JPH04216057A - インクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、記録手段から被記録材
へインクを吐出させて記録を行なうインクジェット記録
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】コンピューターやワードプロセッサ等と
併用されたり、あるいは単独に使用されるプリンタ、複
写機、ファクシミリ等の記録装置は、用紙やプラスチッ
ク薄板等のシート状の被記録材を給紙搬送するとともに
、画像情報に基づいて該被記録材に画像を記録していく
ように構成されている。前記記録装置は、記録方式によ
り、インクジェット式、ワイヤドット式、サーマル式、
レーザービーム式等に分けることができる。

【０００３】そのうち、インクジェット式（インクジェ
ット記録装置）は、記録手段（記録ヘッド）から被記録
材にインクを吐出させて記録を行なうものであり、高精
細な画像を高速で記録することができ、普通紙に特別の
処理を必要とせずに記録することができ、ノンインパク
ト方式であるため騒音が少なく、しかも、多色のインク
を使用してカラー画像を記録するのが容易であるなどの
利点を有している。中でも、紙幅方向に多数の吐出口を
配列したラインタイプの記録手段を使用するライン型の
装置は、記録の一層の高速化が可能である。

【０００４】特に、インク吐出エネルギーとして熱を利
用するインクジェット式の記録手段（記録ヘッド）は、
エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロ
セスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、
液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路
配置（吐出口配置）を有するものを容易に製造すること
ができる。

【０００５】ところが、複数の吐出口を有する記録手段
（記録ヘッド）では、駆動時に吐出インクの飛翔方向に
バラツキが生じ、画像が不均一になるという解決すべき
技術的課題があった。この飛翔方向のバラツキを解決す
るためには、記録手段の製造段階で各吐出口を均一に形
成することが不可欠の要件であるが、これまでの記録手
段の製造方法では、全ての吐出口を正確に均一に作るこ
とが困難であり、均一に作るためにはかなりのコスト高
が避けられなかった。そこで、ドット打ち込みパターン
を制御するなどの画像処理によって不均一画像を解消す
る方法も行なわれている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、例え均一な吐
出口を有する記録手段を製造したとしても、連続駆動し
た場合、吐出口面がヌレルなどの理由から、時間変動に
よりインク滴の飛翔方向にバラツキが生じ、これによっ
て記録画像にヨレが発生し、不均一な画像となるという
解決すべき技術的課題があった。また、従来の画像処理
法においても、ドット打ち込みパターンの変更により、
ドットの大きさやドットの光学濃度のバラツキによる濃
度ムラを低減することが行なわれているが、このような
方法では、ヨレが激しい場合には充分に対処できなかっ
た。

【０００７】さらに、従来技術では、不良吐出口での吐
出不良による白スジ発生は防止することはできなかった
。このため、不良吐出口を含む記録ヘッドは、製品とし
て使用することはできなかった。また、前述のドット打
ち込みパターンと吐出口のヨレのパターンとの組み合わ
せによって、新たなヨレやスジが発生することもあり、
画像の不均一性を充分に解消することは困難であった。

【０００８】本発明はこのような技術的課題に鑑みてな
されたものであり、本発明の目的は、液滴飛翔方向にバ
ラツキがある吐出口や不吐出の吐出口を含んだ記録手段
を用いて記録を行なう場合でも、画像ヨレや白スジの発
生を原因とする画像の不均一性を低コストで解消するこ
とができ、安定した高品質の画像を記録することが可能
なインクジェット記録装置を提供することである。

【０００９】

【課題解決のための手段】本発明は、記録手段から被記
録材にインクを吐出させて記録を行なうインクジェット
記録装置において、記録手段と対向する被記録材の裏側
に該記録手段の吐出口配列方向に移動可能な針を設け、
前記記録手段から吐出されるインクを帯電させるととも
に前記針を該インクと逆の極性に帯電させ、前記針の位
置を所定の吐出口に対応させることにより、該所定の吐
出口からのインク滴飛翔方向を制御する構成とすること
により、液滴飛翔方向にバラツキがある吐出口や不吐出
の吐出口を含んだ記録手段を用いて記録を行なう場合で
も、画像ヨレや白スジの発生を原因とする画像の不均一
性を低コストで解消することができ、安定した高品質の
画像を記録することが可能なインクジェット記録装置を
提供するものである。

