JPH0376067B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はテレビジヨン受信機の雑音除去回路に
関するものであり、詳細には外来の雑音パルスが
与える画像妨害を軽減するための雑音除去回路に
関する。

無線周波（以下RFと略称する）テレビジヨン
信号に混入した外来の雑音パルスがビデオ中間周
波（以下ViFと略称）増幅器の利得を調節する自
動利得制御回路および走査回路さらには再生画像
への妨害等を生じさせることはよく知られてい
る。既知の包絡線検波器あるいは疑似的な同期検
波器は負変調のテレビジヨン信号に混入した雑音
パルスのおよそ黒方向の成分のみ再生するために
視覚上の妨害の程度は比較的軽微である。しかし
純粋な同期検波。いいかえるならば再生した同期
搬送波の位相を略一定に維持する検波方式（以下
同期検波と略称する）では検波ビデオ信号に重畳
する雑音パルスは既知の検波器のものと大きく異
なる。例えば、負変調テレビジヨン信号の受信機
では雑音パルスは規定された最大白レベルを超過
し、一方黒方向の雑音パルスは既知の検波器のも
のと略々同様であり、いずれもビデオ増幅器を飽
和させるレベルに到達し、特に上記のように白方
向の雑音パルスの振幅が著しく増大する。白雑音
パルスの増大による受信機障害は主として再生画
像の中ではコントラストを強めるために視覚上の
妨害が増強されるのみでなく、受像管ビーム電流
が、瞬時的に著しく増加するために既知のブルー
ミング現像を引き起す原因となる。従つてビデオ
同期検波器を備えた受信機では黒および白方向の
雑音パルスを除去することが必要であるが、既知
の黒雑音パルスに対して応答する雑音除去回路と
同様の原理を用いて白方向の雑音を除去する方法
ではいくつかの新規な問題が生じる。以下図面を
用いて説明する。

第１図は従来における雑音除去回路の一例を示
したものである。ビデオ同期検波器１は信号入力
端子T₁に供給されたビデオi_F信号の搬送波成分に
同期した搬送波信号を再生する同期搬送波再生器
１０とこれら２つの信号を入力とする乗算器１１
とからなり、検波ビデオ信号は白雑音検出器２、
黒雑音検出器３および減算器４に供給され、いず
れも直流的に結合されるのが普通である。ビデオ
同期検波器１は信号入力端子T₁に供給されるビ
デオi_F信号が第４図ａで示すごとき雑音パルス６
０を含むと、検波ビデオ信号には同図ｂで示すよ
うに零搬送波レベルE₀を超過する白方向の雑音
パルス６１と、同期尖頭値６２を超過する黒方向
の雑音パルス６３とが重畳する（図では１周期の
雑音パルスのみを示している）。前記の白雑音検
出器２は零搬送波レベルE₀よりも検出レベルが
高く設定され、検出した白雑音パルスを減算器４
に供給してその期間中のビデオ信号を所定レベル
にクランプして雑音を除去する。一方、黒雑音検
出器３はビデオ信号の同期尖頭値レベルE₁を超
過する雑音パルスに対して所定の検出レベルを超
えるものを検出し加算器５に供給してその期間中
のビデオ信号を所定レベルにクランプして雑音を
除去し、信号出力端子T₂に全ての雑音パルスを
除去したビデオ信号を得るようにしたものであ
る。

テレビジヨン受信機では既知のように到来入力
信号が著しく微少な場合にも受信機内で発生した
熱雑音成分に対して雑音除去回路が応答すること
は好ましくなく、特に白雑音の除去作用が生じる
とその期間の画像は灰色かもしくは黒レベルに固
定されるために不所望な黒点が生じ著しく不自然
なものとなる。このような現象は負変調テレビジ
ヨン信号の雑音が検波ビデオ信号に重畳するため
に特に白ピーク附近の熱雑音に対して白雑音検出
器２が応答しやすい。また受信機への入力信号が
無い場合には零搬送波レベルを中心として生じる
ために一層検出レベルを超えやすく、この場合に
はビデオ検波器を含む受信機のR_F−i_F段の総合利
得の偏差に対しても誤動作することのないように
白雑音検出器３の検出レベルには十分に余裕を与
えなければならず、その結果白方向の雑音パルス
に対する除去効果が著しく減少する欠点をもつて
いる。

