JPH04263379A - 超伝導ニューロン素子 - Google Patents

超伝導ニューロン素子

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JPH04263379A
JPH04263379A JP3024224A JP2422491A JPH04263379A JP H04263379 A JPH04263379 A JP H04263379A JP 3024224 A JP3024224 A JP 3024224A JP 2422491 A JP2422491 A JP 2422491A JP H04263379 A JPH04263379 A JP H04263379A
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closed loop
current
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superconducting
switching element
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Mutsuo Hidaka
睦夫 日高
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ニューラルネットワー
クをデバイス上に実現するための基本単位となるニュー
ロン素子、より詳しくは超伝導体を用いたニューロン素
子に関する。
【0002】
【従来の技術】人間の脳の情報処理方法を模倣したいわ
ゆるアーティフィシャルニューラルネットワークをデバ
イス上に実現するための基本素子となるニューロン素子
は、従来半導体集積回路を用いて作られてきた。これに
対してニューロン素子に超伝導体を用いると、消費電力
が極端に小さいため配線部分等での発熱が抑制できると
いう利点がある。また超伝導集積回路では本質的に能動
素子(ジョセフソン素子)が3次元化しやすく、能動素
子の3次元化が難しい半導体集積回路に比べてニューロ
ン素子間の配線が大幅に容易になるという利点もあった
【0003】従来から知られている超伝導体を用いたニ
ューロン素子としては、昭和63年電子情報通信学会秋
季全国大会講演論文集C−2−19にあるジョセフソン
線路中に存在する磁束量子の伝搬密度を情報担体とした
ニューロン素子がある。
【0004】ニューロン素子の基本動作は、各入力それ
ぞれに重みWiをつけ(シナプス動作)前記重みと各入
力値Xiとの積の総和Σ(Xi・Wi)があるしきい値
hを越えると出力を出す(ニューロン動作)ことにある
【0005】前述のジョセフソン線路を利用したニュー
ロン素子の基本素子構成を図7に示す。図7の101、
102、103、104はそれぞれジョセフソン線路で
超伝導体からなる下部電極111、上部電極113と絶
緑体からなる薄いトンネルバリア112とから構成され
る細長いジョセフソン接合である。情報担体となる磁束
量子はジョセフソン線路のトンネルバリア中を線路の長
手方向に移動する。線路A(101)と線路B(102
)は間にインダクタンス114と抵抗115を介して接
続されている。入力端106から入力としてある伝搬密
度の量子磁束を与えると、この伝搬密度があるしきい値
以上の場合、磁束量子が線路B(102)を通って出力
端107から出力される。このとき線路B(102)の
上部電極に磁気的に結合させたインダクタンス116に
よって磁束停止部105の超伝導ループに蓄えられた磁
束量子に伴う循環電流を作用させてやることにより、前
記しきい値を制御することができる。以上がニューロン
動作である。また興奮性制御入力端108、抑制性制御
入力端109からそれぞれ線路C(103)、D(10
4)を介して磁束量子を伝搬させ、前記磁束量子停止部
105に蓄えられた量子磁束の数や向きを変えることで
、前記循環電流を制御でき、前記伝搬確率を制御するこ
とが可能となり、入力に対して重み付けをすることがで
きる。これはシナプス動作である。以上述べたように図
7に示された回路は、ニューロン動作、シナプス動作を
行うことができるため、これらを組み合わせることによ
ってニューロン素子として用いることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ニューラルネットワー
クは超並列処理であるため、各ニューロン素子は他の多
くのニューロン素子と結合しており、多くのファンイン
、ファンアウトを必要とする。これに対して従来の技術
で述べたジョセフソン線路を用いたニューロン素子では
、図7の線路A(101)から線路B(102)への磁
束量子の伝搬確率は損失のため最大でも70%程度にし
かならない。この信号の減衰を補うためにT分岐路を用
いた磁束量子数の増幅が提案されているが、利得は余り
大きくなく、このニューロン素子において多くのファン
アウトを得ることは不可能である。
【0007】以上述べたように従来の技術で述べたニュ
ーロン素子は、ニューロン素子としての基本的な動作は
行うことができるが、ニューラルネットワークを構成す
るには、ファンアウト数が足りないという大きな欠点を
有していた。
【0008】本発明は、大きなファンイン、ファンアウ
ト数が得られる超伝導体を用いたニューロン素子を提供
することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明によ
ればジョセフソン素子を用いたスイッチングエレメント
と超伝導閉ループと他のニューロン素子と磁気的に結合
された出力線を含み、前記超伝導閉ループと一個または
複数個の入力線が磁気的に結合しその結合のインダクタ
ンス値を制御することにより入力の重み付けが行われか
つ前期入力線を流れる電流の向きにより重みの正負の符
号が決定され、前記スイッチングエレメントと前記出力
線がバイアス入力端に対して並列に接続され、前記超伝
導閉ループと前記スイッチングエレメントのスイッチが
磁気的に結合されていることを特徴とする超伝導ニュー
ロン素子が得られる。
【0010】本発明の第2の発明によればジョセフソン
素子を用いたスイッチングエレメントと超伝導閉ループ
と他のニューロン素子と磁気的に結合された出力線を含
み、前記超伝導閉ループと一個または複数個の入力線が
磁気的に結合し前記入力線に流れる電流値を制御するこ
