JPH0353347B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、高温度に加熱されると発泡炭化して
防火機能を発揮する屈曲性、施工作業性に特に優
れたリボン状熱発泡性防火シーリング材に関す
る。 熱発泡性膨張ペイントは公知であり、例えば、
リン酸アンモニウム、パラフオルムアルデヒド及
び尿素又はフオルムアルデヒド樹脂の混合物、又
は糖、ジシアンジアミド及びリン酸アンモニウム
又はポリリン酸アンニウムの混合物から成つてお
り、この膨張剤は、熱の作用で発泡し炭化層を形
成する為に、その下にある木材、又は金属面を保
護するものであるが、パテ及び充填配合剤に必要
な厚さの層を被覆する為には満足な効果が得られ
ない。 一方、炭素源として炭化水素多価アルコール、
炭水化物、触媒としてアンモニウム塩、リン酸ア
ミン類、リン酸アミド類、硫酸アミン類、発泡剤
として有機アミン、有機アミド、ハロゲン化有機
物、スルホンヒドラジド類、グアニル化合物から
成り更に液状の有機物等をバインダーとした発泡
性防火パテ、又は中空状フイラーを混入した発泡
性防火パテは、発泡防火機能に優れているが施工
作業性に問題がある。 特公昭55−39190号公報記載の発泡防火性パテ
は、炭化水素多価アルコール、炭水化物、難燃性
脱水剤、温度210〓において液状の有機物から成
る発泡性防火パテである。 又、特開昭55−65284号公報記載の耐焔性発泡
性組成物は、炭化水素多価アルコール、炭水化
物、難燃性脱水剤、中空状フイラーから成る発泡
性防火パテである。 これらはいずれも、発泡防火機能は優れている
が、施工面積が大きい場合には、厚みが不均一に
成り易くかつ形状がパテ状の為に、手への付着汚
れ及び作業効率の低下等の作業面での欠点を有す
る。 本発明は、熱発泡性防火材料をリボン状にした
場合、その施工等における作業性が大幅に改善で
きることに着目し、苦心の末本発明に到達した。 本発明は、炭化水素系多価アルコール、繊維素
グリコール酸塩、水から成る炭化形成材料がバイ
ンダーとしての機能を有する為に、バインイダー
として他の有機物、充填剤等を用いなくて良い事
から高発泡倍率を示すものであり、又上記炭化形
成材料はゴム弾性を有し二本ロールでの圧延が可
能な為に、リボン状の成形品が得られる。 本発明の屈曲性、施工作業性に特に優れたリボ
ン状熱発泡性防火シーリング材は、高温度に加熱
されると発泡炭化して防火機能を発揮するリボン
状熱発泡性防火シーリング材において、炭化水素
系多価アルコール50〜80重量部、繊維素グリコー
ル酸ナトリウム又はカルシウム20〜50重量部から
成る組成物100重量部に対して、さらに発泡剤10
〜60重量部と難燃性脱水剤10〜50重量部とを添加
配合して成る組成を有し、該組成が混練作業性並
びにリボン成形性に優れ、発泡倍率が２〜100倍
であることを特徴とする。このように発泡倍率が
２〜100倍と優れたものである。 この優れた発泡倍率の為に、火災時には発泡層
の反対側を熱、煙、燃焼ガス或は塩化水素ガスか
ら保護することができる。 又、リボン状である事と発泡倍率が優れている
為に、電線ケーブルの防火壁貫通部の空隙、建築
物内装材の継目部に単に挿入するだけで良い事か
ら施工が著しく簡単であり施工作業性に優れてい
る。 本発明に用いる炭化水素系多価アルコールの例
として、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、トリエチレングリ
コール、グリセリン、モノペンタエリスリルトー
ルジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリ
トール、ソルビトール、レゾルシノール、ポリペ
ンタエリスリトール、トリメチロールメタン、ト
リメチロールプロパン、イノミトール等がある。
このうち好ましいものとしてはグリセリン、エチ
レングリコールである。 本発明に用いる繊維素グリコール酸塩として
は、繊維素グリコール酸ナトリウム、繊維素グリ
コール酸カルシウム等がある。 本発明に用いる発泡剤としては、尿素ホルムア
ルデヒド、アミノ酢酸、トリメチロールメラミ
ン、ヘキサメチロールメラミン、メラミン樹脂、
グアニジン、ジシアンジアミド、ブチルウレア、
ポリアミド樹脂、カゼイン、アゾジカルボンアミ
ド、ニトロソスルホンアミド、塩素化パラフイ
ン、パラクロロメタキシレノール、テトラクロロ
フタル酸樹脂、ペンタクロロフエノール、グリセ
ニールエーテル、ベンゼンスルホンヒドラジド、
アミノグアニルウレア等がある。 本発明に用いる難燃性脱水剤には、アンモニウ
ムホスフエート、ジアンモニウム、ホスフエー
ト、アンモニウムポリホスフエート、硫酸アンモ
ニウム、アンモニウムハライド、メラミンモノホ
スフエート、メラミンジホスフエート、メラミン
トリホスフエート、グアニルホスフエート、ウレ
アホスフエート、ポリホスホニルアミド、ホスホ
ニルアミド、硫酸水素パラニトロアニリン等があ
る。更に必要に応じて防黴剤、防腐剤・滑材等の
必要助剤を配合してもかまわない。 本発明の屈曲性、施工作業性に特に優れたリボ
ン状熱発泡性防火シーリング材は、撹拌機と混練
機を併用する等の方法で炭化水素系多価アルコー
ル、繊維素グリコール酸塩、水、難燃性脱水剤の
