JPH0429084Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はジヤーク式又はユニツトインジエクタ
形式のデイーゼルエンジン用燃料噴射ポンプに関
する。

〔従来の技術〕

第９図は従来公知のジヤーク式燃料噴射ポンプ
の縦断面図で０１は燃料噴射ポンプ本体、０２は
プランジヤでプランジヤバレル０４内を往復摺動
する。０３は排油リードとしてプランジヤ０２に
設けられた切欠きであり、０４はプランジヤバレ
ル、０５はプランジヤバレル０３に明けられた給
油孔、０６はプランジヤバレル０３に明けられた
排油孔、０７はプランジヤ室でプランジヤ０２の
頂面とプランジヤバレル０４とで囲まれた空間で
あり、０８は吐出弁０１０は給油室、０９は吐出
弁ばねである。

次に前記従来例の作用について説明する。

図示しないカムの回転によりプランジヤ０２が
駆動され、プランジヤバレル０４内を上昇すると
プランジヤ０２の上端が給油孔０５及び排油孔０
６を閉じるとプランジヤ室０７の燃料が圧縮され
油圧が上昇する。この油圧が、図示していない燃
料噴射管内の残留圧力と吐出弁ばね０９の設定ば
ね力の和より大きくなると、吐出弁０８を開き燃
料の吐出が行われる。さらにプランジヤ０２が上
昇を続けると、燃料の吐出が継続される。しかし
プランジヤ０２の排油リード０３が排油孔０６に
かかるとプランジヤ室０７と給油室０１０とが連
通し、燃料は排油孔０６より給油室０１０へ排出
され、プランジヤ室０７内の圧力が低下し燃料の
吐出は終了する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが第１図で排油リード３が排油孔６にか
かつた時（以下これを排油時と称する）に、高圧
の燃料が排油孔６より給油室１０へ排出される
が、この排出燃料は噴射圧が高いためかなりの高
速のジエツト流として排出され、プランジヤ２の
表面や排油孔６の内面及び給油室１０内面にキヤ
ビテーシヨンエロージヨンを発生させる。このた
めプランジヤ２がステイクしたり、また排油リー
ド３周辺に発生した場合には燃料噴射量のバラツ
キ原因となる。またプランジヤバレル４にキヤビ
テーシヨンエロージヨンが発生し、破損に至るこ
とがある。

本考案の目的は前記従来装置の欠点を解消し、
排油孔内面にキヤビテーシヨンエロージヨンの発
生を防止した燃料噴射ポンプを提供するにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の燃料噴射ポンプは排油孔６の内面に高
硬度の筒体を圧入し、排油孔内面にキヤビテーシ
ヨンエロージヨンの発生を防止するように構成し
たものである。

〔作用〕

排油時排油孔内を逆流する高速ジエツト流が発
生しても、排油孔内に高硬度の筒体を圧入してい
るため、排油孔内面にキヤビテーシヨンエロージ
ヨンの発生を防止することができる。

〔実施例〕

以下１〜８図を参照して本考案の実施例につい
て説明する。

(1) 第１実施例 第１図は第１実施例のプランジヤバレル部縦断
面図、第２図は第１図の排油孔付近の断面図であ
る。

プランジヤバレル以外の構造は従来公知の噴射
ポンプと全く同様であるので、ここではプランジ
ヤおよびプランジヤバレルについてのみ説明す
る。

２はプランジヤ、３は排油リード、４はプラン
ジヤバレル、５は給油孔、６は排油孔、１１は排
油孔６の内面に挿入された中空筒体状の高硬度材
で、この筒体をプランジヤバレルに固定する方法
としては圧力、冷しばめ、焼ばめ等が適宜用いら
れている。又高硬度材としてはTiC，TiN，VC
等を適宜用い、また高硬度材をコーテイングした
ものも使用可能である。

次に前記実施例の作用について説明する。

プランジヤ２が上昇してプランジヤの排油リー
ド３が排油孔に臨み排油開始までの作用は従来の
ものと同様であり、また排油時に排油リード３か
ら排油孔６内へ向つて高速ジエツト流が流出する
ことも同様である。この高速ジエツト流により排
油孔６内でキヤビテーシヨンが発生するが、挿入
された高硬度材１１がキヤビテイ潰滅時のエネル
ギを受け止めキヤビテーシヨンエロージヨンを防
止でき信頼性耐久性を向上させることができる。

なお本実施例はユニツトインジエクタ形式の燃
料噴射ポンプに対しても同様に適用でき、同様の
作用効果が得られる。

(2) 第２実施例 第３図は第２実施例のプランジヤバレル部縦断
面図、第４図ａは第３図のＡ−Ａ断面図、第４図
ｂは第３図Ｂ−Ｂ断面図である。

排油孔６内に中空円筒形状の高硬度材１１を挿
入している点は第１実施例と同様であるが、この
筒形パイプ状の高硬度材１１ａのプランジヤ摺動
面側の端部下方に切欠き部１２ａを有する段付面
を設けることにより、排油時の高速ジエツト流を
段付面で受け止め、排油孔内のジエツト流を改善
しプランジヤ表面での流れをなめらかにしてい
る。この切り欠き部１２ａを設けたことにより、
小さな間隙から流出する高速ジエツト流に伴つて
生ずるプランジヤ２表面付近での渦が第１実施例
を含む従来例より減少し、このためプランジヤ表
面でのキヤビテーシヨンエロージヨンが大幅に軽
減される。また排油孔６内面でのキヤビテーシヨ
ンエロージヨンに対しては挿入された高硬度材１
１ａがキヤビテイ潰滅時のエネルギを受け止め、
材料の損傷を至らないようにしてキヤビテーシヨ
ンエロージヨンを防止する。

