イオンの発生量は負イオンの
発生量の10倍以上となることもある。鈴木政典ほかは
,第6回空気清浄とコンタミネーションコントロール研
究大会予稿集(1987),P269〜276 および
これに対応する英文文献, M.Suzuki, et
.al. Effectiveness of Air
 Ionization Systems inCle
an Rooms, 1988 Proceeding
s of The IES Annual Techn
ical Meeting, Inst−itute 
of Environmental Sciences
, Mt.Prospect,Illinois, p
.405〜412 において,ACタイプのイオン発生
器で発生する正負イオン濃度の測定例を報告しているが
,負イオンの濃度は正イオンのそれに比べて著しく少な
くなっている。すなわち,従来のACタイプのイオン発
生器では正イオン濃度の高いイオン化空気が供給される
ので,帯電表面は中和されるどころか数10ボルトから
200ボルト程度の正の電位に帯電したままになること
すらある。
【0016】このような問題を根本的に解決するイオナ
イザーを同一出願人に係る特願平1−265189号や
特願平1−265190号, さらには特願平2−22
2542号に既に提案した。 その詳細はそれらの明細書および図面に示したとおりで
あるが,要するところ,ACタイプのイオン発生器にお
いて,高電圧の交流を印加する放電極の先端に誘電体材
料例えば石英を被覆した点, この放電極の群に対して
, その或るものにはマイナス側に偏った直流成分(バ
イアス電圧)が付加された交流の高電圧を印加し,他の
ものにはこれよりもプラス側に偏った直流成分(バイア
ス電圧)が付加された交流の高電圧を付与することによ
って,プラスイオンとマイナスイオンがそれぞれの濃度
が均衡した状態で帯電物品に到達するようにした点, 
さらには,放電極に対して前記のようなバイアスを付与
した上で, 或いは付与しないで, 対極に直流電圧を
印加し,その直流電圧の極性と大きさを調節することに
よってプラスイオンとマイナスイオンが,それぞれの濃
度が均衡した状態で帯電物品に到達するようにした点,
 に特徴がある。また,イオナイザを構成する放電極や
対極の金属表面を空気中に露出させないで良好なイオナ
イザ機能を果たすように改善し,金属表面での錆発生に
よる空気汚染を完全に防止することも提案した。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】先出願のように,放電
極群に対して,マイナスの直流電圧またはプラス側に偏
った直流電圧を重畳した交流高電圧を印加することによ
って正負イオン濃度のバランスを図ることができ,また
対極に適切な直流電圧を印加することによっても正負イ
オン濃度のバランスを図ることができるが,クリーンル
ーム内における風速の変化や帯電物品の形態に応じて,
より適正な正負イオン濃度に調節する場合に,この調節
操作が簡便且つ精密に行えることが望ましい。先出願の
方式でも放電極側交流高電圧に重畳する直流成分(バイ
アス電圧)や対極側直流電圧の調節操作を行えばこれが
可能であるが,イオナイザへの入力側での調節操作であ
るために,どの入力値のときにどのような正負イオン濃
度となるかといった経験値を必要とする。本発明は, 
この課題の解決を目的としたものであり,交流式イオナ
イザにおいてより簡便な操作によって正負イオン濃度の
バランスを図ることを意図したものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は,交流高電圧源
に接続された針状の放電極と,この放電極から所定の距
離を離して配置される対極とによって放電対を形成し,
該対極を接地点にアース線を介して接続するか,または
直流電源にリード線を介して接続し,該放電極に交流高
電圧を印加してコロナ放電を行わせる交流式イオン発生
装置において,該対極と接地点とを接続するアース線ま
たは対極と直流電源とを接続するリード線に,可変抵抗
器と整流器を直列に接続してなる第一調節器と,可変抵
抗器と整流器を直列に接続してなる第二調節器とを並列
に接続し,そのさい,第一調節器の整流器は第二調節器
の整流器とは整流方向を逆にして接続されていることを
特徴とする交流式イオン発生装置を提供する。ここで,
整流器としてはダイオード,具体的にはシリコンダイオ
ードを使用する。
【0019】また本発明は,針状の放電極に交流の高電
圧を印加してコロナ放電を行わせる交流式イオン発生装
置を,フイルタを通過した清浄空気の流れの中に設置し
,このイオン発生装置によってイオン化された空気の流
れを下流側に存在する静電気を帯びた物体に供給するこ
とにより,該帯電物体上の静電気を中和する設備におい
て, 該放電極の放電端に対して所定の距離を離して対
極が空気中に配置され,該放電極と該対極とからなる放
電対が前記の清浄空気の流れを横切る方向に二次元的な
拡がりをもって多数配置され,該対極が接地点にアース
線を介して接続されるかまたはリード線を介して直流電
