JPH041252B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、火炎の輻射率を向上させることによ
つて、省エネルギと窒素酸化物（以下NOxとい
う）の発生を抑制する燃焼装置に関するものであ
る。

（従来技術とその課題） 高温の炉においては、被熱物への伝熱は大部分
が輻射伝熱であり、燃焼炉では火炎の輻射率が炉
内伝熱に大きな影響を与える。火炎の輻射率が高
い程、被熱物への伝熱量が増大し、熱効率が向上
すると同時に、伝熱量の増大により、火炎温度自
体が低下するので、サーマルNOxの発生が抑制
される効果も生じる。高輻射率火炎を得るために
は、燃料の熱分解によつて生成する炭素粒子の火
炎中の濃度を高める必要があるが、ガス体燃料で
これを実現するには、一般的には、第１図で示す
ような緩慢燃焼を利用した従来のバーナが用いら
れる。しかしながら、かかる単純な緩慢燃焼では
炎長が長くなりすぎ、またバーナ近傍の温度が低
くなる傾向にあり、実用上問題となる。本発明
は、緩慢燃焼を利用しながら、比較的短炎で燃焼
が完結し、しかも輻射率の高い火炎を形成するこ
とを目的とするものである。

（課題を解決するための手段） 第２図について、符号１はバーナタイルであ
る。このバーナタイル１の内側に燃料管２を複数
本円−円周上に配設し、該燃料管２は、リング状
保炎板３を貫通且つそれを突出した状態で保炎板
３に固定し、バーナ中心軸上には、前記燃料管２
と同様に、前記リング状保炎板３を突設した状態
で空気ノズル４を設置し、燃焼用空気を、保炎板
外側５と保炎板内側開口部６とから流出させる構
成とすると共に前記空気ノズル４からも流出する
構成として、前記保炎板３の後流側に再循環流７
の形成と共に全体として中空円筒状火炎８を形成
するように構成する。第３図に示すものは、前記
バーナタイル１に、それを貫通して複数の空気孔
９を設けたものであり、第４図に示すものは、バ
ーナ中心軸に、先端を前記保炎板３から突出させ
ると共に、更に前記燃料管２よりも後流側に突設
開口した二重管構造の空気管１０を付加したもの
である。前記保炎板３は、作用効果を増すため
に、空気小孔１３を設けることもできるし、ま
た、燃料管２の先端には、保炎板３の後流の再循
環流７に於ける燃料と空気の混合状態を調節する
ために、管壁に燃料小孔１４を形成してもよい。

（作 用） しかして、第２図に於いて、燃料ガスが燃料管
２から噴出すると共に燃焼用空気が図中矢印方向
から導入されて、保炎板外側５と保炎板内側開口
部６とから流出すると、リング状保炎板３の後流
側に再循環流７が形成される。この再循環流７に
燃料管２から噴出した燃料の一部が吸引され、逆
流して空気と混合燃焼するために、この再循環流
７自体が安定した補助火炎となる。そして、この
再循環流７は保炎板３の後流側全体に形成されて
いるため燃料噴流は保炎板３にそつて拡がり、一
体化され中空円筒状火炎８が形成される。かかる
燃焼の際、空気ノズル４からは、後述するように
常に一定の空気量を噴出させているので、低負荷
時に於いても、前記中空円筒状火炎８の直進性は
失われず、流速低下による火炎８の上昇が防止で
きる。前記中空円筒状火炎８に於いて、燃焼反応
が行われている火炎面は、外側火炎面１１と内側
火炎面１２の両面である。これは、第１図に示す
バーナの火炎面が外側火炎面１１′だけであるの
に比較し、約２倍の反応面積を有することにな
る。従つて反応速度も２倍になり、短炎化され、
バーナ近くの温度も充分に高くなる。また、燃料
管２から噴出する燃料ガスの他の部分は、薄い層
状の流れとなり外側火炎面１１及び内側火炎面１
２の両面から加熱されるため、燃料の加熱効果
は、従来バーナと比較して、はるかに大きくな
り、熱分解が促進され、多くの炭素粒子を生成し
て高輻射率火炎が得られるのである。一般に、バ
ーナは、炉温制御等のために、燃焼負荷を変化さ
れるが、低負荷時には燃料及び空気の流速が負荷
に比例して低下するため、火炎の流速も低下し、
直進性が失われ、浮力の影響により火炎が上昇し
てしまう傾向がある。そのために炉壁或はスキツ
トレール等に火炎が接触し、過熱したりする弊害
が生じる。本発明は、これに対処するために、前
記した構成の空気ノズル４を設けてある。この空
気ノズル４からは、燃焼負荷にかかわらず、常に
一定量空気を比較的高速で噴出しておく、一定空
気量としては、理論空気量の10％以下、通常は２
〜３％でよい。空気ノズル４の先端は、単孔でも
複孔でもよい。高負荷時には、この空気量は、わ
ずかであるため、燃焼及び火炎流れにほとんど影
響を与えないが、低負荷時には、常に一定量であ
るところから全量に対する割合が大きくなり、火
炎の流れに大きく影響を与えるようになる。つま
り、低負荷の低流速火炎は、中心の高速空気流に
吸引され、直進性が付加されるのである。従つて
前記した弊害は完全に防止することができる。以
上の燃焼に際して、第３図のように、バーナタイ
ル１に貫通形成した複数の空気孔９が存在する
と、燃焼用空気の一部は、前記中空円筒状火炎８
とは、若干距離を置いて噴出する。かかる空気流
は、火炎８に方向性を与えると共に周囲の燃焼用
ガスを吸引してその酸素濃度を低下させながら燃
焼に関与するため一層のNOx抑制効果が期待で
きる。更に、第４図の場合は、前記した空気ノズ
ル４に代つて、二重管構造の空気管１０を突設し
たので、空気ノズル４の前記した効果に加えて、
空気管１０から噴出する空気流は、燃焼開始点よ
り若干遅れて燃焼に関与するため、二段燃焼の効
果がが発揮でき、火炎の輻射率向上によるNOx
の低減効果と相まつて一層のNOx抑制を実現す
ることができる。

