JPH04118442U

JPH04118442U - 高周波加熱炉

Info

Publication number: JPH04118442U
Application number: JP1991028250U
Authority: JP
Inventors: 弘良新妻
Original assignee: 武蔵精密工業株式会社
Priority date: 1991-03-30
Filing date: 1991-03-30
Publication date: 1992-10-22
Anticipated expiration: 2006-03-30
Also published as: JP2548576Y2

Abstract

(57)【要約】【目的】所望の箇所が加熱された製品を能率よく生産
できる高周波加熱炉を、低費用で供給する。【構成】加熱作業時に磁界の作用によりおこる被加熱
物の浮上を防止する装置を持たせる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電磁誘導により、被加熱物を加熱する高周波加熱炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の高周波加熱炉においては、円筒状の誘導コイルの螺旋部分の内周で、被加熱物を加熱するものがある。このような高周波加熱炉としては、特開平２−３４７１７号に示されるもの等多数ある。

【０００３】上述の如き高周波加熱炉が、自動生産ラインに組み込まれた例を図３に示すとともに、この高周波加熱炉１０１による加熱工程を以下説明する。搬送手段を有する保持台５に被加熱物２を仮保持させ、キャスティングブロック４に埋設された誘導コイル３の螺旋部分１１が被加熱物２を包囲する様、キャスティングブロック４を下動させるとともに、誘導コイル３に高周波電流を流して、その電磁誘導により被加熱物２を加熱する。然る後、キャスティングブロック４を上昇させ、保持台５を搬送して、加熱された被加熱物２を次工程へ送っていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上述の如き高周波加熱炉１０１においては、加熱工程の後工程で、被加熱物２を容易に保持台５から取り出せなければならない。そのため、被加熱物２の端部１３の外径を、保持台５の保持孔１４の内径よりも僅かに小さく設定して、被加熱物２の端部１３を、保持台５の保持孔１４に遊嵌して、仮保持させている。

【０００５】一般的に、高周波加熱炉による加熱作業時に、誘導コイルの垂直方向に磁界が発生することが知られている。図３に示される高周波加熱炉１０１においても同様の磁界が発生するので、被加熱物２には、被加熱物２を上昇させようとする力が掛かる。ここで、被加熱物２は、保持台５に固定しない状態で仮保持されているので、被加熱物２が浮上してしまうことがある。その場合、被加熱物２の所望の箇所を加熱することができない。

【０００６】上述の加熱作業時の被加熱物の浮上を防止するため、油圧等の手段で作動するクランプ装置を保持台に設置して、被加熱物を拘束することが考えられる。しかし、クランプ装置の開閉の動作を、高周波加熱炉のキャスティングブロックの上下動や、保持台の搬送に同期させる必要があるので、クランプ装置は大掛かりになる。そのため、設置投資費用が莫大となり、容易に採用できない。

【０００７】また、加熱作業時に被加熱物を浮上させない程度に磁界を弱めるため、単に誘導コイルに流す電流を抑えた場合、被加熱物の温度の上昇に時間がかかり、短時間で被加熱物の温度を上昇させられるという高周波加熱のメリットが失われることになり現実的ではない。

【０００８】本考案は、上述の問題を解決し、被加熱物の所望の箇所を加熱できる高周波加熱炉を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

加熱作業時の被加熱物の浮上を防止する浮上防止装置を設ける。

【００１０】

【実施例】

本考案第１番目の実施例を、図１に基づいて説明する。

【００１１】図１において、１は高周波加熱炉で、２は被加熱物であるボールスタッドである。４はキャスティングブロックで、耐火セメントの内部に誘導コイル３の螺旋部分１１が埋設されており、その誘導コイル３の螺旋部分１１の内周に洞穴１５が形成された逆カップ状を呈している。

【００１２】５は、被加熱物２を仮保持する保持台である。保持台５の上面に凹設された保持孔１４の内径は、被加熱物２の端部１３の外径よりも僅かに大きく設定されており、被加熱物２の端部１３を保持台５の保持孔１４に遊嵌させることによって保持台５は、被加熱物２を拘束することなく仮保持できる。

【００１３】１２は浮上防止装置で、非絶縁物７であるステンレス棒が、高周波加熱炉１の軸線方向における非加熱物２と対向する位置である、キャスティングブロック４の天井部６に設置されている。

【００１４】以下、本実施例の高周波加熱炉１により、被加熱物２を加熱する際に発生する磁界について説明する。

【００１５】高周波加熱炉による加熱作業時に、誘導コイルの垂直方向に磁界が発生することは前述した通りであり、本実施例においても、同様の磁界が発生する。

【００１６】しかし、本実施例の高周波加熱炉１において、高周波加熱炉１の軸線方向における被加熱物２と対向する位置である、キャスティングブロック４の天井部６に非絶縁物７が設置されているので、磁界は、空気よりも電磁抵抗の少ない非絶縁物７に流れようとする。

