JPH04248942A - 植物寄生性線虫の培養方法 - Google Patents

植物寄生性線虫の培養方法

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JPH04248942A
JPH04248942A JP3363191A JP3363191A JPH04248942A JP H04248942 A JPH04248942 A JP H04248942A JP 3363191 A JP3363191 A JP 3363191A JP 3363191 A JP3363191 A JP 3363191A JP H04248942 A JPH04248942 A JP H04248942A
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nematodes
plant
hairy roots
nematode
roots
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Hiroshi Adachi
宏 安達
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Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、世界中で農作物に多大
な被害を与えている植物寄生性線虫の化学的防除、生物
的防除、耕種的対策、線虫抵抗性植物の開発など、植物
寄生性線虫の防除技術を開発するうえで必要な植物寄生
線虫を培養する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】線虫は動物分類上、線虫動物門に位置づ
けされ、種類数50万以上と推定される膨大な動物群で
あり、植物寄生性線虫の記載種はその内3000程度で
ある。 【0003】植物寄生性線虫(以下単に線虫と呼ぶ場合
もある)とは、高等植物に栄養を依存する線虫類を指し
、人間生活にとって重要な農作物に寄生し、その寄生範
囲は極めて広く高等植物のほとんど全てにわたるため、
世界中で農業上重大な被害を与えている。 【0004】特に問題となる線虫としては、シストセン
チュウ類(Heterodera属、Globoder
a属)、ネコブセンチュウ類(Meloidogyne
属)、ネグサレセンチュウ類(Pratylenchu
s属)などが挙げられる。 【0005】現在のところ、これら線虫の有効な防除方
法は確立されていない。その最も大きな理由の一つとし
て、植物寄生性線虫は植物に寄生していなければ増殖で
きない絶対寄生という性質を持つために、線虫の純粋な
大量培養ができず、線虫の生理・生態の基礎研究が立ち
遅れ、合成化合物および天然物による化学的防除、天敵
類をはじめとする生物的防除、有機物施用をはじめとす
る耕種的対策、植物への抵抗性遺伝子導入・対抗植物を
はじめとする線虫抵抗性植物の作出などの応用研究が進
まないことが挙げられる。したがって、線虫の純粋な培
養ができれば、これらの応用研究分野の飛躍的発展が期
待できる。 【0006】現在までに提案されている植物寄生性線虫
の培養方法には大きく分けて次の2つの方法がある。1
つは圃場、鉢、水耕栽培等の無菌化しない条件下で植物
根へ植物寄生性線虫の寄生を行わせ、培養する方法であ
る。2つめは無菌的な容器内で植物を培養し、植物寄生
性線虫を寄生させる方法で、生育の良い根の器官培養物
または毛状根等の組織培養物を植物寄生性線虫の寄主と
することができる。 【0007】例えば、一部のネグサレセンチュウではカ
ルスを用いた純粋培養が行なわれている(L. R. 
Krusberg. 1961. Nematolog
ica 6:181−200)。また、カルスで培養の
できない線虫に関し、毛状根を利用した実験室レベルで
の培養が、ジャワネコブセンチュウ (S. Verd
ejo,  B. A. Jaffee,  and 
R.Mankau. 1988. Journal o
fNematology 20(4):599−604
)、テンサイシストセンチュウ(H. Paul, C
. Zijlstra, J. E. Leeuwan
gh,   F. A. Krens,   and 
H.J. Huizing.   1987. Pla
nt CellReports 6:379−381)
、ダイズシストセンチュウ (M. A. Savka
,  B. Ravillion,G. R. Noe
l, and S. K. Farrand. 199
0. Phytopathology 80(50):
503−508)、ジャガイモシストセンチュウ(A.