また、他の従来例として、実開昭55−173675号
公報「白雑音除去回路」に記載のものがあるが、
この手段はビデオ同期検波器が送出する検波ビデ
オ信号の黒ベデスタルレベルよりも黒方向の同期
信号および雑音を検出してブランキング信号とす
るものである。この手段では受信機入力が微弱な
とき、第４図Ｃに示すように検波ビデオ信号に現
われる熱雑音で黒ベデスタルレベルE₃を越える
もの全てに対応してブランキングが動作するの
で、多数の黒または灰色線が画面に現れ、この面
面は通常の雑音画面よりも不自然で、あたかも故
障したかのような画面となる。

本発明は上述のごとくビデオ同期検波器によつ
て生じる白以上の白方向の雑音パルスを良好に除
去せんとするものである。本発明にもとずく雑音
除去回路では自動利得制御回路によつて所定の直
流レベルに維持された同期尖頭値レベルよりもさ
らに黒方向の雑音パルスを検出する黒雑音検出器
がビデオ同期検波器と直流結合構成で配置され、
この検出器の出力雑音パルスをパルス幅伸長器を
介して白雑音消去信号とすることに特徴がある。

以下図面を参照してその一実施例を詳細に説明
する。第２図は本発明の一構成例を示したブロツ
ク図である。ビデオ同期検波器１の出力端に得ら
れたビデオ信号は黒雑音検出器３に供給される。
この検出器３は第４図ｂで示す同期尖頭値レベル
E₁よりもさらに黒方向の雑音パルスに対しての
み応答しその出力端に正極性の信号、すなわち雑
音パルス到来時に正パルスを発生する。この雑音
パルスは同図６３で示した黒方向の雑音パルスに
対応するが、通常のパルス性の雑音は1H〜数Ｈ
（Ｈは水平走査時間）におよび、図においては１
周期のみを示している。黒雑音検出器３は、同期
尖頭値レベルE₁よりも黒方向の雑音パルスのみ
に対して正確に検出動作を行なうように同期検波
器１と直流結合されてなる。この直流結合の効果
は検波ビデオ信号が零搬送波レベルE₀を基準に
黒雑音検出器に入力されることにある。この構成
において、AGCが効く受信入力レベル以下の微
弱入力で熱雑音の多いビデオ検波信号の場合、第
４図Ｃに示すように検波ビデオ信号６５の大きさ
はAGCの効く入力レベル時の検波ビデオ信号６
６よりも零搬送波レベルE₀を基準に縮小し、そ
れに重畳する熱雑音成分６４を同期尖頭値レベル
E₁から遠ざけることができ、したがつて、熱雑
音を黒雑音として検出することなく、パルス性の
雑音成分のみ検出することができる。また検出器
３の入力段には所定の周波数成分に対して応答す
るように低減ろ波器を配置すること等の従来技術
は本発明を実施する場合にも有効である。加算器
５は上記の黒雑音検出器３の出力雑音パルスをビ
デオ同期検波器１の出力ビデオ信号内の黒方向雑
音パルスに対して極性反転したものを加算して雑
音除去を行なう。具体的には、前記の従来例にお
ける場合と同様に、雑音パルスの持続する時間中
のビデオ信号を所定レベルにクランプする。より
具体的には、後述する第５図の実施例に示したと
おりである。従つて導線５１のビデオ信号は白方
向の雑音パルスのみが重畳している。この白雑音
パルスの除去信号は本発明においては前記の黒雑
音検出器３の出力雑音パルスをパルス幅伸長した
ものが用いられる。パルス幅伸長器６は検出器３
の出力雑音パルスの幅を数μsec乃至数十μsec拡大
する。雑音によるスプリアスは通常ベースバンド
ではおよそ2MHz附近に集中するので、最も強い
妨害を与える雑音パルスを除去するには前記パル
ス幅伸長器６のパルス幅拡大時間は0.5μsec乃至
1.0μsec程度に設定すればよい。しかし既知の包
絡線検波器とは全く異なる同期ビデオ検波器が発
生する白以上の白雑音パルス群を除去するにはお
よそ20μsec乃至30μsec程度のパルス幅の拡大が必
要である。減算器４はビデオ信号に重畳した白方
向の雑音パルスをパルス幅伸長器６の出力雑音パ
ルスにより減算除去し、信号出力端子T₂に黒以
上の黒雑音および白以上の白雑音を除去したビデ
オ信号を送出する。減算器４の具体的な機能は、
上記の加算器５の場合と同様である。言うまでも
なく前記の加算器５および減算器４の配置は置換
することが可能であり、またその動作機構は２つ
の入力信号の間の極性により適宜選択することが
できる。