源に接続され,このアース線またはリード線に,可変抵
抗器と整流器を直列に接続してなる第一調節器と,可変
抵抗器と整流器を直列に接続してなる第二調節器とを並
列に接続し,そのさい,第一調節器の整流器が第二調節
器の整流器とは整流方向を逆にして接続されていること
を特徴とする清浄空間に存在する帯電物品の除電設備を
提供する。
【0020】〔作用〕先の特願平1−265189号や
特願平1−265190号に提案したように,放電極側
交流高電圧に重畳する直流成分(バイアス電圧)の調整
操作,更には対極側への直流電圧印加操作に加えて,或
いはこれとは別に,交流放電に伴って対極側に吸収され
る正イオンと負イオン電流の割合を調節できれば,空気
イオン濃度の負イオンと正イオンの割合を調節できる。 対極側に吸収される正イオンと負イオンの割合の調節は
,対極と接地点とを接続するアース線または対極と直流
電源とを接続するリード線に,可変抵抗器と整流器を直
列に接続してなる第一調節器と,可変抵抗器と整流器を
直列に接続してなる第二調節器とを並列に接続し,その
さい,第一調節器の整流器は第二調節器の整流器とは整
流方向を逆にすることによって簡便に達成できることが
わかった。
【0021】〔発明の詳述〕 〔交流式イオナイザでは正イオンと負イオンの発生量が
相違する現象〕図1は,放電極1と対極2とからなる一
つの放電対において発生する空気イオンを電流量として
測定するための実験装置を示しており,図2はその略断
面を示したものである。金属製の針状放電極1の先端極
率半径は0.045mmで,対極2は太さ1mmのステ
ンレス線を75mm角の正方形の形状に曲げ加工したも
のである。放電極1と対極2のギャップ長は25mmで
あり,この放電対の上方から垂直に気流速度0.3m/
sで空気流を流しながら,放電極1に,図2のようにコ
ンデンサ3 (容量2000pF) を介して,AC高
電圧(50Hz)が印加された。対極2から下流側へ2
5mm離れた位置に目の細かい25cm角の金属性金網
4が張り渡され,この金網4において対極2をくぐり抜
けた空気イオンをことごとく捕捉する。
【0022】この実験において,対極2に吸収される正
負イオンの電流量と,対極2をくぐり抜けて下方に運ば
れる正負イオンの電流量すなわち金網4に吸収される正
負イオンの電流量を図示のように電流計Aと整流器Dを
もつ回路によって測定する。すなわち,対極2から接地
点5に至るリード線6に第一計測器7を,金網4から接
地点5に至るリード線8に第二計測器9を,そして,両
計測器7,9から接地点5に至る合流リード線10に第
三計測器11を介装する。いずれの計測器も,電流計A
において正イオン電流と負イオン電流を個別に計測する
ために,整流方向を逆にした整流器Dを並列に配置し,
 各整流器Dと電流計Aを直列に接続してある。電流計
Aはいずれも可動コイル型電流計である。
【0023】第三計測器11では正半波電流値i+, 
負半波電流値i−, そのイオン電流平均値iが測定さ
れ,第一計測器7では対極に吸収された正半波電流値i
1+, 負半波電流値i1−, そのイオン電流平均値
i1が測定され,第二計測器9では金網4に吸収された
正半波電流値i2+, 負半波電流値i2−, そのイ
オン電流平均値i2が計測される。
【0024】これを等価回路に示すと図3のようになる
。放電極の放電端でコロナ放電により生成した空気イオ
ンの電流平均値 (i)は,放電端と対極の間に介在す
る空気を通過して対極に到達する空気イオンの電流平均
値 (i1)と, 放電端と25cm角の金属性金網の
間に介在する空気を通過して金属性金網に到達するイオ
ン量 (i2)に分かれる。したがって,i=i1+i
2の関係がある。 ここで, それぞれの介在空気は,容量C1と抵抗R1
の並列回路と容量C2と抵抗R2の並列回路で表される
。高圧交流電源T1は放電極に交流の高電圧を印加する
ためのものである。
【0025】図4は第三計測器11での計測結果を,図
5は第一計測器7での計測結果を,そして図6は第二計
測器9での計測結果を,いずれも横軸に高圧交流電源T
1の印加電圧Vm (実効値) をとって示したもので
ある。
【0026】図4より明らかな如く,放電極と高圧交流
電源T1の間に直列に挿入したコンデンサCによって直
流成分がカットされるため,電圧上昇に伴い常に|i+
|=|i−|となる。つまり, 交流電圧の大きさに拘
わらずi++i−=i=0μAとなり, 直流成分は現
れていない。したがって,放電極の放電端でコロナ放電
により生成した正と負の空気イオン量は完全に均衡して
いる。
【0027】ところが,図5に見られるように対極に到
達するイオン量 (i1)については電圧上昇に伴い常
に|i1+|<|i1−|となり,他方図6に見られる
ように,金属性金網に到達するイオン量 (i2)につ
いては電圧上昇に伴い常に|i2+|>|i2−|とな
る。つまり,イオナイザの対極下流側に到達しうる空気
イオン濃度は正の方が負よりも多いことになる。この原
因として考えられるのは,大気中の正の空気イオンの移
