JPH04105701U - 気密高周波窓 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この考案は、マイクロ波管内部の気密性を保持
し、許容マイクロ波電力の大きな気密高周波窓を得るこ
とを目的とする。 【構成】方形導波管１と円形導波管２の間に、高周波電
界をゆるやかに変化させる変換部４を設ける。方形導波
管１から円形導波管２に入る高周波電界は、変換部４に
よりゆるやかに変化する。変換部４によりゆるやかに変
化された高周波電界は、誘電体円板３表面に対して垂直
に印加する電界成分が低減する。円形導波管２内の中間
にアイリス５を設ける。アイリス５の位置、寸法を調整
し、マイクロ波のインピーダンス整合をとり、誘電体円
板３からのマイクロ波反射を低減する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、例えば、進行波管やクライストロンのようなマイクロ波管におい て、真空部と外部導波管との間に設けられる気密性の高周波窓に関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

進行波管やクライストロンのようなマイクロ波管は、電子ビームを出射する電 子銃、電子ビームを捕捉するコレクタ、電子ビームとの相互作用によりマイクロ 波を増幅するマイクロ波増幅部、マイクロ波増幅部と外部導波管とを接続する入 出力結合部等から構成されている。この入出力結合部に、マイクロ波管内部の気 密性を保持し、マイクロ波をできるだけ損失なしに透過させるための気密高周波 窓が用いられている。

【０００３】 図３は例えば特開昭５４ー１４６５６１号公報に示された従来の気密高周波窓 を示す一部破断斜視図であり、図において（１）は方形導波管、（２）はこの一 対の方形導波管（１）の間に形成された円形導波管、（３）はこの円形導波管（ ２）内の中間に気密ろう付けされ、円形導波管（２）内の気密性を保持するとと もに、マイクロ波を損失なく透過する誘電体円板である。

【０００４】 従来の気密高周波窓は、方形導波管（１）に比べて円形導波管（２）の断面積 が大きく構成されているために、電界強度が緩和され、誘電体円板（３）の局所 発熱による応力割れが抑えられる。このため許容マイクロ波電力が大きい。 また、誘電体円板（３）の厚さ、円形導波管（２）の直径、長さの組み合わせ を調整することによりマイクロ波整合ができ、マイクロ波の反射を小さくできる 。 さらに、誘電体円板（３）の円周部をろう付けしており、円周部に均一なろ う付け強度が得られ、その接合部の機械的強度が強く、十分な気密性が得られて いる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

従来の気密高周波窓は以上のように構成されているので、図４に示すように方 形・円形導波管変換部（９）から垂直に印加される高周波電界（１０）によって 加速された電子が誘電体円板（３）に衝突し、特に図５に示すように方形導波管 （１）の長辺中央部と対面する誘電体円板（３）の部位（１１）に小さな穴が多 数発生するとういう課題があった。さらに、大電力のマイクロ波を通した際には この誘電体円板（３）に発生する穴が気密性を妨げるという課題もあった。

【０００６】 この考案は、上記のような課題を解決するためになされたもので、従来の気密 高周波窓と同様にマイクロ波反射が少なく、気密保持の信頼性を維持しながら、 誘電体円板に垂直に印加される高周波電界を低減するとともに、大電力のマイク ロ波に適用できる気密高周波窓を得ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る気密高周波窓は、方形導波管と円形導波管との間に高周波電界 をゆるやかに変化させる変換部を設け、かつ、円形導波管内にマイクロ波のイン ピーダンス整合手段を設けたものである。

【０００８】

【作用】

この考案における気密高周波窓は、方形導波管と円形導波管との間に設けた変 換部によって、誘電体円板に印加される高周波電界がゆるやかに変化され、誘電 体円板表面に対して垂直に印加される高周波電界成分を低減する。 また、マイクロ波のインピーダンス整合手段でインピーダンス整合をとること により、誘電体円板から反射されるマイクロ波を打ち消す。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図について説明する。図１はこの考案の気密高周 波窓の第１実施例を示す一部破断斜視図であり、図において図３に示す従来の気 密高周波窓と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明を省略する。