上記の構成によれば既知の雑音除去回路とは異
なる実用上の利点が得られる。それは白雑音の除
去信号が黒雑音検出器３の出力パルスであるので
受信機の到来入力信号が微少な場合に発生する熱
雑音成分による誤まつた白雑音除去作用が生じな
いことである。すなわち、受信信号レベルが微弱
である場合、前述の従来の白雑音検出による手段
も、従来の黒雑音検出による手段も熱雑音に応答
して不自然な黒線を含む画面を表示したものに対
して、本発明の雑音除去回路によれば、パルス性
の黒雑音のみを除去することにより再生画像の中
に不所望な黒点を発生しないために画像の質の著
しい劣化を防止することができる。この利点は、
受信条件の変化、たとえばアンテナあるいは受信
機の局部発振器の周波数の変化等によつて検波ビ
デオ信号の高域成分が増強されるような場合、さ
らにはR_F信号の伝送系における反射信号（ゴー
スト）が発生する場合でも受信機の自動利得制御
系は同期尖頭値の直流レベルを一定値に維持し、
雑音パルス以外の信号に対して黒雑音検出器は応
答しないので熱雑音と同様に不所望な黒点の発生
を防止できる。第２の利点は本発明によるパルス
幅伸長器は雑音パルス群の中の一周期の雑音パル
スを含むものではなく、より多くの雑音パルスを
含むようにその拡大時間が設定される。従つてビ
デオ信号の中の複数の周期をもつ白雑音パルス群
に対しては実質的に単一の除去パルスが得られる
ので白雑音の除去効果が著しく改善でき、白雑音
による画像妨害の発生を防止できる極めて実用的
な効果をもつている。

第３図は本発明の他の構成例を示したブロツク
図である。図においては加算器５および減算器４
がともにパルス幅伸長器６の出力雑音パルスによ
つて駆動されることが示されており、第２図の構
成に比べて黒方向の雑音除去パルスが線路５２の
ビデオ信号の黒方向雑音パルス群をほぼ含むため
に黒雑音に対する除去効果が改善できる特徴をも
つている。従つてこの構成においては第２図と同
様に再生画像妨害の視覚上の改善が得られること
に加えて同期信号側の雑音パルスをほぼ完全に除
去できるので受信機の走査回路の同期化安全性に
ついても著しい効果が得られる。

第５図は本発明の具体構成例を示したものであ
るが、図においては第２図、第３図で説明した加
算器５および減算器４を置換して示している。雑
音検出器３の信号入力段には抵抗器３１、コンデ
ンサ３２からなる低域ろ波器が配置され、これに
よりビデオ検波器の出力ビデオ信号の高域成分が
除去される。前述したごとく、受信条件の変化に
よつて生じる増強されたビデオ信号の高域成分お
よび同期信号の先端部分に重畳した熱雑音の高域
成分に対する雑音検出器の不所望は応答が阻止さ
れる。トランジスタ３３，３４はレベル比較器を
構成し、トランジスタ３３のベース電極にビデオ
信号が印加され、他方のトランジスタ３４のベー
ス電極は第４図ｂで示すように同期尖頭値E₁よ
りもさらに黒方向の雑音検出レベルE₂を与える
基準電圧源E₂に接続される。従つてトランジス
タ３４は前記の雑音検出レベルE₂を超える黒方
向の雑音パルスの到来時のみ導通しベースが共通
接続された雑音増幅トランジスタ３５および３６
をともに飽和領域にまで駆動する。白雑音に対す
る除去パルスは増幅トランジスタ３５のコレクタ
電極と接地間に配置された抵抗器３７，３８の共
通接続点より得られパルス幅伸長器６に送出され
る。このパルス幅伸長器６はダーリントン接続さ
れたトランジスタ６１，６２とトランジスタ６１
のベース電極に対して順方向直列接続された
PNP形トランジスタによるダイオード６３等に
よつて構成される。トランジスタあるいはトラン
ジスタを用いたダイオードはその動作電流により
信号応答特性が大きく変化することは既知であ
り、特に集積回路内に形成される横方向PNPト
ランジスタはNPNトランジスタに比べてその高
周波性能が低いことが知られている。しかし本発
明におけるパルス幅伸長作用に対してはこの横形
構造のPNPトランジスタのもつ蓄積作用は極め
て有効であり、ダーリントン接続によつて電流増
幅率（β）を増加したNPNトランジスタのベー
ス電極への直列接続によつて10μsec以上の雑音パ
ルス幅の拡大が可能である。白雑音除去のための
減算器４はPNPトランジスタ４１のエミツタ電
極バイアスを抵抗器４２，４３およびスイツチン
グトランジスタ４４とによつて拡大された雑音パ
ルス到来時に所定のバイアスレベルに固定するよ
うに形成されている。雑音パルスに対してゲート
を構成するトランジスタ４１はそのベース電極に
印加されたビデオ信号の中の白方向および黒方向
に振動する雑音パルス群に対して、トランジスタ
４４の導通によつて固定されたエミツタ電極バイ
アスよりもおよそ0.7V低いレベル以上の白方向
の雑音パルスのみに対して除去動作をし、ビデオ
信号の瞬時直流レベルを灰色レベルに固定する。
黒雑音除去のための加算器５はエミツタ電極が共
通接続されたトランジスタ対５３および５４によ
つて構成され、信号出力端子T₂にはこれらトラ
ンジスタ対のベース電極に印加される黒方向の雑
音パルス群を含むビデオ信号と前記雑音増幅トラ
ンジスタ３６の出力雑音パルスの何れか高レベル
側の信号もしくは雑音パルスを送出する。黒雑音
の除去パルスはトランジスタ３６のコレクタ電極
に直列接続で配置した抵抗器３９と４０の共通接
続点より得られ、抵抗器４０の他端は直流電圧源
E₃に接続されている。この具体構成例では黒雑
音の除去パルスはパルス幅伸長器を経由しておら
ず、従つて除去し得ない黒方向の雑音パルスの振
幅はこの電圧源E₃によつてクリツプされる。