動度は1.26×10−4m2/V・sであるのに対し
, 負の空気イオンの移動度は1.56×10−4m2
/V・s  (静電気ハンドブック, オーム社発行,
1988,p.318)であるから, 空気中において
より動きやすい負イオンは, より動きにくい正イオン
よりも対極に吸収される割合が多くなるためである。
【0028】i=i1+i2, i=0の関係があるか
ら,i1が負に偏るということはi2が正に偏るという
ことになり, イオナイザ下流側の帯電物体に到達しう
る空気イオン濃度は正の方が負よりも大きいことになる
。これが交流式イオナイザのもつ宿命的な欠陥である。 従来の交流式イオナイザでは, イオナイザ下流側の帯
電物体に到達しうる空気イオンは正イオン濃度が負イオ
ン濃度の10倍以上となることもあり, このような場
合, イオナイザ下流側の帯電物体は除電されるどころ
か数十ボルトから200ボルト程度の正の電位に帯電し
たままになることすらある。
【0029】正イオン濃度が負イオン濃度よりも多いと
いうのはあくまでも通常の大気雰囲気中における一般的
現象である。もし空気中にイオン化しやすいような不純
物ガス (ある種のハイドロカーボンなど)が微量でも
含まれると, これらのガスが放電によってイオン化す
るとその移動度は通常の大気中の空気イオンの移動度と
は大きく異なってくる。かような場合には通常の大気雰
囲気中とは異なり, 正イオンの移動度の方が負イオン
の移動度よりも大きくなり, イオナイザ下流側の帯電
物体に到達しうる空気イオン濃度は負の方が正よりも大
きいことにもなる。この問題は先の特願平1−2651
89号や特願平1−265190号の処法のように放電
極に印加する交流高電圧に負側に偏った直流成分(バイ
アス電圧)を加えることによって,或いは対極側に直流
電圧を印加することによって事実上解決できたが,本発
明では,i=i1+i2, i=0の関係,更には放電
端でのi++i−=i=0の関係に着目し,対極側に吸
収されるイオン電流i1の大きさを極性毎に,つまりi
1+とi1−を別個に,増減することによって,これに
対応してイオナイザ下流側の帯電物体に到達し得る空気
イオンの正と負の濃度を減増するという全く別の観点に
たって,一層簡便にこの問題を解決したものである。
【0030】〔本発明のイオナイザ (請求項1)の基
本構成と作用〕図7は,本発明に従う交流式イオン発生
器(イオナイザ)の基本構成を示したものである。1は
交流高圧電源に接続される放電極,2は放電極1より所
定の距離を離して配置された対極であり,この放電極1
と対極2との間でコロナ放電を行わせる点においては,
従来のイオナイザと同様である。対極2はアース線13
を介して接地点14(低電位点)に接続される。この接
地点14にアース線13を介して対極2に吸収されたイ
オン電流が放出される。本発明においては,このアース
線13に,可変抵抗器15と整流器16を直列に接続し
てなる第一調節器17と,可変抵抗器18と整流器19
を直列に接続してなる第二調節器20とを並列に接続す
る。そのさい,第一調節器17の整流器16と第二調節
器20の整流器19とは互いに整流方向を逆にして接続
してある。整流器16と19はいずれもダイオード (
代表的にはシリコンダイオード) の使用が便である。 また,可変抵抗器15と18は可変抵抗接点と共に無抵
抗接点をもつものを使用する。
【0031】図8は,図7のイオナイザの試験を行った
装置構成を示す。放電極1と対極2は,先の図1および
2で示したのと同一位置関係を有する同じものである。 但し金網は取り外され,本発明に従う第一調節器17と
第二調節器20がアース線13に並列に接続されており
,各並列回路には電流計が挿入されている。実験は放電
対の上方より気流速度0.3m/sの空気流を垂直に流
しながら行った。図9に,図8の装置の等価回路を示し
た。そして図10に,可変抵抗器15と18の抵抗R1
5とR18を変化させた場合の電流計で計測された電流
値i1(=i1++i1−) を縦軸に,また放電極に
印加された交流電圧(50Hz)を横軸として示した。 各曲線における可変抵抗器の抵抗値R15とR18は図
中に表示したとおりである。
【0032】図10において,曲線4は可変抵抗R15
とR18がいずれも0MΩの従来のイオナイザの場合で
あり,この場合には図5と同じく, i1はマイナス側
に大きく偏る。つまり, 対極を潜り抜けて除電すべき
帯電物体に到達する空気イオンについては,プラスイオ
ン濃度がマイナスイオン濃度よりも大きくなる。このた
め,イオナイザ下流側の帯電物体は除電されるどころか
数十ボルトから数百ボルト程度の正の電位に帯電するこ
とは先に述べたとおりである。
【0033】これに対して, 図10の結果に見られる
ように,可変抵抗R15を0MΩのままとして,可変抵
抗R18=0MΩ(曲線4)→0.5MΩ (曲線3)
→1MΩ(曲線2)と増やしていくと,対極に流れこむ
イオン電流量i1のマイナス側への偏りは小さくなり,
 遂には偏りはなくなる(曲線2)。この状態からさら