【００１０】 図において、（４）は方形導波管（１）の各辺から円形導波管（２）の端縁に 向かってゆるやかな傾斜面をもって形成された変換部、（５）は誘電体円板（３ ）で反射されるマイクロ波を低減するためのマイクロ波のインピーダンス整合手 段として円形導波管（２）両端部に設けられたアイリスである。 このように構成された気密高周波窓においては、方形導波管（１）から円形導 波管（２）に入る強い高周波電界領域が、変換部（４）によってゆるやかに変化 され、誘電体円板（３）表面に垂直に印加される高周波電界成分はほとんど発生 しなくなる。 また、アイリス（５）の位置および寸法を調整することにより、インピーダン ス整合がとられ、誘電体円板（３）によって生じるマイクロ波反射を打ち消すこ とができ、マイクロ波反射を低減し、マイクロ波を損失なしに透過できる。

【００１１】 図２はこの考案の気密高周波窓の第２実施例を示す一部破断斜視図であり、図 において変換部（４）は（管内波長）／４の長さをもった方形・正方形導波管変 換部（６）、正方形導波管（７）および正方形・円形導波管変換部（８）から構 成されている。 この実施例においても、方形導波管（１）から円形導波管（２）に入る強い高 周波電界領域が、変換部（４）によってゆるやかに変化され、誘電体円板（３） 表面に垂直に印加される高周波電界成分はほとんど発生しなくなる。

【００１２】 なお、上記第２実施例では方形導波管（１）と正方形導波管（７）との間に（ 管内波長）／４の長さをもつ一段の方形・正方形導波管変換部（６）を設けて説 明しているが、この方形・正方形導波管変換部（６）は各段がそれぞれ（管内波 長）／４の長さをもつ階段状の変換部でもよく、さらにはテーパー状の変換部を 設けても同様な効果が得られる。 また、方形・正方形導波管変換部（６）を構成する一段の長さは（管内波長） ／４の長さに限定されるものではなく、（２ｎ＋１）（管内波長）／４（ここで 、ｎ＝０、１、２、・・）の長さをもっていればよい。 なおまた、変換部（４）の中間に正方形導波管（７）を設けているが、この考 案はこれに限定されるものではなく、８角形導波管を設けても同様の効果が得ら れる。

【００１３】 ところで、上記第１および第２実施例では、マイクロ波管に使用される気密高 周波窓について述べたが、加速器、プラズマ装置、マイクロ波加熱装置等のマイ クロ波応用装置にも利用できることはいうまでもないことである。

【００１４】

【考案の効果】

以上のようにこの考案によれば、方形導波管と円形導波管との間に高周波電界 をゆるやかに変化させる変換部を設け、円形導波管内にマイクロ波のインピーダ ンス整合手段を設けているので、誘電体円板に垂直に向かう高周波電界成分を低 減でき、許容マイクロ波電力が大きい、マイクロ波反射の少ない気密高周波窓が 得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の気密高周波窓の第１実施例を示す一
部破断斜視図である。

【図２】この考案の気密高周波窓の第２実施例を示す一
部破断斜視図である。

【図３】従来の気密高周波窓の一例を示す一部破断斜視
図である。

【図４】図３に示す従来の気密高周波窓内の高周波電界
の状態を説明するための断面図である。

【図５】図４に示す気密高周波窓のVーV線に沿った断面
図である。

【符号の説明】

１ 方形導波管 ２ 円形導波管 ３ 誘電体円板 ４ 変換部 ５ アイリス（インピーダンス整合手段） ６ 方形・正方形導波管変換部 ７ 正方形導波管 ８ 正方形・円形導波管変換部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の方形導波管と、この一対の方形導
   波管の間に設けられた円形導波管と、この円形導波管の
   中間に設けられた誘電体円板とを具備する気密高周波窓
   において、高周波電界をゆるやかに変化させる変換部を
   前記方形導波管と前記円形導波管との間に設け、かつ、
   マイクロ波のインピーダンス整合手段を前記円形導波管
   内に設けたことを特徴とする気密高周波窓。