【００１０】

【実施例】図６は本発明の一実施例によるインクジェッ
ト記録装置の概略全体構成を示す模式的斜視図であり、
同図は、４個のラインタイプの記録手段を備えたカラー
記録用のライン形インクジェット記録装置の場合を示す
。

【００１１】図６において、１１および１２は、用紙や
プラスチック薄板等の被記録材１３を挟持し、該被記録
材１３を矢印Ｆの方向に所定ピッチで間欠的に紙送りす
るための搬送ローラである。１４Ｂ、１４Ｙ、１４Ｍ、
１４Ｃは、それぞれ、被記録材１３の略全幅にわたって
多数の吐出口が形成されたラインタイプの記録手段（記
録ヘッド）である。なお、以下の説明では、これらの記
録手段１４Ｂ、１４Ｙ、１４Ｍ、１４Ｃの全てを総括し
て指す場合、並びにそれらのうちの任意の一つを指す場
合は、単に記録手段（記録ヘッド）１４で示すことにす
る。

【００１２】フルカラー記録の場合は、上記４個の記録
手段１４から吐出されるインク色として、例えば、ブラ
ック、イエロー、マゼンタ、シアンが用いられ、図示の
例では、４個の記録手段１４が被記録材１３の搬送方向
Ｆの上流側から（下から）この順序で配列されている。 各記録手段（記録ヘッド）１４は、記録手段装着部１５
に位置決め装着されている。なお、記録手段１４と被記
録材１３との間の隙間は、例えば、０．３〜１．５ミリ
程度に設定される。

【００１３】１６は回復系を示し、この回復系１６は、
吐出回復処理および非記録時に、前記記録手段１４を移
動させてその前面（吐出口面）を密着させることにより
、該記録手段１４からの空吐出を受けたり、該吐出口面
を密閉してインク蒸発を防止するように構成されている
。以上により、インクジェット記録手段１４を装着する
ための記録手段装着部１５と、該記録手段装着部に装着
された記録手段１４の記録位置を通して被記録材１３を
搬送するための搬送手段１１、１２と、を備えたインク
ジェット記録装置が構成されている。

【００１４】前記記録手段（記録ヘッド）１４は、熱エ
ネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記
録手段であって、熱エネルギーを発生するための電気熱
変換体を備えたものである。また、このインクジェット
記録手段１４は、前記電気熱変換体によって印加される
熱エネルギーにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収
縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりイン
クを吐出させ、記録を行なうものである。

【００１５】図７は、図６中の記録手段１４のインク吐
出部の構造を模式的に示す部分斜視図であり、同図にお
いて、記録手段１４の基板２１上には、薄膜２３の層を
介在させて、半導体と同様の製造工程（薄膜成形法等）
によって、複数の電気熱変換体２２およびこれらに対応
する配線が形成されている。前記電気熱変換体２２は、
図示のように、各吐出口２９および液路２６に対応する
位置に配列されている。

【００１６】前記基板２１上（該基板２１上の薄膜２３
の上）には、下面に所定間隔で平行に形成された複数の
液路壁２４Ａを有する液路形成部材２４が接合されてい
る。さらに、前記液路形成部材２４の上面には、天板２
５が接合されている。前記各液路壁２４Ａの間に液路２
６が形成されるが、前記液路形成部材２４は、各液路２
６の内部の所定位置に前記各電気熱変換体２２が配置さ
れるような位置関係で位置決め接合されている。

【００１７】前記各液路壁２４Ａは所定の長さを有し、
各液路２６の後端は、前記液路形成部材２４と前記基板
２１（または薄膜２３）との間に形成される共通液室２
７に連通している。一方、各液路２６の他端（先端）は
記録手段１４の吐出口面（フェイス面）２８にて開口し
ており、それぞれの開口部によって吐出口２９が形成さ
れている。こうして、発熱抵抗体等の電気熱変換体２２
に通電（パルス電圧の印加）してこれを発熱させること
により、液路２６内のインクを膜沸騰させ、その時の圧
力変化により吐出口２９からインクを吐出させ、そのイ
ンク滴を被記録材１３へ飛翔させて記録を行なうインク
ジェット式の記録手段（記録ヘッド）１４が構成されて
いる。なお、各記録手段１４は、複数の吐出口２９の配
列方向が被記録材１３の搬送方向と交叉する姿勢で装着
部１５に装着されている。

