JPH038874Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、固定側配管と可動側配管または回転
速度の異なる配管を接続するロータリージヨイン
トの改良に関する。

〔従来の技術〕

従来からこの種ジヨイントの一例として第２図
に示すものが知られている。すなわち同図におい
て、符号１は軸方向の両端に環状のフランジ部材
２，２をボルト止めした筒状本体を示し、両フラ
ンジ部材２，２の内縁に取着したボールベアリン
グ３，３を介して回転体たる筒状スリーブ４が担
持されている。前記筒状本体１には入口５に連な
る通孔６が、筒状スリーブ４には出口８に連なる
通孔７がそれぞれ径方向に穿設され、筒状本体
１、前後のフランジ部材２，２および筒状スリー
ブ４に囲まれる室９を介しての流体通路が構成さ
れる。流体のベアリング３，３方向へ向けての流
出を阻止するため室９内に１対のメカニカルシー
ル１０，１０が軸方向に対称配置されている。符
号１１は、前記筒状スリーブ４に気密的に外挿嵌
着され、室９から筒状スリーブ４の通孔７に連な
る連通孔１２を穿たれた回転摺動環で、前後双方
のメカニカルシール１０，１０に共用され、その
前後端面に対し各各リテーナ１４，１４に抱持さ
れた固定摺動環１３，１３が密接摺動する。Ｏリ
ング１５，１５の介在によりフランジ部材２，２
との間の気密を保持されたリテーナ１４，１４は
それぞれフランジ部材２，２に対して軸方向に移
動可能になり、スプリング１６に押圧され、ドラ
イブピン１７との係合により廻り止めされてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記従来のロータリージヨイントは、軸心ｏを
中心とする筒状スリーブ４の回転中、流路の入口
５から出口８へかけて各種流体を送給する機能を
営むものであるが、該流体が液体である場合、そ
の一部がリテーナ１４，１４背面とフランジ部材
２，２間の隙間１８，１８を含む室９内空間に滞
留し、とくにこの液体がビールやジユース等の飲
料である場合、細菌が発生して腐敗するおそれが
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は以上の点に鑑み、送給液体の滞留部を
なくし液体が常に流動するように構成したロータ
リージヨイントを提供することを目的とするもの
で、この目的を達成するため、筒状本体に設けら
れたリテーナの筒状突起部と、前記筒状本体の内
周面に相対回動自在に担持した筒状スリーブ外周
の環状フランジとを軸方向に対向させ、前記筒状
突起部と環状フランジの間に離間配置した回転摺
動環を前記環状フランジに固定して、該回転摺動
環と環状フランジとの間の空隙の内外周を密封す
るとともに、前記筒状突起部の内周面および外周
面にそれぞれ気密的に取付けた一対の固定摺動環
を前記回転摺動環の端面に押圧摺接させ、前記筒
状突起部の端面に開口する筒状本体側の通孔と前
記環状フランジの端面に開口する筒状スリーブ側
の通孔を、前記環状フランジ、回転摺動環および
筒状突起部の対向端面間にあつて周方向に連続し
た空隙と、回転摺動環に前記両固定摺動環の間か
ら軸方向に貫通形成された複数の透孔を介して連
通してなる構成とした。

〔作用〕

本考案によると、筒状本体側の通孔が開口した
リテーナの筒状突起部端面と透孔が貫通形成され
た回転摺動環の対向端面間の環状の空隙では、流
体は回転摺動環の回転による周方向への摩擦力を
受け、しかも前記透孔の位相は絶えず変化するの
で、通孔から透孔へ向かう過程において、流体は
前記空隙内を周方向に流れる。また、回転摺動環
に形成した透孔は複数であるため、各透孔を通過
した流体は、回転摺動環と環状フランジの対向端
面間の環状の空隙を、環状フランジの端面に開口
する筒状スリーブ側の通孔へ向けて周方向へ収束
するように流れる。したがつて、上記従来例にお
ける室９や隙間１８に相当する液体の滞留部を有
しない構成になる。

