JPH0411720Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、心臓疾患者の冠循環血液を促し拍動
負担を簡易な手段により安全に軽減することがで
き、且つ、小型軽量化に成功した大動脈内バルー
ンパンピング療法の為のバルーンの駆動装置に関
するものである。

〔従来技術〕

近時、我が国は徐々に老齢化社会に移行する傾
向にあつて特に循環器疾患は、狭心症、心筋梗塞
症、冠状動脈硬化症、心嚢炎等様々な発症疾患者
の著しい増例を示していて極めて憂慮されてい
る。

この様な情勢化において、臨床的には患者の心
臓に与える負担を速やかに軽減することが急務で
あり、かつこの種の機器を増設して継続して行な
うことが望ましい。

従来、この種の心臓疾患者の冠循環血流を促し
拍動負担を軽減する方法としては、大動脈内に精
緻なバルーンを留置し、左心室の拡張期に該バル
ーンを膨脹させて冠状動脈血流量を増加させた
り、或いは反対に左心室の収縮期の直前に該バル
ーンを収縮させて左心室の血液拍出を容易に行な
える所謂大動脈内バルーンパンピング（IABP）
療法が多用されている。

現在ではこのバルーンの収縮及び膨脹方法は、
ヘリウム又は炭酸ガス等をコンプレツサーにより
加圧又は減圧させることで施療を行なつている実
状にある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

然し、この様な方法は、上述の如く心電計測装
置とコンプレツサーの他に、比較的大きな陽圧タ
ンクと陰圧タンク及び制御装置等を必要とするた
め装置構成が大型化して極めて高価になるばかり
か、前記ガス圧力の制御のための電磁弁が発する
騒音や耐久性などに問題があり、更に故障が多い
という難点が存していた。

又、これらの補助循環装置としては、大腿動脈
よりバルーンカテーテルを挿入して、先端を大動
脈の左鎖骨下動脈分岐部直下に留置し、制動駆動
装置の作動でヘリウム又は炭酸ガスにより心拍作
用に同期させて、前記バルーンを膨張又は収縮さ
せる方法が執られているがいずれも高価である等
の問題点があつた。

〔考案の目的〕

本考案は上記の事由に鑑みて鋭意研究の結果、
極めて簡易な構造構成により、上記の大型な機能
装置にも劣ることなくかつ安全確実な大動脈内バ
ルーンパンピング療法用のバルーン駆動装置を創
案し、これを供せんとするものである。

〔考案の構成〕

本考案の構成は、間欠的に同一方向へ回転及び
停止が可能な一対のローラーポンプと、膨縮自在
なバルーンと、出口及び入口を有する圧力室と、
バルーンと連通させ分岐部を介設して供給側チユ
ーブと排出側チユーブとへ分岐させたチユーブと
を備え、供給側チユーブを圧力室の出口と連通さ
せると共に排出側チユーブと圧力室の入口と連通
させ、供給側チユーブをローラポンプへ圧力室の
流体がバルーンへ送り込まれるように挿置すると
共に、排出側チユーブをローラーポンプへバルー
ンの流体が圧力室へ送り込まれるように挿置した
構成である。

〔実施例〕

以下、本考案を実施例の図面により説明する。

第１図は大型機器で構成される従来型装置を現
わした説明図であり、第２図は本考案の簡易な構
成による大動脈内バルーンパンピング療法用のバ
ルーン駆動装置を現わした概要図であり、第３図
は本考案のローラーポンプを拡大して現わした概
要図である。

