JPH035531B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、水中機器等の水密構造を有する音響
センサの製造方法に関する。

〔従来技術〕

水中機器等の音響センサには音波を送受波する
圧電子等の電気部品が使われており、これらの電
気部品は外気から絶縁させると共に、音波は通り
易いという水密構造が要求される。

このような、音響センサの従来の製造方法につ
いて図面を基に説明すると共に、その欠点を述べ
る。

第１図は従来の音響センサの側断面図であり、
１は送受波面として上面を開口とした金属ケー
ス、１ａは金属ケース１の底面に形成した後記す
る信号線用の貫通穴、２は金属ケース１に収納し
た音響を検知する発振部品、３は発振部品２に接
続する水密処理を施した信号線、４は金属ケース
１内で密着状態で発振部品２を内包している可撓
性液状樹脂例えばビスフエノール系エポキシ樹脂
等によるポツテイング樹脂である。

このように、単なる開口を有した金属ケース１
に単にポツテイング樹脂を充填した構造では次の
ような欠点が生じてくる。

それは、金属ケース１の開口方向からの水圧に
よつて金属ケース１とポツテイング樹脂４との接
合部に剪断力が生じるために剥離を起す危険性が
大きい欠点である。

また、金属ケース１とポツテイング樹脂４との
線膨張係数の違いにより長期的に界面剥離を起す
恐れの欠点もある。

そして、ポツテイング樹脂３の選び方によつて
は音響的損失を来たす欠点もある。

〔発明の目的〕

そこで、本発明は金属ケースの開口部に剥離防
止構造を設けると共に従来のポツテイング樹脂材
に代る材質のものを使用することにより、従来の
欠点を解決することを目的とする。

〔発明の構成〕

その、本発明の構成は次の通りである。

金属ケースの開口部に段部を形成し該段部に合
成加硫ゴムをリング状に形成焼付するか、または
該段部の底面外方に溝を形成すると共に底面内方
に凹型リング状に形成した合成加硫ゴムを配置し
て、金属ケースに発振部品を収納すると共に信号
線を接続して金属ケースに充填するポツテイング
樹脂を例えばポリエーテル系ウレタン樹脂による
液状高分子樹脂を上記合成加硫ゴムを覆うように
して充填することである。

〔実施例〕

以下に、本発明の二つの実施例を図面に基づい
て説明すると共に、その効果を述べる。

まず、第１実施例の図面及び図示について述べ
る。尚従来と同一名称には同一符号を使用する。

第２図は本発明の第１実施例を示すポツテイン
グ前の金属ケースの側断面図、第３図はポツテイ
ング後の同側断面図であり、１は送受波面として
上面を開口し防蝕性及び耐水圧性を考慮した金属
ケース、１ａは金属ケース１の底面に形成した貫
通穴、１ｂは金属ケース１の開口部に設けた段
部、２は金属ケース１に収納した圧電子等の発振
部品、３は貫通穴１ａを介して発振部品２に接続
した水密処理を施した信号線、４は例えばポリエ
ーテル系ウレタン樹脂等の液状高分子樹脂による
ポツテイング樹脂、５は段部１ｂは120℃〜160℃
で厚さ２〜3m／ｍに加硫焼付した例えばクロロ
プレン系のリング状の合成加硫ゴムである。

この第１実施例では、金属ケース１の開口部に
段部１ｂを設けて接着延面距離を増すと共に、該
段部１ｂに強固に焼付した合成加硫ゴム５の介在
によつてポツテイング樹脂４と二層の構造を成し
水圧変化や温度変化に対して接着界面にかかる歪
を緩和し、しかも長時間使用にも十分耐えること
ができる。

