JPH0412732Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案はケーブルの被覆を除去するケーブル被
覆除去装置に関する。

［考案の技術的背景とその問題点］ 例えば２芯、３芯、４芯等からなるビニル絶縁
ビニルシースケーブルのケーブル被覆、すなわち
そのシースの除去は次に述べるようなケーブル被
覆除去装置を用いて行われている。

すなわち、第１図に示すケーブル被覆除去装置
は、水平面内に対向配置される一対の押え送りロ
ーラー１ａ，１ｂと、この一対の押え送りローラ
ー１ａ，１ｂの間に垂直方向に対向して配置され
る固定刃２とを備えており、押え送りローラー１
ａ，１ｂの間にケーブルを挿入することにより押
え送りローラー１ａ，１ｂの回転によりケーブル
が先方へ移動され、一対の固定刃２によりシース
の切断が行われる。

第２図は固定刃２の代りに回転刃３を用いたケ
ーブル被覆除去装置を示すもので、このようなケ
ーブル被覆除去装置でも押え送りローラー１０の
間にケーブルを挿入することによりシースの切断
が行われる。

すなわち、以上のように構成されたケーブル被
覆除去装置では、押え送りローラー１ａ，１ｂに
よりケーブルを縦長に押圧するため、ケーブルの
上部と下部のシースと絶縁線との間に若干の間隙
が生じ、この部を固定刃２あるいは回転刃３によ
り切断することとなり、芯線に傷をつけることな
くシースの切断を行なうことができる。

しかしながら、以上のように構成されたケーブ
ル被覆除去装置では、ケーブルを縦長にするため
に左右の押え送りローラー１ａ，１ｂによりケー
ブルの両側から大きな圧力をかける必要があり、
この結果押え送りローラー１ａ，１ｂ自体の剛性
を高め、さらに駆動力の大きなモータが必要とな
る。従つて、機械が大型化し、価格が高価になる
という問題がある。さらにケーブルの線径に応じ
て押え送りローラー１ａ，１ｂの間隙の調整、調
整機構４ａ，４ｂによる固定刃２の間隙の調整等
が必要となり、調整作業が非常に煩雑であるとい
う問題がある。

第３図は送りロール５ａ，５ｂを用いたケーブ
ル被覆除去装置を示すもので、このケーブル被覆
除去装置では送りロール５ａ，５ｂが一定間隔を
おいて対向して配置され、さらに送りロール５
ａ，５ｂには一定間隔をおいて固定刃６が配設さ
れている。なお、図において符号７は送りロール
５ａ，５ｂの間隔を調整するロール調整ハンドル
を示している。

このように構成されたケーブル被覆除去装置で
は、送りロール５ａ，５ｂの固定刃６の間にケー
ブルが挿入され、送りロール５ａ，５ｂの回転に
よりケーブルが先方へ移動し、固定刃６によりシ
ースが切断される。

しかしながら、このように構成されたケーブル
被覆除去装置では、押し切によりシースを切断す
るため、ビニル絶縁ビニルシースケーブル内に撚
つて収容される絶縁線は、この撚りの高いところ
に刃が当たると中の銅まで切断され、一方低いと
ころに固定刃が当たつた場合にはシースが切れず
に残つてしまい、処理されたケーブルはシースが
切れているところと切れていないところが交互に
なり、次工程におけるケーブルの被覆除去が困難
であるという問題がある。

［考案の目的］ 本考案はかかる従来の事情に対処してなされた
もので、ケーブル被覆を確実かつ効率よく除去す
ることができるとともに、操作性の高いケーブル
被覆除去装置を提供しようとするものである。

［考案の概要］ すなわち本考案は、対向配置され、それぞれ円
周面に溝形のテーパー部を有する一対の送りロー
ルであつて、一方のテーパー部がその巾および傾
斜角度ともに対向配置される他方のテーパー部よ
り小さい一対の送りロールと、これらの送りロー
ルの中央部に送りロールの中心軸を中心にして回
転自在に配置される一対のベアリングと、これら
のベアリングの対向面側に一端の背側を当接され
他端を刃固定部に固定される一対の固定刃とから
なることを特徴とするケーブル被覆除去装置であ
る。

［考案の実施例］ 以下本考案の詳細を図面に示す一実施例につい
て説明する。

第４図は本考案の一実施例のケーブル被覆除去
装置を示すもので、図において符号８ａ，８ｂは
軸を水平にして対向配置される一対の送りロール
を示している。上部送りロール８ａのシヤフト９
ａは、ねじを設けた昇降軸１０の回転により上下
にスライドする可動軸受板１１に取付けられてお
り、昇降軸１０に接続される図示しないロール調
整ハンドルを回すことにより上部送りロール８ａ
を上下に移動させることができるよう構成されて
いる。下部送りロール８ｂのシヤフト９ｂは固定
軸受板１２に取付けられている。そして、それぞ
れシヤフト９ａ，９ｂの他端にはロール締付けナ
ツト１３ａ，１３ｂが螺合している。

