JPH036345B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明は、内燃機関の着火時期センサに係り、
特に、先端がエンジン燃焼室内に臨むよう配置さ
れる光導体からなる導光ロツドと、燃焼室内を外
気から遮断した状態で前記導光ロツドを保持する
筒状ケースと、前記導光ロツドの後端に臨んで配
設される光検知部と、を有し、前記導光ロツドに
よつて導かれる燃焼光の状態から前記光検知部を
介して着火時期を検出するための内燃機関の着火
時期センサの改良に関する。

【従来の技術】

近年、特に自動車デイーゼルエンジン、ガソリ
ンエンジンにおいては、出力、燃費あるいは排気
ガス浄化性能の向上が重要な課題となつている。 これを実現するための手段の一つとして、燃料
噴射時期制御に際して、エンジン燃焼室内の燃焼
光を検出するための着火時期センサを設け、該着
火時期センサ出力から着火時期を検出し、この検
出結果に応じて、例えばタイミング制御弁をフイ
ードバツク制御することが提案されている。 このような燃料噴射時期制御における着火時期
の検出に際して、燃焼光の状態をエンジン燃焼室
内から外部に取出すための手段としては、例え
ば、特開昭58−25584号公報等に記載されるよう
に、光フアイバや石英硝子棒からなる導光ロツド
を、燃焼室内を外気から遮断した状態でエンジン
のシリンダヘツド等の取付け保持することが考え
られる。 この場合、導光ロツドは耐熱材料よりなる筒状
のケース内に保持され、該ケースがエンジンのシ
リンダヘツドに形成されたねじ孔に螺着される。 ここで、この導光ロツドを介して取出されるエ
ンジン燃焼室内の燃焼光は、該導光ロツドの後端
に臨んで取付けられた受光素子、又は、オプチカ
ルフアイバを介して、離れて配置された受光素子
に受光され、ここで電気信号に変換される。 前記導光ロツドを保持するための筒状ケース
は、一般的に金属性であり、他方、前記導光ロツ
ドは前述のように、石英ガラスから形成されてい
るために、両者は熱膨張係数が大きく異なる。 従つて、従来は、異なる熱膨張係数によつて生
じる歪みを少なくするために、筒状ケース内周と
導光ロツド外周との間に少なからざる隙間を設け
ていた。 しかしながら、エンジン燃焼室内は高圧とな
り、特に、デイーゼルエンジンの場合は、ガソリ
ンエンジンの場合と比較して、燃焼室内の圧力が
高いために、筒状ケースと導光ロツドの間の隙間
から燃焼ガスが侵入しやすいという問題点が生じ
る。 これに対しては、前記隙間を狭めることによつ
てある程度対応できるが、隙間を狭めると、前述
のような熱歪みが生じてしまい、従つて従来は、
導光ロツドと筒状ケース間の最適な隙間を取るこ
とができなかつた。 これに対しては、例えば特開昭57−108734号公
報に記載されるように、導光ロツドと筒状ケース
の間にシールリングその他のリングを介在させる
ことが提案されている。 かかるリングは、通常は、フツ素ゴム等の比較
的耐熱温度が低い軟質材料からなるオーリングに
より構成されている。

【発明が解決しようとする問題点】

このようなオーリングでは、導光ロツドと筒状
ケースの間の隙間からエンジン燃焼室内の高温の
燃焼ガスが侵入してくると、その熱により焼損さ
れることがあるというう問題点がある。 この発明は上記従来の問題点に鑑みてなされた
ものであつて、燃焼室からのガスの侵入をより確
実に防止すると共に、オーリングが損傷されるこ
とを防止できるようにした内燃機関の着火時期セ
ンサを提供することを目的とする。

