JPH0427907B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電気集塵器用放電線に関するものであ
る。

石炭火力発電所においては排ガスによる公害防
止の見地から、煙道における集塵装置の設置を欠
くことができない。そこで一般に第１図に示すよ
うに放電線１と集塵電極２からなる電気集塵器を
設けることが行われているが、石炭火力発電所に
おける集塵の対象であるフライアツシユダスト
は、一般の排煙におけるように抵抗値がほゞ一定
ではなく、使用される炭種によつて大きく変化す
る。このため従来の構造の電気集塵器では、高抵
抗フライアツシユダストによつて生じる逆電離と
それに伴うダストの再飛散による集塵効率の低
下、或いは局部火花放電による荷電停止を防ぎ得
ない。また一発電所当りの発電量の増大に伴い、
処理ガス量も飛躍的に増大しているが、従来方式
では集塵器内における空間利用率が悪いため、大
型となるのを避けることができない。しかもこれ
に加えて処理ガスの増加と共に、排出されるサブ
ミクロンダスト（粒径1μ以下）の量も多くなる
ため、電界荷電にのみ頼る方式ではこれらの粒径
のダストについて集塵効率の低下をまぬがれ得
ず、現状のまゝの電気集塵器では性能的に不十分
である。

本発明はフライアツシユダストの逆電離や剥離
による再飛散の発生や集塵器の大型化が、放電線
から集塵電極に流れこむイオン流の分布の不均一
にもとづくものであり、不均一が進むにつれて促
進されることに着目してなされたものである。例
えばイオン流が集中する部分では、逆電離にもと
づく再飛散や荷電停止、またイオン流の少ない部
分では剥離による再飛散を生じ易くなる。また荷
電したフライアツシユダストの集塵効率は加速電
界Ｅに左右されるが、この加速電界Ｅとイオン流
の密度Ｊとの間にはＥ∝√＋_S ²（α：定数
E_S：静電界）の関係がある。その結果集塵器内の
不均一なイオン流の分布は、集塵器内の空間利用
率の低下を生じて大型化のもととなる。従つて現
在以上に集塵効率を向上して一層の公害防止の強
化を実現し、しかも集塵器の小型径済化を達成す
るためには、イオン流の均一化を可能とする方策
が必要である。

本発明はイオン流の均一化を図ると同時に、ダ
ストの状態などに応じて最良な状態の集塵を可能
として最適な運転状態を容易に与えることができ
る集塵器の放電線を提供し、集塵器出口における
フライアツシユの排出量を従来より更に少なくし
て、公害防止の一層の充実を図りうるようにした
ものである。次に図面を用いてその詳細を説明す
る。

第２図ａ，ｂ，ｃは本発明放電線の一実施例を
示す部分断面図、そのＡ−A′部における矢視断
面図および電極配置図であつて、本発明の特徴と
するところは、放電線１を一定間隔をおいて包囲
するように、メツシユ状（例えば金網）の円筒グ
リツド電極３を同心的に設けた点にある。そして
例えばこれを第２図ｃおよび第３図に示す電位分
担図のように、円筒グリツド電極３の外側にこれ
と一定距離をおいて、従来と同様に集塵電極２例
えば平板状の集塵電極を対向配設して、電気集塵
器を構成する点にある。

このようにすれば第３図のように放電線１の電
位（−V_W）に対する円筒グリツド電極３の電位
（−V_G）を、放電線１のコロナ放電開始電圧以上
となるようにすれば、放電線１の周囲に発生し円
筒グリツド電極４を通過した負イオンを、円筒グ
リツド電極３と集塵電極２とにより形成されるよ
り一様で高い電界によつて加速できる。即ち円筒
グリツド電極３の直径が大きいことから、これと
平板状集塵電極２間に生ずる電界の分布は、従来
形式の集塵器における加速電界、即ち円筒グリツ
ド電極３より遥かに細い放電線１と平板状電極２
との間に形成される電界に対して遥かに均一とな
る。従つてこれにより加速されて、集塵電極２に
到達するイオン流の集塵電極上における分布も従
来のものに比べて遥かに均一になる。その結果イ
オン流分布の不均一にもとづく、逆電離や剥離な
どによるダストの再飛散を効果的に防いで集塵効
率を向上することができ、しかも集塵器内の空間
利用率の増大が行われるので、それだけ集塵器を
小型低価額にできる。また円筒グリツド電極３に
よる発生負イオンの均一な加速により、集塵電極
２の全面に亘つてイオン風が吹きつけられる。従
つて荷電量が少なく集塵電界による吸引力の作用
が小さい、サブミクロンダストの集塵能力も向上
する。