に可変抵抗R18を→2MΩ(曲線1)へと増やすと,
対極に流れ込むイオン電流量i1は逆にプラス側に偏る
ようになる。一方,可変抵抗R18を0MΩのまま,可
変抵抗R15を0MΩ(曲線4)→0.5MΩ (曲線
5) →1MΩ(曲線6)と増やしていくと,対極に流
れこむイオン電流量i1は益々マイナス側に偏るように
なる。つまりこの実験条件では可変抵抗R18=1MΩ
,可変抵抗R15=0MΩとした場合 (曲線2)にお
いて,対極に吸収されるイオン電流はプラスとマイナス
がほぼ均衡し,したがって,対極を潜り抜けて除電すべ
き帯電物体に到達する空気イオンも,プラスイオン濃度
とマイナスイオン濃度がほぼ均衡する。このため,イオ
ナイザ下流側の帯電物体は除電された後も電位が残留す
ることは殆んどなくなる。
【0034】このように,本発明に従うイオナイザは,
除電すべき帯電物体に到達するプラスイオン濃度がマイ
ナスイオン濃度よりも大き過ぎる場合には可変抵抗器1
8の抵抗R18が可変抵抗器15の抵抗R15より相対
的に大きくなるように調整し,逆にマイナスイオン濃度
がプラスイオン濃度よりも大き過ぎる場合には逆の操作
を行えばよい。そのさい,一方の抵抗を無抵抗の0Ωと
した方が有利な面もあるので,各可変抵抗器は無抵抗接
点をもつものを使用する。また整流器16と19は互い
に整流方向が逆となるように接続することが肝要である
。すなわち, 放電極に印加される交流高電圧の周波数
に応じた交番イオン電流がアース線に流れることから,
i1+ とi1−を個別に取り出してその電流量を調節
することが必要となるからであり,これによって始めて
交流式イオナイザの正イオンと負イオンの相対濃度差を
制御することができる。ダイオードはかような整流器に
適合している。
【0035】また,本発明のイオナイザは,除電すべき
帯電物体に到達するイオン空気のイオン濃度を意図的に
プラスのものが多くなるように,或いはマイナスのもの
が多くなるように可変抵抗器15と18を制御できるこ
とは勿論である。前例では放電極と対極とで一対の放電
対を形成する例を示したが, その多数を同時または分
割して稼働することもできる。すなわち, 二次元的な
広がりをもって放電対を多数配置した広い空間面積をも
つ交流式イオナイザに構成することができる。
【0036】〔本発明のイオナイザ (請求項2)の基
本構成と作用〕図11は,本発明イオナイザの別の態様
を示したものであり,この場合には対極2が直流電源に
リード線27を介して連結されており,このリード線2
7に, 可変抵抗器15と整流器16を直列に接続して
なる第一調節器17と,可変抵抗器18と整流器19を
直列に接続してなる第二調節器20とを並列に接続し,
そのさい,第一調節器17の整流器16と第二調節器2
0の整流器19とは互いに整流方向を逆にしたものであ
る。すなわち, 先の図7の態様では,対極から接地点
に放出される正負イオン電流量を個別に調節することに
よって,対極に吸収されるイオン電流の正負バランスを
図ったのに対し,図11の態様では,対極に吸収される
正のイオン電流と負のイオン電流に差が生じた場合に,
直流電源からその不足する極性のイオン電流を補足する
ことによって,正負のバランスを図ったものである。こ
の態様でも可変抵抗器15と18の調節によって,対極
に吸収される正負イオン電流をバランスさせることがで
きるので,対極をくぐり抜けて移動するイオン化空気の
プラスイオン濃度とマイナスイオン濃度の調節が先の態
様と全く同様にして行える。なお,具体的な実験例につ
いては,後述の図13〜15において説明する。
【0037】〔本発明のイオナイザを用いた清浄空間内
の帯電物品の除電設備〕図12は,交流式イオナイザを
フイルタを通過した清浄空気の流れ21の中に設置し,
これより下流側に存在する静電気を帯びた物体 (図示
せず) にイオン化空気を供給することにより,帯電物
体上の静電気を中和する設備の例を示したものであり,
放電極1と対極2とからなる放電対を清浄空気の流れを
横切る方向に二次元的な拡がりをもって多数配置するこ
とによって交流式イオナイザを構成し,この対極2と接
地点(低電位点)14との間に,前記同様の正負イオン
濃度調節器22を配置した例を示す。正負イオン濃度調
節器22は,既述のように,対極2から接地点14に通
ずるアース線13に,可変抵抗器15と整流器16を直
列に接続してなる第一調節器17と,可変抵抗器18と
整流器19を直列に接続してなる第二調節器20とが並
列に接続されており,第一調節器17の整流器16と第
二調節器20の整流器19とは互いに整流方向を逆にし
て接続されている。整流器16と19はいずれもシリコ
ンダイオードが使用され,可変抵抗器15と18は可変
抵抗接点と共に無抵抗接点を有している。
【0038】図12において,24は交流電源装置であ
り,放電極1に印加する交流電圧の大きさを調節するコ
ントローラ25を備えている。この交流電源装置24に
対して, 二次元的な広がりをもって配置された全ての
放電極1が絶縁被覆されたリード線26によって接続さ
れ,電源を共通にしている。また,対極2はグリッド状