(3) 第３実施例 第５図は第３実施例のプランジヤ及びプランジ
ヤバレルの縦断面図、第６図ａは第５図のＡ−Ａ
断面図、第６図ｂは第５図のＢ−Ｂ断面図であ
る。

第３実施例は第２実施例と同じような切欠き部
１２ｂを設けた高硬度パイプ材１１ｂを挿入して
いるが、パイプの切欠き部１２ｂが完全に除去さ
れており、該部の工作が多少簡単に思われるがそ
の作用効果は概ね第２実施例と異ならない。

(4) 第４実施例 第７図は第４実施例の排油孔部の縦断面図、第
８図はプランジヤの排油リードと長円形状排油孔
との関係図である。

４はプランジヤバレル、５は給油孔、６ａは排
油孔で長円形状とし、その短径を従来排油孔の径
の約1/2程度に小さくする。

長円形状排油孔６ａと排油リード３との位置関
係は第８図に示すとおりで、排油孔の下部は排油
リードとほぼ平行に配置されている。

プランジヤ２が上昇して吐出作用を始めて排油
開始までの作用は、従来のものと同様であるが排
油時の排油孔６ａ内での高速ジエツト流の状況が
従来のものと異なる。即ち排油リード３から排油
孔６ａ内へ向つて高速ジエツト流が流出すること
は同様であるが、排油孔６ａが長円形でその長軸
と排油リード３がほぼ平行となつているので該排
油リードと排油孔外周との当初の接触幅が大とな
り高速ジエツト流が流出する出口面積が最初より
増加するため、高速ジエツト流の拡がる幅が減少
し、ジエツト流は排油孔６ａの内面に沿つてなめ
らかに流れる。このため小さな間隙から流出する
高速ジエツト流に伴つて生ずるプランジヤ表面付
近での渦が従来のものより減少し、この結果プラ
ンジヤ表面でのキヤビテーシヨンエロージヨンが
大幅に軽減される。また排油孔内面でのキヤビテ
ーシヨンエロージヨンに対しては、第１〜第３実
施例と同様に高硬度材が挿入されているので全く
同様の防止効果が得られる。

〔考案の効果〕

本考案の燃料噴射ポンプは、排油孔内周に該バ
レルよりも高硬度の筒体を挿入しているので、高
圧噴射装置の噴射終りの逆流高速ジエツト流によ
るキヤビテーシヨンに対し、挿入された高硬度材
がキヤビテイ潰滅時のエネルギを受けとめ排油孔
内面でのキヤビテーシヨンエロージヨンを防止す
るため、燃料の噴射ポンプの信頼性、耐久性を向
上する効果が大である。また、硬質材料から成る
筒体を孔内に挿入するのみであるので、表面硬化
等に較べ低コストとなる。

なお本考案はユニツトインジエクタ形式の燃料
噴射ポンプに対しても同様に適用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１実施例のプランジヤバレル部縦断
面図、第２図は第１図の排油孔断面図、第３図は
第２実施例のプランジヤバレル部縦断面図、第４
図ａは第３図のＡ−Ａ断面図、第４図ｂは第３図
のＢ−Ｂ断面図、第５図は第３実施例のプランジ
ヤ及びプランジヤバレルの縦断面図、第６図ａは
第５図のＡ−Ａ断面図、第６図ｂは第５図のＢ−
Ｂ断面図、第７図は第４実施例の排油孔部の縦断
面図、第８図は第４実施例におけるプランジヤの
排油リードと長円形状排油孔との配置関係図、第
９図は従来例のプランジヤバレル縦断面図であ
る。 ２……プランジヤ、３……プランジヤの排油リ
ード、４……プランジヤバレル、５……給油孔、
６，６ａ……排油孔、１１，１１ａ，１１ｂ，１
１ｃ……筒体、１２ａ，１２ｂ……段付部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 給油孔及び排油孔を有するプランジヤバレル
   と該バレル内を往復摺動するプランジヤとを具
   えた燃料噴射ポンプにおいて、上記排油孔の内
   周に該バレルよりも高硬度の材料からなる筒体
   を挿入したことを特徴とする燃料噴射ポンプ。 (2) 前記筒体が、バレル内周側下端部に段付部が
   形成されてなる実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の燃料噴射ポンプ。 (3) 前記筒体が長円形状でその長軸がプランジヤ
   の排油リードとほぼ平行に設けられてなる実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の燃料噴射ポン
   プ。