とにより入力の重み付けが行われかつ前期入力線を流れ
る電流の向きにより重みの正負の符号が決定され、前記
スイッチングエレメントと前記出力線がバイアス入力端
に対して並列に接続され、前記超伝導閉ループに流れる
循環電流が一定のしきい値以上になると前記スイッチン
グエレメントがスイッチすることを特徴とする超伝導ニ
ューロン素子が得られる。
【0011】本発明の第3の発明によればジョセフソン
素子を用いたスイッチングエレメントと超伝導閉ループ
と他のニューロン素子と磁気的に結合した超伝導体から
なる出力線を含み、前記超伝導閉ループと一個または複
数個の入力線が磁気的に結合され、前記超伝導閉ループ
に流れる循環電流が一定のしきい値以上になると前記ス
イッチングエレメントがスイッチし、前記スイッチング
エレメントが直流バイアスで駆動され、前記スイッチン
グエレメントと前記出力線が前記バイアス入力端に対し
て並列に接続され、前記出力線中に前記超伝導閉ループ
に流れる循環電流があるしきい値以下になるとスイッチ
するダウンエッジトリガ回路が含まれることを特徴とす
る超伝導ニューロン素子が得れらる。
【0012】本発明の第4の発明によればジョセフソン
素子を用いたスイッチングエレメントと超伝導閉ループ
と他のニューロン素子と磁気的に結合された出力線を含
み、前記超伝導閉ループと一個または複数個の入力線が
磁気的に結合され、前記スイッチングエレメントと前記
出力線がバイアス入力端に対して並列に接続され、前記
超伝導閉ループが前記スイッチングエレメント中に含ま
れることを特徴とする超伝導ニューロン素子が得られる
【0013】本発明の第5の発明によればジョセフソン
素子を用いたスイッチングエレメントと超伝導閉ループ
と他のニューロン素子と磁気的に結合した出力線を含み
、前記超伝導閉ループと一個または複数個の入力線が磁
気的に結合され、前記超伝導閉ループに流れる循環電流
が一定のしきい値以上になると前記スイッチングエレメ
ントがスイッチし、前記スイッチングエレメントと前記
出力線が前記バイアス入力端に対して並列に接続され、
前記出力線中に抵抗成分を含むことを特徴とする超伝導
ニューロン素子が得られる。
【0014】
【作用】超伝導閉ループに磁気的に結合した入力線に電
流を流すと、超伝導閉ループ内に磁場が進入するのを防
ぐために、超伝導閉ループに循環電流が流れる。この循
環電流値Icirは超伝導閉ループのインダクタンスを
L、入力線と超伝導閉ループの間の相互インダクタンス
をM、入力線に流れる電流をIとするとIcir=M/
L・Iで表される。これは入力に対して(M/L)の重
みをつけるシナプス動作である。
【0015】このような入力線が多数ある場合、i番目
の入力線に流れる電流Ii、i番目の入力線と超伝導閉
ループとの相互インダクタンスをMiとすると循環電流
はIcir=Σ(Mi/L・Ii)となり、各入力電流
を重み(Mi/L)で一次結合した形で表される。また
超伝導閉ループに対する入力線の結合の向きを変えるこ
とで超伝導閉ループ内に逆向きの循環電流を誘起でき、
負の重みも簡単に作ることができる。ジョセフソン素子
は、入力があるしきい値以下では抵抗ゼロで電流が流れ
、入力があるしきい値を越えるとその両端に電圧が発生
する素子である。このため超伝導閉ループに流れる電流
によってスイッチするジョセフソン素子を含むスイッチ
ングエレメントは、入力を重み(Mi/L)で一次結合
しその値があるしきい値以上だと出力を出すニューロン
動作を行う。
【0016】以上のことから本発明による超伝導ニュー
ロン素子は、シナプス動作、ニューロン動作のニューロ
ン素子としての機能を有していることがわかる。また出
力線は他のニューロン素子と磁気的に結合していること
から、基本的に出力線は一本でよく、また出力線を流れ
る電流値は出力線のインダクタンスによらないため、こ
の電流値は結合しているニューロン数(ファンアウト数
)に関わらず一定である。従って本発明による超伝導ニ
ューロン素子は多くのファンアウトを得ることができる
。またファンインも超伝導閉ループと入力線との磁気的
結合を取るだけでよいため、容易に増やすことができる
【0017】本発明の第2の発明では、あらかじめ入力
電流に処理を施し入力電流値の中に重みを含ませておく
。このため入力線と超伝導閉ループとの間の相互インダ
クタンス値を入力線によって変えなくともシナプス動作
を行うことができる。
【0018】ジョセフソン素子を用いたスイッチングエ
レメントはラッチ素子であるため、一旦電圧状態にスイ
ッチするとバイアス電流がある一定値以下にならなけれ
ばリセットしない。本発明の第3の発明では、スイッチ
ングエレメントの負荷である出力線が超伝導であるため
、スイッチングエレメントがスイッチするとバイアス電
流は全て出力線の方に流れ、スイッチングエレメントに
電流が流れなくなるため、スイッチングエレメントはリ
セットする。一方出力線を流れる電流は、超伝導閉ルー
プに流れる電流がある一定値以下になるとダウンエッジ
トリガ回路がスイッチし、出力線中に電圧が発生するた
め、すでに超伝導状態にリセットしているスイッチング
エレメントの方に流れ込む。このためスイッチングエレ
メントと出力線は超伝導閉ループに流れる電流すなわち
入力電流に応じてセット、リセットを行うフリップフロ
ップ回路となっている。このため本ニューロン素子はタ
イミング信号が不要な回路となっており、ニューラルネ
ットワークの中で他のニューロン素子と非同期に動作さ
せることができる。
【0019】本発明の第4の発明では、超伝導閉ループ
の中にスイッチングエレメントを含んでいる。このため
超伝導閉ループを流れる循環電流とバイアス電流の和で
スイッチングエレメントはスイッチする。
【0020】本発明の第5の発明では、出力線中に抵抗
成分を含んでいるため出力線を流れる電流はバイアス電
流減少とともに一定の時定数で減少し、出力線のリセッ
ト動作がいらない。
【0021】
【実施例】(実施例1)図1は第1の発明の実施例を説
明するための図である。以下図1を用いて第1の発明の
実施例の説明を行う。
【0022】本ニューロン素子は他ニューロン素子また
は外部からの入力線11、超伝導閉ループ12、バイア
ス入力端13、ジョセフソン素子14を2個用いた非対
称なしきい値特性を有する2接合量子干渉素子からなる
スイッチングエレメント15、他のニューロン素子の超
伝導閉ループと磁気的に結合した出力線16、出力線の