のフレームとして構成されており,各枠で囲われる空間
のほぼ中心垂直線上に各放電極1の放電端が位置するよ
うにしてあり,枠ごとに一対の放電対が形成される。な
お,この枠の形状は図示のように方形である必要はなく
,多角形や円または楕円などであってもよい。いずれに
しても,このようにして形成された放電対の各対極はア
ース線13を介して接地点14に接続され,このアース
線13に前記の正負イオン濃度調節器22が取付けられ
る。
【0039】図12の設備においても,図7の単一放電
対の場合と同様に,正負イオン濃度調節器22の可変抵
抗器15と18を調節することによって,各放電対の各
対極下流側に空気流に乗って移動するイオン空気のプラ
スイオン濃度とマイナスイオン濃度の調節が全体的に同
時性をもって行なうことができる。
【0040】図13は,正負イオン濃度調節器22を,
 接地点に代えて直流電源28に取付けた以外は,図1
2と同一の設備を示している。すなわち, 正負イオン
濃度調節器22は図12と同様に,可変抵抗器15と整
流器16を直列に接続してなる第一調節器17と,可変
抵抗器18と整流器19を直列に接続してなる第二調節
器20とが並列に接続されており,第一調節器17の整
流器16と第二調節器20の整流器19とは互いに整流
方向を逆にして接続されている。整流器16と19はい
ずれもシリコンダイオードが使用され,可変抵抗器15
と18は可変抵抗接点と共に無抵抗接点を有している。 29は直流電源28の出力電圧調節装置を示す。
【0041】図14は,図13のイオナイザの等価回路
を示したものである。除電すべき帯電物体に到達するプ
ラスイオン濃度がマイナスイオン濃度よりも大き過ぎて
, 直流電源28から出力される直流電圧の可変範囲で
は両極性のイオン濃度を均衡することが不可能な場合に
は可変抵抗器18の抵抗を増加し,可変抵抗器15の抵
抗を減少する。逆にマイナスイオン濃度がプラスイオン
濃度よりも大き過ぎて直流電源28から出力される直流
電圧の可変範囲では両極性のイオン濃度を均衡すること
が不可能な場合, 可変抵抗器18の抵抗R18を減少
し,可変抵抗器15の抵抗R15を増加するという操作
を行なうことによって,帯電物体に到達する両イオン濃
度をバランスさせることができる。この直流電圧を対極
に印加する態様では風速の変化に追従できるという優れ
た利点がある。図15にその実験結果を示す。
【0042】図15は,図13の設備に対応するものに
ついて,直流電源28により対極に−30Vまたは−5
00Vの電圧を印加しつつ,可変抵抗R15を0MΩと
したうえで,可変抵抗R18を0MΩまたは2MΩとし
,風速を種々変化させ,イオナイザ下流側70cmの位
置に,接地側に対して電荷が漏洩しないように完全に絶
縁された状態に置かれた15cm角のアルミニウム板試
片 (静電容量20pF) の残留電位(V)への風速
の影響を調べたものである。なお放電極には11.5K
Vの交流高電圧を印加した。室内温度は21.0〜25
.0℃, 相対湿度は14.2〜15.5%であった。 その他の実験条件は次のとおりである。各風速の鉛直下
向き気流中に0.72m2の面積をカバーできるイオナ
イザを設置する。放電対は24組あり, 気流を横切る
方向に二次元的な拡がりをもって均等に分散配置されて
いる。放電極はその放電端を薄い石英で覆ったエミッタ
である (特願平1−265190号に記載のもの) 
。対極は太さ1mmのステンレス線を75mm角に組ん
だものである。放電極と対極のギャップ長は25mmと
した。高圧交流電源装置24は,50/60Hz・11
.5kVを出力でき,低圧直流電源28は−500V〜
−30Vの範囲の直流電圧を対極に印加できる。
【0043】図15の結果から次のことが明らかである
。 可変抵抗R15とR18が共に=0MΩ(これは従来の
交流式イオナイザに対応する) では,先述のようにイ
オン濃度が正の極性に大幅に偏るのでアルミニウム板の
残留電位は正に偏る傾向があるが,この両抵抗0MΩの
状態で対極に直流電圧を印加すると,この偏りを少なく
することができる(曲線イとロの比較)。風速が変化し
た場合には,風速0.47m/s以下のところでは直流
印加電圧Ve=−30Vで残留電位は正, 同Ve=−
500Vで残留電位は負となるので,この−500Vか
ら−30Vの範囲の適切な大きさの直流電圧を対極に印
加すれば,本発明に従うイオン濃度調節器なしでも正イ
オン濃度と負イオン濃度をバランスすることができる。 ところが,風速0.47m/s以上で1.8m/s以下
の範囲では,両抵抗が共に0MΩではVe=−30V,
−500Vともに残留電位は正となり, −500V〜
−30Vの範囲のいかなる大きさの直流電圧を対極に印
加してもアルミニウム板の残留電位は正に偏ってしまう
【0044】これに対して, 本発明に従う可変抵抗器
15と18の調節によって(試験例では可変抵抗R15
=0MΩとしたうえで,可変抵抗R18を2MΩとした
),風速の如何を問わず全体的に残留電位を負の側に引
き戻すことができる。すなわち,図15の試験例では風