 Kumar and J. M. S. Forre
st. 1990. Journal ofNemat
ology 22(3):395−398)で試みられ
ている。 【0008】毛状根とは、毛根病菌アグロバクテリウム
・ リゾジェネス  (Agrobacterium 
rhizogenes)を植物の茎、葉、根等に接種す
ると感染部位から発生する根で、アグロバクテリウム・
リゾジェネス中に存在する巨大プラスミド(Riプラス
ミド)の遺伝子の一部が植物の遺伝子に組み込まれるこ
とにより発生する。毛状根は通常の根に比べて生育が非
常に速い。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかし上記2つの方法
にはそれぞれ問題点がある。1つめの方法に関しては寄
主植物の生育が遅いことと、目的とする線虫以外の線虫
、或いは線虫以外の微生物による汚染の危険があること
が挙げられる。 【0010】2つめの方法に関しては、カルスを用いた
方法では     Meloidogyne属、   
 Heterodera属、Globodera属等の
定住性の植物寄生性線虫の培養はできないことが挙げら
れる。また、ジャワネコブセンチュウは元来、広大な寄
主範囲を持っている線虫であるにもかかわらず、毛状根
を用いた培養では、培養効率の面から見ると、特別な種
の植物から得られた毛状根に限られているということが
挙げられる。すなわち、線虫の生理・生態等の基礎研究
、或いは化学的防除・耕種的対策・線虫抵抗性植物の作
出等の応用研究の面では、他の多くの種類の植物より得
られた毛状根が利用できない限り、十分な研究の発展は
望めないということである。一方、毛状根を用いたダイ
ズシストセンチュウ、テンサイシストセンチュウ、ジャ
ガイモシストセンチュウの培養では、線虫の培養効率の
面で、いずれも十分な結果が得られていないということ
が挙げられる。 【0011】従って本発明は、従来存在した毛状根と線
虫の特殊な組み合わせだけでなく、元来存在する線虫と
植物の他の組み合わせでも、毛状根を用いて植物寄生性
線虫を効率的に、かつ純粋に培養できる方法を開発し、
植物寄生性線虫の効率的な純粋培養法を提供することを
目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明者はかかる問題を
解決するために鋭意検討を続けた結果、植物寄生性線虫
を毛状根で培養するに際し、培地中の総窒素濃度が毛状
根の生育に適している範囲において、総窒素に対するア
ンモニア態窒素のモル比を0.08以下、かつアンモニ
ア態窒素濃度を1mM以下とすることによって、植物寄
生性線虫が多くの毛状根で効率的に培養できることを見
いだし、本発明を完成するに至った。 【0013】 【実施態様】本発明に用いる毛状根を作らせるために利
用できるアグロバクテリウム・リゾジェネスとしては、
以下のものが例示される。 【0014】 アグロバクテリウム・リゾジェネス  ATCC   
 No.25818アグロバクテリウム・リゾジェネス
  ATCC    No.15834アグロバクテリ
ウム・リゾジェネス  ATCC    No.430
57アグロバクテリウム・リゾジェネス  NCPPB
   No.8196アグロバクテリウム・リゾジェネ
ス  NIAES   No.1724菌寄託機関名 ATCC:American Type Cultur
e Collection, U.S.A.NCPPB
:National Collection of P
lant Pathogenic Bacteria,
 U.K. NIAES:農林水産省 農業環境技術研究所【001
5】また、大腸菌などの他の菌にRiプラスミドまたは
その一部を遺伝子導入した菌も使用できる。 【0016】植物をアグロバクテリウム・リゾジェネス
で処理すると、リゾジェネス菌中のRiプラスミドの一
部(T−DNA)が植物細胞の核DNAの中に導入(形
質転換)される。 【0017】植物の茎、根、葉等にRiプラスミドT−
DNAを導入し形質転換させた毛状根を得る方法として
は、例えば、次の方法が挙げられる。 【0018】1.  植物個体への直接接種法2.  
