JPH04126593A - 廃水処理装置における糸状細菌性バルキングを解消する方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、活性汚泥法による廃水処理において発生す
る糸状細菌性バルキング（以下糸状性バルキングという
）を解消する方法に関するものである。

〔従来の技術〕

下水、し尿及び有機性物質を含む廃水の処理としては、
活性汚泥法が広く採用されている。

この方法は処理すべき廃水と活性汚泥を接触させて浄化
するばっき工程と、処理水と汚泥を分離する分離工程か
ら成り立っているが、その処理過程において活性汚泥が
膨化し、汚泥の比重が減少することに起因して、分離工
程において処理水と汚泥の分離が円滑に出来なくなる現
象が頻繁に発生する。

このような現象はバルキング現象と呼ばれ、特に膨化の
原因が糸状細菌性の繁殖による所謂糸状性バルキングの
場合には、汚泥の沈降性が極端に低下し、ひどい状態に
なれば汚泥が処理水とともにキャリーオーバーし、放流
光の水質汚染を招くばかりでなく、廃水処理の継続が不
可能になる惧れがあった。

従来の糸状性バルキングの解消する手段は、処理すべき
廃水の有機物組成を変え、糸状性細菌の繁殖条件を変化
させることを意図として、尿素あるいはアミノ酸類を添
加する方法（特開昭５２−８６６５号公報）、尿素及び
リン酸ソーダを添加して窒素及び燐分を調整する方法な
どが試みられているけれども、これらの方法は処理に長
期間を必要とし且つそのコストが高くつき、しかも効果
が判然としないなどの難点があった。

また汚泥中の浮遊物質を沈鋒させるために、ヘントナイ
ト、クリストバライト等を添加する方法（特開昭６０〜
１７５５９９号公報）、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニ
ウム及びカオチン系高分子等の凝集剤を添加する方法が
知られており、これらの方法には速効的な沈降性改良効
果が認められるものの、糸状性細菌に対する殺菌作用が
ないため基本的な解消につながらず、薬剤を連続的に添
加しなければならないという欠点があった。

前記以外に、糸状性細菌を殺菌することによりバルキン
グを解消させる方法として、塩酸クロルヘキシジン、グ
ルコン酸クロルヘキシジンからなる混合物を添加する方
法（持分平１−３７３６４号公報）、ジアルキルアミン
とエビクロルヒトリンとの反応によって得られる水溶性
陽イオン性重合体を添加する方法（特開昭６１−２０４
０９２号及び同６３−２１８２９４号公報）が提案され
ているが、本発明者らの実験によれば、これら薬剤は共
に糸状性細菌の種類に対する殺滅効果に差があり、所期
の成果を得るためには薬剤を多くしなければならず、従
って大量の廃水処理を行われている設備では、特に処理
費用の負担が大きく掛かる問題があった。

なお塩素ガス、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素ある
いはオゾンを添加する方法も知られているが、塩素ガス
は毒性が強いので取扱いが困難であり、次亜塩素酸ナト
リウム、過酸化水素、オゾン等は有効成分の安定性等に
問題があり、且つこれらの薬剤は投入量の量的判断が難
しく、専門的な知識を必要とするため、−量的に普及す
るには至っていないのが現状である。

〔発明が解決しようとする課題〕

糸状性バルキングを解消する手段として、種々の薬剤を
添加する方法が提案されているけれども、現段階では、
■糸状性細菌の種類に関係なく汚泥の沈降性改善効果が
あること、■薬剤の処理コストが比較的低いこと、■ハ
ンドリングが容易であること及び■処理水に対する影響
が極めて少ないことの四項目を満たすことができる処理
方法は、未だ確立されていない。

〔課題を解決するための手段〕

本発明者等は、このような事情に鑑み糸状性バルキング
の発生している汚泥を広く採集し、種々の薬剤を用いて
試験を重ねた結果、汚泥に塩素化イソシアヌル酸化合物
を汚泥中に含まれる浮遊物質（以下ｒ　ＭＬＳＳ　Ｊと
いう）に対して、一定割合で添加することにより、糸状
性バルキングを速やかに解消しうることを見い出し、所
期の目的を達成するに至った。

本発明の実施において、汚泥に対する塩素化イソシアヌ
ル酸化合物の添加量は極めて重要な因子であり、汚泥に
対する塩素化イソシアヌル酸化合物の添加量が過剰にな
ると、糸状性バルキングに対する作用は顕著に現れるが
処理液中に活性塩素が残存し、活性汚泥中に含まれる優
良な微生物が死滅するため、処理水の浄化作用に支障を
来たし、また逆に汚泥に対する塩素化イソシアヌル酸化
合物の添加量が所定量を下廻わると、糸状性バルキング
の解消が円滑に行われない。

本発明者等はこのような汚泥に対する塩素化イソシアヌ
ル酸化合物の適正な添加量を如何に算出すべきか検討し
たところ、意外にも汚泥中に含まれるＭＬＳＳを分析し
て決定しうろことを知見し、廃水処理装置のばっき槽に
おける汚泥のＭＬＳＳを測定し、汚泥のＭＬＳＳ　１０
０重量部に対して塩素化イソシアヌル酸化合物を０．５
ないし５重量部の割合として使用すべきことを認めた。

