JPH039740B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は輸卵管あるいは輸精管（以下導管と称
す）を閉鎖するためのクリツプに係り、さらに詳
しくは錠止部材を有して挟み付けるべき導管に対
して直交方向に取付けるべき上下２つの部材から
なり、これらの２つの部材は両部材間に位置した
導管部分を圧縮するものであり、また上記の圧縮
は、上記錠止部材を互いに錠止することによつて
発生して導管を閉鎖するようにした輸卵管あるい
は輸精管を閉鎖するためのクリツプに関するもの
である。以下において、“導管”という言葉及び
それから派生した造語は、輸卵管の場合にも輸精
管の場合にも使用される。

〔従来の技術〕

上述の特徴を有するクリツプは人間医学と獣医
学において機械的な避妊手段として用いられ、こ
れを用いて導管を挟み付けることによつて通常は
導管を通つて運ばれる生殖細胞の通過が阻止され
る。

公知のクリツプは２つの部材即ち挟みアゴから
なり、これらの間に挟み付けるべき導管が捕捉さ
れ、このためにクリツプの一方の端部は弾性リン
ク装置によつて互いに連結されており、他方の端
部は両方の脚を係止することによつて閉鎖可能で
ある。このような型式のクリツプは、たとえばド
イツ特許公開公報第2732326号から知られている。

公知のクリツプを使用する場合には、挟み込ま
れた導管部分の組織は、結合組織が非常に薄くな
りかつ縛られてしまう傾向があるので、クリツプ
で挟み込まれた導管部分と共にしばらく時が経つ
た後に腹腔内に落ちてしまい、したがつてそれ以
上コントロールできなくなつてしまうということ
が知られている。輸卵管閉鎖またはチユーブ閉鎖
の場合には、このようにして落ちたクリツプがた
とえば腹腔、特にダグラス空間に達してしまう。
このような場合にチユーブの両端の組織は堅固に
閉鎖されており、そしてこの限りではクリツプの
一次的に求められた効果は保証されるが、管理で
きない位置の変化ないしはクリツプが管理されず
に異物として装着者の有機組織内に留まること
は、望ましくない。

公知のクリツプの使用と結び付いた、挟み付け
られた導管の好ましくない状態は、まず第一に、
公知のクリツプの場合には両部材が閉鎖時にその
全長に亙つて同一間隔に形成されていることであ
る。このためクリツプ内で導管組織が全幅即ち全
長に亙つてつぶされ、栄養補給を行う血管から切
り離されてしまうことに原因がある。挟み付けら
れた導管への好ましくない影響について、さら
に、導管の入口及び出口の箇所で両部材の端は比
較的鋭角的になり、または大きな曲率を有し、そ
の結果この箇所で導管が急激につぶされるという
ことも明らかになつている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明の目的は、上述の型式のクリツプを上記
の好ましくない現象が生じないようにすることで
ある。このクリツプは挟み付けるべき導管を全幅
に亙つてつぶして縛り続け乃至は栄養補給を行う
血管から切り離してはならず、導管組織の栄養補
給領域を正しく保つことによつて組織の全体的な
圧迫萎縮を阻止しなければならない。圧縮される
導管組織の量を減少させ、クリツプのどの箇所に
おいても導管の急激なつぶれを阻止しなければな
らない。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的は本発明によれば次のように解決され
る。すなわち、２つの部材の導管部分に向いてい
る表面即ち互いに向き合つている表面に、導管の
閉鎖をもたらす圧縮が両部材の距離をあけた二つ
領域（圧縮領域）内でのみ行われ、両圧縮領域間
では導管部分の圧縮を除去しそこに組織の栄養補
給を可能にするふくらみ（栄養補給領域）が形成
されるような断面輪郭を持たせること、並びに略
波形の断面輪郭の導管を通過する各切断面に小さ
い曲率を持させることである。