葉片を用いたリーフディスク法(R.B.Horsch
 et.al.,SCIENCE 227, 1229
(1985))3.  植物体のプロトプラストを利用
した共存培養法(Z.M.Wel et.al.,Pl
ant Cell Rep., 5:93−96(19
86))【0019】4.  植物体のプロトプラスト
とアグロバクテリウム・リゾジェネスのスフェロプラス
ト法(R.Hain et.al.,Plant Ce
ll Rep., 3,60(1984))5.  ア
グロバクテリウム・リゾジェネスのRiプラスミドまた
はその一部のT−DNAを、マイクロインジェクション
等の方法で、直接細胞内に注入する方法【0020】R
iプラスミドを上記1〜4の方法で導入した場合は、そ
の後アグロバクテリウム・リゾジェネスの除菌処理が必
要で、その方法としては下記のものがある。 【0021】1)  高温処理(40℃)2)  抗生
物質処理 3)  毛状根先端部の早いサイクルでの植え継ぎ【0
022】以上の方法により得られた毛状根の培養に際し
ては、例えば、従来から植物の組織培養に用いられてい
る培地、つまり、無機成分および炭素源を必須成分とし
、これに植物ホルモン類、ビタミン類およびアミノ酸類
から選ばれる少なくとも1種以上の成分を添加し必要に
応じてその他の成分も添加されている培地を用いること
ができる。 【0023】上記培地中の無機成分としては、窒素、亜
鉛、鉄、銅、モリブデン、ホウ素、リン、コバルト、カ
リウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、マンガン
、塩素、ナトリウム、ヨウ素等があり、具体的には、硝
酸アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、硫酸アン
モニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カ
ルシウム、硝酸カリウム、硫酸亜鉛、硫酸第1鉄、硫酸
第2鉄、エチレンジアミン4酢酸鉄、硫酸銅、モリブデ
ン酸、モリブデン酸ナトリウム、ホウ酸、リン酸、リン
酸1ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸2ナトリウム
、リン酸3ナトリウム、塩化コバルト、塩化カリウム、
塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、
硫酸マンガン、ヨウ化カリウム等が例示される。 【0024】また炭素源には、ショ糖および他の炭水化
物、その誘導体、脂肪酸等の有機酸、エタノール等の1
級アルコール等が例示される。 【0025】植物ホルモン類には、インドール酢酸(I
AA)、ナフタレン酢酸(NAA)、p−クロロフェノ
キシイソ酪酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,
4−D)等のオーキシン類、カイネチン、ベンジルアデ
ニン、ゼアチン、ジヒドロゼアチン等のサイトカイニン
類が例示される。 【0026】ビタミン類には、ビオチン、チアミン(ビ
タミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、パント
テン酸、アスコルビン酸(ビタミンC)、イノシトール
、ニコチン酸等が例示される。 【0027】アミノ酸類には、グリシン、アラニン、グ
ルタミン、システイン等が例示される。この他に、ビタ
ミン、ホルモン等が含まれると言われている天然物、例
えばココナッツミルク、酵母エキス等も用いることがで
きる。 【0028】毛状根の培養には上記成分を含有する種々
の培地を用いることができ、培地中の成分の濃度は広い
範囲で変えることができる。通常は、無機成分を約0.
1μM〜約100mM程度、炭素源を約1g/l〜12
0g/l程度、さらに植物ホルモン類を約0.01μM
〜約10μM程度、ビタミン類およびアミノ酸類を、そ
れぞれ約0.1mg/l〜約100mg/l程度とする
ことができる。 【0029】毛状根の培養には、試験管からタンクに至
る種々の培養装置を用いることができる。以上の方法に
より得られた毛状根の中で植物寄生性線虫の培養に適し
た毛状根としては、植物寄生性線虫の寄主となる植物の
細胞中にRiプラスミドT−DNAを導入して得られた
毛状根が挙げられ、これらはいずれも好適に用いること
ができる。 【0030】本発明において用いられる線虫としては、
Meloidogyne属、Heterodera属、
   Globodera属、Aphelenchoi
des属、Pratylenchus属、Dityle
nchus属、Tessellus属、Helicot
ylenchus属、Scutellonema属、H
irschmanniella属、Tylenchul
us属、Paratylenchus属、Cricon
emella属、Hemicriconemoides
属、Longidorus属、  Xiphinema
属、Paratrichodorus属などが挙げられ
る。特に好ましい線虫としては、Meloidogyn
e incognita,  M. hapla,  
M. arenaria,  Heterodera 
trifolii,H. glycines,   G
lobodera hypolisiなどが挙げられる
。 【0031】線虫接種後の毛状根と線虫を共存培養する
ための培地組成としては、下記のものが有効である。 【0032】この共存培養培地としては、基本的に前述
の毛状根培養培地と同様であり、窒素化合物以外の無機
成分および炭素源を含むが、これに配合する窒素源を特
定のものとする。すなわち、窒素源は、総窒素濃度が毛
状根の生育に適している範囲のもとで、総窒素の中に占
めるアンモニア態窒素のモル比(アンモニア態窒素/総
窒素)が0.08以下、好ましくは0.0001〜0.