【問題点を解決するための手段】

この発明は、先端がエンジン燃焼室内に臨むよ
うに配置される光導体からなる導光ロツドと、燃
焼室内を外気から遮断した状態で前記導光ロツド
を保持する筒状ケースと、前記導光ロツドの後端
からの出力光を検知する光検知部と、を有し、前
記導光ロツドによつて導かれる燃焼光の状態から
前記光検知部を介して着火時期を検出するための
内燃機関の着火時期センサにおいて、前記オーリ
ングの導光ロツド先端側位置で、前記筒状ケース
の内周に締り嵌めされた少なくとも一個の軟質金
属リング及び前記導光ロツドの外周に締り嵌めさ
れた少なくとも一個の軟質金属リングを配置する
ことにより上記目的を達成するものである。 又、前記オーリングと軟質金属リングとの間
に、軟質のバツクアツプリングを介在させること
により上記目的を達成するものである。

【作用】

この発明において、オーリングの導光ロツド先
端側に配置された少なくとも２個の軟質金属リン
グが、筒状ケースと導光ロツド間の隙間から燃焼
ガスがオーリング方向に侵入することを抑制し、
且つ、オーリングに直接燃焼ガスが接触して、該
オーリングを損傷することを防止するものであ
る。

【実施例】

以下図面を参照して、本発明の着火時期センサ
をデイーゼルエンジンに適用した場合の実施例を
詳細に説明する。 本実施例は、第１図に示す如く、デイーゼルエ
ンジン１０の燃焼室１０Ａ内の燃焼光を検出する
ための、デイーゼルエンジン１０のシリンダヘツ
ド１０Ｂに挿入固定される着火時期センサ１２
と、リード線１６を介して入力される前記着火時
期センサ１２出力を処理して着火時期を検出し、
該検出された着火時期に応じて、例えば燃焼噴射
時期を制御する電子制御ユニツト（以下ECUと
称する）２０とを有している。第１図において、
２２は、燃料噴射用ノズル、２４はグロープラ
グ、２６はピストン、をそれぞれ示す。 前記着火時期センサ１２は、第２図に詳細に示
す如く、先端３０Ａがエンジン燃焼室１０Ａ内に
臨むように配置される、例えば石英硝子製の光導
体からなる導光ロツド３０と、燃焼室１０Ａ内を
外気から遮断した状態で前記導光ロツド３０を保
持する、耐熱性の高い金属あるいはセラミクス製
の筒状ケース３２と、前記導光ロツド３０の後端
３０Ｂに臨んで配置され、前記導光ロツド３０に
よつて導かれる燃焼光を受光して電気信号に変換
するための、例えばシリコンホトトランジスタか
らなる受光素子３４と、前記導光ロツド３０の外
周と前記筒状ケース３２の内周間に介在され両者
間をシールするオーリング３６と、このオーリン
グ３６の導光ロツド先端側位置で、前記筒状ケー
ス３２の内周に締り嵌めされた第１の銅リング３
８及び前記導光ロツド３０の外周に締り嵌めされ
た第２の銅リング４０と、前記オーリング３６の
導光ロツド後端側に隣接して、該導光ロツド３０
外周と筒状ケース３２内周間に配置されたバツク
アツプリング４２と、このバツクアツプリング４
２の、導光ロツド後端方向への抜け止めを構成す
るストツパ４４と、を有し、前記導光ロツド３０
によつて導かれる燃焼光の状態から前記受光素子
３４を介して着火時期を検出できるようにすると
共に、前記オーリング３６と第１の銅リング３８
との間に第２のバツクアツプリング４４を介在さ
せたものである。 前記第２のバツクアツプリング４６は、前記オ
ーリング３６とこのオーリング３６に隣接する第
１の銅リング３８との間の導光ロツド軸方向の隙
間を埋める幅とされている。 前記バツクアツプリング４２及び４６は、フツ
素樹脂、カーボンの焼結体等の材料から構成さ
れ、又、オーリング３６はフツ素ゴムから形成さ
れている。 前記導光ロツド３０の先端側は、前記筒状ケー
ス３２の先端内周に溶着されて該筒状ケース３２
の一部を構成するチユーブ３２Ａによつて先端ま
で被覆され、これにより導光ロツド３０の保持及
び先端方向への抜止めが形成されている。 前記導光ロツド３０を保持する筒状ケース３２
には、貫通孔４７が前記チユーブ３２Ａと同軸的
且つ連続的に筒状ケース３２の中心を貫通して形
成されている。この貫通孔４７は、筒状ケース３
２の後端に取付けられたアダプタ４８の先端側一
部にまで連続的に形成されている。 前記導光ロツド３０の先端側部分は筒状ケース
３２の先端から一部が突出した状態で貫通孔４７
内に挿入して保持されている。 導光ロツド３０の、筒状ケース３２から突出し
た先端側部分の一部は、前記チユーブ３２Ａによ
つて先端部分まで被覆され、保護されている。導
光ロツド６０の後端方向の位置決め及び抜止め
は、後端３０Ｂの外周部分に接触するように、ア
ダプタ４８における貫通孔４７上端に形成された
