JPH04244311A - 三段ウエブテーパドリル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、三段ウエブテーパドリ
ルに係り、特に、小径で高アスペクト比のドリル穴あけ
加工に好適なドリル形状を有する三段ウエブテーパドリ
ルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】通常、穴あけ用ツイストドリルにおいて
は、ウエブ厚さを先端から根元にかけて一様に増加する
形状にすることによって根元部分における強度を高くす
る。しかし、この形状では根元部分における刃溝断面積
が小さくなるため、切り屑排出性が悪くなり深穴加工に
は適さないという問題がある。これに対して、深穴加工
用のドリルとして、例えば実公昭６０−１２６４８号公
報記載の「深穴加工用ツイストドリル」に開示されてい
るように、ドリル芯厚を平行芯厚にするものがある。ま
た、実開昭６２−１７８０１１号公報記載の「プリント
配線基板用小径ドリル」ならびに特開昭６２−２１３９
１０号公報記載の「ドリル」に開示されているように、
ドリル先端刃溝部とそれよりも後方にある刃溝部分のウ
エブテーパ量を、先端刃溝部側のウエブテーパ勾配が大
きくなるように途中で変化させるものなどがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のドリル
は、前述のウエブ厚さを先端から根本にかけて一様に増
加する一様ウエブテーパドリルに比べると、ドリル根元
側での刃溝断面積を大きくとることができるため、切り
屑排出性に優れており、また、ドリル先端刃溝部のウエ
ブテーパが大きいため、従来の一様ウエブテーパドリル
において先端芯厚を同じにしたものに比べると、先端刃
溝部の捩り強度は高くなるという利点がある。したがっ
て、比較的小さい切り込み量のステップフィード加工を
行なうような場合には好適である。しかしながら、根元
部分での芯厚が一様テーパのドリルに比べて小さいこと
から、根元部分の捩り強度が低く、かつ曲げ剛性も小さ
いため大きい切り込み量でのステップフィード加工や、
アスペクトの大きい穴あけには適さないという問題があ
った。

【０００４】ところで、プリント基板に用いられる有機
材料の中でも誘電率の低いものは、従来のエポキシ樹脂
などに比べて脆いため、スルーホール加工時に内壁にク
ラック荒れが発生しやすい。これを防止するためには、
ドリル芯厚を非常に小さくして切削力を低減する必要が
あるが、ドリル強度が低下するため、ドリル折れ、加工
穴の曲がりなどの問題が生じる。また、ドリル強度上、
大きい切り込み量でのステップフィード加工ができない
ため、スループット（一定時間内の材料処理量）が低い
などの問題がある。本発明は、このような背景のもとに
生まれたものである。

【０００５】本発明の目的は、上記従来技術の欠点をな
くし、捩り強度ならびに曲げ剛性が高く、かつ、切り屑
詰りを防止できるドリル形状を与える三段ウエブテーパ
ドリルを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る三段ウエブテーパドリルの構成は、ド
リル先端刃溝部分のウエブ形状を、先端から根元方向に
向かって一様にその厚さが増加するテーパウエブとし、
それに続くドリルの中間刃溝部分のウエブ形状を、その
厚さが一定である平行ウエブとし、さらに当該平行ウエ
ブ部分に続きドリルの根元に至るまでの刃溝部分のウエ
ブを、根元に向かってその厚さが一様に増加するテーパ
ウエブとしたものである。

【０００７】なお、より具体的に述べれば次のとおりで
ある。ドリル先端刃溝部分のウエブを、先端から根元に
向かってその厚さが一様に増加するテーパウエブとし、
それに続く中間刃溝部分のウエブをその厚さが一定であ
る平行ウエブにする。さらにこの平行ウエブ部分に続き
、ドリルの切れ刃根元に至るまでの根元刃溝部分のウエ
ブを根元に向かってその厚さが一様に増加するテーパウ
エブとする。そして、ドリル先端から平行ウエブ部分が
終る所までの長さを、ドリル切れ刃直径の少なくとも５
倍以上にすることによって、生成された切り屑を圧縮せ
ずにその内部に保持するのに充分なだけの刃溝容積を確
保する。これにより、捩り強度および曲げ剛性の両方が
高くでき、しかも切り屑詰りも防止できることから、小
径・高アスペクト比の穴を、大きい切り込み量でステッ
プフィード加工することが可能になる。

