JPH0415473Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は使い捨ておむつや生理用ナプキン用と
しての高吸水性樹脂を利用して構成される吸水シ
ートの改良に関するものである。

従来技術 従来、アクリル酸ソーダ重合体その他の粉状又
は粒状又は場合によつては繊維状の樹脂で、水を
高度に吸収しゲル化するような高吸水性樹脂が
種々開発されており、このような高吸水性樹脂を
利用して吸水シートの形態に構成し、使い捨てお
むつや生理用ナプキンに用いることがなされてい
た。この場合、従来の吸水シートは、たとえば第
１図のように、ビニール等の樹脂シート等からな
る防水性シート層１の上にテイツシユペーパー等
の高吸水紙等からなる吸水性シート層２′を介し
て高吸水性樹脂収容層３を設け、その高吸水性樹
脂収容層３の上にテイツシユペーパー等の高吸水
紙等からなる吸水性シート層２を介して疎水性の
不織布等からなる通水性シート層４を設けるよう
にして構成されていた。この場合、高吸水性樹脂
収容層３は、高吸水性樹脂３ａが単独で収容され
て構成されることもあるし、その高吸水性樹脂３
ａが粉体や粒体の場合に、該樹脂３ａの横方向
（シート面方向）への移動を防止すると共に垂直
方向（シートの厚さ方向）への被吸収液の浸透を
早めるために、図示のように該樹脂３ａとパルプ
等の繊維材３ｂとを同時に積層して構成されるこ
ともある。いずれにせよ高吸水性樹脂収容層３
は、吸水性シート層２と吸水性シート層２′又は
防水性シート層１によつてはさみ込まれて高吸水
性樹脂３ａが封入されてなるようにされる。この
吸水シートは、使い捨ておむつや生理用ナプキン
として通水性シート層４の側を肌への接触面側に
して使用され、尿や血液等の液が通水性シート層
４から吸水性シート層２を通して高吸水性樹脂収
容層３の高吸水性樹脂３ａに吸収されるものであ
る。この場合、吸水性シート層２は樹脂３ａへの
液の拡散吸収性を高める作用を果すものであり、
通水性シート層４は疎水性の不織布等からなるこ
とにおいて肌への感触性を良くすると共に、吸水
性シート層２への液の吸収性を良くしながら、液
の逆流をとどめて肌への液の付着のべとつき感を
なくするためのものである。しかしながらこの構
成の場合、通水性シート層４は疎水性であつても
吸水性シート層２に密着するので、いまひとつ吸
収速度も遅いし逆流防止効果にも乏しく、どうし
ても吸水性シート層２の吸収液が通水性シート層
４に滲透滞留されざるをえず、肌への液の付着の
べとつき感を解消することのできないものであつ
た。

考案の目的 本考案は、上記のような従来の吸水シートの問
題に鑑みて、吸収速度と逆流防止効果を高め、肌
への液の付着のべとつき感を可及的に解消するこ
とを目的とするものである。

考案の構成 本考案はネツト（網）を用いて上記の目的を達
成するようにしたものである。すなわち本考案の
吸水シートは、高吸水性樹脂収容層の上に吸水性
シート層を介してネツト（網）層を設けたことを
構成の要旨とするものである。

本考案におけるネツト層のネツトには合成樹脂
製等の疎水性ネツトを用いることが好ましい。

本考案においてはネツト層の上に従来のように
疎水性の不織布等からなる通水性シート層を設け
ることができ、このようにした場合、肌に当てが
われる面側としての通水性シート層が吸水性シー
ト層に対しネツト層の介在によつて接触を断たれ
ると共に、その間にネツト層の網目による空間が
形成されるので、吸収速度の高まりと逆流防止が
効果的に実現され、通水性シート層に液が滞留す
ることがなくなつて肌への液の付着のべとつき感
がほぼ完全に解消され得る。また本考案において
は、ネツト層のネツトを柔軟で肌への感触性の良
い疎水性ネツトとすれば、この上に通水性シート
層のようなものを設けずにネツト層を直接肌にあ
てがう面にすることもでき、このようにした場
合、吸水性シート層の肌への接触がネツト層の介
在によつて断たれ、液がネツト層の網目を通して
吸収されることにより吸収速度が高く、ネツト層
に液が逆流して滞留しないので、肌への液の付着
のべとつき感がほぼ完全に解消され得る。いずれ
にせよ、本考案によると吸水性シート層の上にネ
ツト層を設けたことにより、吸収速度と逆流防止
効果が非常に高くなり、肌への液の付着のべとつ
き感がほぼ完全に解消され得る。