本考案は、心臓疾患者の冠循環血流を促し、血
液の吐出負担を軽減させ、拍動負担を簡易な手段
により安全に軽減することができ、且つ、小型軽
量化に成功した大動脈内バルーンパンピング療法
のために心電計装置と接続して用いるバルーンの
駆動装置であつて、駆動源を有し間欠的に同一方
向へ回転及び停止が可能な一対のローラーポンプ
１ａ，１ｂと、患者の大動脈内に嵌挿し流体によ
つて膨縮自在なバルーン２と、出口３ａ及び入口
３ｂを有する流体の圧力室３と、一端は前記バル
ーン２と連通させ他端は分岐部を介設して供給側
チユーブ４ａと排出側チユーブ４ｂとへ分岐させ
たチユーブ４とを備え、前記供給側チユーブ４ａ
を前記圧力室３の出口３ａと連通させると共に排
出側チユーブ４ｂと前記圧力室３の入口３ｂと連
通させ、前記供給側チユーブ４ａを一方のローラ
ポンプ１ａの内側曲面５とローラー６ａとの間へ
圧力室３の流体が分岐部を介してバルーン２へ送
り込まれるように挿置すると共に、前記排出側チ
ユーブ４ｂを他方のローラーポンプ１ｂの内側曲
面５とローラー６ｂとの間へバルーン２の流体が
分岐部を介して圧力室３へ送り込まれるように挿
置して、前記一方のローラーポンプ１ａを回転さ
せ他方のローラーポンプ１ｂを停止させることに
より前記バルーン２を膨張させ、反対に一方のロ
ーラーポンプ１ａを停止させ他方のローラーポン
プ１ｂを回転させることにより前記バルーン２を
収縮させるものである。

即ち、本考案のバルーン駆動装置の一対のロー
ラーポンプ１は第３図図示の如く、夫々馬蹄形に
形成した内側曲面５とパルスモーター等の駆動源
から駆動力を得るための中心部へ設けた軸心へ装
着した一対のローラー６から構成されるのもの
で、前記内側曲面５とローラー６との間へ後述す
るチユーブ４を挿置するものである。

本考案は第２図図示の如く、夫々のローラーポ
ンプ１ａ，１ｂは心電計測装置７とコード等によ
つて夫々電気的に接続され、前記心電計測装置７
へ現われる心電図波形に基づいて拍動回転数及び
間欠運転周期は自動的に設定され、左心室の拡張
期にバルーン２を膨脹させるようにし、反対に左
心室の収縮期の直前にバルーン２を収縮させるよ
うにするものである。

そして、疾患心臓の大動脈血管内に嵌挿させた
ヘリウム、炭酸ガス等の気体、或いは、液体等の
流体によつて自在に膨張、収縮するバルーン２
と、前記流体の貯溜機能を有する圧力室３の出口
３ａと入口３ｂとバルーン２とを弾性を有する部
材で形成されたチユーブ４で連通させるものであ
る。

前記チユーブ４は一端をバルーン２と連通さ
せ、他端は分岐部を介設して供給側チユーブ４ａ
と排出側チユーブ４ｂとに分岐させたものであ
り、供給側チユーブ４ａの端部は圧力室３の出口
３ａと連通接続させ、排出側チユーブ４ｂの端部
は圧力室３の入口３ｂと連通接続させたものであ
る。

前記供給側チユーブ４ａを一方のローラーポンプ
１ａの内側曲面５とローラー６ａとの間へ供給側
チユーブ４ａの弾性を利して挿置させたものであ
り、排出側チユーブ４ｂは他方のローラーポンプ
１ｂの内側曲面５とローラー６ｂとの間へ同様に
挿置したものである。

つまり、同一方向へ回転する一対のローラーポ
ンプ１ａ，１ｂは、一方のローラーポンプ１ａの
回転によつて圧力室３の流体は出口３ａを経て供
給側チユーブ４ａによつて分岐部からバルーン２
に送られ、バルーン２は膨張するものであり、一
部の流体は分岐部から排出側チユーブ４ｂへ流出
するが他方のローラーポンプ１ｂは停止してお
り、排出側チユーブ４ｂは内側曲面５とローラー
６ｂとの間に挟圧されているためにそれより先に
は流出することは無いものである。