【０００８】

【作用】上記技術的手段による働きを、図１を参照して
説明する。図１は、本発明の一実施例に係る三段ウエブ
テーパドリルのドリル形状を示す説明図である。図１に
おいて、１はドリル、２は先端刃溝部のテーパウエブ、
３は中間刃溝部の平行ウエブ、４は根元刃溝部のテーパ
ウエブ、５はシャンクをそれぞれ表わしている。また、
ｄはドリル直径、ｔ０は先端芯厚、ｔ１は中間刃溝部の
芯厚、ｔ２は根元での芯厚を表わし、ｌ０はテーパウエ
ブ２の長さ、ｌ１は先端から平行ウエブ３の終点までの
長さ、ｌは切れ刃部全長をそれぞれ表わしている。一般
に、先端芯厚ｔ０は穴あけ時のスラスト力を小さくする
ため充分小さくとる。次に、先端刃溝部のウエブ（２）
のテーパを大きくすることで、ドリル先端芯厚ｔ０を小
さくしたことによる強度低下を回避し、ステップフィー
ド加工時の実切削力に対する強度マージンを大きくする
ことが可能になる。次に、それに続く中間刃溝部分のウ
エブ（３）を平行にし、かつその長さを適切に選ぶこと
で切り屑詰りを防止するとともに、先端からｌ１の長さ
の所までの実質強度を高くすることができる。

【０００９】しかしながら、そのまま根元まで平行ウエ
ブにすると根元での捩り強度が小さくなり、かつ、ドリ
ル全体の曲げ剛性が小さくなるので、根元刃溝部のウエ
ブをテーパウエブ（４）にすることで、ドリルの曲げ剛
性と根元部分の捩り強度を高くすることができる。この
際、ｌ１の長さをドリル直径ｄの少なくとも５倍以上に
することで、ステップフィード加工時に生成される切り
屑を先端からｌ１の距離までの刃溝部分に蓄えることが
可能になり、根元刃溝部分をテーパウエブにしたために
根元での刃溝断面積が減少したことによる切り屑排出性
の低下を防止できる。

【００１０】

【実施例】次に、本発明の一実施例を図１ないし図７お
よび表１を参照して説明する。まず、表１は、本発明を
、直径０．３ｍｍおよび０．４ｍｍのツイストドリルに
対して適用した場合の、ドリル寸法諸元を示したもので
ある。

【表１】 ここで、従来ドリルの形状を示すと、図２および図３の
ようになる。図２は、従来の一様ウエブテーパドリルの
形状を示す説明図、図３は、従来の二段ウエブテーパド
リルの形状を示す説明図、図４は、従来ドリルの破断強
度を示す線図である。図中、各部の符号は、図１に対応
させている。図２に示す６は一様テーパウエブを表わし
、図３に示す７は並行ウエブを表わしている。これらの
従来ドリルの形状において、本実施例によるドリルと形
状的に対応する部分の寸法は、表１に示した数値と同様
にした。

【００１１】具体的には、直径ｄ＝０．３ｍｍ、ドリル
先端芯厚ｔ０＝０．０６ｍｍ、芯厚ｔ１＝０．１ｍｍお
よびｔ２＝０．２２ｍｍ、ｌ０＝１．０ｍｍ、ｌ＝５．
０ｍｍとした。このときのドリルの破断強度は図４に示
すようになる。図４は、横軸に先端からの距離（ｍｍ）
、縦軸に破断トルク（Ｎ・ｃｍ）をとり、８は図２に示
した一様テーパドリルの捩り強度分布、９は図３に示し
た二段ウエブテーパドリルの捩り強度分布をそれぞれ表
わしている。図４の破断トルクの線８で分かるように、
一様テーパウエブでは根元の強度は高いが、先端部の強
度は二段テーパドリルに比べて低い。また、図４の破断
トルクの線９で分かるように二段テーパドリルでは、先
端部の強度は一様ウエブテーパドリルに比べて大きくす
ることができるが、根元部分の強度はかえって低くなる
。そこで、本発明による図１の形状を採用することでド
リル強度を向上することができる。