実施例 次に本考案の実施例を図面を参照して説明す
る。

まず第２図の実施例は、第１図の従来の吸水シ
ートと基本的にほぼ同様のものにつき、吸水性シ
ート層２と通水性シート層４との間にネツト層５
を設けたものである。すなわち、この第２図の吸
水シートは、ビニール等の樹脂シート等からなる
防水性シート層１の上にテイツシユペーパー等の
高吸水紙等からなる吸水性シート層２′を介して
高吸水性樹脂収容層３を設け、その高吸水性樹脂
収容層３の上にテイツシユペーパー等の高吸水紙
等からなる吸水性シート層２を介してネツト層５
を設け、さらにそのネツト層５の上に疎水性の不
織布等からなる通水性シート層４を設けたもので
ある。ここで高吸水性樹脂収容層３としては最も
良好で簡単には図示のように粉状又は粒状の高吸
水性樹脂３ａを単独で収容したものとすることで
あるが、その樹脂３ａが繊維状のものであつても
よいし、第１図のようにパルプ等の繊維と積層さ
れたものであつてもよい。また高吸水性樹脂収容
層３とネツト層５との間の吸水性シート層２は単
層であつてもよいが、図示のようにテイツシユペ
ーパー等の高吸水紙等からなる吸水性シートを２
枚重合したような２層２ａ，２ｂにすると、丈夫
にし、液の拡散吸収を促進し、ネツト層５への高
吸水性樹脂３ａや液の逆流を防止する上で有利で
ある。またネツト層５のネツトは、その網目５ａ
において吸水性シート層２と通水性シート層４と
が接触しない程度のメツシユのものとし、必ずし
も疎水性のものでなくてもよいが、疎水性のもの
が好ましく、合成樹脂製ネツトを使用するとよ
い。

この構成の吸水シートによると、使い捨ておむ
つや生理用ナプキンとして通水性シート層４の側
を肌への接触面側にして使用する場合、尿や血液
等の液が通水性シート層４からネツト層５の網目
５ａを通し、吸水性シート層２を通して分散され
て高吸水性樹脂収容層３の高吸水性樹脂３ａに吸
収される。この場合、通水性シート層４と吸水性
シート層２とが、その間にネツト層５が介在して
接触せず、ネツト層５の網目５ａにおいて空間が
形成されているので、液の吸収速度が非常に速い
と共に、吸水性シート層２から通水性シート層４
への液の逆流防止効果が高く、通水性シート層４
には液の滞留がなくなり、以つて肌への液の付着
のべとつき感がほぼ完全になくなるものである。

次に第３図の吸水シートは、最も基本的で簡単
な実施例であつて、防水性シート層１の上に高吸
水性樹脂収容層３を設け、その高吸水性樹脂収容
層３の上に吸水性シート層２を介してネツト層５
を設けたものである。この実施例の場合、使い捨
ておむつや生理用ナプキンとしてネツト層５を直
接肌への当てがい面にして使用するもので、ネツ
ト層５のネツトは肌への感触性のよい柔軟な疎水
性ネツトとする。この実施例によると、吸水性シ
ート層２がネツト層５によつて肌への接触をさえ
ぎられ、尿や血液等の液がネツト層５の網目５ａ
を通し、吸水性シート層２を通して分散されて高
吸水性樹脂収容層３の高吸水性樹脂３ａに吸収さ
れることとなり、液の吸収速度が速いと共にネツ
ト層５は疎水性で網目５ａの空間があることによ
つて、これに吸水性シート層２から液が逆流せず
滞留しないので、肌への液の付着のべとつき感が
ほぼ完全になくなるものである。