04、かつ、培地中のアンモニア態窒素量が1mM以下
、好ましくは0.001〜0.5mMとなるように培地
に配合される。また、上記無機成分、炭素源、窒素源に
加え、培地中にはビタミン類、アミノ酸類等の他の成分
を含有せしめることができる。 【0033】アンモニア態窒素およびアンモニア態窒素
以外の窒素源としては、植物器管培養或いは植物組織培
養で通常用いられるものが利用できる。例えば、アンモ
ニア態窒素化合物として硝酸アンモニウム、リン酸2水
素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム
などが挙げられ、アンモニウム態窒素化合物以外の窒素
化合物としては、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸
ナトリウムなどが挙げられる。 【0034】上記培地中の窒素以外の無機成分としては
、亜鉛、鉄、銅、モリブデン、ホウ素、リン、コバルト
、カリウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、マン
ガン、塩素、ナトリウム、ヨウ素等があり、具体的には
、硫酸亜鉛、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、エチレンジアミ
ン4酢酸鉄、硫酸銅、モリブデン酸、モリブデン酸ナト
リウム、ホウ酸、リン酸、リン酸1ナトリウム、リン酸
カリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、
塩化コバルト、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マ
グネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン、ヨウ化カ
リウム等が例示される。 【0035】また炭素源には、ショ糖および他の炭水化
物、その誘導体、脂肪酸等の有機酸、エタノール等の1
級アルコール等が例示される。ビタミン類には、ビオチ
ン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミ
ンB6)、パントテン酸、アスコルビン酸(ビタミンC
)、イノシトール、ニコチン酸等が例示される。 【0036】アミノ酸類には、グリシン、アラニン、グ
ルタミン、システイン等が例示される。この他に、ビタ
ミン、ホルモン等が含まれると言われている天然物、例
えばココナッツミルク、酵母エキス等も用いることがで
きる。 【0037】毛状根と線虫との共存培養において、培地
中の成分の濃度は広い範囲で変えることができる。通常
は、無機成分を約0.1μM〜約100mM程度、炭素
源を約1g/l〜120g/l程度、さらにビタミン類
を、約0.1mg/l〜約100mg/l程度とするこ
とができる。 【0038】毛状根と線虫との共存培養では、試験管か
らタンクに至る種々の培養装置を用いることができる。 【0039】上記培地を用いて毛状根と線虫を共存培養
するために、毛状根に線虫の接種を行なう。接種する線
虫は2期幼虫または卵が通常用いられるが、他の物質と
の混合物の状態や、根または毛状根に寄生している幼虫
または成虫をそのまま分離せずに接種源として用いるこ
とも可能である。 【0040】毛状根への線虫の接種方法としては、接種
源とする線虫材料を水、緩衝液等の液体、またはケイソ
ウ土等の粉体、粒状体、セルロース等の繊維質に懸濁し
、接種する方法が用いられる。 【0041】本発明の毛状根で線虫を培養する方法にお
いて、培養温度は約15℃〜約35℃、特に約20℃〜
約30℃が好適である。約15℃未満では毛状根および
線虫の生育速度が小さく、約35℃を越えても同様に毛
状根および線虫の生育速度が小さくなるからである。 【0042】 【発明の効果】本発明によれば、毛状根で植物寄生性線