速0.47m/s以上で1.8m/s以下の範囲でも直
流印加電圧が−500Vから−30Vの範囲で十分に残
留電位を0に近づけ得ること,すなわち正イオン濃度と
負イオン濃度をバランスさせることができる。なお,こ
の風速による影響のみならず,空気中にイオン化しやす
い不純物 (ハイドロカーボンなど)が含まれ正イオン
濃度と負イオン濃度の大小関係が逆転するような場合に
も,本発明に従う可変抵抗器15と18の抵抗値の調節
によって,その影響を回避することができる。
【0045】図16は, 図15と同じ実験設備におい
て,風速0.6m/s, R15=0MΩの条件下にお
けるアルミニウム板の残留電位と抵抗R18の関係を調
べた結果である。R18=0MΩの場合,該アルミニウ
ム板は直流印加電圧Ve=−500Vにおいてすら,プ
ラスイオン過剰のため+10Vに帯電が残留する。とこ
ろが抵抗R18を増加するとVe=−500Vにおける
残留電位は徐々に下がり, R18>0.5MΩにおい
て残留電位は負となる。つまりVeが−500V〜−3
0Vの範囲において両極性のイオン濃度を均衡すること
が可能となる。
【0046】図17は,図15と同じ実験条件において
,予め±200Vに帯電させたアルミニウム板を用いて
その除電を行ったものであり,R15とR18が共に0
MΩで直流印加電圧を−500Vの場合 (対照例) 
と,R15=0MΩ, R18=2MΩで直流印加電圧
を−300Vとした場合 (本発明例)のアルミニウム
板の初期帯電電位の電位減衰特性を比較したものである
。対照例では該アルミニウム板はVe=−500Vにお
いてすらプラスイオン過剰のため+10Vに帯電が残留
するのに対し, 本発明例ではVe=−300Vにおい
て両極性のイオン濃度はほぼ均衡し電位の残留は全く見
られない。
【0047】図18は,図12の設備の変形例を示した
ものである。すなわち, 多数の放電対のうち,或る群
の対極はアース線13aを経て接地し,他の群の対極は
別のアース線13bを経て接地し,いずれのアース線1
3a,13bにもそれぞれ本発明に従うイオン濃度調節
器22a,22bを挿入したものである。そのほかの機
器構成は図12のものと同じである。25は交流電源装
置24の電圧調整およびイオン濃度調節器22a,22
bの可変抵抗器の調整を行なうためのコントローラであ
る。図18のように対極をグループ分けしてそれらに吸
収されるイオン電流を個別に調整することによって,或
る群の放電対からはプラス側に偏ったイオン空気を,ま
た他の群の放電対からはマイナス側に偏ったイオン空気
を得ることができ, 全体としては意図する正負イオン
濃度のイオン化空気として帯電物品に供給することがで
きる。
【0048】図19は,図13の設備の変形例を示した
ものである。すなわち, 多数の放電対のうち,或る群
の対極はリード線27aを経て直流電源装置28aに接
続し,他の群の対極は別のリード線27bを経て直流電
源装置28bに接続し,いずれのリード線27a,27
bにもそれぞれ本発明に従うイオン濃度調節器22a,
22bを挿入したものである。そのさい,対極のグルー
プ分けと同時に放電極もグループ分けしてそれぞれ個別
の交流電源装置24a,24bに接続してある。そのほ
かの機器構成は図13のものと同じである。25は,交
流電源装置24a,24bの電圧調整,直流電源装置2
8a,28bの電圧調整およびイオン濃度調節器22a
,22bの可変抵抗器の調整を行なうためのコントロー
ラである。図19のようにグループ分けして対極に吸収
されるイオン電流並びに放電極への印加電圧を個別に調
整することによって,或る群の放電対からはプラス側に
偏ったイオン化空気を,また他の群の放電対からはマイ
ナス側に偏ったイオン化空気を得ることができ, 全体
としては所望の正負イオン濃度のイオン化空気として帯
電物品に供給することができる。
【0049】以上のように,本発明によれば,可変抵抗
器と整流器で構成された第一調節器と第二調節器からな
るイオン濃度調節器を対極と接地点または直流電源の間
に挿入するという簡単な機器構成によって,交流式イオ
ナイザにおける宿命的な問題であった発生イオンの極性
の偏りを防止できると同時に, 意図する正負イオン濃
度に簡単且つ精密に調節することができる。
【0050】加えて本発明の交流式イオナイザは,次の
ような改善点を付加することによって超清浄空間 (ク
リーンルーム) 内の帯電物品の除電設備として一層有
利に適用することができる。 (1) 放電極の放電端にセラミックスの誘電体材料 
(例えば石英, 好ましくは透明石英ガラス) を被覆
する。先の実験における放電極もこれを使用したが,本
発明に従う正負イオン濃度の調整はこれによっても何ら
損なわれることはない。すなわち先の特願平1−265
189号,特願平1−265190号に記載したとおり
,この石英被覆放電極の使用によって,イオナイザから
の発塵の問題が解決できる。 (2) 対極の表面に樹脂等の被覆を施すことによって
,対極の金属表面の錆の発生を防止することができる。 特願平2−222542号に提案したように,対極に薄