他方のローラーポンプ１ｂを回転させることに
よつて膨張したバルーン２の流体はチユーブ４か
ら分岐部を経て排出側チユーブ４ｂで入口３ｂか
ら圧力室３へ流入して、前記バルーン２は収縮す
るものであり、この時、一方のローラーポンプ１
ａは停止しており供給側チユーブ４ａへも分岐部
を介して一部の流体は流出するものの、供給側チ
ユーブ４ａは内側曲面５とローラー６ａとの間に
挟圧されているために逆流することは無いもので
ある。

即ち、一方のローラーポンプ１ａを回転させ他
方のローラーポンプ１ｂを停止させることにより
バルーン２を膨張させ、反対に一方のローラーポ
ンプ１ａを停止させ他方のローラーポンプ１ｂを
回転させることによりバルーン２を収縮させるも
ので、一対のローラーポンプ１ａ，１ｂを心電計
装置に現われる心電図波形に基づいて、夫々のロ
ーラーポンプ１ａ，１ｂを間欠的に同一方向へ回
転及び停止させることによつて、大動脈内のバル
ーン２を膨張させて冠状動脈血量を増加させ、或
いは、バルーン２が収縮して心臓の拍動作用に負
担をかけることなく左心室の拍出を容易と成した
ものである。

尚、本考案の実施例ではローラーポンプ１のロ
ーラー６は二個のものを用いているが、一個又は
三個以上のものでも構わないものである。

〔考案の効果〕

前述の構成よりなる本考案のバルーン駆動装置
は、ローラーポンプを大動脈内バルーンパンピン
グ療法用のバルーン駆動装置として使用できるた
め、従来型装置のような大型の装置を不要とし、
廉価で、小型化が計れ、且つ、駆動音が静かで安
全確実なものであり、普及期待が予測でき、顕著
な貢献性を有するものとして極めて有意義な効果
を奏することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は大型機器で構成される従来型装置を現
わした説明図である。第２図は本考案の簡易な構
成による大動脈内バルーンパンピング療法用のバ
ルーン駆動装置を現わした概要図である。第３図
は本考案のローラーポンプを拡大して現わした概
要図である。 １……ローラーポンプ、１ａ……一方のローラ
ーポンプ、１ｂ……他方のローラーポンプ、２…
…バルーン、３……圧力室、３ａ……出口、３ｂ
……入口、４……チユーブ、４ａ……供給側チユ
ーブ、４ｂ……供給側チユーブ、５……内側曲
面、６，６ａ，６ｂ……ローラー、７……心電計
測装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 心臓疾患者の血液の吐出負担を軽減させる大動
   脈内バルーンパンピング療法のために心電計装置
   と接続して用いるバルーンの駆動装置であつて、 駆動源を有し間欠的に同一方向へ回転及び停止
   が可能な一対のローラーポンプと、患者の大動脈
   内に嵌挿し流体によつて膨縮自在なバルーンと、
   出口及び入口を有する流体の圧力室と、一端は前
   記バルーンと連通させ他端は分岐部を介設して供
   給側チユーブと排出側チユーブとへ分岐させたチ
   ユーブとを備え、前記供給側チユーブを前記圧力
   室の出口と連通させると共に排出側チユーブと前
   記圧力室の入口と連通させ、前記供給側チユーブ
   を一方のローラーポンプの内側曲面とローラーと
   の間へ圧力室の流体が分岐部を介してバルーンへ
   送り込まれるように挿置すると共に、前記排出側
   チユーブを他方のローラーポンプの内側曲面とロ
   ーラーとの間へバルーンの流体が分岐部を介設し
   て圧力室へ送り込まれるように挿置して、前記一
   方のローラーポンプを回転させ他方のローラーポ
   ンプを停止させることにより前記バルーンを膨張
   させ、反対に一方のローラーポンプを停止させ他
   方のローラーポンプを回転させることにより前記
   バルーンを収縮させることを特徴とするバルーン
   駆動装置。