リセットゲート17、リセット信号線18から構成され
る。本発明によるニューロン素子は多数のファンイン、
ファンアウトを取ることができるが、本実施例では簡単
のためファンイン、ファンアウト数はそれぞれ5とした
【0023】5本の入力線11はそれぞれ独自の相互イ
ンダクタンスで超伝導閉ループ12と磁気的に結合して
いる。相互インダクタンスM1 、M2 、M3 、M
4 、M5 の値は、それぞれ4pH、1pH、5pH
、2pH、3pHである。超伝導閉ループ12全体のイ
ンダクタイスはスイッチングエレメント15との結合イ
ンダクタンス3pHと配線部分のインダクタンス2pH
を合わせて20pHとなる。また入力電流I1 〜I5
 は、全て0.6mAとしI1 、I3、I4 とI2
 、I5 、とでは、超伝導閉ループ12との結合部に
対して、流れる向きを逆にする。例えば、インダクタン
スM1 で超伝導閉ループ12と結合した入力線に電流
I1 が流れると、超伝導閉ループ12にはI1 によ
って誘起される磁場を排除するために、(4/20)・
0.6=0.12mAの循環電流が流れる。加えて入力
電流I2 、I3 、I4 が流れると全循環電流Ic
irは、Icir=0.12−0.03+0.15+0
.06=0.3mAとなる。ここで第2項の符号がマイ
ナスなのは、電流I2 の向きが他の電流と逆向きであ
るため誘起される循環電流の向きが逆向きになるからで
ある。このため電流I1 、I3 、I4 は興奮性の
信号となり、電流I2 、I5 は抑圧性の信号となる
【0024】バイアス入力端13からバイアス電流を0
.6mA流すと、出力線16側のブランチはインダクタ
ンスが大きいため、バイアス電流はほとんど全てスイッ
チングエレメント15を含むブランチの方に流れる。 スイッチングエレメント15は、ジョセフソン素子14
の臨界電流値がそれぞれ0.40mA、インダクタンス
が1.7pHの非対称なしきい値特性を有する2接合量
子干渉計である。このスイッチングエレメント15に上
記の値のバイアス電流を流した場合、超伝導閉ループ1
2に循環電流Icirが図1に示した向きに0.20m
A以上流れるとスイッチングエレメントは電圧状態にス
イッチし、バイアス電流0.6mAが出力線16のブラ
ンチに流れる。前記例のようにI1 、I2 、I3 
、I4 が入力されると、循環電流は0.3mAとなり
、出力線16に出力電流が現れるが、例えば入力がI1
 、I2 、I3 、I5 では、循環電流は0.15
mAとなり、出力電流は現れない。つまり流れる入力電
流の組み合わせによって出力線16に電流が現れるかど
うかが決定される。
【0025】出力線16に流れる電流は他のニューロン
素子の入力電流となる。出力線16に流れる電流値は出
力線16のインダクタンス値によらないこと、および出
力線16は超伝導線であるため電流が減衰しないことか
ら出力線16と磁気結合する他ニューロン素子の数つま
りファンアウト数に本質的な制限はない。また入力も超
伝導閉ループ12と磁気的な結合を行うだけなので、フ
ァンイン数にも本質的な制限はない。
【0026】出力線16に電流が流れている場合、この
電流はバイアス電流が立ち下がった後も出力線16とス
イッチングエレメント15を含むパスからなる超伝導閉
ループに流れ続ける。この電流をリセットするためにリ
セット信号線18に0.3mAの電流を流し、リセット
ゲート17を電圧状態にリセットする。リセットゲート
17は2接合量子干渉計でジョセフソン素子の臨界電流
値は0.4mA、インダクタンスは1.7pHである。 一方超伝導閉ループ12に流れる循環電流は入力電流に
より発生する磁場を遮蔽する性質の電流であるため入力
電流に応じて増減する。
【0027】以上説明したように本実施例で述べた回路
を用いれば、超伝導体独自の性質を用いてシナプス動作
、ニューロン動作を行うニューロン素子が構成できる。 しかも本ニューロン素子は、ファンイン、ファンアウト
数に本質的な制限がないため、ニューロン素子同士がお
互いに複雑に結合した高度なニューラルネットワークが
形成できる。また半導体のニューロン素子に比べても回
路構成が簡単で部品数が少なくてすむため、高密度の集
積が可能である。
【0028】本実施例ではスイッチングエレメント15
として非対称なしきい値特性を有する2接合量子干渉計
を用いたが、これは利得が大きいためと反対方向の循環
電流でスイッチしないようにするためである。しかし場
合に応じて他のジョセフソン素子を含むスイッチングエ
レメントも用いることができる。
【0029】(実施例2)図2は第2の発明の実施例を
説明するための図である。以下図2を用いて第2の発明
の実施例の説明を行う。
【0030】本ニューロン素子は他ニューロン素子の出
力線21に流れる電流によってスイッチする入力ゲート
22、前記入力ゲート22のスイッチによって入力電流
供給端23からの電流が流れ込む入力線11、超伝導閉
ループ12、バイアス入力端13、ジョセフソン素子1
4を2個用いた非対称なしきい値特性を有する2接合量
子干渉素子からなるスイッチングエレメント15、他の
ニューロン素子の超伝導閉ループと磁気的に結合した出
力線16、出力線のリセットゲート17、リセット信号
線18から構成される。本発明によるニューロン素子は
多数のファンイン、ファンアウトを取ることができるが
、本実施例では簡単のためファンイン、ファンアウト数
はそれぞれ5とした。
【0031】入力ゲート22はジョセフソン素子の臨界
電流値が0.41mA、インダクタンスが1.0pHの
2接合量子干渉計であり、入力電流供給端23からバイ
アス電流を供給され他のニューロン素子の出力線21に
流れる電流によってスイッチする。従って入力電流供給
端23から供給される電流値を制御することで出力線1
1に流れる電流を制御することができる。このため入力
電流供給端23から供給される電流値によって、他ニュ
ーロン素子からの入力に重み付けを行うシナプス動作を
行うことができる。
【0032】5本の入力線11はすべて等しい相互イン
ダクタンス値3pHで超伝導閉ループ12と磁気的に結
合している。超伝導閉ループ12全体のインダクタンス
はスイッチングエレメント15との結合インダクタンス
3pHと配線部分のインダクタンス2pHを合わせて2
0pHとなる。例えば入力ゲート22のスイッチによっ
て入力線11に流れる電流I1 、I3 、I4 とI
2 、I5 をそれぞれ0.6mA、0.3mA、0.
