JPH0429487Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案は、筒形素電池の外周面を外装フイル
ム材で被包して構成される筒形アルカリ電池に関
するものである。

＜従来の技術＞ 筒形アルカリ電池では、発電要素を収納した有
底円筒状の電池缶の開口部に絶縁ガスケツト並び
に円盤状の端子板を順次載置し、次いで電池缶開
口部を内側にカールさせ、これと端子板周縁とで
絶縁ガスケツトを狭圧して電池開口部を封口する
等して作つた筒形素電池が用いられる。

この筒形素電池の外装には、金属製の外装缶が
従来より用いられているが、最近では、金属光沢
処理を施した合成樹脂ラベル、あるいはポリ塩化
ビニル樹脂のような熱収縮性樹脂チユーブ等で作
つた、厚さが0.1mm程度の外装フイルム材を粘着
し加熱して収縮緊縛する構成が使用されるケース
が多い。

このような外装フイルム材で素電池を被包する
構成とすれば、規格電池を作る際の素電池の寸法
が大きくでき、このため電池内の発電要素収納量
が高まつて放電容量の増大が図れるからである。

＜考案が解決しようとする課題＞ しかしながら、上記の外装フイルム材を用いた
電池では、この外装フイルム材の強度が比較的弱
いことから、例えば、この電池を電気機器の電池
収納ケースに入れる際、電池取出し用のスプリン
グ端子の先端が電池缶開口部と端子板の隙間に侵
入し、この際電池缶開口部を被包するフイルム材
が破られ、また破れた面から露出した電池缶表面
と負極端子板とがこのスプリング端子等を介して
接続し、電池が外部シヨートを起こしてしまうと
いつた問題がある。

この様な外部シヨートをなくすため、電池缶開
口部の外周部分を被包するような合成樹脂等で作
つた筒状の絶縁ケースを装着することも提案され
ているが、このような絶縁ケースは、肉厚が厚す
ぎれば電池外径が規格を外れ更には電池の外観性
を損ねる等の虞があるから、その厚さは0.1mm程
度以下に制限され、このため変形し易く、割れ易
く、電池に装着する際の作業性が悪い等の不都合
があり、余り実用的でない。

この考案は、この種の不都合なく、上記の如き
外部短絡を確実に防止し得る筒形アルカリ電池を
提供することを目的とする。

＜課題を解決するための手段＞ この考案の筒形アルカリ電池は、発電要素を収
納した電池缶の開口部を絶縁パツキングと端子板
とを組合わせて封口してなる筒形素電池の外周面
に外装フイルム材を被包し、また前記端子板が外
周立上がり部と中央端子部の間に環状凹部を有す
る形式の筒形アルカリ電池において、筒状の絶縁
部材を前記環状凹部に嵌め込み、またこの絶縁部
材の外周側端部に形成した突片を、電池缶開口部
とこの開口部を被覆する前記外装フイルム材との
間に介在させたことを要旨とする。

＜作用＞ 端子板の環状凹部に上記絶縁部材を嵌込こと
で、電池缶端部と端子板との隙間が埋められ、こ
の隙間へのスプリング端子等の侵入が阻止でき
る。またこの絶縁部材の上記突片により電池缶開
口部のカール部分が確実に絶縁され、更にこの開
口端部の外装フイルム材が破れても電池缶面が露
出することはなくなる。この結果、電池缶外面と
負極端子板とが上記のスプリング端子等を介して
シヨートすることを確実に防ぐことができるよう
になる。

更に、この絶縁部材は電池缶端部と端子板との
隙間程度の肉厚（約１mm）で作られるので丈夫で
あり、また電池缶開口部封口後の適当な工程でこ
の隙間に嵌込むことで簡単に装着できるため、前
記絶縁ケースを用いた場合のように不都合は生じ
ない。

＜実施例＞ 以下に添付図面を用いて本考案の実施例を説明
する。

第１図で、有底円筒状の電池缶１の内部には、
正極２と負極３をセパレータ４を介して対向させ
て構成される発電要素５が収納されている。ま
た、電池缶１の開口部は、これと端子板６及び絶
縁パツキング７を組合わせて封口され、これによ
り図示した筒形要素電池が構成される。