混練物をつくり、この混練物を養生した後、ロー
ル又はカレンダーで所望の形状に成形し防着処理
した後巻取つたものである。 撹拌機としては、通常の撹拌機、例えば、ヘン
シエルミキサー、リボンブレンダーバンバリーミ
キサー、又はニーダー等が使用され混練機として
はミキシングニーダー、又はロールミル等が使用
される。 例えば、炭化水素系多価アルコールを撹拌しな
がら繊維素グリコール酸塩、発泡剤、難燃性脱水
剤を徐々に加え充分混合した後、水を添加し更に
撹拌する。 この混練物を一昼夜養生した後、カレンダーロ
ールにて圧延し所望の幅にスリツトする。このス
リツト物を雲母粉、滑石末、炭カル等の防着剤に
て処理し所望の長さに巻き取る事ができる。 以下本発明を実施例及び比較例により詳細に説
明するが、これに限定されるものではない。 表１に示す実施例１〜７及び比較例１〜６の各
成分を容量１の実験用ニーダーで10〜15分間混
合し均一に混練りした。この混練り物を一昼夜養
生した後、ロール圧延を行ない、２mm厚みのシー
トを作成した。このシートから試験片をとり試験
を実施した。その測定結果を表１に併記する。 表１において各成分の配合量は重量部で示され
ている。 本実施例及び比較例の試験方法は次の通りであ
る。 １ 発泡倍率 10mmｔ×10mmＷ×10mmＬの試料を300℃雰囲
気中に10分間静置した後、取り出して測定した
元の体積に対する比で表わす。 ２ 屈曲性 ２mmｔ×10mmＷ×50mmＬの試料を２mmφのマ
ンドレルにて180°折り曲げ表面の亀裂の有無
を、優、良、不可の三段階に判定する。 優：全く亀裂なし； 良：稍々ヘヤークラツクが認められる； 不可：ワレ発生大。 ３ 混練作業性 容量１、撹拌翼２枚の実験用ニーダーに前
記の炭化水素多価アルコール繊維素グリコール
酸塩、水、発泡剤、難燃性脱水剤とを夫々適量
入れ、室温で10分撹拌し、出来上つた混合物の
まとまり状態を外観及び手触りにより優・良・
不可の三段階に判定する。 ４ 針入度 JIS−Ｋ−2203による。尚荷重は100ｇで５秒
後の数値を表わす。 ５ 発泡状態 試験方法１により発泡した炭化層の断目を観
察する。炭化層の巣の状態により良・可・不可
の３段階に判定する。

【表】
単位は重量部で表わす

【表】 表１の結果に示される如く炭化水素系多価アル
コール繊維素グリコール酸塩との合計100重量部
に対して、さらに添加する炭化水素多価アルコー
ルが80重量部を越えると（比較例１）、リボン状
に成形が困難であり、50重量部未満だと（比較例
２）混練り作業性に問題がある。 発泡剤が80重量部を越えると（比較例３）、発
泡倍率は優れているが均一な発泡炭化層となら
ず、更には屈曲性に問題がある。又、10重量部未
満だと（比較例４）、混練作業性、屈曲性は優れ
ているが発泡倍率に問題がある。 同様に、難燃性脱水剤が60重量部を越えると屈
曲性に問題があり、10重量部未満だと（比較例
５）混練作業性、屈曲性は優れているが、発泡倍
率に問題がある。 炭化水素系多価アルコール50〜80重量部、繊維
素グリコール酸塩20〜50重量部から成る組成物
100重量部に対して、さらに発泡剤10〜60重量部
と難燃性脱水剤10〜50重量部とを添加配合して成
る防火シーリング材は、従来のテープに比べて、
発泡能力が大幅に改善でき、かつ、ハロゲン、フ
エノール、ホルムアルデヒド等を含まない為に、
有害ガスを発生しない等の利点を有するものであ
る。 以上より明らかな如く、本発明のリボン状熱発
泡性防火シーリング材は、熱発泡性能が優れかつ
屈曲性が優れている為に、電線ケーブルの防火壁
貫通部の空隙あるいは建築物内装材の継目部等に
単に挿入するだけで火災の発生時には発泡作用に
より優れた耐火性を有すると共に、高度の気密性
を有する。 又、リボン状である事と屈曲性が優れている為
に、コーナー部及び直線部の設置が良好である。 更に、経時による肉ヤセ、可撓性の変化はほと
んど見られない。又、ハロゲン、フエノール、ホ
ルムアレデヒド等を含まない為に、火災時に有害
ガスを発生しない。 本発明のシーリング材は、上記の性能を有する
ことから、火災の発生時には電線ケーブルの防火
壁貫通部の空隙、建築物内装材の継目部等からの
類焼を防ぐと共に、有害ガス、煙、熱等の拡散を
防止できる為に、火災時における被害の抑制効果
を一層向上できるものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 高温度に加熱されると発泡炭化して防火機能
   を発揮するリボン状熱発泡性防火シーリング材に
   おいて、 炭化水素系多価アルコール50〜80重量部、繊維
   素グリコール酸ナトリウム又はカルシウム20〜50
   重量部から成る組成物100重量部に対して、さら
   に発泡剤10〜60重量部と難燃性脱水剤10〜50重量
   部とを添加配合してなる組成を有し、該組成が混
   練作業性並びにリボン成形性に優れ、発泡倍率が
   ２〜100倍であることを特徴とする屈曲性、施工
   作業性に特に優れたリボン状熱発泡性防火シーリ
   ング材。 ２ 炭化水素多価アルコールがグリセリン又はエ
   チレングリコールである特許請求の範囲第１項記
   載の屈曲性、施工作業性に特に優れたリボン状熱
   発泡性防火シーリング材。