JPH0430513Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本考案は耐熱性および屈曲性をもち、マイクロ
波オーブン内で使用可能な温度検出器に関するも
のである。 ［従来の技術］ 従来の温度検出器ではマイクロ波照射中の被加
熱物の温度を測定することは不可能である。例え
ばアルコール温度計ではアルコール自体が加熱さ
れたり、水銀温度計においても、アルコール温度
計と同様、水銀切れやアルコール切れが発生す
る。また、熱電対のようなものでは熱電対がアン
テナの役をしてマイクロ波がオーブンに漏洩した
り、あるいは熱接点や熱電対線間での放電等によ
り測温器具の破損が生じる。さらに赤外表面温度
計のような非接触型の測温器においても検出部を
オーブン内に設置する必要があり、マイクロ波の
漏洩や装置の破損が生ずる。 上記の如き理由からマイクロ波加熱における被
加熱物の温度は加熱終了後に測定しており、加熱
途中での測温が必要な場合にはマイクロ波の照射
を一時中止して測定する方法がとられている。 またたとえマイクロ波オーブン内での温度測定
が可能となつたとしても被加熱物の大きさや形状
によつてオーブン内における測定位置が変動する
ので、その位置に応じて測温装置の位置を変更す
る必要があり、さらに最近、マイクロ波加熱殺菌
装置が提案されており、その場合、被加熱物の温
度は130〜150℃にも達するため、測温装置には耐
熱性が要求される。しかし現在の時点ではそのよ
うな器具は存在しない。 ［考案の目的およびその問題点］ 本考案ではマイクロ波オーブン内で加熱中の被
加熱物の温度が測定可能で、かつ耐熱性および屈
曲性を有する温度検出器を提供することを目的と
している。 ［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成する本考案は、熱電対線および
熱接点を直接、またはテフロンあるいはシリコン
ゴムで電気絶縁処理した後、ポリプロピレン／ナ
イロン／アルミ箔／ナイロン／ポリプロピレン、
あるいはポリエステル／ナイロン／アルミ箔／ナ
イロン／ポリエステルのフイルム積層体で被覆し
てなることを特徴とする温度検出器である。 ［作用］ この方法によればオーブン内の物品をマイクロ
波照射中であつても、熱電対線および熱接点がア
ルミ箔で被覆されているため、マイクロ波が到達
できず、従つて測温装置の破損や測温装置からの
マイクロ波の漏洩が防止できる。 またアルミ箔被覆部分がオーブン内のみにある
ので、また熱電対との間が絶縁されているため、
アルミ箔からのマイクロ波漏洩や、アルミ箔と熱
電対間の電位差による放電、装置破損が防止でき
る。 またアルミ箔とオーブン内面金属間の放電も外
側のプラスチツクフイルムにより防止できる。さ
らに被覆部分の厚みを薄くすることにより、測定
の誤差や応答の時間遅れを殆ど無くすことができ
る。 ［実施例］ 本考案の温度検出器の構造について以下図示の
実施例によつて説明する。 第１図は本考案の一例の温度検出器の構造を示
すもので、熱電対被覆部１と補償導線３および基
準接点２よりなる。また第２図は第１図のＡ−
A′断面図で、中心部より順に熱電対線４、内部
電気絶縁体５、フイルム積層体６の層構成となつ
ているが、内部電気絶縁体５は必要としない場合
もある。また補強する場合には、最外層を外部電
気絶縁体７で被覆する。 内部電気絶縁体５はテフロンあるいはシリコン
ゴムである。フイルク積層体６の層構成は、ポリ
プロピレン／ナイロン／アルミ箔／ナイロン／ポ
リプロピレン、あるいはポリエステル／ナイロ
ン／アルミ箔／ナイロン／ポリエステルであり、
この積層体の樹脂が絶縁体の役割を果たす。さら
に補強用の最外層の外部電気絶縁体７は、ポリイ
ミド、テフロン、あるいはシリコンゴムである。 ここでアルミ箔は熱電体へマイクロ波が到達す
るのを防止するためであり、耐熱性樹脂は絶縁体
の働きをする。また両面をナイロンで積層するの
はアルミ箔に屈曲性を与えるためである。またポ
リプロピレンやポリエステルはフイルム積層体に

【表】

【表】 加熱は第３図に示す方法で行つた。すなわちマ
イクロ波オーブン（家庭用電子レンジ）９の上部
に熱電対取付け用の孔を設け、その孔より被覆し
た熱電対を差し込み、熱電対被覆部１と補償導線
３の境がそれぞれマイクロ波オーブン９の内と外
になるようにして固定した。次に熱電対先端をビ
ーカーに入つた150ｇの被加熱物（水あるいは食
用油）８に浸け、加熱を行い、前述の表面温度計
１０で加熱中の被加熱物８の温度を測定した。そ
の結果を水で加熱した場合、第１表のNo.３，４，
５，６，７の熱電対を使用した時は測定温度は２
分後で93〜96℃で、それ以上マイクロ波加熱を行
つても100℃を越えることはなく、正常の温度を
示した。しかも繰返し使用することができ測温装
置の破損もなかつた。また油をマイクロ波加熱し
た場合No.３，４，５，６，７の熱電対では２分後
に105〜107℃となりその後140℃まで加熱を行つ
たが熱電対および表面温度計は破損することはな
かつた。 またマイクロ波の漏洩についてもリークチエツ
カー（新日本無線（株）製、NJF5003）で測定
したがいずれの場合もマイクロ波の漏洩は認めら
れなかつた。しかしNo.１，２の熱電対では熱電対
線が加熱中に焼き切れた。 またオーブン内のビーカーの位置を変え、それ
に応じて熱電対を曲げて水や油に浸せるようにし
ても熱電対の折り曲げによる破損は生ずることな
く正常に測温できた。 ［効果］ 以上の結果より本考案の温度検出器はマイクロ
波オーブン内でマイクロ波照射中でも破損するこ
となく測温することができ、さらに屈曲性があり
耐熱性にも優れていて、マイクロ波照射中連続的
に温度を測定可能となりマイクロ波殺菌装置への
応用の可能性を示すもので極めて有意義である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のマイクロ波オーブン内で使用
可能な温度検出器の説明図、第２図はその熱電対
部の断面図、第３図は本考案の温度検出器を用い
た実際の温度測定方法を示す説明図である。 １……熱電対被覆部、２……基準接点、３……
補償導線、４……熱電対線、５……内部電気絶縁
体、６……フイルム積層体、７……外部電気絶縁
体、８……被加熱物、９……マイクロ波オーブ
ン、１０……表面温度計。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 熱電対線および熱接点を直接、またはテフロ
   ンあるいはシリコンゴムで電気絶縁処理した
   後、ポリプロピレン／ナイロン／アルミ箔／ナ
   イロン／ポリプロピレン、あるいはポリエステ
   ル／ナイロン／アルミ箔／ナイロン／ポリエス
   テルのフイルム積層体で被覆してなることを特
   徴とする温度検出器。 (2) 上記積層体が更にポリイミド、シリコンゴ
   ム、あるいはテフロンで被覆されていることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の温度検出器。