即ち、端子板６には中央端子６ａ、環状凹部６
ｂ、外周立上り部６ｂ等が内側から順次形成され
ている。そして、この外周立上がり部６ｃと電池
缶開口部との間で挟持された絶縁パツキング７
は、電池缶開口部を内側にカールさせることでこ
れらの間で挟圧されており、これにより電池缶開
口部は封口される。一方、電池缶外周の開口部付
近はビーデイングされ、またこのビーデイングに
より電池缶内側に形成される環状凸部により絶縁
パツキング７は支えられる。

また、この筒形素電池の外周面には、例えば、
PCVフイルムやPEフイルム等の基材の素電池側
にアルミ蒸着層と粘着層をまた反対側には印刷層
と耐摩ニス層等をそれぞれ順次積層して構成され
る外装フイルム材８が、電池缶外周方向に巻き付
けて装着されてる。ここで、上記の基材は、例え
ば上記巻き付け方向に一軸延伸させてあり、巻き
付け後に適当な加熱処理をすることで、外装フイ
ルム材８は熱収縮して装置電池外周に密着し、ま
たその図中上下方向の両端部はそれぞれ素電池端
面側に屈曲し、電池缶のカール部分や正極側端面
等に粘着される。

一方、電池缶開口部には、絶縁性材料、例えば
ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂で作
られた、絶縁部材９が設けられている。この絶縁
部材９は、第２図Ａ，Ｂの通り、筒状の本体９ａ
と薄肉円盤状の突片９ｂを有して構成される。

このうち、本体９ａは、端子板６の中央端子部
６ａの外径程度の寸法の内径φ1（例えばLR03タ
イプでは約６mm）と、電池缶開口部のカール端に
おける内径程度の寸法の外径φ2（同じく約7.4mm）
をそれぞれ有してなる肉厚0.7mm程度のもので、
上記環状凹部６ｂに嵌込まれる。

一方、突片９ｂは、本体９ａの図中上部の電池
外面側の外周端から外周方向に延在する、厚さが
0.1mm程度のもので、電池缶開口部の外径より小
さな寸法の外径φ3（LR03タイプでは約10mm）を
有し、またその外側部分は、電池缶開口部のカー
ル部外面とこの外面に装着された外装フイルム８
との間に介在している。

この絶縁部材９を上記のように設けるには、筒
形素電池の外周に外装フイルム材を装着する前の
工程で、本体９ａは端子板６の環状凹部６ｂ内に
嵌込み、また突片９ｂを電池缶開口部のカール端
上に位置させておけばよい。また、筒形素電池の
外周に外装フイルム材８を巻回後、これら本体９
ａ並びに突片９ｂをそれぞれ環状凹部６ｂあるい
はカール端上に嵌込みあるいは位置させ、次いで
外装フイルム材８を熱収縮によりその電池缶カー
ル側端部を屈曲させてこの突片９ｂに被せて粘着
させるようにしても良い。

＜考案の効果＞ 以上のようにこの考案の筒形アルカリ電池によ
れば、電流取り出し用スプリング端子等による電
池缶と端子板とのシヨートを確実に防ぐことがで
きるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の電池の断面図、第２図Ａはこ
の電池に使用する絶縁部材の断面図、第２図Ｂは
同じく平面図である。 １……電池缶、５……発電要素、６……端子
板、７……絶縁パツキング、８……外装フイル
ム、９……絶縁部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 発電要素を収納した電池缶の開口部を絶縁パツ
   キングと端子板とを組合わせて封口してなる筒形
   素電池の外周面に外装フイルム材を被包し、また
   前記端子板が外周立上がり部と中央端子部の間に
   環状凹部を有する形式の筒形アルカリ電池におい
   て、筒状の絶縁部材を前記環状凹部に嵌め込み、
   またこの絶縁部材の外周側端部に形成した突片
   を、電池缶開口部とこの開口部を被覆する前記外
   装フイルム材との間に介在させたことを特徴とす
   る筒形アルカリ電池。