JPH0423943Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はダムなどの水を農業用や工業用水とし
て使用する取水装置の漏水防止構造に関する。

〔従来の技術〕

従来、ダムなどに設置されている取水装置は、
取水される水位が季節や水の利用状況によつて変
化し、また利用の目的によつては表面取水または
選択取水が行なわれるので、呑口部を昇降させて
水位の変化などに対応するようにされている。こ
の呑口部を昇降させる方法としては、水面下に垂
直に設置されている取水管を伸縮自在な構造と
し、呑口部に取付けたフロートの浮力や巻上機に
よつて取水管を伸縮させながら呑口部を昇降させ
ている。

第３図〜第７図は、前記目的のために使用され
る取水装置の従来例である。第３図において取水
装置５１は、堤体５２の底部を貫通する導水管５
３の上流側に、堤体５２に沿つて導水接続管５４
が設けられ、この導水接続管５４の上部に断面を
アーチ状に形成し伸縮自在とした取水管５５が設
けられている。なお６２は呑口部である。この取
水管５５は、第４図および第５図に示すごとく半
円形状に組立てられた複数の骨組５６を、堤体５
２の壁面に沿つて平行に取り付けられた案内レー
ル５７に跨張し、前記骨組５６の外周側にゴム引
布シートなどの可撓性を有する材料を伸縮自在な
るように蛇腹状に曲成した外管５８を展張したも
のである。また案内レール５７は、第６図および
第７図例に示すごとく、堤体５２に固定された基
部金物５９上に取付けられ、Ｃ形状の角溝６０を
有し、この角溝６０内に前記骨組５６の両端に取
付けられたローラ６１が回動自在に咬合されてい
る。

このようにしてダムの水位６３の変化に対応し
て巻上機６４を作動させて呑口部６２を昇降させ
ると、取水管５５は案内レール５７に案内されな
がら伸縮し、呑口部６２よりダムの表面取水を行
うものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

以上のごとく取水装置５１は、取水管５５が上
流側に対してアーチ状に形成され、また堤体５２
によつて取水管５５が支持案内されているので、
水理性および安定性がよく、構造も簡単であるう
えに伸縮性に富んでいるので、高範囲の水位の変
化に対応できるという利点を有している。

しかしながらこのような取水装置１において
は、第６図および第７図に示すように取水管５５
が縮退した場合に、蛇腹状に曲成した外管５８が
内方に折込むので、その折込んだ先端部６５が案
内レール５７の端面から突出して、この先端部６
５に外管５８の内外を連通する連通部６６が形成
される。従つて表面取水を行う場合に、この連通
部６６から漏水してダム底部６６から冷水を吸込
み、取水温度が変化するという欠点があつた。

本発明は上記の欠点を解消した取水装置の漏水
防止構造を提供する。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は断面をアーチ状とした取水管を縦方向
に伸縮自在となるよう蛇腹状に形成し、該取水管
の縦方向の端部を堤体壁面に沿つて設けた案内レ
ールに摺動自在に取付けた取水装置において、前
記案内レールに取水管の端部を密封する当接板を
取付けたことを特徴とするものである。

〔作用〕

以上のごとく構成されており、ダムの水位の変
化に応じて取水管の呑口部を昇降させると、取水
管は案内レールに案内されながら上下方向に伸縮
する。この場合取水管の端部は案内レールに取付
けた当接板に当接されており、密封されながら当
接板上を摺動して伸縮する。このようにして取水
管と案内レールとの間において水が連通すること
なく、漏水が防止されるものである。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を図面に従つて説明す
る。

第１図は漏水防止構造を示す水平断面図、第２
図は第１図の縦断面図である。

１は案内レールであり、堤体２に固定された基
部金物３上に取付けられ、Ｃ形状の角溝４が設け
られ、取水管５を構成する骨組６の端部に取付け
られたローラ７が、回動自在に咬合わされてい
る。また前記案内レール１の取水管５に相対する
面８は、取水管５の端部の当接面を形成し、この
当接面８の内管側延長に、所定の幅を有し当接面
８と同一面をなす当接板９が取付けられている。
１０は取水管５の外管であり、可撓性を有する材
料、例えばゴム引布シートにて作られ、半形状を
なす骨組６の外周側に伸縮自在となるように蛇腹
状に形成されて展張されており、案内レール１に
対する端部１１は、前記当接面８に対して密封し
ながら摺動するように当接されており、その他の
構造は前記した従来例の取水装置５１と同じであ
る。

以上のごとく構成されているので、ダムの水位
の変化に対応して取水管５が伸縮し、この伸縮に
ともない外管１０の折込んだ先端部１２は取水管
５の内外方向に屈伸するが、この場合、案内レー
ル１側の当接面８が当接板９が取付けられている
ので充分な幅を有し、従つて先端部において外管
１０の内外を連通する連通部が形成されることは
ない。

〔考案の効果〕

以上説明したごとく本考案は、取水管が伸縮し
た場合取水管の折込んだ先端部が内外方向に屈伸
しても、案内レール側の当接面は充分な幅を有す
るので、先端部において取水管の内外を連通する
連通部が形成されることはなく、取水管の漏水は
防止されるので、ダム底部の冷水を吸込み取水温
度が変化するという不具合は解消される。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は実施例であり、第１図は
漏水防止構造を示す水平断面図、第２図は第１図
縦断面図、第３図〜第７図は従来例であり、第３
図は取水装置全体の構成を示す縦断面図、第４図
は取水管の構造を示す部分縦断面図、第５図は取
水管の骨組図、第６図は案内レールと取水管との
取合いを示す水平断面図、第７図は第６図の縦断
面図である。 １……案内レール、２……堤体、５……取水
管、８……当接面、９……当接板、１０……取水
管の外管、１１……取水管の端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断面をアーチ状とした取水管を縦方向に伸縮自
   在となるよう蛇腹状に形成し、該取水管の縦方向
   の端部を堤体壁面に沿つて設けた案内レールに摺
   動自在に取付けた取水装置において、前記案内レ
   ールに取水管の端部を密封する当接板を取付けた
   ことを特徴とする取水装置の漏水防止構造。