8mA、0.4mA、0.7mAとし、I1 、I3 
、I4 とI2 、I5 とでは逆向きの電流を流す。 例えば、超伝導閉ループ12と結合した入力線に電流I
1 が流れると、超伝導閉ループ12にはI1 によっ
て誘起される磁場を排除するために、(3/20)・0
.6=0.09mAの循環電流が流れる。加えて入力電
流I2 、I3 、I4 が流れると全循環電流Ici
rは、Icir=0.09−0.045+0.12+0
.06=0.225mAとなる。ここで第2項の符号が
マイナスなのは、電流I2 の向きが他の電流と逆向き
であるため誘起される循環電流の向きが逆向きになるか
らである。このため電流I1 、I3 、I4 は興奮
性の信号となり、電流I2 、I5 は抑圧性の信号と
なる。
【0033】バイアス入力端13からバイアス電流を0
.6mA流すと、出力線16側のブランチはインダクタ
ンスが大きいため、バイアス電流はほとんど全てスイッ
チングエレメント15を含むブランチの方に流れる。 スイッチングエレメント15は、ジョセフソン素子14
の臨界電流値がそれぞれ0.40mA、インダクタンス
が1.7pHの非対称なしきい値特性を有する2接合量
子干渉計である。このスイッチングエレメント15に上
記値のバイアス電流を流した場合、超伝導閉ループ12
に循環電流Icirが図2に示した向きに0.20mA
以上流れるとスイッチングエレメントは電圧状態にスイ
ッチし、バイアス電流0.6mAが出力線16のブラン
チに流れる。前記例のようにI1 、I2、I3 、I
4 が入力されると、循環電流は0.225mAとなり
、出力線16に出力電流が現れるが、例えば入力がI1
 、I2 、I3 、I5 では、循環電流は0.06
mAとなり、出力電流は現れない。つまり流れる入力電
流の組み合わせによって出力線16に電流が現れるかど
うかが決定される。
【0034】出力線16に流れる電流は他のニューロン
素子の入力ゲート22をスイッチさせる信号電流となる
。出力線16に流れる電流値は出力線16のインダクタ
ンス値によらないこと、および出力線16は超伝導線で
あるため電流が減衰しないことから出力線16と磁気結
合する他ニューロン素子の数つまりファンアウト数に本
質的な制限はない。また入力も超伝導閉ループ12と磁
気的な結合を行うだけなので、ファンイン数にも本質的
な制限はない。
【0035】出力線16に電流が流れている場合、この
電流はバイアス電流が立ち下がった後も出力線16とス
イッチングエレメント15を含みパスからなる超伝導閉
ループに流れ続ける。この電流をリセットするためにリ
セット信号線18に0.3mAの電流を流し、リセット
ゲート17を電圧状態にリセットする。リセットゲート
17は2接合量子干渉計でジョセフソン素子の臨界電流
値は0.4mA、インダクタンスは1.7pHである。 一方超伝導閉ループ12に流れる循環電流は入力電流に
より発生する磁場を遮蔽する性質の電流であるため入力
電流に応じて増減する。
【0036】以上説明したように本実施例で述べた回路
を用いれば、超伝導体独自の性質を用いてシナプス動作
、ニューロン動作を行うニューロン素子が構成できる。 しかも本ニューロン素子は、ファンイン、ファンアウト
数に本質的な制限がないため、ニューロン素子同士がお
互いに複雑に結合した高度なニューラルネットワークが
形成できる。また入力の重みは入力電流供給端からの供
給電流値で決定されるため供給電流値を制御することで
重みを可変にできる。
【0037】本実施例ではスイッチングエレメント15
として非対称なしきい値特性を有する2接合量子干渉計
を用いたが、これは利得が大きいためと反対方向の循環
電流でスイッチしないようにするためである。しかし場
合に応じて他のジョセフソン素子を含むスイッチングエ
レメントも用いることができる。また入力線11と超伝
導閉ループ12との間の相互インダクタンス値はすべて
等しいとしたが異なる値を用いることもできる。その場
合は電流値とインダクタンスで二重の重み付けとなる。
【0038】(実施例3)図3、図4は本発明の第3の
実施例を説明するための図である。以下図3、図4を用
いて本発明の実施例の説明を行う。
【0039】本ニューロン素子は、他ニューロン素子ま
たは外部からの入力線11、超伝導閉ループ12、バイ
アス入力端13、ジョセフソン素子14を2個用いた非
対称なしきい値特性を有する2接合量子干渉素子からな
るスイッチングエレメント15、他のニューロン素子の
超伝導閉ループと磁気的に結合した出力線16、ダウン
エッジトリガ回路31、直流制御線32から構成される
。本発明によるニューロン素子は多数のファンイン、フ
ァンアウトを取ることができるが、本実施例では簡単の
ためファンイン、ファンアウト数はそれぞれ5とした。
【0040】5本の入力線11はそれぞれ独自の相互イ
ンダクタンスで超伝導閉ループ12と磁気的に結合して
いる。相互インダクタンスM1 、M2 、M3 、M
4 、M5 の値は、それぞれ4pH、1PH、5pH
、2pH、3pHである。超伝導閉ループ12全体のイ
ンダクタンスはスイッチングエレメント15との結合イ
ンダクタンス3pHおよびダウンエッジトリガ回路31
との結合インダクタンス3pHと配線部分のインダクタ
ンス2pHを合わせて23pHとなる。また入力電流は
、全て0.6mAとしI1 、I3 、I4 とI2 
、I5 とでは、超伝導閉ループ12との結合部に対し
て、流れる向きを逆にする。例えば、インダクタンスM
1 で超伝導閉ループ12と結合した入力線に電流I1
 が流れると、超伝導閉ループ12にはI1 に起因す
る磁場を排除するために、(4/23)・0.6=0.