【００１８】そこで、本発明によるインクジェット記録
装置は、記録手段１４から被記録材１３にインクを吐出
させて記録を行なうインクジェット記録装置において、
記録手段１４と対向する被記録材１３の裏側に該記録手
段の吐出口配列方向に移動可能な針を設け、前記記録手
段１４から吐出されるインクを帯電させるとともに前記
針を該インクと逆の極性に帯電させ、前記針の位置を所
定の吐出口に対応させることにより、該所定の吐出口か
らのインク滴飛翔方向を制御し、もって、被記録材１３
の記録面でのインク滴の着弾位置を制御するように構成
されている。この場合、前記インクおよび前記針の少な
くとも一方の帯電量を変化させるための電界強度変換手
段を設けることによって、インク滴の飛翔方向のバラツ
キによる着弾位置のずれ（ヨレ）を補償するように制御
することが好ましい。

【００１９】図３は、本発明により構成されたインクジ
ェット記録装置において、被記録材１３に対するインク
滴飛翔方向がヨレた吐出口を補償する状態を原理的に示
す模式図であり、図４は、飛翔インク滴を帯電させるた
めの方法を原理的に示す模式図であり、図５は、本発明
により構成されたインクジェット記録装置において、不
吐出状態の吐出口によるドット欠落を補償する状態を原
理的に示す模式図である。

【００２０】本発明によるインクジェット記録装置にお
いては、まず、ヨレを起こす吐出口２９を検知し、検知
された吐出口２９と対向する位置、すなわち、矢印Ａの
ｎ番目の吐出口２９と対向する位置へ針３７を移動させ
る。この針３７は、被記録材１３の裏面に沿って、吐出
口配列方向（紙幅方向）に移動可能に装着されている。 図示の例では、針３７は被記録材１３の裏側に設置され
たレール４１に沿って移動可能に案内支持されている。 この針３７は、帯電することによって、ヨレを起こす吐
出口２９からの飛翔インク滴を静電吸引するためのもの
である。

【００２１】前記ヨレを起こす吐出口２９を検知するた
めの装置としては、例えば、マイクロデンシトメーター
等の画像ヨレを認識できるものであれば、画像認識装置
以外のものでも使用することができ、さらに、レーザー
光等を用いて飛翔インク滴を観察する装置等を使用する
こともできる。また、針３７を複数の吐出口２９の並び
方向に移動させる手段としては、該針３７を吐出口２９
のピッチごとに移動制御することができ、かつ該吐出口
に対して一定の距離を保てるように構成された手段が使
用される。例えば、モーター等を駆動源とし、レール４
１等を用いて移動させる構成でもよい。

【００２２】吐出口２９から吐出されるインク滴は、第
４図に示すように、静電吸引が急峻にしかも精度よく行
なわれるように、予め帯電させておく。図４の例では、
液路２６の壁面を＋に帯電することにより、インク滴を
−に帯電するように構成されている。また、電界強度変
換手段４２を設けて液路２６壁面の帯電量を調節するこ
とにより、インク滴の電荷量を調節できるように構成す
るのが好ましい。インク滴吐出時には、針３７の帯電極
性と逆の極性の電荷が生じるが、この針３７には、予め
インク滴に付与されている電荷と同極性の電荷が該イン
ク滴に生じるように電荷が与えられる。その結果、ヨレ
のために近隣を飛翔中のインク滴は、被記録材１３の裏
側に位置する前記針３７に吸引され、飛翔方向を修正さ
れ、ヨレのためにインク滴が着弾しないようになった被
記録材１３上の正規の位置に寄せられて着弾する。