そして、ポツテイング樹脂４には音響特性が良
く金属ケース１及び合成加硫ゴム５との接着性が
良好なものを使用している。

次に、製造方法について述べる。

金属ケース１には開口側に段部１ｂが設けられ
ている。該段部１ｂに合成加硫ゴム６を120℃〜
160℃位で加硫し厚さ２〜3m／ｍ位にリング状に
成形焼付を行なう。次に、貫通穴１ａを介した信
号線３を発振部品２に接続すると共に、金属ケー
ス１に収納する。

その後、金属ケース１と発振部品２間にポツテ
イング樹脂４を充填して一体化を行なうが、この
とき金属ケース１の開口部において合成加硫ゴム
５をポツテイング樹脂４で覆うようにしておく。

次に、第２実施例として比較的大型のもので過
酷な環境条件で使用されるものについて述べる。
尚、前記第１実施例と同様部品については同一符
号を図に示し改ため説明は省略する。

第４図は第２実施例を示す大型の音響センサの
側断面図であり、１ｃは段部１ｂの底面外方に設
けた溝、５ａは第１実施例で使用したものと同様
の合成加硫ゴムを断面形状凹型リング状に形成し
て溝１ｃの底面内側に設けたものである。

この第２実施例では、溝１ｃおよび合成加硫ゴ
ム５ａをポツテイング樹脂４で覆うことにより第
１実施例よりも更に接着延面積が増すと共に、ポ
ツテイング樹脂４の温度変化に対しても応力の拡
散効果があり接着面にかかる歪も緩和される。

そして、断面形状凹型の合成加硫ゴム５ａを設
けたことにより水圧による圧縮歪や使用環境変化
からくる構造材料の違いによる歪等の剪断応力が
緩和できるため剥離の危険性がより少なくなる。

尚、製造方法は前記第１実施例と同様に行なわ
れる。

〔発明の効果〕

以上、詳細に説明したように本発明では金属ケ
ースの開口部に段部を設け該段部に合成加硫ゴム
の被膜を設けるか、または該段部の底部外方に溝
を形成すると共に該段部の底部内側に断面形状凹
型の合成加硫ゴムを設けてその合成加硫ゴムを覆
うようにして液状高分子樹脂のポツテイング樹脂
を充填したので次のような効果を発揮することが
できる。

それは、金属ケースの開口部に設けた段部及び
段部に設けた溝によつてポツテイング樹脂の接着
面積を増加させる効果があると共に、段部に配置
した合成加硫ゴムの被膜及び断面形状凹型部材に
よつてポツテイング樹脂の歪に対する耐応力があ
る効果も有している。

また、ポツテイング樹脂の材質も従来のものに
代えて音響特性が良く金属や合成加硫ゴムとの接
着性が良好な液状高分子樹脂を用いているので前
記効果を一層向上させるものである。

この効果は、従来の金属ケースとポツテイング
樹脂間に水圧や温度変化等の外的条件によつて発
生する剥離現象を著しく減少させる効果となつて
いる。

また、合成加硫ゴムの成形も極く容易なことや
金属ケースの加工も極く容易で、増加部品点数も
合成加硫ゴムのみなので製造においても何等面倒
な手間を必要としない効果もある。

従つて、本発明は高品質の音響センサの製造方
法として有益な利用ができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の音響センサの側断面図、第２図
は本発明の第１実施例を示すポツテイング前の金
属ケースの側断面図、第３図はポツテイング後の
同側断面図、第４図は第２実施例を示す大型音響
センサの側断面図である。 １……金属ケース、１ｂ……段部、１ｃ……
溝、２……発振部品、４……ポツテイング樹脂、
５，５ａ……合成加硫ゴム。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一面を開口にして発振部品を収納した金属ケ
   ースの発振部品と金属ケース間にポツテイング樹
   脂を充填する音響センサの製造方法において、金
   属ケースの開口部に段部を設け該段部に合成加硫
   ゴムを加硫焼付等して配置し、この合成加硫ゴム
   を覆うようにしてポツテイング樹脂となる液状高
   分子樹脂を充填することを特徴とした音響センサ
   の製造方法。