10mAの循環電流が流れる。加えて入力電流I2 、
I3 、I4が流れると全循環電流Icirは、Ici
r=0.10−0.026+0.13+0.052=0
.26mAとなる。ここで第2項の符号がマイナスなの
は、電流I2 の向きが他の電流と逆向きであるため誘
起される循環電流の向きが逆向きになるからである。こ
のため電流I1 、I3 、I4 は興奮性の信号とな
り、電流I2 、I5 は抑圧性の信号となる。
【0041】バイアス入力端13からバイアス電流を0
.6mA流すと、出力線16側のブランチはスイッチン
グエレメント15を含むブランチに比べてインダクタン
スが大きいため、バイアス電流は全てスイッチングエレ
メント15を含むブランチの方に流れる。スイッチング
エレメント15は、ジョセフソン素子14の臨界電流値
がそれぞれ0.40mA、インダクタンスが1.7pH
の非対称2接合量子干渉計である。このスイッチングエ
レメント15に上記値のバイアス電流を流した場合、超
伝導閉ループ12に循環電流Icirが図3に示した向
きに0.2mA以上流れるとスイッチングエレメントは
電圧状態にスイッチし、バイアス電流0.6mAが出力
線16のブランチに流れる。前記例のようにI1、I2
 、I3 、I4 が入力されると、循環電流は0.2
6mAとなり、出力線16に出力電流が現れるが、例え
ば入力がI1 、I2 、I3 、I5 では、循環電
流は0.13mAとなり、出力電流は現れない。つまり
流れる入力電流の組み合わせによって出力線16に電流
が現れるかどうかが決定される。
【0042】出力線16に流れる電流は他のニューロン
素子の入力電流となる。出力線16に流れる電流値は出
力線16のインダクタンス値によらないこと、および出
力線16は超伝導線であるため電流が減衰しないことか
ら出力線16と磁気結合する他ニューロン素子の数つま
りファンアウト数に本質的な制限はない。また入力も超
伝導閉ループ12と磁気的な結合を行うだけなので、フ
ァンイン数にも本質的な制限はない。
【0043】図3のダウンエッジトリガ回路31の具体
例を図4に示す。図4(a)はダウンエッジトリガ回路
の回路図、(b)はそのスイッチングエレメントである
2接合量子干渉計33のしきい値特性である。2接合量
子干渉計33のパラメータは、ジョセフソン素子の臨界
電流値が0.4mA、インダクタンスが1.7pHであ
る。図4(a)に示すダウンエッジトリガ回路おいては
出力線16が2接合量子干渉計にゲート電流Igを供給
しており、一方伝導閉ループ12と直流制御線32が制
御電流Icを供給している。入力線11から供給される
入力電流がゼロの状態では、超伝導閉ループ12に循環
電流は流れずスイッチングエレメント15はスイッチし
ない、したがって出力線16に電流が流れないため、ダ
ウンエッジトリガ回路に流れる電流は直流制御線32に
流れる直流電流0.3mAだけとなり、動作点は図4(
b)の動作点34にある。入力電流が流れ超伝導閉ルー
プ12に流れる循環電流が増えてくると、超伝導閉ルー
プ12に流れる電流は直流制御線32に流れる電流と逆
向きであるため、図4(b)の動作点は動作点34から
Ic軸上マイナス方向にシフトする。超伝導閉ループ1
2に流れる電流がさらに増えスイッチングエレメント1
5がスイッチすると、出力線16に電流が流れるため、
動作点は動作点35に移る。動作点35はしきい値曲線
の内側であるため2接合量子干渉計33はスイッチしな
い。ここで超伝導閉ループ12に流れる電流は、入力I
1 、I2 、I3 、I4 、を想定し、0.26m
Aとした。入力電流が減少し超伝導閉ループ12を流れ
る循環電流が0.2mA以下になると動作点がしきい値
曲線の外側(例えば動作点36)に出るため2接合量子
干渉計33は電圧状態にスイッチする。この結果出力線
16に流れていた電流は再びスイッチングエレメント1
5を含みブランチに流れ込む。
【0044】スイッチングエレメント15およびダウン
エッジトリガ回路31はいずれも負荷が超伝導であるた
め、スイッチすると電流は全て負荷の方に流れてしまい
自動的にゼロ電圧状態にリセットする。この動作を確実
に行うため適当な値のダンピング抵抗を用いることもあ
る。
【0045】一般に超伝導集積回路ではジョセフソン素
子が、バイアス電流がある一定値以下にならないとリセ
ットしないラッチ素子であるため、バイアス電流に交流
を用いる必要があり、全ての素子の動作はバイアス電流
に同期して行われる。本発明による超伝導ニューロン素
子は入力電流に応じてセット、リセットを行う一種のフ
リップフロップ回路であるため、それぞれの素子を非同
期に動かすことができる。この特性はニューロン素子を
用いてニューラルネットワークを構成する際に非常に有
効となる。
【0046】以上説明したように本実施例で述べた回路
を用いれば、超伝導体独自の性質を用いてシナプス動作
、ニューロン動作を行うニューロン素子が構成できる。 しかも本ニューロン素子は、ファンイン、ファンアウト
数に本質的な制限がないため、ニューロン素子同士がお
互いに複数に結合した高度なニューラルネットワークが
形成できる。また半導体のニューロン素子に比べても回
路構成が簡単で部品数が少なくてすむため、高密度の集
積が可能である。さらに複数のニューロン素子を非同期
に動作させることができるためネットワーク化に際して
有利である。
【0047】本実施例ではスイッチングエレメント15
として非対称なしきい値特性を有する2接合量子干渉計
を用いたが、これは利得が大きいためと反対方向の循環
電流でスイッチしないようにするためである。しかし場
合に応じて他のジョセフソン素子を含むスイッチングエ
レメントも用いることができる。またスイッチングエレ
メント15とダウンエッジトリガ回路31とがスイッチ
する循環電流値を同じにしたが異なる値を用いることも
できる。
【0048】(実施例4)図5は第4の発明の実施例を
説明するための図である。以下図5を用いて第4の発明