【００２３】なお、前記ヨレの度合いが激しい場合には
、前記電界強度変換手段４２によって、前記インク滴お
よび前記針３７の帯電量を調節し、飛翔インク滴の偏向
角度を微妙に変化させることにより着弾位置を制御する
ことができる。このようにして、インク滴の飛翔方向を
真っ直ぐに修正して、ヨレによりドットが存在しない部
分にインク滴を着弾させることにより、ドット位置の補
償、すなわち、着弾ドットの疎密の緩和を行なうことが
できる。以上のような本発明による記録装置を用いれば
、簡素な制御機構によって、画像に発生するヨレを防止
することができる。

【００２４】不吐出の吐出口２９が存在する場合にも、
図５に示すように、該不吐出の吐出口２９と対向する位
置に針３７を移動させることにより、該不吐出の吐出口
２９の近傍の吐出口（通常、左右両側の複数の吐出口）
からの飛翔インク滴を該針３７の先端に向かって吸引偏
向させ、スジ画像の緩和を図ることができる。図１は本
発明の一実施例によるインクジェット記録装置の記録部
の構造を示す模式的斜視図であり、図２は図１の吐出口
配列方向に沿った平面断面図である。なお、図１および
図２では、明瞭化のため、１個の記録手段１４のみが示
されている。

【００２５】図１および図２において、記録手段（記録
ヘッド）１４と対向する位置には、合成ゴム等のゴム状
弾性材から成るベルト状のプラテン３１が設けられてい
る。このプラテン３１は、被記録材搬送経路の両側に竪
軸配置された一対のローラ３２、３３に張架されており
、該ローラ３２、３３を回動させることにより、被記録
材１３の裏面に沿って、該被記録材１３の搬送方向と直
角の方向に移動可能である。一方、記録手段１４は固定
型の記録ヘッドであり、その吐出口面２８には被記録材
１３の搬送方向と直角の方向に多数の吐出口２９が形成
されている。

【００２６】そこで、前記プラテン３１の前記吐出口２
９と対向する位置には、針３４が埋め込まれている。こ
の針３４は、所定の極性に帯電可能なものである。また
、記録手段１４から吐出させるインクも該記録手段１４
内（例えば、液路２６内）で予め所定の極性に帯電可能
なものであり、液滴吐出時には帯電状態で被記録材１３
へ向けて飛翔する。次に、図１および図２の構成によっ
て、ヨレを引き起こす吐出口２９の補償動作について説
明する。

【００２７】ｉ）まず、ヨレを引き起こす吐出口２９の
位置を調べるために、１枚の被記録材１３を用意し、こ
れにテスト画像を記録する。この時に形成されたテスト
画像をイメージスキャナーで読み取って計算機処理を行
ない、ヨレを引き起こす吐出口２９の位置と本数を検知
する。

【００２８】ｉｉ）前記ローラ３２、３３を駆動するた
めのステップモーターを駆動し、検知された吐出口２９
に相対する位置まで針３４を移動させる。なお、ヨレを
引き起こす吐出口２９が複数個存在し、ヨレの位置が移
動針固定治具の幅以上に離れている場合には、レール上
に装着された複数本の針および移動針固定治具を使用し
てそれぞれのヨレに対応させることもできる。

【００２９】ｉｉｉ）記録装置を駆動し、前記針３４お
よび／または飛翔インク滴に所定の極性および強さの電
荷を帯電させる。

【００３０】ｉｖ）針３４が帯電している極性と逆の極
性の電荷が飛翔インク滴に発生する。

【００３１】ｖ　）飛翔インク滴が針３４に吸引されて
被記録材１３上に着弾する。

【００３２】ｖｉ）必要に応じて、前記針３４の帯電量
および／または前記飛翔インク滴の帯電量を調節するこ
とにより、飛翔インク滴の偏向量（吸引力）を調節する
。

【００３３】以上の手順で記録を行なったところ、ヨレ
のない均一な画像を記録することができた。

【００３４】図８は、本発明の別の実施例によるインク
ジェット記録装置の記録部を示す模式的斜視図であり、
同図において、記録ヘッド１４の被記録材１３搬送方向
の上流側および下流側に平面金属板から成るプラテン４
３、４４が配設されている。これらのプラテン４３、４
４は、記録ヘッド１４により記録される部分には存在し
ていない。