したがつて本発明の両部材の断面輪郭はたとえ
ばドイツ公開特許公報第2732326号に基づくクリ
ツプが示すような公知の両部材の断面輪郭とはそ
の適用及び目的が異なつている。この種の両部材
の断面輪郭によれば、両部材表面間の間隔が全長
に亙つて同じである場合に、実際に押しつぶされ
る導管部分をクリツプの幅によつて決まる寸法を
越えて延長することによつて導管閉鎖の密度及び
締付け効果が改良される。

本発明のクリツプによれば、栄養補給領域が導
管部分の両側でこの導管に対して直交状に続いて
おり、かつクリツプの両側の端面又は側面におい
て外方へ開放している。

上下両部分の係合を好ましく構成するために、
本発明のクリツプは両端に係合突起つきの突出状
の錠止部を備えた上部材（閉鎖ブリツジ）と、両
端に上記錠止部に対応する同様に係合突起つきの
弾性腕を有する下部材とから構成されていて、閉
鎖ブリツジを下部材内へ圧入すると錠止部と弾性
腕の係合突起が互いに噛合し、両部材の自動錠止
が形成される。

〔実施例〕

次に、この第１図〜第６図の実際寸法どおりで
はない概略図を用いて本発明の実施例を詳細に説
明する。

第１図、第２図及び第５図に閉鎖状態で示すク
リツプは、第３図に詳細に示す上部材即ち閉鎖ブ
リツジ１と、第４図に詳細に示す下部材２とから
構成されている。この閉鎖した状態のクリツプの
外部寸法は実際の完成品では約５×５×12mmであ
る。

閉鎖ブリツジ１の断面輪郭P₁と下部材２の断
面輪郭P₂とはほぼ波形をなしている。第２図の
横断面図から明らかなように、両断面輪郭P₁，
P₂は互いに横方向に距離をあけた２つの領域３
において互いに接近して狭い通路を形成している
ことが示されており、第２図の図面でクリツプを
横断している導管用の狭い通路は実際の完成品で
約0.1〜0.2mmである。したがつてこの狭い通路は
閉鎖されたクリツプの内部で２つの効果的な圧縮
領域を形成し、この圧縮領域内で導管のクリツプ
に囲まれた部分は導管が閉鎖される程度に押しつ
ぶされ又は把持される。

圧縮領域以外の部分は導管部分は断面輪郭P₁
とP₂によつて圧縮されないので、そこでは導管
部分の組織の栄養補給が損なわれることはない。
このために組み合わされた断面輪郭P₁とP₂の圧
縮領域３の間には凹所４状の栄養補給領域が形成
されている。さらに閉鎖されたクリツプは圧縮領
域３の外側の長い方の側壁の領域１１内で口腔状
に外方へ開放している。互いに向き合つた断面輪
郭P₁，P₂間の距離が変化しているので、圧縮さ
れた導管部分が栄養補給領域４内へ、そして口腔
状の開口部１１に向けて逃げられるようになる。
したがつて圧縮される組織の量は明らかに減少す
る。

第２図から明らかなように、断面輪郭P₁とP₂
は導管を垂直に通る断面Ａ−Ｂにおいて、閉鎖さ
れたクリツプの外形寸法によつて必然的に決まる
所定条件に従つて可能な限り小さい曲率に形成さ
れる。このことは垂直に方向づけされた横断面の
みでなく、結果として導管を通過する他の全ての
切断面にあてはまる。実際の完成品においては、
最大の曲率（この場合断面輪郭P₁の狭い領域３
に生じる）は、約1.7mm^-4である。本発明に基づ
く断面輪郭では明らかに曲率が異なる領域間の急
激な移行は生じない。したがつてクリツプのどの
箇所においても導管の急激なつぶれが防止され
る。

第１図及び第６図から明らかなように、栄養補
給領域４はクリツプの内部で短い方の側面即ち端
面５へ続き、そこから符号６の位置で開通され、
外方に向かつて開口している。導管の正中面に延
びていて、導管組織に栄養を与える役割を果たす
血管、たとえば輸卵管の中央ラツパ管被膜に含ま
れる血管は、符号６と１１で示す開口部を通して
クリツプの内の導管部分まで略妨げられずに到達
することができる。