の実施例の説明を行う。
【0049】本ニューロン素子は他ニューロン素子また
は外部からの入力線11、超伝導閉ループ12、バイア
ス入力端13、ジョセフソン素子一個からなるスイッチ
ングエレメント15、他のニューロン素子の超伝導閉ル
ープと磁気的に結合した出力線16、出力線のリセット
ゲート17、リセット信号線18から構成される。本発
明によるニューロン素子は多数のファンイン、ファンア
ウトを取ることができるが、本実施例では簡単のためフ
ァンイン、ファンアウト数はそれぞれ5とした。
【0050】5本の入力線11はそれぞれ独自の相互イ
ンダクタンスで超伝導閉ループ12と磁気的に結合して
いる。相互インダクタンスM1 、M2 、M3 、M
4 、M5 の値は、それぞれ4pH、1PH、5pH
、2pH、3pHである。超伝導閉ループ12全体のイ
ンダクタンス配線部分のインダクタンス3pHを合わせ
て18pHとなる。また入力電流は、全て0.6mAと
しI1 、I3 、I4とI2 、I5 とでは、超伝
導閉ループ12との結合部に対して、流れる向きを逆に
する。例えば、インダクタンスM1 で超伝導閉ループ
12と結合した入力線に電流I1 が流れると、超伝導
閉ループ12にはI1 によって誘起される磁場を排除
するために、(4/18)・0.6=0.13mAの循
環電流が流れる。加えて入力電流I2 、I3 、I4
 が流れると全循環電流Icirは、Icir=0.1
3−0.03+0.17+0.07=0.34mAとな
る。ここで第2項の符号がマイナスなのは、電流I2 
の向きが他の電流と逆向きであるため誘起される循環電
流の向きが逆向きになるからである。このため電流I1
 、I3 、I4 は興奮性の信号となり、電流I2 
、I5 は抑圧性の信号となる。
【0051】バイアス入力端13からバイアス電流を0
.6mA流すと、出力線16側のブランチおよび入力線
11と磁気結合した側のブランチのインダクタンスはス
イッチングエレメント15を含むブランチにインダクタ
ンスに比べて著しく大きいため、バイアス電流はほとん
ど全てスイッチングエレメント15を含むブランチの方
に流れる。スイッチングエレメント15は、臨界電流値
が0.8mAの1個のジョセフソン素子からなる。この
スイッチングエレメント15に上記値のバイアス電流を
流した場合、超伝導閉ループ12に循環電流Icirが
図5に示した向きに0.20mA以上流れると、バイア
ス電流と循環電流が足し合わされてスイッチングエレメ
ント15に流れる電流がその臨界電流値を越えるため、
スイッチングエレメントは電圧状態にスイッチし、バイ
アス電流0.6mAが出力線16および入力線11と磁
気結合したブランチに流れる。出力線16側のブランチ
のインダクタンスは通常入力線11と磁気結合したブラ
ンチのインダクタンスより大きい。出力線16のインダ
クタンスを74pHとするとバイアス電流は出力線16
側に0.12mA、入力線11と磁気結合した側0.4
8mA流れる。このときスイッチングエレメント15が
電圧状態にスイッチしているため、超伝導閉ループ12
は切れており、循環電流Icirは流れていない。出力
ゲート51として臨界電流値0.4mAのジョセフソン
素子を用いると、前記入力線11と磁気結合した側に流
れる電流0.48mAで出力ゲートがスイッチし、バイ
アス電流はすべて出力線16側のブランチに流れ込む。 このようにして前記例のようにI1 、I2 、I3 
、I4 が入力されると、循環電流は0.34mAとな
り、出力線16に出力電流が現れるが、例えば入力がI
1 、I2 、I3 、I5 では、循環電流は0.1
7mAとなり、出力電流は現れない。つまり流れる入力
電流の組み合わせによって出力線16に電流が現れるか
どうかが決定される。
【0052】出力線16に流れる電流は他のニューロン
素子の入力電流となる。出力線16に流れる電流値は出
力線16のインダクタンス値によらないこと、および出
力線16は超伝導線であるため電流が減衰しないことか
ら出力線16と磁気結合する他ニューロン素子の数つま
りファンアウト数に本質的な制限はない。また入力も超
伝導閉ループ12と磁気的な結合を行うだけなので、フ
ァンイン数にも本質的な制限はない。
【0053】出力線16に電流が流れている場合、この
電流はバイアス電流が立ち下がった後も出力線16とス
イッチングエレメント15を含むパスからなる超伝導閉
ループに流れ続ける。この電流をリセットするためにリ
セット信号線18に0.3mAの電流を流し、リセット
ゲート17を電圧状態にリセットする。リセットゲート
17は2接合量子干渉計でジョセフソン素子の臨界電流
値0.4mA、インダクタンスは1.7pHである。一
方スイッチングエレメント15、出力ゲート51の負荷
が超伝導線であり抵抗成分を含まないことから、すべて
のバイアス電流が出力線16に流れ込むとともに超伝導
状態にもどるため、超伝導閉ループ12は自動的にリセ
ットされる。
【0054】以上説明したように本実施例で述べた回路
を用いれば、超伝導体独自の性質を用いてシナプス動作
、ニューロン動作を行うニューロン素子が構成できる。 しかも本ニューロン素子は、ファンイン、ファンアウト
数に本質的な制限がないため、ニューロン素子同士がお
互いに複雑に結合した高度なニューラルネットワークが
形成できる。また半導体のニューロン素子に比べても回
路構成が簡単で部品数が少なくてすむため、高密度の集
積の可能である。さらにスイッチングエレメント15を
超伝導閉ループ12中に含んでいるため、超伝導閉ルー
プ12の全インダクタンスに占める各入力線11との結
合インダクタンスの割合が大きくなり、入力電流の超伝
導閉ループ循環電流への変換効率が上がる。
【0055】本実施例ではスイッチングエレメント15
として1個のジョセフソン素子を用いたが、場合に応じ
て他のジョセフソン素子を含むスイッチングエレメント
も用いることができる。
【0056】(実施例5)図6は第5の発明の実施例を