【００３５】被記録材１３の裏側には、該被記録材１３
の搬送方向と垂直の方向に延びるレール４５が設置され
、該レール４５には針固定治具４６が移動可能に装着さ
れており、該針固定治具４６に針（移動針）４７が取り
付けられている。前記針４７の先端は、被記録材１３の
裏面とほぼ同一面上に位置している。前記針４７は、記
録装置の駆動に伴い、所定の極性および所定の電荷量に
帯電されるように構成されている。また、記録装置の駆
動に伴ない、吐出口２９から吐出される飛翔インク滴も
、図４に示す方法により所定の極性および強さに帯電す
ることができる。

【００３６】本実施例では、ヨレを引き起こす吐出口２
９が移動針固定治具４６の幅以上に離れた位置に複数個
ある場合を予想して、前記レール４５には２本の針４７
が装着されている。なお、前記２個の移動針固定治具４
６は、それぞれのステップモーター４８を制御すること
によって、レール４５上の位置を制御される。以上説明
した図８のインクジェット記録装置においては、使用す
る記録ヘッド１４は図１の実施例の場合と同じであり、
ヨレを引き起こす吐出口２９のドット着弾位置の補償制
御の動作手順も、図１の実施例の場合と同じである。こ
の図３のインクジェット記録装置を用いて記録を行なっ
た結果、ヨレのない均一な画像を記録することができた
。

【００３７】図９は、本発明によるインクジェット記録
装置のさらに別の実施例を示す斜視図である。本実施例
は、被記録材の幅方向に設置されたガイドシャフト５１
、５２に沿って移動可能なキャリッジ５３上に記録ヘッ
ド５４が搭載され、該キャリッジ５３で被記録材幅方向
の主走査を行ないながら記録を行なう型式の記録装置、
すなわち、シリアル式の記録装置に対して本発明を適用
する場合を示す。

【００３８】記録ヘッド５４の吐出口面には、ガイドシ
ャフト５１、５２に垂直な方向に複数個の吐出口が配列
されている。前記記録ヘッド５４の被記録材搬送方向の
上流側および下流側にプラテン５５、５６が配設されて
おり、該記録ヘッド５４による記録部にはプラテン存在
しない。記録ヘッド５４の記録領域、すなわち、前記一
対のプラテン５５、５６の間であって、被記録材の裏面
側には、該記録ヘッド５４の移動方向と平行なレール５
７が設置されており、該レール５７には針５８および移
動針固定治具５９が移動可能に装着されている。移動針
５８の先端は、被記録材の裏面とほぼ同一面に位置して
いる。さらに、記録ヘッド５４の複数個の吐出口が被記
録材搬送（送り）方向に配列されていることから、前記
移動針５８は被記録材搬送方向にも移動可能（位置制御
可能）に装着されている。

【００３９】図９のシリアル式のインクジェット記録装
置における不吐出状態の吐出口を補償する動作において
は、まず、１枚の被記録材を用意し、不吐出の吐出口の
位置を調べるためにテスト画像の記録を行なう。この時
に形成されたテスト画像をイメージスキャナーで読み取
って計算機処理を行ない、不吐出状態の吐出口の位置と
本数を検知する。次いで、前記針固定治具５９に装着さ
れた移動針５８を、上下方向に移動させることにより、
不吐出状態の吐出口に相対する位置にセットする。

【００４０】そこで、記録装置を駆動し、前記針５８に
所定の極性の電荷を帯電させ、さらに、図４に示した帯
電方法に準じて、各吐出口から吐出される飛翔インク滴
に、針５８が帯電している極性と逆極性の電荷を付与す
る。飛翔インク滴は、針５８の先端に向けて偏向され、
被記録材上に着弾する。この場合、必要に応じて、前記
針５８の帯電量および／または前記飛翔インク滴の帯電
量を調節することにより、飛翔インク滴の偏向量を調節
する。図９に示すインクジェット記録装置において、以
上の動作手順で記録を行なったところ、白筋が目立たな
い画像を記録することができた。