虫を培養するに際し、培地のアンモニア態窒素源量を管
理することにより、種々の毛状根で多種多様の植物寄生
性線虫を効率的かつ純粋に培養できるので、植物寄生性
線虫の培養方法として極めて効果的である。 【0043】 【実施例】(1) 毛状根の調製 表1に示す植物の種子を次亜塩素酸ナトリウム溶液で滅
菌したのち、ショ糖を3%含有するムラシゲ・スクーグ
(MS−3と略す)の固型培地上に播種し、発芽した無
菌植物の茎、葉部等にアグロバクテリウム・リゾジェネ
ス(NIAES No.1724)菌を接種した。 【0044】5週間後に接種部位から発生した毛状根を
切り取り、クラホラン0.5g/lを含むMS−3の固
型培地上に移植し、2週間で同じ組成の新しい培地に移
植した。3回この操作を繰り返して、除菌された毛状根
を得た。表1に示した全ての種類について毛状根が得ら
れた。 【0045】 【表1】       【0046】(2) 植物寄生性線虫の分
離および滅菌 植物寄生性線虫は関東地方(主に神奈川県、埼玉県、茨
城県)の圃場の中から線虫害にあっていると思われる圃
場をいくつか選び、その圃場内から植物を抜き取り、ゴ
ール形成の有無、シスト付着の有無をその場で調べ、ゴ
ール形成、シスト付着の認められた植物はその根と根の
周辺の土壌を持ち帰り、分離・同定に供試した。その際
、栽培形態、対象植物は限定せず、野草も対象とした。 【0047】根の組織内に定着している線虫(ネコブセ
ンチュウの雌成虫等)、或いは組織外に定着している線
虫(シストセンチュウの雌成虫或いはシスト)は実体顕
微鏡下で分離した後、同定に供した。ゴールを作り組織
内に定着している線虫については以下のように会陰紋(
perineal pattern)の形態で同定した
。 【0048】ゴールの見られた根を水洗した後、ピンセ
ットと解剖針を使い雌成虫を10〜20頭取り出した。 得られた雌成虫の体後半部を切断し、内臓を取り除き、
後半部の表皮を水中で広げ、会陰紋周辺を残してメスで
切除した。このようにして得られた会陰紋周辺部はスラ
イドグラス上の50%乳酸中で広げ、カバーグラスをか
けて光学顕微鏡で観察・同定した。 【0049】組織外にシストを形成して定着しているシ
ストセンチュウは寄主範囲が狭いので、寄主植物を明ら
かにして、種名の目安をつけ、卵より孵化した2期幼虫
および雌・雄成虫の各部形態の計測と分類形質の観察に
より同定した。このようにして得られた線虫の種類を表
2に示した。 【0050】 【表2】 記号                線    虫 
   名                     
          a    Meloidogyn
e incognita  (サツマイモ  ネコブセ
ンチュウ) b    Meloidogyne ha
pla  (キタ  ネコブセンチュウ) c    
Meloidogyne arenaria  (アレ
ナリア  ネコブセンチュウ) d    Heter
odera trifolii  (クローバー  シ
ストセンチュウ) e    Heterodera 
glycines  (ダイズ  シストセンチュウ)
 f    Globodera hypolisi 
 (ヨモギ  シストセンチュウ)         
  【0051】(3) 総窒素に対するアンモニア態窒素
の割合が線虫の増殖におよぼす影響 ガンボークB5培地から窒素化合物を除いたものを基本
培地とし、これにアンモニア態窒素化合物(硫酸アンモ
ニウム)濃度およびアンモニア態窒素化合物(硝酸カリ
ウム)以外の窒素化合物濃度を表3〜表9に示すように
種々変えて、線虫を培養する培地を調製した。 【0052】(1)で得られた毛状根をあらかじめ1〜
2週間培養しておき、十分成長したところで、表3〜表
9で示した培地に移植した。次に(2)で得られた線虫
の卵から孵化させた2期幼虫(以下単に幼虫と呼ぶ)を
以下に示す方法で表面殺菌し、約100頭ずつを約0.