本発明の実施において使用する塩素化イソシアヌル酸化
合物の代表的なものとしては、トリクロルイソシアヌル
酸、ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム及びその三水塩
並びにジクロルイソシアヌル酸カリウムが挙げられるが
、これらのうち水に対する溶解性が優れているジクロル
イソシアヌル酸ナトリウムあるいはその三水塩が好適で
ある。

汚泥に塩素化シアヌル酸化合物を添加する方法は、投入
回数を１日当たり１回ないし４回の割合として約５日に
わたって間欠的に投入すべきであり、これら薬剤は水溶
液とするが、粉末状あるいは顆粒状として直接投入すれ
ば良い。

処理装置における塩素化イソシアヌル酸化合物を投与す
る場所は、ばっき槽に限定されず返送汚泥ライン中に添
加してもよいが、ばっき槽に添加する際には、ばっき槽
表面全体に均一に添加する必要がある。

活性汚泥中に塩素化イソシアヌル酸化合物を投入すると
、通常３日ないし１０日で糸状菌の駆逐効果が認められ
、汚泥の沈降性も改善される。

なお、これらの薬剤を用いて処理した場合の処理水の水
質悪化は、前記添加量の範囲においてほとんど認められ
ない。

〔作用〕

糸状性細菌は、その核となる軸内細胞が靭皮によって覆
われており、一般の微生物に比べて外的な影響を受けに
くいものであり、また軸内細胞は靭皮が破壊され外部に
遊離した状態でも、活発に活動し糸状体の再形成を行う
ので、糸状性細菌を駆逐するには核となる軸内細胞を殺
滅する必要がある。

糸状性細菌の処理に、塩素化イソシアヌル酸化合物が他
の薬剤より優れた殺滅効果を示す理由については定かで
ないが、水に溶けた塩素化イソシアヌル酸化合物は良好
な浸透性を備えており、これら化合物が容易に糸状性細
菌の靭皮から軸内細胞に至ることに起因していると思わ
れる。

以下本発明方法を実施例及び比較例において具体的に説
明する。

なおこれら試験におけるＳｖ、。は３０分後の汚泥沈澱
率、ＳＶＩは汚泥容量指標であり、ＳＶ、。をＭＬＳＳ
で除し１０４倍した数値を示したものである。

〔実施例１及び比較例１〕 純粋に単画分離した代表的な糸状性細菌「スフェロチル
ス・エスピー（Ｓｐｈａｅｒｏｔｉｌｕｓ　ＳＰ）を１
０１の人工下水を用い、好気性の条件下で１週間純粋培
養し、糸状体を形成させた。

次いで、糸状性細菌が増殖した培養液５００ｍ　ｌを分
取し、ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム及び次亜塩素
酸ナトリウムをそれぞれ濃度を変化させ、２５℃の温度
で３０分間接触させた。

その後ホモジナイザー処理を１０分間行い、糸状体を形
成している状態の細菌を分散状態にし、ブイヨン寒天培
地上に植菌し、３０°Ｃの温度で３日間培養し、コロニ
ーカウント法によって菌数を測定した。

また一般細菌として、胞子を形成した休眠芽胞状態にな
る能力を持つバチルス・サブチリス（Ｂａｃｉｌｌｕｓ
　５ｕｂｔｉｌｉｓ）について、休眠芽胞の同菌とブイ
ヨン培地で好気的に培養し、発芽状態になった同菌に対
しても、同様に殺菌効果を調べた。

これらの試験結果は、表−１に示したとおりであった。

なお、表中の殺菌効果については、殺菌剤を無添加の系
で認められた菌数を１００％として、９９．９％の菌数
の減少が認められたときの薬剤濃度によって示した。

表−１（単位）　ｐｐｍ この結果、ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムは靭皮に
覆われている糸状性細菌に対して低い濃度で殺菌効果が
認められたが、次亜塩素酸ナトリウムは高濃度の添加が
必要と認められた。