【００４１】以上説明した各実施例によれば、液滴飛翔
方向にバラツキがある吐出口や不吐出の吐出口を含んだ
記録手段を用いて記録を行なう場合でも、画像ヨレや白
スジの発生を原因とする画像の不均一性を低コストで解
消することができ、安定した高品質の画像を記録するこ
とが可能なインクジェット記録装置が得られた。また、
画像処理におけるドットの打ち込みパターンとヨレのパ
ターンの組み合わせによって生じる新たなヨレや白筋の
発生も効果的に抑えることができた。

【００４２】なお、本発明は、異なる色で記録する複数
の記録手段（記録ヘッド）を備えたカラーインクジェッ
ト記録装置の他、１個の記録手段で記録するインクジェ
ット記録装置、あるいは色彩が同じで濃度が異なる複数
の記録手段を使用する諧調記録用のインクジェット記録
装置など、記録手段の個数に関係無く同様に適用でき、
同様の作用効果を達成し得るものである。また、本発明
は、被記録材の幅方向記録領域の全体または一部に対応
する長さのライン記録手段を用いるライン型のインクジ
ェット記録装置の他、被記録材に沿って移動するキャリ
ッジ上に記録手段（記録ヘッド）を搭載するシリアル記
録方式のインクジェット記録装置など、記録方式の種類
に関係なく、同様に適用することができ、同様の効果を
達成し得るものである。

【００４３】さらに、以上の各実施例における記録手段
（記録ヘッド）としては、記録ヘッドとインクタンクを
一体にした交換可能なカートリッジタイプの記録手段、
あるいは、記録ヘッドとインクタンクを別体とし、例え
ば、カプラーおよびチューブを介して結合する構造の記
録手段など、種々の構造の記録手段を使用することがで
きる。

【００４４】なお、本発明は、インクジェット記録装置
であれば、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を
用いる記録手段（記録ヘッド）を使用するものに適用で
きるが、中でも、キヤノン株式会社によって提唱されて
いるバブルジェット方式のインクジェット記録装置にお
いて優れた効果をもたらすものである。かかる方式によ
れば、記録の高密度化、高精細化が達成できるからであ
る。

【００４５】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書、同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうのが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型
、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、
特に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）が保
持されているシートや液路に対応して配置されている電
気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える
急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印
加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発
生せしめ、記録手段（記録ヘッド）の熱作用面に膜沸騰
させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し液体（イ
ンク）内の気泡を形成出来るので有効である。

【００４６】この気泡の成長、収縮により吐出用開口を
介して液体（インク）を吐出させて、少なくとも一つの
滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即
時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性
に優れた液体（インク）の吐出が達成でき、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第４
４６３３５９号明細書、同第４３４５２６２号明細書に
記載されているようなものが適している。尚、上記熱作
用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第４３１３１
２４号明細書に記載されている条件を採用すると、更に
優れた記録を行なうことができる。

【００４７】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成（直線状液流路又は直角液流路）の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第４５５８３３３号明細書、米国特許第４
４５９６００号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭５９年第１２３６７０号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭５９年第１３８４６１号公報に基づいた
構成としても本発明は有効である。すなわち、記録ヘッ
ドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば
、記録を確実に効率よく行なうことができるようになる
からである。

【００４８】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても、本発明は有効に適用できる。そのよ
うな記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組み合わせ
によってその長さを満たす構成や、一体的に形成された
１個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。

【００４９】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。

【００５０】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニン
グ手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは
別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
ことも安定した記録を行なうために有効である。

【００５１】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば、単色のインクに対応して１個
のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複
数のインクに対応して複数個数設けられるものであって
もよい。すなわち、例えば、記録装置の記録モードとし
ては、黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、
記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせに
よるか、いずれでもよいが、異なる色の複色カラー又は
、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置
にも本発明は極めて有効である。

【００５２】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいは、インクジェット方式では
、インク自体を３０℃以上７０℃以下の範囲内で温度調
整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温
度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与
時にインクが液状をなすものであればよい。