説明するための図である。以下図6を用いて第5の発明
の実施例の説明を行う。
【0057】本ニューロン素子は他ニューロン素子また
は外部からの入力線11、超伝導閉ループ12、バイア
ス入力端13、ジョセフソン素子一個からなるスイッチ
ングエレメント15、他のニューロン素子の超伝導閉ル
ープと磁気的に結合した出力線16、リセット抵抗61
から構成される。本発明によるニューロン素子は多数の
ファンイン、ファンアウトを取ることができるが、本実
施例では簡単のためファンイン、ファンアウト数はそれ
ぞれ5とした。
【0058】5本の入力線11はそれぞれ独自の相互イ
ンダクタンスで超伝導閉ループ12と磁気的に結合して
いる。相互インダクタンスM1 、M2 、M3 、M
4 、M5 の値は、それぞれ4pH、1PH、5pH
、2pH、3pHである。超伝導閉ループ12全体のイ
ンダクタンス配線部分のインダクタンス3pHを合わせ
て18pHとなる。また入力電流は、全て0.6mAと
しI1 、I3 、I4とI2 、I5 とでは、超伝
導閉ループ12との結合部に対して、流れる向きを逆に
する。例えば、インダクタンスM1 で超伝導閉ループ
12と結合した入力線に電流I1 が流れると、超伝導
閉ループ12にはI1 によって誘起される磁場を排除
するために、(4/18)・0.6=0.13mAの循
環電流が流れる。加えて入力電流I2 、I3 、I4
 が流れると全循環電流Icirは、Icir=0.1
3−0.03+0.17+0.07=0.34mAとな
る。ここで第2項の符号がマイナスなのは、電流I2 
の向きが他の電流と逆向きであるため誘起される循環電
流の向きが逆向きになるからである。このため電流I1
 、I3 、I4 は興奮性の信号となり、電流I2 
、I5 は抑圧性の信号となる。
【0059】バイアス入力端13からバイアス電流0.
64mA流すと、出力線16側のブランチはリセット抵
抗61を含んでおり、また入力線11と磁気結合した側
のブランチのインダクタンスはスイッチングエレメント
15を含むブランチにインダクタンスに比べて著しく大
きいため、バイアス電流はほとんど全てスイッチングエ
レメント15を含むブランチの方に流れる。スイッチン
グエレメント15は、臨界電流値が0.855mAの1
個のジョセフソン素子からなる。このスイッチングエレ
メント15に上記値のバイアス電流を流した場合、超伝
導閉ループ12に循環電流Icirが図5に示した向き
に0.20mA以上流れると、バイアス電流と循環電流
が足し合わされてスイッチングエレメント15に流れる
電流がその臨界電流値を越えるため、スイッチングエレ
メント15は電圧状態にスイッチする。スイッチングエ
レメント15がスイッチすると、臨界電流値の約5%に
相当する漏れ電流を除いて、バイアス電流0.6mAが
入力線11と磁気結合したブランチに流れ込む。このと
きスイッチングエレメント15が電圧状態にスイッチし
ているため、超伝導閉ループ12は切れており、循環電
流Icirは流れていない。出力ゲート51として臨界
電流値0.4mAのジョセフソン素子を用いると、前記
入力線11と磁気結合した側に流れ込む電流0.6mA
で出力ゲートがスイッチし、バイアス電流は臨界電流値
の約5%に相当する漏れ電流を除いて出力線16側のブ
ランチに流れ込む。このようにして前記例のようにI1
 、I2 、I3 、I4 が入力されると、循環電流
は0.34mAとなり、出力線16に出力電流が現れる
が、例えば入力がI1 、I2 、I3 、I5 では
、循環電流は0.17mAとなり、出力電流は現れない
。つまり流れる入力電流の組み合わせによって出力線1
6に電流が現れるかどうかが決定される。
【0060】出力線16に流れる電流は他のニューロン
素子の入力電流となる。出力線16に流れる電流値は出
力線16のインダクタンス値によらないこと、および出
力線16は超伝導線であるため電流が減衰しないことか
ら出力線16と磁気結合する他ニューロン素子の数つま
りファンアウト数に本質的な制限はない。また入力も超
伝導閉ループ12と磁気的な結合を行うだけなので、フ
ァンイン数にも本質的な制限はない。
【0061】本発明においては出力線16中にリセット
抵抗61が存在するため、出力線16に流れる電流はバ
イアス電流が立ち下がるとともにリセット抵抗61と出
力線のインダクタンス16により決定される時定数で減
少する。リセット抵抗61の値を4Ωとするとこの時定
数は18p秒となる。一方スイッチングエレメント15
と出力ゲート51はバイアス電流立ち下がりとともに超
伝導状態にリセットされるため超伝導閉ループ12は自
動的にリセットされる。
【0062】以上説明したように本実施例で述べた回路
を用いれば、超伝導体独自の性質を用いてシナプス動作
、ニューロン動作を行うニューロン素子が構成できる。 しかも本ニューロン素子は、ファンイン、ファンアウト
数に本質的な制限がないため、ニューロン素子同士がお
互いに複雑に結合した高度なニューラルネットワークが
形成できる。また半導体のニューロン素子に比べても回
路構成が簡単で部品数が少なくてすむため、高密度の集
積が可能である。さらにスイッチングエレメント15を
超伝導閉ループ12中に含んでいるため、超伝導閉ルー
プ12の全インダクタンスに占める各入力線11との結
合インダクタンスの割合が大きくなり、入力電流の超伝
導閉ループ循環電流への交換効率が上がる。その上リセ
ット抵抗61が存在することから抵抗成分がまったくな
い場合に比べて回路のより安定した動作が期待できる。
【0063】本実施例ではスイッチングエレメント15
として1個のジョセフソン素子を用いたが、場合に応じ
て他のジョセフソン素子を含むスイッチングエレメント
も用いることができる。
【0064】
【発明の効果】本発明の第1の発明を用いれば、消費電
力が小さく3次元化が比較的容易な超伝導集積回路を用
いてファンイン、ファンアウト数が大きくニューロン素
子を構成することができる。また本発明の回路は半導体