送りロール８ａ，８ｂの中央部には中心軸を中
心にして回転自在とされるベアリング１４ａ，１
４ｂが配置されている。すなわち、第５図に示す
ように、シヤフト９ａ，９ｂの中央部にベアリン
グ１４ａ，１４ｂが被嵌されている。また、送り
ロール８ａ，８ｂにはそれぞれベアリング１４
ａ，１４ｂを挾んで溝を形成するようにテーパー
部１５ａ，１５ｂが設けられており、下部送りロ
ール８ｂは上部送りロール８ａよりもテーパー部
１５ｂの巾、傾斜角度ともに大きく形成されてい
る。

さらに、可動軸板１１には上部刃固定部１６ａ
が上部送りロール８ａの軸方向に突出して形成さ
れており、この上部刃固定部１６ａに、ベアリン
グ１４ａの対向面側に一端の背側を当接される上
部固定刃１７ａの一端が締付けビスにより固定さ
れている。また、下部送りロール８ｂの側方には
固定の下部刃固定部１６ｂが配置され、この下部
刃固定部１６ｂにも同様に下部送りロール８ｂに
当接される下部固定刃１７ｂがビスにより固定さ
れている。

以上のように構成されたケーブル被覆除去装置
では、ケーブルの線径に合わせて上部送りロール
８ａの位置を調整した後、上下送りロール８ａ，
８ｂのテーパー部１５ａ，１５ｂが形成する空間
にケーブルを挿入すると、送りロール８ａ，８ｂ
の回転によりケーブルが先方へ移動され、これに
伴い上部固定刃１７ａおよび下部固定刃１７ｂに
よりケーブルが上下２か所で切断される。このと
き、上部固定刃１７ａおよび下部固定刃１７ｂの
刃先をシースの厚さを考慮して出すようにするこ
とにより、ケーブル内の絶縁電線を傷つけること
なく、かつ２か所に切り込みが入つているためシ
ースのみを容易に剥離することができる。

そして以上のように構成されたケーブル被覆除
去装置では、上部固定刃１７ａおよび下部固定刃
１７ｂは上下一対の送りロール８ａ，８ｂとケー
ブルにより押圧されることとなるが、上部固定刃
１７ａおよび下部固定刃１７ｂはそれぞれ背側が
ベアリング１４ａ，１４ｂに当接されているため
シヤフト９ａ，９ｂの回転によつて擦られること
がなく無駄な抵抗がなくなり、回転駆動力におよ
ぼす負荷を最小限に抑えるとともに固定刃の損傷
を防ぐことができる。

さらに上部固定刃１７ａと上部送りロール８ａ
は可動軸受板１１とともに動きが一体化されてい
るため、可動軸受板１１をスライドさせるだけで
線径に合せたケーブル被覆除去装置の調整を行な
うことができる。また、固定刃１７ａ，１７ｂは
シースの厚み分より少し出すだけでよいので固定
刃１７ａ，１７ｂの傷みが少なく、また固定刃１
７はビスにより止められているだけであるため、
交換が非常に容易である。

また、上部送りロール８ａと下部送りロール８
ｂにはそれぞれテーパー部１５ａ，１５ｂが形成
されているため、これらのテーパー部１５ａ，１
５ｂにてケーブルをしつかり挟むことができる
が、さらに、第６図に示すように、上下送りロー
ルのテーパー部の大きさを変えることにより、す
なわち一方のテーパー部を線径の小さなケーブル
に合わせて巾ｄを小さくし、他方のテーパー部を
線径の大きなケーブルに合わせての巾ｄを大きく
するとともに、巾ｄの小さなテーパー部でも線径
の大きなケーブルを挟むことができるようにその
傾斜角度θを小さくすることにより、線径の小さ
いケーブルから大きなケーブルまで送りロールを
交換することなく処理することができる。例え
ば、テーパー部１５ａの巾ｄが14mm、傾斜角度θ
が20°の上部送りロール８ａと、テーパー部１５
ｂの巾ｄが36mm、傾斜角度θが25°の下部送りロ
ール８ｂにより、直径30mm〜80mmの広範囲の線径
のケーブルを処理することができる。

［考案の効果］ 以上述べたように本考案のケーブル被覆除去装
置によれば、小型で能率の高いかつ操作性の良い
ケーブル被覆除去装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はそれぞれ従来のケーブル
被覆除去装置を示す外観図、第４図は本考案のケ
ーブル被覆除去装置の一実施例を示す外観図、第
５図は第４図の横断面図、第６図は本考案にかか
る一対の送りロールのテーパー部を説明する断面
図である。 ８ａ，８ｂ……送りロール、９ａ，９ｂ……シ
ヤフト、１１……可動軸受板、１２……固定軸受
板、１４ａ，１４ｂ……ベアリング、１５ａ，１
５ｂ……テーパー部、１７ａ，１７ｂ……固定
刃。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 対向配置され、それぞれ円周面に溝形のテーパ
   ー部を有する一対の送りロールであつて、一方の
   前記テーパー部がその巾および傾斜角度ともに対
   向配置される他方のテーパー部より小さい一対の
   送りロールと、これらの送りロールのテーパー部
   の中央部に送りロールの中心軸を中心にして回転
   自在に配置される一対のベアリングと、これらの
   ベアリングの対向面側に一端の背側を当接され他
   端を刃固定部に固定される一対の固定刃とを具備
   することを特徴とするケーブル被覆除去装置。