またこの傾向は、胞子を形成している休眠芽胞状態のバ
チルス・サブチリス（Ｂａｃｉｌｌｕｓ　５ｕｂｔｉｌ
ｉＳ）において、顕著に現れた。

〔実施例２ないし３及び比較例工ないし４〕１．５１の
円柱型ガラス容器に散気管を取付け、これに豆腐製造工
場の活性汚泥槽から採集した糸状性バルキング汚泥１　
ｆ　（ＭＬＳＳ　３５００ｍ１ｇ／　ｆ　、　ＳＶ３゜
・９５％、ＳＶ・２７１）を添加し、これに予め滅菌処
理をした人工廃水（グルコース、ペプトン主体、８００
１０００■／　ｌ　、、Ｃ０Ｄｓ、　６５０■／ｌ）を
マイクロチューブポンプを用いて、ＢＯＤ　−ＳＳ負荷
が０．３　ｇ　／ｇｓｓ・日となるように連続的に添加
し、１日のうち２０時間ばっきして４時間静止し、添加
量に相当する上澄みを抜き取る装置を用い、約１週間の
馴養期間を経て糸状性細菌が減少しないことを確認した
時点で、ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロル
イソシアヌル酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化
第二鉄及び塩化ペンサルコニウムを各々添加した場合並
びにこれらを添加しないブランク試験を行い、その処理
後のｐＨ，ｓｖ、。、糸状性細菌の駆逐状況及び処理水
ＢＯＤの経時的変化を調べたところ、表−２に示したと
おりの結果であった。なお、この時使用したジクロルイ
ソシアヌル酸ナトリウム及びジクロルイソシアヌル酸カ
リウムのＭＬＳＳ　１００重量部に対しての添加割合は
、０．５７重量部である。

（以下余白） 同表から明らかなように、ジクロルイソシアヌル酸ナト
リウム及びジクロルイソシアヌル酸カリウムを添加した
系では、２日目から糸状菌の駆逐効果が認められるよう
になり、１０日目以後は糸状菌がほとんど存在しない状
態となり、また糸状菌の駆逐に伴い、ＳＶ３゜値の大幅
な減少がみられた。

処理水のＢＯＤについては、２日後及び４日後に僅かな
上昇がみられたが、１０日以降ブランクと大差ないまで
に回復し、処理水への影響の少ないことが確認された。

他方次亜塩素酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウムを用
いた場合は、糸状菌の駆逐がわずかしか起こらず、Ｓｖ
、。の改善効果も低かった。

塩化第二鉄は殺菌力がほとんどないため、−時的にＳＶ
、、値は改善されるものの糸状菌の駆逐は観察されなか
った。

〔実施例４〕 １５０ｒｒｒ／日の洗米廃水を１３０ｒｒｒ反応槽の回
分式活性汚泥法で処理している炊飯センターにおける廃
水処理装置は、慢性的に糸状性バルキングが発生してお
り、汚泥のＳＶ３゜値が９５％を超える場合はたびたび
汚泥の流出を起こしていた。

この廃水処理装置の平均的な汚泥のＭＬＳＳ値は、２、
１５０１１ｇ／　ｌ　、　５Ｖ３０は９８％、処理水Ｂ
ＯＤは２３■／ｌであり、糸状性細菌の優占種はＴＹＰ
Ｅ　１７０１　（アイケルブーム（Ｅｉｋｅｌｂｏｏｍ
）の分類法による〕であった。

そこでこの装置のばっき槽に、ジクロルイソシアヌル酸
ナトリウムをＭＬＳＳ　１００重量部に対して０゜９３
重量部、つまり３ｋｇの量を１日１回の割合で３日間連
続投与し、その前後における処理水の水質を測定した。

この試験の結果は表−３に示したとおりであり、投入開
始４日目から急激なＳＶ、。の低下がみられ、糸状性細
菌も５日目からほとんど観察されない迄に駆逐された。

二の処理装置においては、これにより常に悩まされてい
た汚泥の流出もなくなり、また凝集剤の添加を省略でき
たので、薬剤処理コストも大幅に低減することができた
。

〔実施例５〕 イチゴジャム、オレンジマーマレード等のジャム製造工
程において生じる２０Ｏｎ？／日の廃水を、ばっき槽容
量２４０イの標準活性汚泥法の装置で処理しているジャ
ム製品製造工場は、廃水中に含有される低分子の溶解性
有機物の混入が原因と思われる糸状性バルキングが慣性
的に発生していた。

この廃水処理装置における汚泥のＭＬＳＳは、５，００
０■／！、Ｓ■、。は９９％であり、処理水が多い時に
は汚泥が沈澱槽からキャリーオーバーしていた。

糸状性細菌の優占種はＴＹＰＥ　０２１Ｎであり、亜優
占種がスフェロチルスネイタンスであった。

そこでこのバルキングを解消するために、ＭＬＳＳ１０
０重量部に対して０．５重量部のジクロルイソシアヌル
酸ナトリウムを、ばっき槽に１日１回の割合で５日間連
続投入した。

この結果投入開始７日目から沈澱槽での沈降性が次第に
改善され１２２日目はＭｌ、ＳＳ　５．１５０ｍｇ／　
ｌ！、ＳＶ３゜は７５％となり、糸状性バルキングは解
消された。

またこの間の放流水に含まれる８０Ｄに対する悪影響は
なく、良好な水質を維持していた。

〔発明の効果〕

本発明方法によれば、汚性汚泥法による廃水処理装置に
おいて糸状性バルキングが発生した場合に、処理水の水
質を悪化することなく、迅速且つ容易にバルキングを解
消することができる。

、デー 特許出願人　四国化成工業株式会経

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. （１）活性汚泥法による廃水処理装置において、汚泥に
   塩素化イソシアヌル酸化合物を汚泥の浮遊物質１００重
   量部に対し塩素化イソシアヌル酸化合物を０．５ないし
   ５重量部の割合として添加することを特徴とする廃水処
   理装置における糸状細菌性バルキングを解消する方法。