5mlの水に懸濁した状態で毛状根を含む前記培地に接
種した。 【0053】幼虫の表面殺菌は次のように行なった。ま
ず、卵より孵化したばかりの幼虫を遠沈管にとり、20
00rpmで2分遠心し、遠心管の底にたまった幼虫を
ピペットで時計皿に移す。0.5%メルチオレートで3
時間処理後、0.5%硫酸ストレプトマイシンで30分
処理し、その後滅菌水で3回洗浄した。 【0054】以上のようにして表面殺菌した幼虫を前記
培地に接種し、25℃で40〜50日間程度培養した。 培養後に、ネコブセンチュウの場合は、最初に接種した
幼虫の数に対する卵嚢を持つ雌成虫の割合を百分率で表
し、これを卵嚢形成率とした。 【0055】次に、卵嚢は0.5%アンチホルミンで溶
かして卵数を数えた。培地中に遊出してきた幼虫は、ま
ず培地を電子レンジで溶かして100mlに希釈し、そ
の内の5mlを取って幼虫数をカウントし、培地中に遊
出してきた次世代全幼虫数を推計した。この次世代幼虫
数と卵数を雌成虫(一世代目)1頭当たりの数で表し、
この両者を培養効率の指標とし、結果を表3〜表7に示
した。すなわち、卵嚢を持つ雌の数が多く、かつ雌1頭
当たりの幼虫の数が多いほど培養効率が高いことになる
。 【0056】一方、シストセンチュウの場合は、最初に
接種した幼虫の数に対して形成されたシストの割合を百
分率で表し、これをシスト形成率として培養効率の指標
とし、結果を表8および表9に示した。すなわちシスト
の数が多いほど培養効率が高いことになる。培養中の総
窒素量を一定にした場合、雌成虫形成率がアンモニア態
窒素/総窒素の割合およびアンモニア態窒素の濃度変化
に伴ない変化することが認められた。 【0057】すなわち、ネコブセンチュウに関しては表
3〜表7に示したように、得られた毛状根のうち、前記
線虫が寄生しうる全ての毛状根において、総窒素に対す
るアンモニア態窒素のモル比が0〜0.8、かつアンモ
ニア態窒素濃度が1mM以下で、35%以上の雌成虫形
成率に達し、次世代の幼虫の数も1頭の雌あたり300
頭以上に達することが明らかとなった。また、シストセ
ンチュウの場合も前記条件下において少ないもので25
%以上、多いものだと50%以上のシスト形成率に達し
、得られた卵からは孵化促進物質存在下で2世代目の幼
虫が次々と孵化してくることが明らかとなった。 【0058】以上の結果は、アンモニア態窒素/総窒素
のモル比が0〜0.08かつアンモニア態窒素濃度が1
mM以下であれば、得られた毛状根の中で、実験に供し
たそれぞれの線虫の宿主となりうる全ての植物より得ら
れた毛状根において、卵嚢形成率およびシスト形成率は
高く維持され、同時に多くの2世代目の幼虫が孵化して
くることを示している。したがって、従来から報告のあ
った毛状根と線虫の組み合わせだけでなく、それ以外の
線虫と植物の他の組み合わせでも、効率よく植物寄生性
線虫が純粋に培養できるものである。 【0059】 【表3】 【0060】 【表4】 【0061】 【表5】 【0062】 【表6】 【0063】 【表7】 【0064】 【表8】 【0065】 【表9】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  毛状根で植物寄生性線虫を培養する方
    法において、培地中の総窒素に対するアンニア態窒素の
    モル比が0.08以下、かつアンモニア態窒素濃度が1
    mM以下であることを特徴とする植物寄生性線虫の培養
    方法。
JP3363191A 1991-02-01 1991-02-01 植物寄生性線虫の培養方法 Pending JPH04248942A (ja)

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JP3363191A Pending JPH04248942A (ja) 1991-02-01 1991-02-01 植物寄生性線虫の培養方法

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JP (1) JPH04248942A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102696554A (zh) * 2012-05-14 2012-10-03 华南农业大学 一种利用胡萝卜愈伤组织培养水稻干尖线虫的方法
CN102972355A (zh) * 2012-12-05 2013-03-20 华南农业大学 利用甘薯愈伤组织繁殖培养和保存植物寄生线虫的方法
CN103004592A (zh) * 2012-12-10 2013-04-03 华南农业大学 一种利用胡萝卜愈伤组织繁殖和培养保存针线虫的方法
CN105052838A (zh) * 2015-08-14 2015-11-18 李阳 一种自由生活海洋线虫分离与培养的方法
KR20200077122A (ko) * 2018-12-20 2020-06-30 오헌식 이산화탄소 또는 암모니아를 이용한 곤충병원성 선충의 감염태 유도방법

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