を用いたニューロン素子より回路構成が簡単で部品数も
少なく、高密度の集積が可能であるという効果を有する
【0065】第2の発明を用いれば前記第1の発明の効
果に加えて入力の重み付けを可変にできるという効果を
有する。第3の発明を用いれば前記第1の発明の効果に
加えて複数のニューロン素子を非同期に動作させること
ができるため、ネットワーク化に際して有利であるとい
う効果を有する。第4の発明を用いれば前記第1の発明
の効果に加えて入力電流の超伝導閉ループ循環電流への
変換効率をあげることができ、さらに回路構成がより簡
単になるという効果を有する。第5の発明を用いれば前
記第1の発明の効果に加えてより安定な動作が期待でき
設計が容易になると言う効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を説明するための回路図
である。
【図2】本発明の第2の実施例を説明するための回路図
である。
【図3】本発明の第3の実施例を説明するための回路図
である。
【図4】第3の実施例に用いるダウンエッジトリガ回路
の具体例を説明するための図であり(a)は回路図、(
b)はしきい値特性図である。
【図5】本発明の第4の実施例を説明するための回路図
である。
【図6】本発明の第5の実施例を説明するための回路図
である。
【図7】従来のジョセフソン線路を用いたニューロン素
子の基本素子構造を示した図である。
【符号の説明】
11  入力線 12  超伝導閉ループ 13  バイアス入力端 14  ジョセフソン素子 15  スイッチングエレメント 16  出力線 17  リセットゲート 18  リセット信号線 21  他ニューロン素子の出力線 22  入力ゲート 23  入力電流供給端 31  ダウンエッジトリガ回路 32  直流制御線 33  2接合量子干渉計 34〜36  動作点 51  出力ゲート 61  リセット抵抗 101  ジョセフソン線路A 102  ジョセフソン線路B 103  ジョセフソン線路C 104  ジョセフソン線路D 105  磁束量子停止部 106  入力端 107  出力端 108  興奮性制御入力端 109  抑圧性制御入力端 111  下部電極 112  トンネルバリア 113  上部電極 114  インダクタンス 115  抵抗

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  ジョセフソン素子を用いたスイッチン
    グエレメントと超伝導閉ループと他のニューロン素子と
    磁気的に結合された出力線を含み、前記超伝導閉ループ
    と一個または複数個の入力線が磁気的に結合しその結合
    のインダクタンス値を制御することにより入力の重み付
    けが行われかつ前期入力線を流れる電流の向きにより重
    みの正負の符号が決定され、前記スイッチングエレメン
    トと前記出力線がバイアス入力端に対して並列に接続さ
    れ、前記超伝導閉ループと前記スイッチングエレメント
    のスイッチが磁気的に結合されていることを特徴とする
    超伝導ニューロン素子。
  2. 【請求項2】  ジョセフソン素子を用いたスイッチン
    グエレメントと超伝導閉ループと他のニューロン素子と
    磁気的に結合された出力線を含み、前記超伝導閉ループ
    と一個または複数個の入力線が磁気的に結合し前記入力
    線に流れる電流値を制御することにより入力の重み付け
    が行われかつ前期入力線を流れる電流の向きにより重み
    の正負の符号が決定され、前記スイッチングエレメント
    と前記出力線がバイアス入力端に対して並列に接続され
    、前記超伝導閉ループに流れる循環電流が一定のしきい
    値以上になると前記スイッチングエレメントがスイッチ
    することを特徴とする超伝導ニューロン素子。
  3. 【請求項3】  ジョセフソン素子を用いたスイッチン
    グエレメントと超伝導閉ループと他のニューロン素子と
    磁気的に結合した超伝導体からなる出力線を含み、前記
    超伝導閉ループと一個または複数個の入力線が磁気的に
    結合され、前記超伝導閉ループに流れる循環電流が一定
    のしきい値以上になると前記スイッチングエレメントが
    スイッチし、前記スイッチングエレメントが直流バイア
    スで駆動され、前記スイッチングエレメントと前記出力
    線が前記バイアス入力端に対して並列に接続され、前記
    出力線中に前記超伝導閉ループに流れる循環電流がある
    しきい値以下になるとスイッチするダウンエッジトリガ
    回路が含まれることを特徴とする超伝導ニューロン素子
  4. 【請求項4】  ジョセフソン素子を用いたスイッチン
    グエレメントと超伝導閉ループと他のニューロン素子と
    磁気的に結合された出力線を含み、前記超伝導閉ループ
    と一個または複数個の入力線が磁気的に結合され、前記
    スイッチングエレメントと前記出力線がバイアス入力端
    に対して並列に接続され、前記前記スイッチングエレメ
    ントが前記超伝導閉ループの中に含まれることを特徴と
    する超伝導ニューロン素子。
  5. 【請求項5】  ジョセフソン素子を用いたスイッチン
    グエレエントと超伝導閉ループと他のニューロン素子と
    磁気的に結合した出力線を含み、前記超伝導閉ループと
    一個または複数個の入力線が磁気的に結合され、前記超
    伝導閉ループに流れる循環電流が一定のしきい値以上に
    なると前記スイッチングエレメントがスイッチし、前記
    スイッチングエレメントと前記出力線が前記バイアス入
    力端に対して並列に接続され、前記出力線中に抵抗成分
    を含むことを特徴とする超伝導ニューロン素子。
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