JPH041136B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この発明は複合プレストレスをもつ合成コンク
リート床に関する。

＜従来の技術＞ 本出願人はさきに開発した摺動成形法により、
長尺プレテンシヨンベンチ上に長尺スラブ作り、
これを所要寸法に分断して、例えばコンクリート
建築物の床用プレテンシヨン付き埋設コンクリー
ト型枠を量産することに成功している。この埋設
型枠を梁間に敷き並べ、その上に現場打ちコンク
リートを打つて合成床を構築する事も行つてい
る。これにより下面沿いにプレテンシヨンをもつ
合成床が得られる。

これとは別に、合成床にポストテンシヨンを与
える施工法として特開昭58−153844号「プレスト
レストコンクリート合成床板の施工法」が公開さ
れている。これは工場製作（プレキヤスト）した
通常の埋設型枠の上面にPC鋼材（この場合、ポ
ストテンシヨン鋼線）がはまる溝が作られてい
て、曲線状に敷設するPC鋼線のライズ（高低差）
増大と、敷設作業の簡易化をはかつたものであ
る。

＜発明が解決しようとする問題点＞ この発明の究極の目的は合成コンクリート床の
軽量化、信頼性増大にある。

合成コンクリート床は工場製作された高品質な
埋設型枠を下面側、つまり曲げ荷重による引張側
に使い、上面側、つまり圧縮側に、やゝ品質の劣
る現場打コンクリートを当てる構造である。これ
を軽量化する方策としては従来、前述の埋設型枠
にプレテンシヨンを加えたものと、現場打コンク
リートにポストテンシヨンを加えたものとの二種
類があるだけであつた。前者はコンクリート床の
大きな問題点である下面の亀裂を防ぐ大きな長所
をもち、後者はスパン中央部を直接引上げるとい
う長所をもつている。

この発明は前者に後者の長所を加え、短所（後
述）を除く事により、単なる両型式複合効果以上
の軽量化、信頼性向上を得んとするものである。

＜問題点を解決するための手段＞ この発明の複合プレストレスをもつ合成コンク
リート床は、薄肉水平板部とプレテンシヨン鋼線
入り補強骨とが逐次隣接して並び、上記補強骨の
上面は上記板部から下がつたＶ形溝になり、下面
は突条になつているPCコンクリート板を、各補
強骨が平行するよう敷き詰めた埋設型枠、上記各
補強骨の真上の垂直面内にあり、両端部では現場
打コンクリート上面に、また中央部では上記Ｖ形
溝底面に、それぞれ必要な「かぶり」間〓を保つ
て近接した曲線となるよう敷設したそれぞれのポ
ストテンシヨン鋼線、及び、上記各ポストテンシ
ヨン鋼線を移動させないように打設し、硬化さ
せ、緊張させた上記鋼線を両端に定着した現場打
コンクリートを備えることを特徴とする。

＜作用＞ この発明は既製のプレテンシヨン入りPCコン
クリート板を並べる事により、上面に溝部を生ず
る埋設型枠を用いるから、その溝部にポストテン
シヨン用PC鋼線を配置する事ができる。その上
に現場打コンクリートを打設し硬化させて合成し
た後、上記PC鋼線に緊張を与えると、埋設型枠
内のプレテンシヨンと、現場打コンクリート内の
ポストテンシヨンが複合した合成床となる。

またポストテンシヨン用PC鋼線にライズを持
たして張設する場合、最下部が埋設型枠上面の溝
内に沈むため、大きなライズを作ることになる。

その溝の方向が床の縦横の一方又は双方にでき
るよう埋設型枠を敷くと、ポストテンシヨンも一
方向又は二方向に与え得る。

＜実施例＞ 第１，２図はこの発明一実施例を示すもので、
その１０は埋設型枠、２０は現場打コンクリー
ト、３０はポストテンシヨン鋼線、Ｂは梁を示
す。

埋設型枠１０は薄肉水平板部１１と補強骨１２
とが逐次隣接して並んで、第３図の断面のような
波形面になつている。この実施例は一枚で二山の
PCコンクリート板枠板１０ａをつらねている。

埋設型枠１０が全体として波形になるのは、水
平板部１１に隣接する補強骨１２の上面が板部か
ら下つたＶ溝νになつているからである。補強骨
１２の下面は通常のごとく板部より下方へ出た突
条となつている。この実施例は各枠板１０ａの両
縁の補強骨１２ａを一本の補強骨１２の半割れと
し、その半割れ補強骨１２ａが隣接して一本にな
るようにしている。それぞれの半割れ補強骨１２
ａに一本ずつプレテンシヨン鋼線１３を通し、一
本の補強骨１２に二本の鋼線１３が並ぶようにし
ている（第３，４図参照）。