【００１２】図５は、寸法を表１の０．３ｍｍ直径の例
のようにとったときの、本実施例によるドリル強度分布
を示す線図である。図５において、１０は捩り強度分布
を表わす破断トルクの線である。図５から明らかなよう
に二種類の従来ドリルのそれぞれよりも刃長ｌの全域に
わたって強度的に高いドリルが得られている。ここで、
通常の一様増加のウエブテーパを持つツイストドリルに
よる穴加工においては、穴直径とウエブテーパの値によ
っても異なるが、アスペクト比がおよそ５を超えると切
り屑がほとんど排出されなくなる傾向があることが経験
的に知られている。いいかえれば、ドリル直径の５倍程
度の距離までは切り屑は刃溝内を移動するが、それを超
えると移動しなくなり切り屑の刃溝内への充填と圧縮が
始まる。したがって、先端から平行ウエブ終端までの長
さｌ１は穴が深くなったときに切り屑を圧縮せずに刃溝
内部に蓄えるという意味から、少なくともドリル径の５
倍以上は必要である。この実施例では直径のおよそ６倍
としている。

【００１３】さらに、ウエブの形状を図１のようにした
ことにより、従来ドリルに比べて下記のように曲げ剛性
も改善されるという付随効果もある。図６は、各種ドリ
ルウエブ形状と曲げ剛性との関係を示す説明図である。 すなわち、図６は、芯厚ｔおよび刃長ｌを前述のように
とったときの測定結果で、１１は、図２の一様テーパド
リルの曲げ剛性、１２は、図３の二段テーパドリルの曲
げ剛性、１３は、表１に示した直径０．３ｍｍの本実施
例ドリルの曲げ剛性を表わしている。このように、図１
に示す三段ウエブテーパドリルの曲げ剛性が最も良い。

【００１４】図７は、直径０．４ｍｍの各種ドリルの破
断トルクを比較して示した線図である。本実験に用いた
ドリルの寸法諸元は表１に示したとおりである。図７に
おいて、一点鎖線に示す１４は、従来の一様ウエブテー
パドリルの強度分布、破線に示す１５は、従来の二段ウ
エブテーパドリルの強度分布を示している。また、実線
に示す１６は、本実施例の三段ウエブテーパドリルの強
度分布を表わしている。図７から明らかなように、本実
施例によるドリルの方が刃長ｌの全域にわたって高い捩
り強度分布が得られている。

【００１５】本実施例によれば、従来形状のドリルに比
べて切り屑排出性を低下させることなく、小径深穴加工
時の切削力に対するドリルの強度マージンを大きくとる
ことができ、さらに曲げ剛性も大きくすることが可能に
なることから、ドリルの折損防止と加工穴の曲がりを低
減できるという効果がある。

【００１６】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、捩り強度ならびに曲げ剛性が高く、かつ、切り屑
詰りを防止しうるドリル形状を与える三段ウエブテーパ
ドリルを提供することができる。

【００１７】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る三段ウエブテーパドリ
ルのドリル形状を示す説明図である。

【図２】従来の一様ウエブテーパドリルの形状を示す説
明図である。

【図３】従来の二段ウエブテーパドリルの形状を示す説
明図

【図４】従来ドリルの破断強度を示す線図である。

【図５】寸法を表１の０．３ｍｍ直径の例のようにとっ
たときの、本実施例によるドリル強度分布を示す線図で
ある。

【図６】各種ドリルウエブ形状と曲げ剛性との関係を示
す説明図である。

【図７】直径０．４ｍｍの各種ドリルの破断トルクを比
較して示した線図である。

【符号の説明】

１　　ドリル ２　　刃先先端のテーパウエブ ３　　中間刃溝部の平行ウエブ ４　　根元刃溝部のテーパウエブ ｌ１　　先端から平行ウエブの終点までの長さｄ　　ド
リル直径

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　ドリル先端刃溝部分のウエブ形状を、
   先端から根元方向に向かって一様にその厚さが増加する
   テーパウエブとし、それに続くドリルの中間刃溝部分の
   ウエブ形状を、その厚さが一定である平行ウエブとし、
   さらに当該平行ウエブ部分に続きドリルの根元に至るま
   での刃溝部分のウエブを、根元に向かってその厚さが一
   様に増加するテーパウエブとしたことを特徴とする三段
   ウエブテーパドリル。
2. 【請求項２】　　ドリル先端から中間刃溝部分の平行ウ
   ェブ部終端までのドリル刃長を、ドリル直径の５倍以上
   にしたことを特徴とする請求項１記載の三段ウエブテー
   パドリル。