〔実施例〕

つぎに本考案ロータリージヨイントの一実施例
を図面にしたがつて説明する。

第１図において、符号２１は、小径筒部２１ａ
と大径筒部２１ｂを径方向壁２１ｃを介して一体
連設した筒状本体を示し、図示しない固定側部材
に支持される等して回転しないよう固定されてい
る。小径筒部２１ａ内径面の軸方向両端には環状
を呈する段部２１ｄ，２１ｄが形成され、カバー
２２，２２を付されて該段部２１ｄ，２１ｄに取
着されたボールベアリング２３，２３を介して回
転体たる筒状スリーブ２４が担持されている。外
径面に前記ボールベアリング２３，２３を係合す
る段部２５ａ，２５ａを備え、最大外径d₁、軸方
向長さl₁になる筒状スリーブ２４の環状フランジ
２５の一端面には、環状を呈する凹溝２６が形成
され、該凹溝２６に、断面横Ｔ字形を呈するメカ
ニカルシール２７，２７の回転摺動環２８の背面
突起２８ａがＯリング２９，２９を介して気密的
に内挿嵌着され、該背面突起２８ａの端面と凹溝
２６の底端壁２６ａの間に幅l₂なる環状空隙３０
が残されている。符号３１は環状フランジ２５に
対する回転摺動環２８の相対的な廻り止めをなす
ノツクピンである。前記筒状本体２１の大径筒部
２１ｂ端部にはリテーナ３２の外径端部がボルト
止めされている。断面Ｌ字形を呈するこのリテー
ナ３２の内径の筒状突起部４８の端面３２ａは、
わずかな間隔l₃を有する環状空隙４９を介して前
記回転摺動環２８に対向している。該リテーナ３
２には入口３３に連なる通孔３４が前記端面３２
ａに開口するように穿設され、環状フランジ２５
を含む筒状スリーブ２４には出口３６に連なる通
孔３５が穿設され、両通孔３４，３５を連通させ
るため回転摺動環２８に複数の透孔３７が貫通形
成されている。符号３８と３９はそれぞれ回転摺
動環２８に密接摺動する固定摺動環を示し、リテ
ーナ３２の内径の筒状突起部４８の内周と外周
に、Ｏリング４０，４１を介して気密的にかつ軸
方向に移動可能に取り付けられている。内周側の
固定摺動環３８はその背面に設けた部材４２に対
してノツクピン４３により廻り止めされ、該部材
４２はドライブピン４４によりリテーナ３２に対
して廻り止めされるとともに、該摺動環３８はド
ライブピン４４の外周に巻回したコイルスプリン
グ４５の弾性で回転摺動環２８に押し付けられて
いる。外周側の固定摺動環３９はその外周に嵌着
した部材４６を介してコイルスプリング４７によ
り回転摺動環２８に押し付けられるとともに、該
スプリング４７に対して円周方向に並設したドラ
イブピン（図示せず）によりリテーナ３２に対し
廻り止めされている。

上記ロータリージヨイントは、軸心ｏを中心と
する筒状スリーブ２４の回転中、前記従来例と同
様に入口３３から出口３６へ向けて各種流体を送
給するものであり、まず入口３３から供給されて
通孔３４を通過した流体は、内外周が回転摺動環
２８と摺接する固定摺動環３９，３９で密封され
た環状空隙４９内を、回転摺動環２８の回転によ
る摩擦力、および該回転に伴う透孔３７の連続的
な位相変化によつて、各透孔３７へ向けて周方向
に流動し、さらに、複数の透孔３７の各々を通過
した流体は、内外周がＯリング２９，２９で密封
された環状空隙３０内を、通孔３５へ向けて周方
向へ収束するように流れ、該通孔３５から筒状ス
リーブ２４内周の出口３６へ流出する。このため
入口３３から出口３６へ至る流通経路中に、流体
の滞留箇所は全く存在しないものである。

〔考案の効果〕

本考案のロータリージヨイントは以上説明した
ように外周の筒状本体側の通孔から内周の回転す
るスリーブ側の通孔へ至る流通経路中に形成され
る空隙内でも、流体は常に周方向へ流動し、滞留
箇所が全く存在しないので、該流体がビールやジ
ユース等の飲料である場合もその腐敗を防止し得
るようにしたもので、本考案の実用的効果はきわ
めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るロータリージ
ヨイントの半裁断面図、第２図は従来例に係るロ
ータリージヨイントの半裁断面図である。 ２１……筒状本体、２３……ボールベアリン
グ、２４……筒状スリーブ、２５……環状フラン
ジ、２６……凹溝、２７……メカニカルシール、
２８……回転摺動環、２９，４０，４１……Ｏリ
ング、３０……環状空隙、３２……リテーナ、３
２ａ……端面、３４，３５……通孔、３７……透
孔、３８，３９……固定摺動環、４５，４７……
コイルスプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筒状本体に設けられたリテーナの筒状突起部
   と、前記筒状本体の内周面に相対回動自在に担持
   した筒状スリーブ外周の環状フランジとを軸方向
   に対向させ、前記筒状突起部と環状フランジの間
   に離間配置した回転摺動環を前記環状フランジに
   固定して、該回転摺動環と環状フランジとの間の
   空隙の内周および外周を密封するとともに、前記
   筒状突起部の内周面および外周面にそれぞれ気密
   的に取付けた一対の固定摺動環を前記回転摺動環
   の端面に押圧摺接させ、前記筒状突起部の端面に
   開口する筒状本体側の通孔と前記環状フランジの
   端面に開口する筒状スリーブ側の通孔を、前記環
   状フランジ、回転摺動環および筒状突起部の対向
   端面間にあつて周方向に連続した空隙と、回転摺
   動環に前記両固定摺動環の間から軸方向に貫通形
   成された複数の透孔を介して連通してなるロータ
   リージヨイント。