本発明は上記のごとく黒雑音検出器の出力パル
スを少なくともパルス幅伸長器あるいはこれと等
価な作用を有する手段、例えば雑音パルスの略包
絡線応答を得るごとくのものでその幅を拡大して
白雑音除去パルスとして用いるものであり、単一
の雑音検出器を配置するのみで白および黒方向の
雑音パルスをともに除去できる構成上の利点のみ
でなく、前記のごとく少なくとも白方向の雑音除
去効果を改善できる特徴をもつている。またビデ
オ信号の輝度レベルが低い場合、すなわち暗い画
像に対しては零搬送波レベルに到達しない白方向
の雑音が発生している場合にも良好に除去し灰色
レベルに変換できるため、白雑音による雑音コン
トラストの増大を防止できるなどの実用上の利点
が極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の雑音除去回路の一例を示すブロ
ツク図、第２図および第３図はそれぞれ本発明の
一実施例による雑音除去回路の構成を示すブロツ
ク図、第４図は雑音除去動作の説明に用いるため
のテレビジヨン信号波形図、第５図は同回路の具
体構成例を示す回路図である。 １……ビデオ同期検波器、３……黒雑音検出
器、４……減算器、５……加算器、６……パルス
幅伸長器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 負変調ビテオ中間周波信号と、この搬送波に
   対して略一定の位相関係を維持してなる再生同期
   搬送波とにより少なくともビデオ信号を得る構成
   のビデオ同期検波手段を有し、かつこの検波手段
   に直流結合されてなり、自動利得制御装置によつ
   て所定の直流レベルに維持された状態における前
   記ビデオ信号の中の同期信号の尖頭値よりも黒方
   向のレベルに固定された雑音検出レベルを超える
   黒方向の雑音パルスを検出する黒雑音検出器と、
   この黒雑音検出器の出力雑音パルスの幅を伸長す
   るパルス幅伸長器とを具備し、少なくとも前記パ
   ルス幅伸長器の出力雑音パルスに応じて、前記ビ
   デオ信号を所定レベルに固定することにより、ビ
   デオ信号の白方向の雑音を除去することを特徴と
   する雑音除去回路。 ２ パルス幅伸長器の出力雑音パルスでビデオ信
   号の黒方向および白方向の雑音をともに除去して
   なる特許請求の範囲第１項記載の雑音除去回路。 ３ パルス幅伸長器が少なくともエミツタフオロ
   ワ構成の第１トランジスタとこの第１のトランジ
   スタのベース電極に直列配置されこの第１のトラ
   ンジスタのベース電流を順方向電流としてなるダ
   イオード接続の第２トランジスタとを含む特許請
   求の範囲第１項記載の雑音除去回路。 ４ 黒雑音検出器およびパルス幅伸長器を単一の
   集積回路チツプに形成するとともに第２のトラン
   ジスタを横型PNPトランジスタで形成してなる
   特許請求の範囲第３項記載の雑音除去回路。