【００１７】その結果、非絶縁物７を設置する前と同じ強さの磁界が被加熱物２に流れつつ、磁界による被加熱物２を上昇させようとする力が消去される。そのため、被加熱物２は浮上することがない。

【００１８】次に、本考案第２番目の実施例を、図２に基づいて説明する。

【００１９】図２において、１’は高周波加熱炉で、誘導コイル３及び保持台５は、本考案第１番目の実施例と同一である。

【００２０】１２’は浮上防止装置で、被加熱物２を、高周波加熱炉１’の軸線方向における保持台５の方向へ押圧するセラミック製の押圧具８を備えている。押圧具８の先端部１９は、キャスティングブロック４の天井部６を貫通して、被加熱物２の頂部１０に達するとともに、バネ９により弾性的に、高周波加熱炉１’の軸線方向における保持台５方向へ付勢されている。

【００２１】そのため、高周波加熱炉１’による加熱作業時に、被加熱物２に、被加熱物２を上昇させようとする力が掛かっても、押圧具８により、高周波加熱炉１’の軸線方向における保持台５方向へ強制的に押圧され、被加熱物２は浮上することがない。

【００２２】次に、本考案第３番目の実施例を、図３に基づいて説明する。

【００２３】図３において、１”は高周波加熱炉で、誘導コイル３及び保持具５は、本考案第１番目の実施例と同一である。

【００２４】１２”は浮上防止装置で、逆カップ状のキャスティングブロック４の天井部６に、通気孔１７が設けられている。

【００２５】以下、この通気孔１７の効用を説明する。

【００２６】被加熱物を加熱する際、被加熱物の表面が酸化して、酸化鉄の粉末が飛散する。そしてこの粉末がキャスティングブロックの洞穴の表面に多量に付着すると、高周波加熱炉による加熱時に発生する磁界が乱れてしまう。その結果、被加熱物に、被加熱物を浮上させようとする力がより強く掛かる。

【００２７】しかし、本考案第３番目の実施例においては、キャスティングブロック４の天井部６に設けられた通気孔１７により、キャスティングブロック４の洞穴１５は、キャスティングブロック４の外部と連通している。そのため、加熱時に酸化鉄の粉末が飛散しても、この粉末は、通気孔１７よりキャスティングブロック４の外部に排出される。従って、キャスティングブロック４の洞穴１５の表面に、粉末が付着することがないので、高周波加熱炉１”による加熱時に発生する磁界が乱れることがない。よって被加熱物２に、被加熱物２を浮上させようとする力が掛かることはないため、被加熱物２は浮上することがない。

【００２８】尚、本考案第１番目の実施例における非絶縁物は、ステンレス棒に限定されることはなく、本考案第２番目の実施例における押圧具は、バネにより付勢されたセラミック製品に限定されることはなく、本考案第３番目の実施例における通気孔の形状も実施例に限定されない。

【００２９】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、加熱作業時の被加熱物の浮上を防止する浮上防止装置を設けたので、被加熱物は、浮上することなく所望の箇所を加熱されることになり、従って、設備投資を抑えつつ、品質の優れた製品を能率よく生産できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案第１番目の実施例による高周波加熱炉を
表す部分断面平面図である。

【図２】本考案第２番目の実施例による高周波加熱炉を
表す部分断面平面図である。

【図３】本考案第３番目の実施例による高周波加熱炉を
表す部分断面平面図である。

【図４】従来の高周波加熱炉を表す部分断面平面図であ
る。

【符号の説明】

１高周波加熱炉２被加熱物３誘導コイル４キャスティングブロック５保持具６天井部７非絶縁物８押圧具１１螺線部分１２浮上防止装置１７通気孔

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】円筒状の誘導コイル（３）の螺線部分
（１１）の内周で、被加熱物（２）を加熱する高周波加
熱炉（１）において、加熱時の被加熱物（２）の浮上を
防止する浮上防止装置（１２）が設けられていることを
特徴とする高周波加熱炉。
【請求項２】前記高周波加熱炉（１）の軸線方向にお
ける前記被加熱物（２）と対向する位置に、非絶縁物
（７）が設置されていることを特徴とする請求項１の高
周波加熱炉。
【請求項３】前記高周波加熱炉（１）の軸線方向にお
ける前記被加熱物（２）の保持具（５）の方向へ、被加
熱物（２）を押圧する絶縁性の押圧具（８）が設置され
ていることを特徴とする請求項１の高周波加熱炉。
【請求項４】前記高周波加熱炉（１）の前記コイル
（３）を埋設された、逆カップ状のキャスティングブロ
ック（４）の天井部（６）に、通気孔（１７）が設けら
れていることを特徴とする請求項２の高周波加熱炉。