この埋設型枠用枠板１０ａは、本出願人が開発
した長尺プレテンシヨン・ベンチ上の摺動成形法
で作つたスラブを所要寸法に分断したものである
が、無論、他の製法によつたものでも構わない。

この実施例はコンクリート建築物の床に適用し
たもので、建物の梁Ｂ間に上記枠板１０ａを、第
２図のように、補強骨１２が梁Ｂに直交するよう
掛け渡し敷きつめ、枠板１０ａ両端の水平板部１
１と梁Ｂとの隙間を閉じて、現場打コンクリート
２０をその上に所要厚みに打設する。

そのコンクリート打設前にポストテンシヨン鋼
線のシースか、アンボンドPC鋼材を各補強骨１
２の真上に沿い、第１図のような曲線を画くよう
敷設しておく。すなわち、各梁Ｂの上方では現場
打コンクリート２０の上面に近く、スパン中央で
は第３図のようにＶ溝ν内の現場打コンクリート
の下面近くまで下がつた曲線を画くよう敷設し、
これを動かさないようにコンクリートを打つ。こ
のポストテンシヨン鋼線３０は最も高い梁Ｂ上方
でも、最も低いＶ溝ν内でも、現場打コンクリー
トの「かぶり」を確保する事が望ましい。

もつとも「かぶり」を余分にとると、ライズを
減ずるから、最小限の「かぶり」とする。

第１図のような鋼線３０の曲線は、床スラブの
長期設計曲げモメント分布と相似形に近づけ、ポ
ストテンシヨンを加える事により、上向き一様分
布力を生ぜしめて曲げモメントの一部を打消すに
有効である。

いうまでもないが、埋設型枠１０内のプレテン
シヨン鋼線１３は製作時、ベンチ上で所要張力に
緊張してコンクリート打設し、硬化後、けん引機
構からはずしたものゆえ、所要寸法に分断されて
も強固にコンクリートをくわえて圧縮しているた
め、合成床の下面になつても大きな亀裂防止作用
を保つ。そしてポストテンシヨン鋼線３０は、第
１図のように各梁間に曲線をえがいて張り渡さ
れ、端部を緊張定着具１４により外部から締付け
定着し、モルタルで埋められる。

以上、一実施例について説明したが、板枠１０
ａを全部同方向に並べるとは限らず、一面の床を
区画別に異なる向きに敷き詰めれば、縦横両方向
のポストテンシヨンを与えることも出来る。その
ためのPC鋼線は通常のものでも、アンボンド式
のものでもよい。その他、この発明は実施条件に
応じて多様に変化、応用し得る。

＜発明の効果＞ 合成床は単一床に比べ、現場の生産性を大きく
向上し、床下面の品質も勝る。その性質をさらに
高めるため、これにプレストレスを与える試みの
一つの流れは、その埋設型枠にプレテンシヨンを
与えるものであり、他の流れは現場打コンクリー
トにポストテンシヨンを与えるものであつた。

この発明はこれら二つの流れを統一しただけで
なく、合成床として重要な現場打コンクリートと
埋設型枠との境界における亀裂、分離を促進する
傾向のあるポストテンシヨンを安全に、しかも大
きなライズで与えられる形に完成した。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明一実施例の立面断面図、第２
図は同じく現場打コンクリートを除いた平面図、
第３図は同じくスパン中央での横断面図、第４図
は埋設型枠の一枠板の下面図である。 １０…埋設型枠、１３…プレテンシヨン鋼線、
２０…現場打コンクリート、３０…ポストテンシ
ヨン鋼線。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 薄肉水平板部とプレテンシヨン鋼線入り補強
   骨とが逐次隣接して並び、上記補強骨の上面は上
   記板部から下がつたＶ形溝になり、下面は突条に
   なつているPCコンクリート板を、各補強骨が平
   行するよう敷き詰めた埋設型枠、 上記各補強骨の真上の垂直面内にあり、両端部
   では現場打コンクリート上面に、また中央部では
   上記Ｖ形溝底面に、それぞれ必要な「かぶり」間
   〓を保つて近接した曲線となるよう敷設したそれ
   ぞれのポストテンシヨン鋼線、及び、 上記各ポストテンシヨン鋼線を移動させないよ
   うに打設し、硬化させ、緊張させた上記鋼線を両
   端に定着した現場打コンクリート、 を備えることを特徴とする複合プレストレスをも
   つ合成コンクリート床。