内周突起４８Ａによつて押え込まれることによつ
てなされる。該アダプタ４８は、筒状ケース３２
の後端にかしめにより取付け固定されている。 ここで、前記ストツパ４４は、前記アダプタ４
８における、前記筒状ケース３２内に入込んだ先
端部分によつて構成されている。 前記アダプタ４８は前記受光素子３４を内包す
る中空部５０を備えた筒状部材であつて、前記受
光素子３４は、基板５２によつて支持され、この
基板５２は前記アダプタ４８における中空部５０
の内方に突出する肩部５４に、アダプタ後端方向
から挿入して当接されることによつて位置決め保
持されている。 前記基板５２の後端側にはインシユレータ５６
が配置され、このインシユレータ５６は、アダプ
タ４８の後端側から挿入されるコネクタボデイ５
８の先端によつて押え込まれ、これにより、前記
基板５２はインシユレータ５６を介して導光ロツ
ド軸方向に位置決め保持される。 前記コネクタボデイ５８は、相手側コネクタボ
デイ５９と着脱自在であつて、該相手側コネクタ
ボデイ５９が後端側から挿入された時、ターミナ
ル６０が相手側コネクタボデイ５９のターミナル
と電気的に接続されるものである。 このターミナル６０は前記インシユレータ５６
を貫通して、基板５２部分において、受光素子３
４からのリード線６２と接続され、受光素子３４
の電気出力信号を導出するようにされている。 図の符号５８Ａはコネクタボデイ５８の、前記
アダプタ４８後端部に対応した位置に形成された
大径部であつて、この大径部５８Ａが、アダプタ
４８の後端部にかしめによつて固定される。 図の付号６４はコネクタボデイ５８とアダプタ
４８との間に介在され、両者間をシールするため
のオーリング、６６はコネクタボデイ５８に取付
けられ、相手側コネクタボデイ５９との接続時に
両者間をシールするためのオーリング、６８は該
コネクタボデイ５８が相手側コネクタボデイ５９
と接続される時に両者をロツクするロツクノブを
それぞれ示す。 又、符号３２Ｂは筒状ケース３２をシリンダヘ
ツド１０Ｂに螺合させるためのねじ部、３２Ｃは
該筒状ケース３２と一体的に形成され、この筒状
ケース３２をシリンダヘツド１０Ｂに対して螺合
又は螺脱させる時に使用される６角ナツト部をそ
れぞれ示す。 この実施例においては、オーリング３６の薄光
ロツド先端側位置に第１の銅リング３８及びこれ
に隣接する第２の銅リング４０がその径方向の取
付け位置を相違させて配置されているので、燃焼
室１０Ａ内の燃焼ガスの侵入を抑制することがで
きると共に、該燃焼ガスがオーリング３６に接触
してこれを損傷させることも効果的に抑制するこ
とができる。 特に、この実施例においては、オーリング３６
と第１の銅リング３８との間に、両者間の導光ロ
ツド軸方向の隙間を埋める幅の第２のバツクアツ
プリング４６が介在されているので、第１の銅リ
ング３８及びこれに隣接する第２の銅リング４０
の、導光ロツド軸方向の位置決めがなされ、両者
は軸方向に圧接されると共に、第２の銅リング４
０は、筒状ケース３２の段部３２Ｄに圧接され
て、燃焼誌１０Ａ内の燃焼ガスの侵入を抑制する
ことができる。 又、第２のバツクアツプリング４２は、第１の
銅リング３８が直接オーリング３６に接触するこ
とを阻止するので、該第１の銅リング３８によつ
て軟質のオーリング３６が損傷されることを防止
できる。 なお上記実施例において、一対の銅リング３
８，４０に対してバツクアツプリング４６が配置
され、これが銅リング３８，４０の導光ロツド軸
方向の位置決めをするようにしているが、本発明
はこれに限定されるものでなく、例えば第１及び
第２のバツクアツプリング４２，４６の一方又は
両者を設けない場合についても適用されるもので
ある。 更に又上記実施例において、前記オーリング３
６の先端側には、一対の銅リング３８，４０が配
置されたものであるが、本発明はこれに限定され
るものでなく、銅リングは３個以上であつてもよ
い。 この場合、銅リングは導光ロツド３０の外周及
び筒状ケース３２の内周に交互に絞り嵌めされる
よう配置する。 又、これらのリングの材質は、銅に限定される
ものでなく、軟質の金属材料であればよい。 又、バツクアツプリング４２及び４６の材質に
ついては、オーリング３６を損傷しない程度の硬
さであつて、熱的には200℃乃至300℃の耐熱性を
有する材料であればよく、テフロン（商標）ある
いはカーボンの焼結体に限定されるものでない。 又、前記ストツパ４４は、アダプタ４８の先端
とされているが、本発明はこれに限定されるもの
でなく、他のストツパ部材あるいはリング部材を
ストツパとして取付けるようにしてもよい。