【００５３】加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温
をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネル
ギーとして使用せしめることで防止するか、または、イ
ンクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインク
を用いるかして、いずれにしても、熱エネルギーの記録
信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インク
が吐出されるものや、記録媒体に到達する時点ではすで
に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって
初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は
適用可能である。

【００５４】このような場合のインクは、特開昭５４−
５６８４７号公報あるいは特開昭６０−７１２６０号公
報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔
に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変
換体に対して対向するような形態としてもよい。

【００５５】本発明においては、上述した各インクに対
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。

【００５６】さらに加えて、本発明によるインクジェッ
ト記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理
機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ
等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有す
るファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい
。

【００５７】

【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、本発明
によれば、記録手段から被記録材にインクを吐出させて
記録を行なうインクジェット記録装置において、記録手
段と対向する被記録材の裏側に該記録手段の吐出口配列
方向に移動可能な針を設け、前記記録手段から吐出され
るインクを帯電させるとともに前記針を該インクと逆の
極性に帯電させ、前記針の位置を所定の吐出口に対応さ
せることにより、該所定の吐出口からのインク滴飛翔方
向を制御する構成としたので、液滴飛翔方向にバラツキ
がある吐出口や不吐出の吐出口を含んだ記録手段を用い
て記録を行なう場合でも、画像ヨレや白スジの発生を原
因とする画像の不均一性を低コストで解消することがで
き、安定した高品質の画像を記録することが可能なイン
クジェット記録装置が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるインクジェット記録装置の一実施
例の記録部の構成を模式的に示す斜視図である。

【図２】図１の記録装置のインク吐出部の平面断面図で
ある。

【図３】本発明によるインクジェット記録装置における
飛翔インク滴のヨレを補償する状態を示す原理図である
。

【図４】吐出口からの飛翔インク滴を帯電する状態を示
す原理図である。

【図５】本発明によるインクジェット記録装置において
不吐出状態の吐出口によるドット欠落を補償する状態を
示す原理図である。

【図６】本発明を適用するのに好適なインクジェット記
録装置の構成を示す模式的斜視図である。

【図７】図６中の記録手段のインク吐出部の構造を模式
的に示す部分斜視図である。

【図８】本発明によるインクジェット記録装置の他の実
施例の記録部の構成を模式的に示す斜視図である。

【図９】本発明によるインクジェット記録装置のさらに
他の実施例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１３　　　　　　被記録材 １４　　　　　　記録手段（記録ヘッド）２２　　　　
　　電気熱変換体 ２９　　　　　　吐出口 ３１　　　　　　ベルト状のプラテン ３４　　　　　　針 ３７　　　　　　移動針 ４２　　　　　　電界強度変換手段 ４７　　　　　　移動針 ４８　　　　　　ステップモーター ５３　　　　　　キャリッジ ５４　　　　　　記録手段（記録ヘッド）５８　　　　
　　針

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　　　記録手段から被記録材にインクを
   吐出させて記録を行なうインクジェット記録装置におい
   て、記録手段と対向する被記録材の裏側に該記録手段の
   吐出口配列方向に移動可能な針を設け、前記記録手段か
   ら吐出されるインクを帯電させるとともに前記針を該イ
   ンクと逆の極性に帯電させ、前記針の位置を所定の吐出
   口に対応させることにより、該所定の吐出口からのイン
   ク滴飛翔方向を制御することを特徴とするインクジェッ
   ト記録装置。
2. 【請求項２】　　　　前記インクおよび前記針の少なく
   とも一方の帯電量を変化させるための電界強度変換手段
   を有することを特徴とする請求項１に記載のインクジェ
   ット記録装置。
3. 【請求項３】　　　　前記記録手段が、熱エネルギーを
   利用してインクを吐出する記録手段であって、熱エネル
   ギーを発生するための電気熱変換体を備えているインク
   ジェット記録手段であることを特徴とする請求項１また
   は２に記載のインクジェット記録装置。
4. 【請求項４】　　　　前記記録手段が、前記電気熱変換
   体によって印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰
   による気泡の成長によって生じる状態変化を利用して、
   吐出口よりインクを吐出させることを特徴とする請求項
   ３に記載のインクジェット記録装置。