い絶縁被膜を施してもイオナイザとしての機能は十分に
果たすことができる。その結果として,放電極と対極を
含め, イオナイザの金属表面は全て絶縁被覆を施すこ
とができるのであり,金属表面が露出することによる発
塵, 堆塵, 発錆,人体との不慮の接触による電撃シ
ョックなどの問題が全て解決できる。 (3) 放電極に印加する交流高電圧に直流成分( 例
えばマイナスのバイアス電圧)を重畳してイオン濃度の
調節ができる。すなわち特願平1−265189号に提
案した交流高電圧にバイアス電圧を重畳させる方式を採
用したうえで,本発明に従う対極に吸収される正と負の
イオン電流の制御によりイオン濃度の極性の偏りを調整
することができる。この場合, 或る群の放電極と他の
群の放電極には異なる大きさのバイアスを交流高電圧に
重畳することによって,放電対の群ごとに正負イオン濃
度の調整を行なうこともでき, 或る群の放電対からは
マイナスイオンだけ,他の群の放電対からはプラスイオ
ンだけを発生させることも可能である。
【0051】このようにして,本発明によれば特に半導
体製造において嘱望されているウエハの微粒子の付着防
止に威力を発揮する交流式イオン発生装置が提供でき,
 また本発明の設備ではこれをクリーンルーム内に設置
することによる弊害 (発塵や発錆, 正負イオン濃度
の偏りなど) は生じないので,超清浄空間用の設備と
して多大の貢献ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放電対から発生する空気イオンを電流量として
測定するための実験装置を示す図である。
【図2】図1の実験装置の略断面を示した図である。
【図3】図1および図2の実験設備の等価回路図である
【図4】図1および図2の実験結果を示した図であり,
第三計測器11での計測結果示す図である。
【図5】図1および図2の実験結果を示した図であり,
第一計測器7での計測結果示す図である。
【図6】図1および図2の実験結果を示した図であり,
第二計測器9での計測結果示す図である。
【図7】本発明に従う交流式イオン発生器(イオナイザ
)の基本構成を示す図である。
【図8】図7のイオナイザの試験を行った装置を示す図
である。
【図9】図8の試験装置の等価回路図である。
【図10】可変抵抗器15と18の抵抗を変化させた場
合の電流計で計測された電流値i1縦軸に,また放電極
に印加された交流電圧を横軸として示した図である。
【図11】本発明イオナイザの別の態様を示した図であ
る。
【図12】本発明のイオナイザを用いた清浄空間内の帯
電物品の除電設備の例を示す斜視図である。
【図13】本発明のイオナイザを用いた清浄空間内の帯
電物品の除電設備の他の例を示す斜視図である。
【図14】図13のイオナイザの等価回路図である。
【図15】図13の設備に対応する実験装置で,直流電
源より対極に−30V または−500Vの電圧を印加
しつつ,可変抵抗R15を0MΩとしたうえで,可変抵
抗R18を0MΩまたは2MΩとし,風速を種々変化さ
せ,イオナイザ下流側アルミニウム板試片の残留電位(
V)への風速の影響を調べた実験結果図である。
【図16】図15と同じ実験条件において,風速0.6
m/s, R15=0MΩの条件下におけるアルミニウ
ム板の残留電位と抵抗R18の関係を調べた結果を示す
図である。
【図17】図15と同じ実験条件において,予め±20
0Vに帯電させたアルミニウム板の除電試験を行った場
合の対照例と本発明例の電位減衰特性を比較した図であ
る。
【図18】図12の設備の応用例を示した除電設備の例
を示す略斜視図である。
【図19】図13の設備の応用例を示した除電設備の他
の例を示す略斜視図である。
【符号の説明】
1  放電極 2  対極 3  コンデンサ 4  イオン空気の電流量を測定するための金網13 
 アース線 14  接地点 15  可変抵抗器 16  整流器 (ダイオード) 17  第一調節器 18  可変抵抗器 19  16とは接続を逆にした整流器 (ダイオード
)20  第二調節器 21  気流流れ方向 22  イオン濃度調節器 24  交流電源装置 25  コントローラ 26  放電極への交流高電圧印加用リード線27  
直流電源へのリード線

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  交流高電圧源に接続された針状の放電
    極と,この放電極から所定の距離を離して配置される接
    地対極とによって放電対を形成し,該放電極に交流高電
    圧を印加してコロナ放電を行わせる交流式イオン発生装
    置において,該対極と接地点とを接続するアース線に,
    可変抵抗器と整流器を直列に接続してなる第一調節器と
    ,可変抵抗器と整流器を直列に接続してなる第二調節器
    とを並列に接続し,そのさい,第一調節器の整流器は第
    二調節器の整流器とは整流方向を逆にして接続されてい
    ることを特徴とする交流式イオン発生装置。
  2. 【請求項2】  交流高電圧源に接続された針状の放電