なお以上の第２図及び第３図の吸水シートにお
いては、ネツト層５を含め又は含めずに吸水性シ
ート層２と、吸水性シート層２′又は防水性シー
ト層１とを、多数の小袋を形成するように処々で
高周波接着や熱溶着或は接着剤による接着で桝目
状に接着し、このようにしてできた各小袋の中に
高吸水性樹脂３ａを単独で収容することにより、
高吸水性樹脂収容層３を多数の隔室状に形成する
ことができ、このようにすれば高吸水性樹脂３ａ
が当該吸水シートの面方向に移動することが防止
され得て均整な配置に保たれ得ることとなり、高
吸水性樹脂の収容を単位面積当り高率にし、多量
にできることとなつて、単位面積当りきわめて吸
収率の高い使い捨ておむつ又は生理用ナプキンを
得ることができる。

次に第４図及び第５図は、第２図の吸水シート
の構成を使い捨ておむつに適用した例を示すもの
である。このおむつは、防水性シート層１と通水
性シート層４によつておむつの外側地と内側地と
を所要の大きな形状に形成し、その間の所要面域
部に外側の吸水性シート層２′と内側の２層２ａ，
２ｂからなる吸水性シート層２との間に高吸水性
樹脂３ａを収容した高吸水性樹脂層３を形成する
と共に内側の吸水性シート層２の上にネツト層５
を設けたものをはさみ込むようにしたものであ
る。そしてネツト層５と両吸水性シート層２，
２′とは桝目状に所定ピツチの線状とした接着部
６ａで対面的に一体接着することによつて、多数
の小袋をなすように形成し、その各小袋における
両吸水性シート層２，２′の間に粉状又は粒状の
高吸水性樹脂３ａを単独に封入状に収容して高吸
水性樹脂層３を多数の隔室状に構成し、このよう
にしたものの周縁を含めて外側地と内側地とをな
す防水性シート層１と通水性シート層４とをそれ
らの周縁を接着部６ａとして相互一体に袋状に接
着したものである。接着部６ａ，６ｂにおける接
着は高周波接着又は、熱溶着又は接着剤による接
着とされる。このおむつの構成によると、高吸水
性樹脂３ａが袋状の各隔室に収容されているので
面方向への移動が防止され得て、単位面積当り高
率で多量に収容され得、きわめて高吸収能の薄手
のものとして簡単に製造することができ、ネツト
層５の存在によつて吸収速度と逆流防止効果が高
くて肌へのべとつきのおそれのない優れた使い捨
ておむつとして提供され得る。なお生理用ナプキ
ンの場合も、これとほぼ同様に構成して優れたも
のを得ることができる。

考案の効果 以上の説明から明らかなように本考案の吸水シ
ートによれば、高吸水性樹脂収容層の上に吸水性
シート層を介してネツト層を設けたことにより、
吸収速度と逆流防止効果とが非常に効果的に高め
られ、肌への液の付着のべとつき感をほぼ完全に
解消できるもので、従来のこの種吸収シートの問
題点が解消され非常に良好な使い捨ておむつ又は
生理用ナプキンを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の吸水シート例を示す断面図、第
２図は本考案の吸水シートの一実施例を示す断面
図、第３図は本考案の吸水シートの他の実施例を
示す断面図、第４図は本考案の吸水シートによつ
て形成の使い捨ておむつの実施例を部分的に破断
して示す平面図、第５図は第４図のおむつのＡ−
A′線に沿つた拡大横断面図である。 ３……高吸水性樹脂収容層、３ａ……高吸水性
樹脂、２……吸水性シート層、４……通水性シー
ト層、５……ネツト層、５ａ……網目。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 高吸水性樹脂収容層の上に吸水性シート層を
   介してネツト層を設けたことを特徴とする吸水
   シート。 (2) 第(1)項記載のネツト層が疎水性ネツトからな
   ることを特徴とする吸水シート。