また第１図に示した従来の構造では放電線１は
細いため、その表面にダストが付着すると放電条
件が大きく変り易い。このためダストの抵抗や処
理ガスの量、即ち集塵器内でのガスの通過風速な
どに応じて最適な電位を選定しても、簡単に放電
条件が変つて集塵効率を低下する。しかし本発明
では円筒グリツド電極３が放電線１を包囲して、
ダストの付着を困難としているため、ダストの付
着による影響は従来構造のそれに比べて遥かに小
さい。従つて放電線１に必要な機能を適切に発揮
させることができると同時に、ダストの条件や処
理ガス量の変化などに応じて放電条件を容易に選
定でき、電気集塵器の即応性のある最適運転を実
現できる。

なお第２図においては説明を省略したが、放電
線１は高絶縁支持物によつてケースなどに支持さ
れることはいうまでもない。また以上では放電線
１とメツシユ状円筒グリツド電極３の同心配置に
当つて、第２図に示すように板状の高絶縁支持物
４を用いて放電線１に固定するようにしている
が、他の適当な方法を用いることもできる。また
コロナ放電を発生させるため、放電線１の直径
dwと円筒グリツド電極の内径d_Gとの比がd_G／d_W
＞３の関係を満すものとし、放電線d_Wの太さを
0.5mm〜３mmの範囲に選定するのが適当である。

また更に、以上では放電線１として細線を用い
たが、公知の有刺細線を用いてコロナ放電の発生
を助長してもよい。また放電線１にパルス性の高
電圧を印加してイオンの発生量を増したり、円筒
加速電極３の電位を周期的に深くして、加速電界
を周期的に高めることにより、荷電ダストの移動
速度を早めるなどの公知の方法を併用して、集塵
効率を高めることができる。また本発明は円筒状
集塵電極にも適用できる。

また更に以上では本発明放電線を電気集塵器に
適用した場合について説明したが、静電濾過集塵
器に適用してすぐれた効果を得ることができる。
即ち本発明においては放電線１を円筒グリツド電
極３によつて包囲している。従つて第４図に示す
断面図のように、金網などの多孔体によつて作ら
れた箱体５に充填された、セラミツク或いは高分
子などの球状充填材６内に収容して、ダストを予
備電荷できる。従つて第４図中に点線によつて示
すように、従来別設されていた予備荷電装置７を
省略できる。これに加えてイオン源とダスト捕促
用誘電体、即ち球状充填材６とが極めて接近する
ので、集塵効率の高い静電濾過器を提供できる。

以上の説明から明らかなように、本発明によれ
ば炭種、処理ガス量などによるダストの状態の変
化にも拘らず、常に最良の集塵状態を保つて集塵
器を稼動できる放電線を提供しうるもので、石炭
火力発電所の排出フライアツシユ捕捉用集塵器の
放電体として特に著しい効果を発揮するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電気集塵器の一例を示す平面
図、第２図ａ，ｂ，ｃは本発明放電線の一実施例
を示す部分断面図、そのＡ−A′部矢視断面図お
よび電極の配置図、第３図は各電極の電位分担を
示す展開図、第４図は静電濾過器への適用例を示
す断面図である。 １……放電線、２……集塵電極、３……メツシ
ユ状円筒グリツド電極、４……高絶縁物、５……
メツシユ状箱体、６……充填材、７……予備荷電
装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 放電線の外周に同心状に、集塵電界形成用の
   メツシユ状円筒グリツド電極を設けたことを特徴
   とする集塵器用放電線。