【発明の効果】

本発明は上記のように構成したので、オーリン
グの、導光ロツド先端側に位置する少なくとも一
対の軟質金属リングによりエンジン燃焼室からの
燃焼ガスの侵入を抑制することができると共に、
これら燃焼ガスが直接前記オーリングに接触する
ことを防止して、オーリングの損傷を抑制するこ
とができるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係るデイーゼルエンジンの
着火時期センサの実施例が用いられている、着火
時期検出装置の全体構成を示す断面図、第２図
は、前記実施例にかかる着火時期センサの構成を
示す断面図、第３図は同実施例の要部を拡大して
示す断面図、である。 １０……デイーゼルエンジン、１０Ａ……燃焼
室、１２……着火時期センサ、３０……導光ロツ
ド、３０Ａ……先端、３０Ｂ……後端、３２……
筒状ケース、３４……受光素子、３６……オーリ
ング、３８……第１の銅リング、４０……第２の
銅リング、４２……バツクアツプリング、４４…
…ストツパ、４６……第２のバツクアツプリン
グ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 先端がエンジン燃焼室内に臨むよう配置され
   る光導体からなる導光ロツドと、燃焼室内を外気
   から遮断した状態で前記導光ロツドを保持する筒
   状ケースと、前記導光ロツドの後端からの出力光
   を検知する光検知部と、前記導光ロツドの外周と
   前記筒状ケースの内周間に介在され両者間をシー
   ルするオーリングと、を有し、前記導光ロツドに
   よつて導かれる燃焼光の状態から前記光検知部を
   介して着火時期を検出するための内燃機関の着火
   時期センサにおいて、前記オーリングの導光ロツ
   ド先端側位置で、前記筒状ケースの内周に締り嵌
   めされた少なくとも一個の軟質金属リング及び前
   記導光ロツドの外周に締り嵌めされた少なくとも
   一個の軟質金属リングを配置してなる内燃機関の
   着火時期センサ。 ２ 前記オーリングと軟質金属リングとの間に、
   軟質のバツクアツプリングを介在させてなる特許
   請求の範囲第１項記載の内燃機関の着火時期セン
   サ。