JPH0421838Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

［技術の分野］ 本考案はタフテツドカーペツト用一次基布に係
り、特に織基布の欠点である糸のホツレ及び、基
布の目ズレの防止された該基布に関するものであ
る。 ［従来の技術］ 現在タフテツドカーペツト用一次基布として
は、圧倒的にポリプロピレンテープヤーンの織物
が主体であるが、用途によつてポリプロピレン製
織物に合繊綿等をニードルパンチしたもの及び、
スパンボンド法により製造されたポリプロピレン
或は、ポリエステル不織布が使用されている。こ
れらの基布にタフテイングマシンを用いて、表面
糸（パイルヤーンという）を毛房状に刺し通して
いわゆるパイル地を作り、このパイル地を裏貼り
固定することでタフテツドカーペツトは製造され
る。タフテツドカーペツトはパイル地を作る過程
にてパイルをループ状のまま残す場合と、ループ
先端をカツトして開く場合とがあり、各々ループ
タイプ及びカツトタイプと呼ばれている。又近年
のタフト技術の進歩から両者の他いろんな組合せ
によるカーペツトが作られている。タフトによつ
て基布にパイルが植え付けられたパイル地を生機
と称している。次にパイル素材及び製品の展開に
よつて方法は異なるが染色工程がある。あらかじ
めパイル素材として染められたものをタフトする
場合先染と称し、生機の状態から要求色に染める
ものを後染と称している。後染の中でも方法によ
つて２つに分類される。バツチ式にてある長さで
処理されるものを反染と称し、連続して生機を染
めていくものを連続染色と称している。以上のよ
うに後染めするものについては、いずれかの方法
にて染色を行つた後、生機の裏面をかくし、他に
厚さをつけてカーペツトの価値を上げるため裏貼
りをする。この裏貼り用の材料は二次基布と呼ば
れ先の一次基布とは区別される。二次基布として
はジユート布、各種合繊布が用いられる。又、発
砲ゴムやウレタン樹脂等を用いて、パイル固定の
接着と裏貼り基布とを兼用する場合もある。 一般にタフトにおける一次基布への要求品質と
して次のことが挙げられる。 ○ タフテイングニードルに対する貫通抵抗が小
さい事。 ○ 基布上の貫通抵抗値の分布が均一である事。 ○ タフテイング後裏貼りが終わるまでパイルが
基布から抜けない事。 ○ タフテイング時にシワが発生しない程度の腰
の強さを有し、かつ少々の応力や熱がかかつて
も変形しない事。 以上のような要求に対し、ポリプロピレン製織
基布は安価で、かつヤーンの太さ及び組織（経
糸、緯糸密度）を自由に変えて、対応出来る事に
より圧倒的に使用されている。更には、テープを
発泡ヤーン、スプリツトヤーン、エンボスヤーン
にする事によつて品位を高めている。 前述したように、タフテツドカーペツト仕上げ
の高度化、及び用途展開によつて一次基布には更
に次の機能が求められる。 １ 仕上がつたカーペツトをハサミ等で切つたと
き、基布のヤーンがホツレを生じない事。 ２ 柄物のタフト、及び染色において、バイアス
方向への基布の歪（目ズレ）が生じない事。 これらの要求に、ポリプロピレン製織基布単体
で対処することは非常に難しい。先に記述した、
ポリプロピレン製織物に合繊綿等をニードルパン
チしたものが、現状では最も望ましいものである
が、価格としても高価なものとなり一般的な展開
としても難しい。ポリプロピレン及びポリエステ
ル製不織布を使用する事によつて形状的には充分
満たされるが、不織布の欠点としては次のような
問題がある。 １ タフト時点での基布の巾縮みが大きい。 ２ 貫通抵抗大 ３ 基布の伸びが大きい：加工上の乾燥処理工程
及びカーペツト施工後、重歩行に対して伸びが
発生しフレアー（波打つたようにベコベコとな
る）となる。 ［考案の目的］ そこで本考案は、ポリプロピレン製織基布の特
徴を生かしながら、上記、ホツレ及び目ズレを防
止する目的で考案したものである。 即ち具体的には、 １ ポリプロピレンヤーンを製織しこのものをニ
チレン酢酸ビニール共重合樹脂エマルジヨン、
及びニチレン酢酸ビニールアクリル共重合樹脂
エマルジヨンなどのいわゆるバインダー材にて
コーテイングセツトする。 １について実施例及び図面により詳しく記述
し、前述の機能との関係を明らかにする。 実施例 １ ポリプロピレン製織基布（第１図）と、それに
前述の１）の処理を施したものを織基布２品種に
ついて比較した、織基布水準及び各々の機能（ホ
ツレ、目ズレ）は表−１の通りである。第１図に
おいて１は経、２は緯であり、３はコーテイング
層である。また、第１図においてＡは平面外観
図、Ｂは緯に直角方向に切断した断面外観図であ
る。 表−１から次の事が解る。 １ ホツレ 現在使用される表−１−１の一次基布に対し、
コーテイングセツトした−２のものが、数値的に
は２倍のホツレ難度を示している。 ２ 目ズレ 独自の測定法で評価しているが、織目のずれ難
くさ、曲がり難くさでは大きな差がでている。

【表】 ＊１ 測定方法 JIS L1096 ６，21，２糸引き抜き法Ａ法に準
じた。（第２図参照） ○ サンプル 14cm×４cm巾 ○ チヤツク間 ６cm ○ 引張スピード 200mm／min ○ 引抜き本数 ４本 ＊２ 基布の歪・目ズレを一定重りに対して歪ん
だ寸法で表わした。 ○ サンプル 15cm×15cm ○ 基布８をバイアス方向に上下を第３図のよ
うにつかみ（300）ｇの重り６を下げる。 ○ １分後の歪 ％ ＊３ フト性改善の為、界面活性剤（２％）を塗
布した一般に使用されている一次基布。 ＊４ 界面活性剤２％、エチレン酢酸ビニール−
アクリル共重合樹脂エマルジヨンを５％濃度の
水溶液とし、織基布をドブ漬、乾燥。 実施例 ２ 実施例１の各々の基布にタフトを行い、生機で
の歪（目ズレ）を測定した。 各々の機能は表−２の通りである。 表−２から次のような事が解る。 １ 生機の目ズレ……タフト後の生機においても
コーテイングセツト品の目ズレが改良されてい
る。 ２ タフト性……コーテイング材によつて貫通抵
抗値は上昇するが問題のない範囲である。

【表】

【表】 実施例 ３ 実施例３は、実施例１，２が５％コーテイング
濃度で代表したのに対し、コーテイング濃度２〜
20％の範囲について評価したものである。表−３
から解るように、濃度が上がる程コーテイング層
がタフトに与える影響は大きくなつている。反
面、ホツレ度（目ズレ）は良くなつている。従つ
て、前述の不織布の抵抗値が高いという事から、
一応不織布のレベル迄の評価としたが、抵抗値は
タフトでのパイル仕上がり（タフト性）から判断
すると上記濃度範囲は２〜20％迄可能である。

【表】

【表】 【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の、カーペツト用一次基布の
外観図及び断面図であり、第２，３図は本考案の
実施例の測定方法に係る説明図である。 これら各図において、 １……経、２……緯、３……コーテイング層、
５……切れたヤーン、６……重り、７……経引抜
き部分、８……基布。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポリプロピレンテープヤーンで織られた、タフ
   テツドカーペツト用一次基布にバインダー材をコ
   ーテイングしてなる固定されたカーペツト用一次
   基布。