クリツプの内の導管部分の組織へ栄養補給する
方法は、本発明によれぱさらに、次のことによつ
て改善される。すらわちこのクリツプには公知の
クリツプで閉鎖ブリツジ１と下部材２とを結合し
ている弾性リンク装置が省かれており、柄鎖ブリ
ツジ１と下部材２間の閉鎖によつて栄養を補給す
る血管をできるだけ阻害しないように構成されて
いる。このために上部材即ち閉鎖ブリツジ１の両
端部に突出した錠止部７が設けられ、この錠止部
７には係合突起８が設けられており、又下部材２
の両端には錠止部７と対応する錠止受部が弾性腕
９の形で設けられ、この弾性腕９に係合突起１０
が設けられている。この両側の係合突起は、ほぼ
錠止部７の全長にわたつて、または弾性腕９の全
幅にわたつて延びるほぼ三角形状の断面を有する
ウエブによつて形成されている。閉鎖ブリツジ１
が下部材２中に圧入されると、弾性腕９の弾性力
によつてこの両側の係合突起は互いに摺動して噛
合するに至り、閉鎖ブリツジ１と下部材２との間
に自動錠止が形成される。弾性腕９の間にはそれ
ぞれ符号６のところで栄養補給領域４を通過させ
るための外方へ向う開口６が形成されている。

本発明のクリツプに使用する材料には、生物に
適応し、かつ構造に基づく機械的な要請を満たす
各自然素材あるいは人工素材、特に従来すでに外
科で証明されている金属及びプラスチツクが考慮
される。

【図面の簡単な説明】

第１図は閉鎖されたクリツプの長手側面図、第
２図は閉鎖されたクリツプの断面図、第３図はク
リツプの上部材即ち閉鎖ブリツジの側面図、第４
図はクリツプの下部材の側面図、第５図は閉鎖さ
れたクリツプの上面図、第６図は閉鎖されたクリ
ツプの端面図である。 １……上部材（閉鎖ブリツジ）、２……下部材、
３……圧縮領域、４……凹所、５……端面、６…
…開口、７……錠止部、８……係合突起、９……
弾性腕、１０……係合突起、１１……領域。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 錠止部材を有して挟み付けるべき導管に対し
   て直交状に取り付ける上下２つの部材からなり、
   該２つの部材は両部材間に位置した導管部分を圧
   縮するものであり、また上記の圧縮は、上記錠止
   部材を互いに錠止することによつて発生して導管
   を閉鎖するようにした輸卵管あるいは輸精管を閉
   鎖するクリツプにおいて、 上記２つの部材１，２の導管部分に向いた表面
   間、即ち互いに向き合つた表面間に、導管を閉鎖
   する圧縮力が作用するように互いに近接した２つ
   の圧縮領域３，３を形成し、夫々の圧縮領域は導
   管の軸線方向に略直交すると共に該軸線方向に沿
   つて所定の間隔をあけてなり、又上記２つの圧縮
   領域３，３間には、上記導管に圧縮力を作用させ
   ないで導管組織に栄養補給を可能ならしめるよう
   に凹所が形成され； 上記２つの部材１，２の上記導管を含む垂直面
   における断面輪郭P₁，P₂は小さな曲率を有する
   波形に形成されて、導管組識に対する栄養補給を
   妨げる挟み付けを防止し； 栄養補給を可能ならしめる凹所４が導管部分の
   両側でこの導管部分に対して直交状に連続し、か
   つクリツプの端部で外方に向けて開放した開口６
   を有し； 上記クリツプが、両端に係合突起８を有する突
   出部を有する上部材１と、上部材１に対応して両
   端に係合突起１０を有する両端の弾性腕９を備え
   た下部材２とから形成されていて、上部材が下部
   材に圧入されると、両部材１，２の係合突起８，
   １０が互いに噛合して、両部材間の自動錠止が形
   成されることを特徴とする輸卵管あるいは輸精管
   を閉鎖するクリツプ。