（発明の効果） 以上の通り、本発明は、燃焼に際して、補助火
炎と、独特の空気の供給手段とにより安定した外
側火炎面と内側火炎面をつくり、反応面積を倍化
するので、火炎全体が短炎となる。しかも、短炎
でありながら、炭素粒子の生成が促進されて、高
輻射率火炎を得ることができ、その結果、熱効率
の向上と二段燃焼に相乗したNOxの低減を図か
れるものである。加えて、バーナ軸上の突設した
空気ノズルによつて、前記した火炎の直進性が保
持でき炉壁の過熱を防止できる等々の優れた効果
を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来バーナの説明図、第２図ないし第
４図は本発明燃焼装置の説明図である。図中第３
図ｂは燃料小孔を省略した説明図である。 符号、１……バーナタイル、２……燃料管、３
……リング状保炎板、４……空気ノズル、５……
保炎板外側、６……保炎板内側開口部、７……再
循環流、８……中空円筒状火炎、９……空気孔、
１０……空気管、１１，１１′……外側火炎面、
１２……内側火炎面、１３……空気小孔、１４…
…燃料小孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ バーナタイルの内側に、燃料管を複数本同一
   円周上に配置し、該燃料管はリング状保炎板を貫
   通し、且つそれを突出した状態で前記保炎板に固
   定し、バーナ中心軸上には、前燃料管と同様に、
   前記リング状保炎板を突出した状態で空気ノズル
   を設置し、燃焼用空気を、保炎板外側と保炎板内
   側開口部とから流出する構成とすると共に前記空
   気ノズルからも流出する構成として、前記保炎板
   の後流側に再循環流の形成と共に全体として中空
   円筒状火炎を形成するように構成した輝炎発生燃
   焼装置。 ２ バーナタイルの内側に、燃料管を複数本同一
   円周上に配設し、該燃料管はリング状保炎板を貫
   通し、且つそれを突出した状態で前記保炎板に固
   定し、バーナ中心軸上には、前記燃料管と同様
   に、前記リング状保炎板を突出した状態で空気ノ
   ズルを設置し、前記バーナタイルには、それを貫
   通した複数の空気孔を形成し、燃焼用空気を、前
   記空気孔並びに保炎板外側と保炎板内側開口部と
   から流出する構成とすると共に前記空気ノズルか
   らも流出する構成として、前記保炎板の後流側に
   再循環流の形成と共に全体として中空円筒状火炎
   を形成するように構成した輝炎発生燃焼装置。 ３ バーナタイルの内側に、燃料管を複数本同一
   円周上に配設し、該燃料管はリング状保炎板を貫
   通且つそれを突出した状態で前記保炎板に固定
   し、バーナ中心軸上には、先端を前記保炎板から
   突出させると共に、前記燃料管よりも、更に後流
   側を突出開口した二重管構造の空気管を装置し、
   燃焼用空気を、前記保炎板外側と保炎板内側開口
   とから流出構成とすると共に前記空気管からも流
   出する構成として、前記保炎板の後流側に再循環
   流の形成と共に全体として中空円筒状火炎を形成
   するように構成した輝炎発生燃焼装置。