    極と,この放電極から所定の距離を離して配置され且つ
    直流電源に接続されている対極とによって放電対を形成
    し,該放電極に交流高電圧を印加してコロナ放電を行わ
    せる交流式イオン発生装置において,該対極と直流電源
    とを接続するリード線に,可変抵抗器と整流器を直列に
    接続してなる第一調節器と,可変抵抗器と整流器を直列
    に接続してなる第二調節器とを並列に接続し,そのさい
    ,第一調節器の整流器は第二調節器の整流器とは整流方
    向を逆にして接続されていることを特徴とする交流式イ
    オン発生装置。
  3. 【請求項3】  整流器は,ダイオードからなる請求項
    1または2に記載の交流式イオン発生装置。
  4. 【請求項4】  可変抵抗器は無抵抗接点を有する請求
    項1,2または3記載の交流式イオン発生装置。
  5. 【請求項5】  放電対は,二次元的な広がりをもって
    多数配置され,全放電対の放電極が共通の交流高電圧源
    に接続されると共に,全放電対の対極が前記両調節器を
    介して接地点または直流電源に共通して接続されている
    請求項1,2,3または4に記載の交流式イオン発生装
    置。
  6. 【請求項6】  放電極は,セラミックスの誘電体材料
    でその放電端が被覆されている請求項1,2,3,4ま
    たは5に記載の交流式イオン発生装置。
  7. 【請求項7】  対極は,導電線の表面に樹脂またはセ
    ラミックスからなる誘電体材料の薄膜を被覆したもので
    ある請求項1,2,3,4,5または6に記載の交流式
    イオン発生装置。
  8. 【請求項8】  針状の放電極に交流の高電圧を印加し
    てコロナ放電を行わせる交流式イオン発生装置を,フイ
    ルタを通過した清浄空気の流れの中に設置し,このイオ
    ン発生装置によってイオン化された空気の流れを下流側
    に存在する静電気を帯びた物体に供給することにより,
    該帯電物体上の静電気を中和する設備であって,該放電
    極の放電端に対して所定の距離を離して接地されるかま
    たは直流電圧が印加される対極が空気中に配置され,該
    放電極と該対極とからなる放電対が前記の清浄空気の流
    れを横切る方向に二次元的な拡がりをもって多数配置さ
    れ,可変抵抗器と整流器を直列に接続してなる第一調節
    器と,可変抵抗器と整流器を直列に接続してなる第二調
    節器とを並列に接続して構成され,且つ第一調節器の整
    流器が第二調節器の整流器とは整流方向を逆にして接続
    されている正負イオン濃度調節器が該対極と接地点また
    は直流電源との間に介装されている,ことを特徴とする
    清浄空間に存在する帯電物品の除電設備。
  9. 【請求項9】  放電極に印加される交流高電圧には,
    直流成分としてのバイアス電圧が重畳されている請求項
    8に記載の清浄空間に存在する帯電物品の除電設備。
  10. 【請求項10】  放電対は,或る大きさの直流バイア
    ス電圧が重畳された交流高電圧源に放電極が接続される
    群と他の大きさの直流バイアス電圧が重畳された交流高
    電圧源に放電極が接続される群とにグループ分けされて
    いる請求項9に記載の清浄空間に存在する帯電物品の除
    電設備。
  11. 【請求項11】  対極は,薄い樹脂被膜が施されてい
    る請求項8,9または10に記載の清浄空間に存在する
    帯電物品の除電設備。
  12. 【請求項12】  対極は,或る大きさの直流電圧が印
    加される群と他の大きさの直流電圧が印加される群とに
    グループ分けされている請求項8,9,10または11
    に記載の清浄空間に存在する帯電物品の除電設備。
  13. 【請求項13】  放電極はセラミックス誘電体材料で
    その放電端が被覆されている請求項8,9,10,11
    または12に記載の清浄空間に存在する帯電物品の除電
    設備。
JP9498491A 1991-04-02 1991-04-02 交流式イオン発生装置およびこれを用いた清浄空間内の帯電物品の除電設備 Expired - Lifetime JP2627585B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009135027A (ja) * 2007-11-30 2009-06-18 Murata Mfg Co Ltd イオン発生器
US7564671B2 (en) * 2006-02-09 2009-07-21 Murata Manufacturing Co., Ltd. Ion generator and method for controlling amount of ozone generated in the same

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